高橋純也のデッキ予報 vol.14 -《アーリン・コード》ラニーニャ現象-

高橋 純也



 こんにちは。らっしゅです。

 先週末には南米のコスタリカで【スタンダードのグランプリ】が開催されました。今季のプロシーズンにも終わりが見えてきたからか、プロポイントを狙って多くのプロプレイヤーが参加した、とてもレベルの高いトーナメントだったようです。

 今週の連載では、コスタリカの結果と、【MOで開催されたPTQ】の結果から、煮詰まりはじめたスタンダード環境の姿と背景に迫りたいと思います。

 現環境のメタゲームの登場人物については【Kenta Hirokiの記事】をご覧ください。



【話題1】「緑白トークン」が圧倒的な4つの理由

 もう毎週のように「緑白トークン」のお話をしているので、そろそろ違った切り口から語りはじめたい気持ちは山々なのですが、今週もまた彼らの活躍からお伝えすることになりそうです。



Seth Manfield「緑白トークン」
グランプリ・コスタリカ2016(1位)

8 《森》
7 《平地》
4 《梢の眺望》
4 《要塞化した村》
2 《ウェストヴェイルの修道院》

-土地 (25)-

3 《搭載歩行機械》
4 《森の代言者》
2 《棲み家の防御者》
2 《ラムホルトの平和主義者》
4 《大天使アヴァシン》

-クリーチャー (15)-
2 《荒野の確保》
4 《ドロモカの命令》
1 《石の宣告》
1 《悲劇的な傲慢》
4 《ニッサの誓い》
4 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》

-呪文 (20)-
2 《悲劇的な傲慢》
2 《進化の飛躍》
2 《停滞の罠》
1 《搭載歩行機械》
1 《棲み家の防御者》
1 《ラムホルトの平和主義者》
1 《翼切り》
1 《石の宣告》
1 《神聖なる月光》
1 《天使の粛清》
1 《絹包み》
1 《保護者、リンヴァーラ》

-サイドボード (15)-
hareruya



 先週末に開催された【グランプリ・コスタリカ2016】のTop8に5人を送り込んだ「緑白トークン」は、環境が進行するほどに手がつけられないデッキへと成長しています。周囲のデッキも進歩し続けているなか、彼らが環境の中心に居座ることができている理由は4つあります。


1.多角的な戦略


ゼンディカーの代弁者、ニッサゼンディカーの同盟者、ギデオン


 まず、もっとも「緑白トークン」を攻略しがたいデッキと仕立てあげているのは、彼らが多くの戦略をもっていることです。トークン生成による”面”の攻撃、《大天使アヴァシン》
らによる”点”の攻撃、そして、プレインズウォーカーによる消耗戦。「緑白トークン」と力比べをするには、これらの戦略をすべて受けきらなければなりません。



2.クオリティの高いカード選択


森の代言者搭載歩行機械大天使アヴァシン


 デッキの神話レアの枚数を数えるのは、いささか無粋かもしれませんが、まあそういうことです。戦略という複数枚をまとめて評価する単位だけでなく、1枚1枚の評価をしても、「緑白トークン」はとても優秀な成績を叩き出します。

 特にデッキの核となる7種類28枚 (《森の代言者》《搭載歩行機械》《大天使アヴァシン》《ドロモカの命令》《ニッサの誓い》《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》) はどれもぶっ飛んだ性能を秘めているのです。そのため、生半可なデッキでは、戦略を比較する以前に、1枚を比べあった時点で敗北します。



3.安定性


ニッサの誓い


 これがとどめの一撃です。今では少しばかり懐かしい話題ですが、”この環境はマナベースが弱い”という話があったかと思います。

【参考:八十岡翔太のプロツアー『イニストラードを覆う影』☆トップ4☆レポート】

 これは前環境の”フェッチ+バトルランド”と比較すると弱かったわけですが、なんだかんだで現状も3色や4色のデッキは見かけます。

 ただ、それらの多色が安定したデッキかというと、実際のところは、バッファのないギリギリの構成をしているものがほとんどです。これは上に挙げた1.と2.の理由に対抗するため、ある程度のリスクを背負わなければならないからですね。土地の枚数、色マナの総数、ダブルコストの呪文枚数、マナカーブなど。どこかしらの要素で無理を承知で頑張っています。

