By Atsushi Ito
『マジック・オリジン』が、これほどまでに可能性に満ちたセットだったとは。
牧ヶ野 太洋 (東京)。
ここでは『神々の軍勢』からマジックを始めたばかりという彼が作り上げた野心的なデッキ、『ジェイスパクト』をご紹介しよう。
--「牧ヶ野さんはどういった経緯でこのデッキを思いついたんでしょうか?」
牧ヶ野 「アタルカレッドからスタートして次にアブザンコントロールを使い始めたんですが、アブザン同型で決定打になるカードがなくて、アドバンテージ源が欲しいなと思ってスゥルタイコンにしたんです。でもそれだとアタルカレッドに勝てなかったので、最終的にアブザン+スゥルタイにしちゃえばいいんじゃないか、と思って作ったのがこのデッキです」
--「コンセプト的には、どういったデッキなんでしょうか?」
牧ヶ野 「とにかく1つ呪文をプレイするたびに1枚ずつアドバンテージをとるということをイメージしています。あとは、《ヴリンの神童、ジェイス》を生かすということですね」
--「確かに、変身した後の『-3』能力で使いまわしがいのあるインスタント/ソーサリーがたくさん入ってますね。なかでも《ラクシャーサの秘密》はかなり珍しい選択かと思われますが」
牧ヶ野 「このカードは、ほかに《思考囲い》かフェッチランドを挟んでいれば2ターン目の《ヴリンの神童、ジェイス》を3ターン目には変身させることができるんですよね。加えて、変身した《束縛なきテレパス、ジェイス/Jace, Telepath Unbound》で使いまわせばミッドレンジ以上の相手の手札をズタズタにしながら、次に使いまわす呪文を探しにいくこともできます。実際に《思考囲い》→《ヴリンの神童、ジェイス》→《ラクシャーサの秘密》→《束縛なきテレパス、ジェイス/Jace, Telepath Unbound》で《思考囲い》を再利用という動きもしました」
--「『マジック・オリジン』からは《ヴリンの神童、ジェイス》のほかにも、注目の新カードである《悪魔の契約》が採用されていますが、実際このカードの使い心地はどうなんでしょう?」
牧ヶ野 「非常に強かったですよ。《シルムガルの命令》で使いまわせば何度も契約を楽しめますし、何より多彩なモードがある点が他の様々なカードの不足を補ってくれるんですよね。たとえば手札破壊は《思考囲い》《ラクシャーサの秘密》をバックアップしてくれますし、4点ドレインは《衰滅》や《シルムガルの命令》と合わせることでタフネスが大きいクリーチャーも倒すことができます」
--「『契約死』はしなかったんでしょうか?」
牧ヶ野 「一度もなかったですね。一応《スゥルタイの魔除け》《ドロモカの命令》と合わせて6枚の対処カードを《ヴリンの神童、ジェイス》で使いまわせるので、気を付けていれば契約で死ぬことはないと思います」
--「このデッキはどういった相手に対して主に強いんでしょうか?」
牧ヶ野 「基本的にはアブザン、信心、赤系あたりを意識しています。《束縛なきテレパス、ジェイス/Jace, Telepath Unbound》がその時々の相手に応じた呪文を使いまわせるのが大きいですね。《ヴリンの神童、ジェイス》の能力で《死霧の猛禽》を捨てつつ、変身すればアブザン系には手札破壊、信心には《衰滅》を使いまわして勝てますし、赤系には《ヴリンの神童、ジェイス》が除去の的になって《包囲サイ》までの時間を稼ぐと同時に、変身できたら『+1』能力で盤面を支えます。負けたのはトップ8に残った《先祖の結集》コンボと赤白英雄的デッキで、メインでは不利な相手ですが、サイドを調整すればかなり幅広く戦えると思います」
--「ありがとうございました」
牧ヶ野はこのデッキで6勝2敗と、トップ8まであと一歩のところまでたどり着いている。
今後環境がありがちなミッドレンジ/コントロール同型の戦いへとシフトしていけば、《ヴリンの神童、ジェイス》と《悪魔の契約》で際限なくアドバンテージを取り続ける牧ヶ野のデッキは、ぴったりとメタがハマる可能性もある。
プロツアー『マジック・オリジン』でも《ヴリンの神童、ジェイス》《悪魔の契約》パッケージの活躍に注目だ。
2 《沼》 1 《島》 2 《汚染された三角州》 4 《華やかな宮殿》 4 《砂草原の城塞》 3 《ラノワールの荒原》 3 《ヤヴィマヤの沿岸》 2 《静寂の神殿》 1 《啓蒙の神殿》 -土地(22)- 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《サテュロスの道探し》 3 《棲み家の防御者》 3 《死霧の猛禽》 4 《包囲サイ》 -クリーチャー(18)- |
4 《思考囲い》 2 《ドロモカの命令》 2 《ラクシャーサの秘密》 1 《アブザンの魔除け》 1 《スゥルタイの魔除け》 3 《衰滅》 3 《シルムガルの命令》 1 《残忍な切断》 1 《宝船の巡航》 2 《悪魔の契約》 -呪文(20)- |
3 《究極の価格》 3 《部族養い》 2 《黄金牙、タシグル》 2 《命運の核心》 2 《悪性の疫病》 1 《漂う死、シルムガル》 1 《アブザンの魔除け》 1 《悪夢の織り手、アショク》 -サイドボード(15)- |