はじめに
みなさんこんにちは。
新セットの『ストリクスヘイヴン:魔法学院』はモダンでも使えるカードが多数見られました。禁止改定後のモダンはさまざまなアーキタイプが活躍する面白いフォーマットになりましたが、新セットリリース後もそれは変わらないようです。
それでは『ストリクスヘイヴン:魔法学院』が環境にどのような影響を与えたのか、先週末に開催されたModern Challengeの結果を追いながら見ていきたいと思います。
Modern Challenge #12289705
コンボデッキの勝利
2021年5月1日
- 1位 Hammer Time
- 2位 Scapeshift
- 3位 Gruul Midrange
- 4位 Hammer Time
- 5位 Mono Red Prowess
- 6位 Jund
- 7位 4C Control
- 8位 Amulet Titan
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禁止改定直後の環境でのトップメタはHeliodでしたが、メタが進みNiv to Lightに《風景の変容》+《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》のコンボをハイブリットしたバージョンが上位で見られるようになりました。
土地コンボを搭載した多色コントロールが結果を残し続ける中台頭してきたのが、今大会でも上位に入賞していたMono Red ProwessやGruul Midrange といった《血染めの月》をメインから搭載したデッキでした。
そして、今大会で優勝を果たしたのはNiv to Lightなど土地コンボに対して速さで押し切れるコンボデッキのHammer Timeでした。
デッキ紹介
Hammer Time
Hammer Timeは禁止改定前の環境から活躍していたコンボデッキで、デッキ名にもなっている装備品の《巨像の鎚》と《シガルダの助け》を組み合わせることで最速2ターン目にパワー10以上のアタッカーを作り出すことができます。
モダンらしい直線的な戦略な印象を与えますが、《純鋼の聖騎士》や《石鍛冶の神秘家》といったカードアドバンテージを稼ぐ手段も搭載されており、《夢の巣のルールス》も「相棒」として採用されているためロングゲームでも十分に渡り合うことができます。
除去や妨害要素が少ないTronやAmulet Titanといった土地コンボに強く、《風景の変容》+《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》のコンボを搭載した多色ミッドレンジなどが活躍する現環境では有力な選択肢となります。
☆注目ポイント
《ルーンの与え手》によって《巨像の鎚》を装備したアタッカーを単体除去から守ることができます。相手にとっては《ルーンの与え手》はマスト除去となるので、結果的に後続が生き残りやすくなります。
《墨蛾の生息地》は感染持ちなので《巨像の鎚》を装備させた状態で攻撃が通れば瞬殺できます。このデッキの最高のアタッカーで、ソーサリースピードの除去に耐性があるのもこのカードの強みです。
装備品にキャントリップの効果を付ける《純鋼の聖騎士》のおかげで、カードアドバンテージを稼ぎつつコンボを狙うこともできます。このデッキでは「金属術」の条件を満たすのも容易なので《巨像の鎚》の高い装備コストも問題になりません。
Scapeshift
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《死者の原野》《神秘の聖域》が禁止になったことで禁止改定前のような形を再現することはかなわないものの、《創造の座、オムナス》、《レンと六番》や《嘘の神、ヴァルキー》といった強力なカードは健在です。
禁止改定直後は多色コントロールは衰退したと思われていましたが、《白日の下に》を搭載したNiv to Lightバージョンに注目が集まり、リストの研究が進むにつれてModern Challengeでも上位で見られるようになりました。
旧環境の多色コントロールと同様に軽い除去と《レンと六番》《時を解す者、テフェリー》といったプレインズウォーカーで序盤をしのいでいきます。
4C Uro Omnathのころと異なりカウンターが少なめのタップアウトコントロールスタイルが主流で、最近は《風景の変容》+《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》のコンボを新たな勝ち手段としたバージョンが結果を残しています。
☆注目ポイント