 このように”みんなで無理をしようぜ”という風潮のなか、ひとり悠々としているのが「緑白トークン」です。その余裕の源は《ニッサの誓い》にあります。土地を探し、色マナを調整し、マナカーブに沿ったパーマネントすら探し出す。ただでさえ安定した2色にまとまったデッキにもかかわらず、この1マナエンチャントの恩恵で更に安定感を増しているのです。



4.「4色《集合した中隊》」の衰退


集合した中隊


 最後に相対的な理由をひとつ。プロツアー以後の環境において「緑白トークン」が脅かされたことは一度ありました。それは「4色《集合した中隊》」が流行した2週間です。《変位エルドラージ》を軸にしたシステムクリーチャーたちは、除去性能が低く、戦場の優位でしか戦えない「緑白トークン」に対して効果的でした。

 異なる価値観で勝負を挑まれた「緑白トークン」は窮地に追い込まれるのですが、ここで状況が一変します。

 つまり、新たなる天下人に名乗りでた「4色《集合した中隊》」が、他のデッキたちに攻略されてしまったのです。《衰滅》を筆頭とした「ボードコントロール」が攻略者の筆頭にあたります。こうして「4色《集合した中隊》」は数を減らし、「ボードコントロール」はすこしばかりの復権を見せたのです。そして、当然ながら「緑白トークン」は「ボードコントロール」に強いので、「緑白トークン」の退場疑惑は杞憂に終わってしまったのでした。





 以上が、「緑白トークン」が多様性を取り戻したはずの環境を支配してしまった4つの理由です。

 「緑白トークン」には隙がなく、他のデッキにはそれがある。これが事態のすべてです。「緑白トークン」を脅かす存在や比肩するデッキが登場しても、それらにはわかりやすい弱点が残されています。マッチアップの勝率で言うと「緑白トークン」には圧倒的に有利なマッチアップはなく、そのほとんどが50-50や55-45程度に収まりますが、不利なマッチアップが少ないことが好成績につながっているのです。

 弱点らしい弱点はなく、「4色《集合した中隊》」は周囲が潰してくれた。そんな順風満帆な「緑白トークン」に迫る影がひとつ。次の話題では、その期待のデッキに注目します。



【話題2】復活の「バントカンパニー」

 【先週の連載】でも紹介しましたが、「バントカンパニー」はプロツアー以来の注目を集めています。「バントカンパニー」か「バント人間カンパニー」か。ちょっと呼称が長ったらしいので、「従来型」と「人間型」と呼ぶことにしましょう。この2つの選択には未だに決着がつかないものの、先週末の【グランプリ・コスタリカ2016】ではTop8にひとりずつ、【MOで開催されたPTQ】のTop8には3名の「人間型」が入賞し、「緑白トークン」に次ぐ勢力として活躍しているのです。

 さて、この活躍の背景には3つの要素があります。

 まずひとつは、《不屈の追跡者》が定着したことです。「人間型」ではもちろん、「従来型」においても3~4枚を採用することが一般的になってきました。サイズ、アドバンテージなど語るべき要素はいくつかありますが、「バントカンパニー」というデッキタイプが戦うべき中盤以降の時間帯において最も輝くカードだから、という説明が最も的確かもしれません。

 かつての《クルフィックスの狩猟者》のように、中盤以降を争う緑系のデッキならばこぞって採用すべきカードの1枚です。



Brian Braun-duin「バントカンパニー」
グランプリ・コスタリカ2016(8位)

4 《森》
3 《平地》
1 《島》
1 《荒地》
4 《大草原の川》
3 《梢の眺望》
4 《進化する未開地》
4 《ヤヴィマヤの沿岸》
2 《伐採地の滝》

-土地 (26)-

4 《薄暮見の徴募兵》
4 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《森の代言者》
4 《反射魔道士》
4 《不屈の追跡者》
3 《変位エルドラージ》
2 《巨森の予見者、ニッサ》

-クリーチャー (25)-
4 《ドロモカの命令》
4 《集合した中隊》
1 《オジュタイの命令》

-呪文 (9)-
4 《ラムホルトの平和主義者》
3 《否認》
3 《悲劇的な傲慢》
2 《オジュタイの命令》
2 《石の宣告》
1 《巨森の予見者、ニッサ》

-サイドボード (15)-
hareruya



 この「従来型」において《不屈の追跡者》のカードスロットは激しい移り変わりを見せていました。最初は《跳ねる混成体》、次に《空中生成エルドラージ》、そして《不屈の追跡者》へと。

