はじめに
みなさんこんにちは。Hareruya Prosの藤江 竜三です。平日は市議会で働き、リーグ・ウィークエンドなどの夜の大会のときは子どもを寝かしつけながら一緒に寝て、夜にむくりと起きて戦い始めるお父さんプレイヤーです。
さて、今回もリーグ・ウィークエンドで使ったデッキを解説します。ヒストリックで圧倒的なシェアを誇ったディミーアパクトです。
リーグ・ウィークエンドまでのメタゲームとデッキ選択
『ストリクスヘイヴン:魔法学院』と『ヒストリック・アンソロジー4』の発売後、さまざまなデッキがヒストリックでは生まれました。注目はイゼットフェニックスとセレズニアカンパニー、ジェスカイコントロール、そしてジャンドフードといったところです。それらに有利だと考え、今回はディミーアパクトを選択しました。
ディミーアローグは相当厳しく、グリクシスパクトとジェスカイコントロールにはわずかに不利、ほかには概ね有利なデッキだと考えています。あまりの相性差からディミーアローグは「なに?それおいしいの?」といった気持ちで無視を決め込みました。
ディミーアパクトとは
今回のリーグ・ウィークエンドでの構築です。このデッキは《タッサの神託者》と《汚れた契約》のコンボで勝つデッキです。手札にこの2枚がある状態で《タッサ》をプレイし、誘発型能力にスタックして《契約》をプレイするとデッキ内に同名のカードがないためライブラリーが全部なくなり、しかる後に《タッサ》の能力が解決され勝利となります。
このデッキは相手ターン中にコンボパーツを集め、手札破壊や打ち消しを使うことで、ほとんどリスクを負うことなくコンボを始動することが可能です。タイミングをみて動き、勝ち確の状況を作り出してください。
コンボ成立のためにはこの2枚をいかに上手に集めるかが最初のポイントです。そこでコンボを始めるための基本的な方法を確認していきましょう。
コンボへ至る手順
《汚れた契約》
まず手札に《契約》が2枚ともある場合です。この場合は1枚目の《契約》で《タッサ》を持ってくれば王手です。
次の手札は《契約》と《発展/発破》が1枚ずつの場合。相手のターン終了時に《契約》プレイ、それにスタックして《発展》でコピーし、《契約》と《タッサの神託者》を探しにいきましょう。《発展》の代わりに《ナーセットの逆転》でも同じ流れで揃えることができます。
《願いのフェイ》
そのほかの勝ち手段として、《願いのフェイ》でサイドボードから《神秘を操る者、ジェイス》を持ってきて、《契約》でライブラリーを空にして勝つ方法もあります。ただし、《フェイ》を使って《ジェイス》や《契約》を持ってきた場合は、ライブラリー内に《タッサ》と《契約》が2枚残っているとコンボが途中で止まることがあるので十分注意してください。
採用カード解説
メインボード
ほぼなんでもインスタントタイミングで持ってこれるスーパーサーチカード。ときには勇気を出して手札破壊や除去、土地を引っ張ってくることも重要です。
実質的にこのデッキの勝ち手段です。デッキを0枚することで勝利するため、《汚れた契約》解決後に自身の誘発型能力にスタックして対戦相手から《プリズマリの命令》や《悪意の熟達》でドローさせられてしまうと負けてしまいます。十分注意してください。
お互いの手札破壊やドロー、自分の《汚れた契約》をコピーできます。まさに潤滑油的な存在です。
これはほかのプレイヤーのリストにはあまり入っていませんでしたが、お勧めの1枚です。ロングゲームで強力な《ロークスワイン城》などの土地を割れることや《渦まく知識》後にリシャッフルできること、いざとなればと《島》や《沼》を持ってこられる汎用性が非常に高いカードです。
残りはコンボパーツのサーチ手段とドロー、打ち消しや手札破壊、除去は強そうなものから入れてメタゲームを考えて微調整してあります。採用したなかでは《肉儀場の叫び》と《光輝の泉》は弱かったので変えてもよさそうです。
サイドボード
ミラーマッチやコントロールに対して入れてください。打ち消せない呪文に対して有効です。《思考のひずみ》に打てたらニヤニヤがとまりません。
ミラーマッチでは相手の《タッサの神託者》を抜くのがお勧めです。コンボデッキからキーカードを抜き去りましょう。
コントロールに決まれば相手の手札と墓地を根こそぎにでき、圧倒的優位に立てます。《暗記/記憶》と《ナーセットの逆転》には気を付けて!
