Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2021/7/7)
はじめに
ここ一年以上、競技マジックは全てMTGアリーナ上で行われています。徐々に紙のマジックを遊べるようになってきてはいますが、競技マジックをアリーナで行う流れはなくなっていません。さまざまな第三者の組織がアリーナの大会を運営していますし、組織化プレイは少なくとも部分的にアリーナをしばらく利用していくはずです。オンラインの大会は現実世界の大会と同じ体験ではないかもしれませんが、オンラインにしかない利点はあります。
アリーナで競技マジックをやろうと思うなら、資産のあるアカウントを作らなくてはなりません。この記事では、競技で戦うだけの資産を備えたアカウントを継続して保有する方法を解説します。私はマジックプレイヤーですから、アドバンテージが大好きです。アリーナのアカウントもできるだけ少ない課金で、必要なカードを全て揃えることを意識しています。
ワイルドカード
セットチャンピオンシップの参加者には、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストから全カードが揃ったアカウントが貸与されます(将来的にチャンピオンシップと同等の大会でも同様の措置が取られると良いですね)。しかし、アリーナ予選を含め、そのほかの大会では自分自身のアカウントなしには参加することもできません。
豊富な資産を持つアカウントを作ることはみなさんのためになります。本当は使いたいデッキがあるのに、ワイルドカードが足りないから弱いデッキを使うしかない。そんな状況を想像してみてください。ワイルドカードは最大のボトルネックになります。必要なだけのワイルドカードがなくて希望するデッキが組めなくても、ワイルドカードそのものを買い足すことはできないのです。
ワイルドカードを集める方法
ワイルドカードを集める方法は3つあります。
パックから直接出す方法
レアや神話レアのワイルドカードは1/30の確率で封入されています。
ワイルドカードゲージを溜める方法
6パック開封するごとにワイルドカードが1枚手に入ります。30パック開けると、レアワイルドカードが4枚、神話レアワイルドカードが1枚手に入る仕組みになっています。
宝箱を開ける方法
5枚目以降のコモン・アンコモンは宝箱ゲージに変換されます。コモンはゲージを0.1%進め、アンコモンは0.3%進めます。宝箱を開けると、神話レアワイルドカードが1枚、レアワイルドカードが2枚手に入ります。
99.99ドルを課金すれば、アリーナでは90パックのセットが購入できます。そのパックから出てきた全てのコモン・アンコモンが宝箱ゲージを溜めると仮定した場合。90パックを開封して手に入るワイルドカードはおよそ神話レアが7枚、レアが17枚です。ヒストリックのデッキをひとつ、あるいはその半分をこの方法で揃えなくてはいけないとしたらどうでしょうか。
それだけでなく、ワイルドカードは一度使えば手元からなくなります。昨今は禁止が増えていますから、カードがいつまでも使えるとは限りません。《汚れた契約》はもうあまり使うことはないでしょう。ワイルドカードの使い道は慎重に検討しようというアドバイスをするライターも多くいます。
大半の人にとってはそれは良いアドバイスになりますが、競技プレイヤーであるからには私はベストなデッキを選びたいと思っています。さまざまなデッキを回してから、デッキを選びたいとも思います。Twitterで目を引く新しいデッキがあれば、自分自身で試します。
『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップの調整中、チームメイトにジェスカイ変容のポテンシャルに言及されると、私はすぐさまデッキを作成し、マッチ戦に乗り込みました。デッキを深く知りたいと思ったからです。貸与されたアカウントはカードこそ全て揃っていましたが、ランクがブロンズからだったので使いたくありませんでした。
要するに、競技としてマジックをプレイするのであれば、全てのカードを保有しているのが望ましいということです。大雑把な表現にはなりますが、全セットの約9割を持っていれば、必要に応じてワイルドカードを消費しつつ、好きなデッキを組めるようになります。
これを実現するうえで一番簡単な方法は、セットが出るたびに200~300ドル課金することです。新カードも多く揃いますし、ワイルドカードも十分に補充されるでしょう。しかし、冒頭でお伝えしたように、これは私が望む方法ではありません。優良なアカウントを作るにしても、できるだけ課金額は少なく、できることなら一切課金することなく実現したいのです。
ジェムとゴールド
デイリークエストを達成すると無料でゴールドが手に入ります。
デイリークエストには条件達成タイプ(左)と勝利報酬タイプ(右)がある
毎日欠かさずに数勝して勝利報酬を得るのがベストですが、少なくとも3日に一回は条件達成報酬を得るようにしましょう。
ときおりストアの日替わりセールに無料のゴールドやジェムが並ぶときがあります。言うまでもありませんが、無料のものはできるだけ取りこぼしのないようにしておきましょう。そのためには定期的にプレイすることが役立つはずです。