マナ加速兼必要な色マナを確保する手段として《探検》と《イリーシア木立のドライアド》が採用されています。《イリーシア木立のドライアド》は《原始のタイタン》デッキと同様に《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》との組み合わせが強力です。
《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》はこのデッキのフィニッシャーで、《風景の変容》とのコンボがこのデッキの主な勝ち手段の一つとなります。ショックランドのほかにも《ケトリアのトライオーム》《サヴァイのトライオーム》《ラウグリンのトライオーム》といった山の基本土地タイプを持つトライオームのおかげで必要な数の山をサーチすることができます。
このデッキの勝ち手段である《風景の変容》を含めたカードを状況に応じてサーチできる《白日の下に》は、《嘘の神、ヴァルキー》を《星界の騙し屋、ティボルト》としてもプレイすることができます。フェッチランドと《創造の座、オムナス》の2つ目の誘発能力によって、最速で4ターン目に《白日の下に》をプレイするという動きが強力です。
Modern Challenge #12289711
環境を揺るがす新メカニズム
2021年5月2日
- 1位 Amulet Titan
- 2位 Boros Prowess
- 3位 Heliod Company
- 4位 Dredge
- 5位 Izzet Prowess
- 6位 Dredge
- 7位 Boros Prowess
- 8位 Emrakul Breach
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先週日曜日に開催されたModern Challengeで結果を残していたデッキの多くが『ストリクスヘイヴン:魔法学院』からの新カードを活用していました。
新メカニズムの「魔技」持ちの軽量クリーチャーの《賢い光術師》はプレビュー段階から話題になっていたクリーチャーで、Prowess系のアグロの新戦力として定着しています。
ほかにも《表現の反復》《身震いする発見》《プリズマリの命令》といったカードがIzzet Prowess、Dredge、Temur Emrakul Breachといった既存のデッキに新戦力として取り入れられています。
デッキ紹介
Boros Prowess
《僧院の速槍》など「果敢」持ちのクリーチャーを主力とするアグロデッキはIzzetや赤単色が主流でしたが、『ストリクスヘイヴン:魔法学院』の新カードは、このデッキに新たな色の組み合わせを提供しました。《賢い光術師》はモダンのように軽いソーサリーとインスタントスペルを多用するフォーマット、特に相手が体制を整える前にビートダウンして押し切るProwess系のアグロにフィットしたクリーチャーです。
ファイレクシアマナスペルの《変異原性の成長》や《魔力変》などによって2ターン目から大幅に強化することが可能です。
☆注目ポイント
「魔技」能力を持つ《賢い光術師》はこのデッキにさらなる爆発力をもたらしました。《変異原性の成長》や《魔力変》などで2ターン目から規格外のサイズに強化できるので相手にとってはプレッシャーとなります。
戦闘中に墓地にある1マナのスペルを《戦慄衆の秘儀術師》によって再利用することで「果敢」クリーチャーや《賢い光術師》をさらに強化することができます。
メインの除去を火力に頼っているので、苦手な高タフネスのクリーチャーに対抗するためにサイドには《流刑への道》が採用されています。そのほか、増加傾向にある同型とのマッチアップに備えて《コーの火歩き》が4枚採用されています。置物を追放できる《存在の破棄》はHeliod Companyの《太陽冠のヘリオッド》に対する回答になります。
Izzet Prowess
旧環境でもコンスタントに活躍していたIzzet Prowessも『ストリクスヘイヴン:魔法学院』からの新カードによって強化されています。
「果敢」クリーチャーを軽いスペルや火力スペルで強化してビートダウンしていくという基本的な構成はほかのバージョンと変化はないものの、青と組み合わせることで《スプライトのドラゴン》や《嵐翼の精体》といった青の優秀なクリーチャーやドロースペル、カウンターにアクセスすることができます。
☆注目ポイント
レガシーのDelver系の新たなアドバンテージ源として使われている《表現の反復》は、モダンでもアドバンテージ獲得手段として採用されています。軽いスペルを多用するこのデッキにとってこのカードからアドバンテージを得るのは容易で、複数のスペルをプレイできるようになるので「果敢」クリーチャーと相性がいいスペルです。