《タッサの神託者》で勝てなくなったらサイドボードから持ってきましょう。
サイドボード後にあるパターンとして、コンボを意識するあまり相手が除去を全部抜いてしまうことがあります。序盤に出た《群れネズミ》の繁殖力は尋常ではなく、遅いデッキにはこれだけで勝てたりします。
サイドボードガイド
アグロ
対 アグロ
サイドアウトは4種類の中から3枚選びます。私は赤単やグルールには否認を残し、セレズニアカンパニーには思考囲いを残してほか3枚抜きましたが、相手のクリーチャー呪文の枚数を見て調整してください。アグロと戦うときのポイントは自分が何ターン後にライフが0になるかを予測し、より多くのカードを見る手順を考えることです。ラストターン直前にコンボを決めてください。
ジェスカイコントロール
対 ジェスカイコントロール
このマッチはコンボパーツにプラスして、手札破壊か打ち消し呪文のどちらかを1枚用意します。相手の妨害手段1枚ならこれで無理やりコンボを通せます。あまりのんびり戦うと打ち消し呪文を2枚仕込まれるので、早めに勝負をかけましょう。
ミラーマッチ
対 ミラーマッチ
相手がサーチ呪文をプレイしたら、こちらはコンボパーツだけではなく打ち消しや手札破壊をサーチすることも考えてください。油断したら即死です。
ですが、時にはタップアウトで動くことも必要です。大きくアドバンテージを稼げるチャンスがあれば、勝負をかけてフルタップすることもあります。見極めは難しいものの、勝率をあげることにつながります。
検討の余地があるカード
《発展/発破》や《ナーセットの逆転》と同じコピーするカード。さらにコンボが成立しやすくなります。
相手のパクトコンボを止められることがあります(しかも逆転勝利!)。アグロに有用で、プレインズウォーカーも除去できる汎用性が高い1枚です。正直このカードは「入れるべきだった」と思っており、デッキ提出後の心残りのひとつです。
今回のリーグ・ウィークエンドではバグがあり、採用できませんでした。毎ターン自動で占術できてロングゲームにも強いカードなので、使えるなら入れた方が良いです。
《タッサ》が禁止されてもパクトは死なない!?
てっきり《汚れた契約》が禁止されるかと思いましたが、環境を去ったのは《タッサの神託者》でした。あまりに強すぎたコンボだったので妥当な禁止改訂だと思います。
これによりパクトコンボは死に、環境は一新…となるのでしょうか?まだもうひとつの勝ち筋である《神秘を操る者、ジェイス》は残っています。
そこで禁止改訂後もパクトコンボが使えるデッキを用意しました。
《タッサの神託者》に代わるコンボパーツとなった《神秘を操る者、ジェイス》。マナコストは重いものの、《汚れた契約》との一撃必殺のコンボは成り立っています。
さらにサイドボード後は追加のフィニッシャーとして《弾けるドレイク》を用意しました。こちらもメインのコンボと同じく《汚れた契約》とシナジーを形成しています。パクトコンボだと思って除去を抜き切った相手を攻撃力20を超える《弾けるドレイク》で叩きのめしましょう。ラダーでぜひ試してください。
今後のメタゲーム予想
オラクルパクトが封印されたことで、今後はイゼットフェニックスとセレズニアカンパニー、ジャンドフードといったデッキが復活してくるはずです。それらに混じってジェイスパクトがどの程度戦えるか、私も引き続き検証してみようと思います。
1年間リーグを戦って
まず初めに、ライバルズ・リーグでは応援ありがとうございました。1年間戦い続けたリーグ戦ですが、残念ながら成績が振るわず降格となってしまいました。
やはり、プロプレイヤーたちは本当に驚異的な強さでした。ミスが少ないだけでなく、戦略を練って相手の思惑を的確に潰してきます。今回のリーグ戦では原根選手との対戦です。原根選手はスゥルタイネストだったのですが、恐らくサイドボーディング後は《巨獣の巣》を全抜きしていました。こちらのサイドインした打ち消し呪文が見事に腐らされたのです。これには驚きました。
また自分の経験の浅さもやはり課題でした。最新のメタゲームを追いつつも、それを出し抜くことができませんでした。幸運にも強いデッキを持ち込め勝てたこともありましたが、デッキ選択を誤ったときには悲惨な結果が待ち受けていました。
しかし、この1年は本当に楽しかったです。余暇の時間はすべてマジックに捧げ、寝ているときも夢でマジックをやっていました。憧れのプレイヤーと対戦してときには勝つこともあり、緑単フードやナヤフューリーでは勝ち越すこともできました。そして、八十岡選手やトモハッピーと会って話すことができました。来年もリーグにいられないのは残念ですが、とても満足度が高い1年でした。
おわりに
重ね重ねになりますが、1年間応援ありがとうございました。スポンサードして応援していただいた晴れる屋様のチーム一同、調整に付き合ってくれた仲間たち、時間を作ることに協力してくれた家族にも感謝を捧げたいと思います。
ライバルズ・リーグも終わり、のんびりする生活に戻ったのですが、それでも暇があればマジックをしたくなる気持ちは変わっていません。やはりMagic: the Gatheringは最高のゲームです。これからもどこかでやっているので見かけたらぜひお声がけください。
とお別れ的な挨拶をしましたが、リーグは終わっても最後の戦い『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップがあります!ここに1年間ライバルズ・リーグで学んだすべてをぶつけ有終の美を飾りたいと思います。それでは!