 《跳ねる混成体》は論外として、《空中生成エルドラージ》《不屈の追跡者》にはまだ議論の余地が残されているでしょう。「白系人間」が流行すればトークン生成と飛行の面で優秀な《空中生成エルドラージ》が良く、自身のデッキの構成だけを考えるならば《不屈の追跡者》に軍配が上がります。


跳ねる混成体空中生成エルドラージ不屈の追跡者


 ふたつは、戦場の膠着を回避する手段が発見されたことです。「従来型」であれば《変位エルドラージ》、「人間型」は《サリアの副官》が。これらの戦場の膠着を嫌ったアイデアの何が素晴らしいかというと、どちらも同型や「緑白トークン」などとのマッチアップを改善してくれることです。

 《反射魔道士》+《変位エルドラージ》のコンボは勝敗を決するには十分すぎる決定力をもっています。「人間型」は依然として”膠着してしまった”場合の問題は抱えていますが、《サリアの副官》がサイズに影響をあたえることで根本的に膠着しづらい構成になっています。


反射魔道士変位エルドラージ


 「従来型」に《変位エルドラージ》を採用するアイデアは、プロツアー『イニストラードを覆う影』時点で日本の調整グループによって発見されていたものの、それ以降は「緑白トークン」と「《謎の石の儀式》」の流行から「バントカンパニー」の絶対数が減ったことで埋もれていました。一時は【高橋 優太しか使っていない】時期すらありましたが、今一度見直される機会を得たことで整ったリストが登場しています。


謎の石の儀式


 みっつは、メタゲームの変容によって、苦手な「《謎の石の儀式》」が少数派となったことです。「黒緑アリストクラット」「4色《集合した中隊》」などの《謎の石の儀式》を軸に構築されたデッキは、除去性能に乏しい緑白系のデッキタイプに対して強いことで知られています。

 しかし、【これまでの連載】で話してきたように、「ボードコントロール」が一定数のシェアをもったことで優れた選択肢とは言えなくなり、「《謎の石の儀式》」は段々と数を減らしていったのです。直近の、【グランプリ・コスタリカ2016】の2日目のフィールドには「《謎の石の儀式》」は合計で7%しかいませんでした。21%の「緑白トークン」、共に17%の「黒白コントロール」「バントカンパニー」らと比較すると少数派であることがわかります。


集合した中隊


 以上の3点が「バントカンパニー」の復権を助けました。

 ただ、最後のメタゲームについては、やや暗雲が立ち込めています。それは《謎の石の儀式》」が復活する予兆が見えているからです。先週末の「緑白トークン」の活躍もその傾向を後押しする可能性は高いので、今週末は「バントカンパニー」にとってひとつの分岐点となるかもしれません。

 「緑白トークン」に強い《集合した中隊》として「《謎の石の儀式》」が注目され、それが「ボードコントロール」に食い尽くされてからは、「ボードコントロール」に強い《集合した中隊》として「バントカンパニー」が登場する。

 これまでの流れを鑑みても、《集合した中隊》を使ったデッキはメタゲームの影響を大きく受けるため、どの《集合した中隊》を使うかで悩んでいる方は慎重に判断をくだすことをおすすめします。



【話題3】今週末に使うべきデッキは何か?

 いきなり踏み込んだ話題となりますが、ひとつ目の「ワールド・マジック・カップ予選」である「WMCQ in 大阪」が来週末に開催されることもありますし、環境もやや複雑な状況になっているので、なにかしらの判断の手助けになればと思い選びました。

 まずは結論から話すと、「緑白トークン」に強いデッキを選択するべきです。

 これは「緑白トークン」が現環境で最有力である他に、「緑白トークン」とは五分五分程度の相性だと感じるデッキの多くは、実のところ不利であることが多いからです。このような思い違いが起きてしまう原因は、「緑白トークン」がどのデッキよりも安定していることに隠されています。つまり、お互いにそこそこの動きができれば五分であっても、実際は事故などの影響で「緑白トークン」に勝ち星が偏ることになるのです。