《スプライトのドラゴン》と《嵐翼の精体》といったクリーチャーを使えることがIzzetバージョンを選択するメリットの一つです。どちらも回避能力持ちなので安定してダメージを通すことができます。《嵐翼の精体》はこのデッキならたいてい2マナでプレイすることが可能です。また、マナ総量が5なので現環境の主要な除去スペルである《致命的な一押し》に耐性があることもこのクリーチャーの強みです。
コンボデッキ対策に《神秘の論争》や《呪文貫き》といったカウンターがサイドに忍ばせてあります。このようにIzzetバージョンは爆発力の面ではほかのバージョンに譲りますが、ドロースペルや回避能力持ちのクリーチャー、カウンターなど必要なものが一通り揃っているため安定しています。
Modern Champs #12289677
白いアグロデッキが予選を突破する
2021年5月3日
- 1位 Death and Taxes
- 2位 Dimir Mill
- 3位 Boros Aggro
- 4位 Amulet Titan
- 5位 Jund Death’s Shadow
- 6位 Gruul Midrange
- 7位 Hammer Time
- 8位 Izzet Prowess
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MOPTQの上位もModern Challengeと同様にさまざまなアーキタイプが結果を残していました。
Modern Challengeでも結果を残していたBoros ProwessやIzzet Prowessが入賞していたほかに、《ケイヤの手管》《神討ち》《消失の詩句》をサイドに採用した4C Death’s Shadowも見られます。
今大会で優勝を果たしたデッキはメインから《精鋭呪文縛り》をフル搭載したOrzhovカラーのDeath and Taxesでした。
デッキ紹介
Death and Taxes
今大会を制したのは《空を放浪するもの、ヨーリオン》を「相棒」として採用したDeath and Taxesでした。《霊気の薬瓶》の能力によってインスタントスピードで優秀な白いクリーチャーを展開していくアグロコントロールで、《スカイクレイブの亡霊》が登場して以来結果を残し続けているデッキです。
『ストリクスヘイヴン:魔法学院』からも《精鋭呪文縛り》という新戦力を獲得してさらに強化されました。
Orzhovバージョンは《潮の虚ろの漕ぎ手》や《不毛の地の絞殺者》といった妨害要素を内蔵したクリーチャーや除去スペルの選択肢の多さが特徴です。
☆注目ポイント
ETB能力持ちのクリーチャーが多いので《空を放浪するもの、ヨーリオン》と相性がいいデッキです。《儚い存在》もフル搭載されているなど、ETB能力持ちのクリーチャーを使いまわしてアドバンテージを取る戦略にフォーカスしています。《前兆の壁》はDeath and Taxesではあまり見かけないカードですが、タフネスが4あるので赤系のアグロとのマッチアップで時間を稼いでくれます。
『ストリクスヘイヴン:魔法学院』からの新カードの《精鋭呪文縛り》は《潮の虚ろの漕ぎ手》とともに相手のプランを妨害します。《精鋭呪文縛り》の注目すべきポイントは自身が場から離れてもカードは追放されたままの状態で、相手は追放されたカードの追加のコストを支払う必要があるということです。《空を放浪するもの、ヨーリオン》や《儚い存在》といった「明滅」させる効果のあるカードとも相性がよくこのタイプのデッキの期待の新戦力です。
《不毛の地の絞殺者》は《精鋭呪文縛り》や《潮の虚ろの漕ぎ手》《ちらつき鬼火》とシナジーのあるクリーチャーです。追放されたカードを墓地に落とすことができるので、相手にカードが戻ってくることはありません。
単色限定の除去である《消失の詩句》もサイドに含まれています。クリーチャー以外のパーマネントにも触れるのが重要なポイントです。《太陽冠のヘリオッド》を始めとした環境の多くの厄介なパーマネントを対策できる受けが広い除去スペルです。
総括
『ストリクスヘイヴン:魔法学院』からの新カードにより強化されたアーキタイプが多く、現在のモダンは多種多様なアーキタイプが活躍する面白いフォーマットです。
6月にはモダン専用の特殊セットの『モダンホライゾン2』もリリースされるので、どのようなカードが収録されるのか楽しみです。
以上、USA Modern Express vol. 56でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!