今回のテーマは「~~ストンピィ」。
《古えの墳墓》《裏切り者の都》《金属モックス》《虚空の杯》がキーカードのデッキタイプだ。
このデッキタイプの魅力は、2マナを生み出す無色土地と《金属モックス》のマナ加速によって、3マナや4マナの強力なパーマネントを早いターンに展開する爆発力にある。普通のデッキだと重すぎるカードたちがたちまち主役に成り上がる様は爽快感満載だ。
また、骨子のカードがアーティファクトや土地なので色を選ばないことも人気を支えている。《賛美されし天使》を使った「エンジェルストンピィ」、《海のドレイク》が注目を浴びた「フェアリーストンピィ」など、歴史上では5色それぞれの「ストンピィ」が登場している。
単純なデッキ構造ながら自由度が高い。
まさにデッキビルダーにうってつけの題材ではないか。
それでは、会場で見かけた「ストンピィ」のおしゃれポイントを見ていこう。
■ デーモンストンピィ
14 《沼》 2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 4 《古えの墳墓》 1 《ファイレクシアの塔》 -土地(21)- 4 《マルドゥの急襲指揮者》 4 《深淵の迫害者》 4 《冒涜の悪魔》 -クリーチャー(12)- | 4 《Hymn to Tourach》 4 《夜の犠牲》 2 《毒の濁流》 4 《金属モックス》 4 《虚空の杯》 1 《迫撃鞘》 2 《殴打頭蓋》 4 《ヴェールのリリアナ》 2 《黒き誓約、オブ・ニクシリス》 -呪文(27)- | 4 《催眠の悪鬼》 4 《三なる宝球》 4 《虚空の力線》 1 《毒の濁流》 1 《頭蓋の摘出》 1 《記憶殺し》 -サイドボード(15)- |
基本的に「ストンピィ」から登場するパーマネントは、生き残ればすぐにでも勝利できるものに限られる。それは、そのパーマネントを多くの犠牲(《金属モックス》の刻印、《古えの墳墓》のライフ損失など)を支払ってでも早いターンに登場させる価値がなければならないからだ。
そして、その観点においてとても忠実な作りをしているのが「デーモンストンピィ」だ。《深淵の迫害者》と《冒涜の悪魔》という6点クロックが合計8枚。フェッチランドを2回起動しようものならたった3回の攻撃でゲームセットである。これだけの枚数を用意すれば「マナは出るけど実がない……」なんてトラブルにも見舞われにくい。
また、2ターン目以降が主役のデーモンたちの前座として、3マナ域には《マルドゥの急襲指揮者》が鎮座している。このカードだけデーモンではないのだが、《金属モックス》経由で1ターン目に登場したときの鬼のような強さにはデーモンらしさを感じなくもない。だんだんとマナが余っていくデッキタイプなので”急襲”能力もより一層輝くだろう。
デーモンがかっこいいという芸術点ばかりでなく、素早いクロックという実利も兼ね備えた面白いデッキだ。
■ ドラゴンストンピィ
10 《山》 4 《古えの墳墓》 2 《魂の洞窟》 3 《裏切り者の都》 -土地(19)- 4 《月の大魔術師》 4 《猿人の指導霊》 2 《ゴブリンの熟練扇動者》 4 《雷破の執政》 4 《雷口のヘルカイト》 3 《嵐の息吹のドラゴン》 -クリーチャー(21)- | 3 《マグマの噴流》 4 《煮えたぎる歌》 4 《虚空の杯》 3 《金属モックス》 3 《血染めの月》 1 《三なる宝球》 2 《槌のコス》 -呪文(20)- | 3 《三なる宝球》 2 《ファイレクシアの破棄者》 2 《略奪》 2 《火山の流弾》 2 《締め付け》 2 《忠義の天主》 1 《唐突なる死》 1 《処罰の力線》 -サイドボード(15)- |
「ストンピィ」の持ち味は、高速展開される巨大なパーマネントだけではない。《虚空の杯》や《三なる宝球》を筆頭とした妨害用パーマネントも立派な「ストンピィ」の武器だ。
その妨害に特化した形が赤単の「ドラゴンストンピィ」である。2種類の月は《金属モックス》と《猿人の指導霊》の力で先手1ターン目から展開される。すると特殊地形の多いレガシー環境ではどうなるのか。
なんと、勝ってしまう
モダン環境のように完全に相手が機能不全に陥ることは少ないものの、相手は少なからず展開が妨げられる。その反面、こちらはパーマネントを最速で展開する「ストンピィ」なので、次々と脅威を送り込むことができる。その相対的な時間差を利用するーー妨害+クロックという勝利の方程式を大味に表現したものが「ドラゴンストンピィ」だ。
さきほどの「デーモンストンピィ」よろしく、素早いクロックの選別には「ドラゴンストンピィ」も余念がない。《ゴブリンの熟練扇動者》にドラゴン要素はさっぱりないが、1ターン目から展開されるクロックとしては彼以上の人材はいない。デッキ名の由来となるドラゴンとしては、歴代最強クラスの《雷口のヘルカイト》、《剣を鍬に》も《未練ある魂》も乗り越える《嵐の息吹のドラゴン》、現代を代表する《雷破の執政》と粒揃いだ。
全体的にカードが重いことは気になるところだが、ドラゴンは重く強いものだから仕方がない。
さて、いかがだっただろうか。黒の「デーモンストンピィ」に、赤の「ドラゴンストンピィ」。基本的な構造は全く同じであるにも関わらず、戦略、カード選択共に異なる特徴がみられるのはとても面白い。
もし緑で構築するなら?ドラゴンじゃなくても組めるかも?装備品も入れたい?
さっそくウズウズとしてきた方は是非とも形にしてみてほしい。「ストンピィ」にはあらゆる発想を受け入れる懐の広さがある。お気に入りのカードがあるけどトーナメントで使うにはちょっと重い……そんな悩みを持った人にもおすすめのデッキだ。