 そのため、安定性で勝ることが難しい以上は、コンセプト上の有利は欠かせません。そこでいくつか「緑白トークン」に強いコンセプトを持つデッキを紹介したいと思います。



1.飛行+カウンター



basilnabi「青赤」
Standard PTQ(5-2)

7 《島》
6 《山》
4 《高地の湖》
4 《シヴの浅瀬》
4 《さまよう噴気孔》

-土地 (25)-

4 《次元潜入者》
4 《鎖鳴らし》
4 《層雲の踊り手》
3 《空中生成エルドラージ》
4 《雷破の執政》
2 《氷瀑の執政》

-クリーチャー (21)-
1 《意思の激突》
1 《焦熱の衝動》
4 《龍詞の咆哮》
4 《シルムガルの嘲笑》
4 《極上の炎技》

-呪文 (14)-
4 《否認》
4 《熱病の幻視》
3 《焦熱の衝動》
2 《焙り焼き》
2 《大地の断裂》

-サイドボード (15)-
hareruya



 【齋藤 友晴の「青赤飛行」】がお披露目されてから活気づいたアイデアです。【先日のBMIQ】でもTop4に2人も入賞したことがニュースになりました。まだ細部が固まっていないデッキタイプですが、その根幹にあるのは《鎖鳴らし》《次元潜入者》という2種類の2/1瞬速飛行です。環境の中心にいる緑白系ではこの2枚に対応することは難しく、特にプレインズウォーカーを擁する「緑白トークン」に対して効果的な戦略だと言われています。

 メジャーなものは「青赤」ですが、「青白」のバリエーションもあり、まだまだ研究の余地が残されていることも強みかもしれません。カウンター呪文を多く採用しているため、「白系人間」などに弱い側面はありますが、「緑白トークン」に有利であることは選択するに足る理由です。



2.《謎の石の儀式》



floatius「4色《謎の石の儀式》
Standard PTQ(14位)

3 《森》
1 《島》
1 《平地》
1 《沼》
4 《進化する未開地》
4 《コイロスの洞窟》
4 《ラノワールの荒原》
4 《ヤヴィマヤの沿岸》
2 《ウェストヴェイルの修道院》

-土地 (24)-

4 《壌土のドライアド》
4 《薄暮見の徴募兵》
4 《エルフの幻想家》
1 《ズーラポートの殺し屋》
4 《地下墓地の選別者》
4 《変位エルドラージ》
4 《反射魔道士》
3 《血統の観察者》

-クリーチャー (28)-
4 《集合した中隊》
4 《謎の石の儀式》

-呪文 (8)-
4 《Matter Reshape》
4 《現実を砕くもの》
4 《精神背信》
2 《フェリダーの仔》
1 《敬虔な福音者》

-サイドボード (15)-
hareruya



 結局のところ、環境がぐるりと一周した今になっても「緑白トークン」を根本的に攻略したデッキは、「《謎の石の儀式》」の他にいませんでした。「無限コンボ型」「《龍王アタルカ》型」「《現実を砕くもの》型」「黒緑アリストクラット」などなど。様々な形が生まれ、これらはどれも「緑白トークン」を得意とするデッキタイプとして知られています。

 テーマを”「緑白トークン」を倒すこと”に絞った場合、優先されるのは「無限コンボ型」と「黒緑アリストクラット」でしょう。どちらもコンボ要素がありメインボードの取得率が高い構成になっています。ただ、現状出回っているリストではサイドボード後に難があるため、サイドボード後の戦略については修正が必要になりそうです。サイドボード後の「緑白トークン」は《悲劇的な傲慢》《次元の激高》を軸にしたボードコントロールに豹変するため、その変化を予測した構成が求められます。

 「無限コンボ型」などはサイドボードの容量がすでにパンパンなので発展の望みは薄いかもしれませんが、「黒緑アリストクラット」など《ナントゥーコの鞘虫》を軸にしたものには未来が残されています。最近では《ゲトの裏切り者、カリタス》を見なくなったこともあって、「バントカンパニー」が再注目されたように、「黒緑アリストクラット」にも復帰の兆しが見えているのかもしれません。



3.同型を対策した「緑白トークン」



Brandon Fischer「緑白トークン」
グランプリ・コスタリカ2016(2位)

4 《森》
4 《平地》
1 《山》
4 《梢の眺望》
1 《進化する未開地》
4 《要塞化した村》
2 《戦場の鍛冶場》
2 《獲物道》
1 《鋭い突端》
2 《ウェストヴェイルの修道院》

-土地 (25)-

4 《搭載歩行機械》
4 《森の代言者》
2 《ラムホルトの平和主義者》
4 《大天使アヴァシン》

-クリーチャー (14)-
4 《ドロモカの命令》
2 《石の宣告》
4 《ニッサの誓い》
4 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
2 《アーリン・コード》
1 《炎呼び、チャンドラ》

-呪文 (21)-
3 《棲み家の防御者》
2 《石の宣告》
2 《悲劇的な傲慢》
2 《進化の飛躍》
1 《ウェストヴェイルの修道院》
1 《龍王アタルカ》
1 《保護者、リンヴァーラ》
1 《次元の激高》
1 《絹包み》
1 《炎呼び、チャンドラ》

-サイドボード (15)-
hareruya



 同型を対策した「緑白トークン」は、明確に「緑白トークン」に強いデッキです。【話題1】で取りあげた7種類28枚+土地25~26枚を除いた6~7枚のスロットでどんな工夫をするのか、はすべての「緑白トークン」を使うプレイヤーにとっての課題です。《悲劇的な傲慢》《石の宣告》《ラムホルトの平和主義者》《棲み家の防御者》など。候補はたくさんありますが、そのスペースはたったの6~7枚と限られています。なにかを取ればなにかが入れられない。そんな取捨選択を強いられているのです。

 こうしてそのスロットの配分に多くのプレイヤーが苦悩するなか、コスタリカで2位に入賞した「緑白トークン」は個性的な選択を見せつけました。それは《アーリン・コード》です。


アーリン・コード


 ”前評判は高かった気がするけれど全く見かけない微妙なカード”という印象が定着してしまった狼女ですが、「緑白トークン」に加えるアクセントとしては申し分ない働きを見せています。同型戦では追加のトークン生成プレインズウォーカーとして活躍し、「《集合した中隊》系」に対しては裏面の《稲妻》効果で《変位エルドラージ》などシステムクリーチャーを焼き払うことができるのです。

 色を1色加えたことで安定性にはケチが付きますが、「緑白トークン」と「《集合した中隊》系」が流行している現状では、そのどちらもに有効な《アーリン・コード》を採用することでリスクを背負ってもそう悪い気分はしません。【Raphael Levyが発起人】となった”タッチ《炎呼び、チャンドラ》”を自然にできますし、《鋭い突端》が消耗戦を支えてくれるので、3色になることもそう悪いことばかりではなさそうです。


炎呼び、チャンドラ鋭い突端


 ただ、現状の2位に入賞したリストではマナベースに問題を抱えているため、少しばかりの調整は避けられないでしょう。それによって【グランプリ・東京2016】【熊谷 陸が制した「ナヤミッドレンジ」】と、どのように差別化あるいは同化していくのかは興味がつきません。少なくとも《アーリン・コード》は現環境に則した素晴らしいアイデアなので、これからが楽しみなデッキです。



【まとめ】「緑白トークン」と「バントカンパニー」に注意せよ!

 なんだか当然のことしか言っていない気もしてきましたが、それだけ重要だということでもあります。特に「緑白トークン」は過小評価しがちなデッキタイプなので、使う方も使わない方も、しっかりと対抗策を練っておきましょう。


ゼンディカーの代弁者、ニッサゼンディカーの同盟者、ギデオン


 そうなると、ややマークが外れるのは「バントカンパニー」でしょうか。「従来型」は【ほぼBBDのリスト】で統一されそうですが、「人間型」はまだまだ成長しそうな予感がします。


サリアの副官反射魔道士


 【vol.7】で話したように、「バントカンパニー」は対峙したときのプレイが想像以上に難しく感じるデッキです。まだ「人間型」とゲームをしたことがない方は、一度でもいいので練習しておくことをおすすめします。「従来型」には予想外な展開はありませんが、「人間型」は初見のプレイヤーを混乱させるだけの意外性をもっているからです。

 それでは、「ワールド・マジック・カップ予選 in 大阪」に参加される方もそうでない方も楽しい週末を!また来週お会いしましょう!



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