ジェムとゴールドはお互いに交換できる関係にあります。ゴールドとジェムの最大交換比率は5:1であり、アリーナオープンの参加費がこれに該当します(ゴールドによる参加費は22500、ジェムによる参加費は4500)。ドラフト参加費はこれよりも少し交換比率が下がり、6.67:1です。ゴールドを使うなら、できるだけより交換比率の良いものに使いましょう。
イベント
アリーナにはたくさんのイベントがあります。常時開催されているものもあれば、そうでないものもあります。特に重要なものに絞って解説していきましょう。
ドラフト
クイック・ドラフトは対Botで、プレミア・ドラフトは対人でドラフト。マッチ・ドラフトは対人ドラフトのBO3。
ドラフトの形式は複数あります。クイック・ドラフト、プレミア・ドラフト、マッチ・ドラフトの3種です。参加費を回収するために必要な勝利数はどの形式でもほとんど変わりませんから、主に個人の好みで選択してしまって構いません。私はドラフトに充てられる時間やそれぞれのフォーマットを基準に選んだりします。
大切なのは、そのドラフト形式が私の期待する2つの役割、つまりそのセットのカードを揃えることとミシックに到達することを達成してくれるかどうかです。繰り返すようですが、好きなときに好きなデッキを組めるようにするには全セットの9割を保有する必要がある、というのが私の考えですからね。
アリーナに新セットが実装されると、私は約100パックを獲得するまでドラフトをこなします。そうすれば、好きなデッキを選択できるだけのカードとワイルドカードが手に入ります。
新セットがない月は、ミシックに到達することだけを目標にドラフトし、到達したら放置します。そのため、強くて手っ取り早く勝てるアーキタイプを選ぶのが私の定石です。直近のセットからいくつか例を示しましょう。
『ストリクスヘイヴン』:赤白アグロ
『エルドレインの王権』:アーティファクト満載の緑単/赤単
『ゼンディカーの夜明け』:赤黒パーティー
チャレンジ
チャレンジは大きな見返りが期待できます。先日のドラフト・チャレンジは以下のような報酬になっていました。
勝利数 | 報酬 |
---|---|
0勝 | なし |
1勝 | ドラフト参加券1つ |
2勝 | ドラフト参加券1つ + 3パック |
3勝 | ドラフト参加券2つ + 6パック |
4勝 | ドラフト参加券3つ + 10パック |
5勝 | ドラフト参加券3つ + 15パック |
6勝 | ドラフト参加券4つ + 20パック |
他方、構築戦のメタゲーム・チャレンジは構築好きのプレイヤーが大量のパックを得る最高の機会となっています。報酬は下記のとおり。
勝利数 | 報酬 |
---|---|
0勝 | 500ゴールド |
1勝 | 1000ゴールド |
2勝 | 1500ゴールド + 1パック |
3勝 | 2000ゴールド + 3パック |
4勝 | 2500ゴールド + 5パック |
5勝 | 3000ゴールド + 10パック |
6勝 | 4000ゴールド + 20パック |
7勝 | 5000ゴールド + 30パック |
ドラフトも構築戦も、チャレンジはできるだけ参加しましょう。ドラフト・チャレンジはたくさんのジェムを獲得できる数少ないチャンスであり、資産の形成に役立ちます。構築戦は、ゴールドをパックに変換できる絶好のチャンスです。
アリーナ・オープン
2日目を勝ち抜けば、2000ドル(約20万円)が手に入るアリーナ・オープン
アリーナ・オープンはゲーム上のジェムやゴールドを本物のお宝に変えられる場です。普通はアリーナで勝ってもお金になりませんから、こういう機会はありがたいですよね。第三者の組織が運営すると大会とは違い、アリーナが運営する大会は自分の都合が良い時間帯にプレイでき、圧倒的に参加しやすいのが強みです。
アリーナ・オープンもなかなかの量のジェムが手に入ります。ゴールドを良好な交換比率でジェムに変えられるでしょう。
予選ウィークエンド
予選ウィークエンドを突破すればセットチャンピオンシップへとつながる
競技プレイヤーにとっては、何よりも大切なイベント。本戦の権利を得ることが最優先です。リミテッドであれば、ミシックの上位に入れば順位が大きく落ちることはありません。ランキングシステムがどういう仕組みなのか正確にはわかりませんが、上位100位に入って何週間もプレイしなくても順位が100以上落ちることはありませんでした。構築戦はもっともっと変動が激しく、月末までランクを維持できるように意識する必要があります。
予選そのものは、2日目に進出などすれば相応のジェムが手に入りますが、あくまで目的はチャンピオンシップの出場権利を得ることです。初日と2日目で使用するデッキの切り替えられるため、競技性のあるアカウントを作る意味はまさにこういうところにあるわけです。
再現方法
私は資産あるアカウントを作ることができました。ときおりアカウントに関するメールをもらいますが、マッチ数は上位10%に入っているそうです。たくさんアリーナをプレイしていますから、これは納得できます。ただ、仕事や家庭のこともありますから、日々をマジックだけに費やしているわけではありません。
私の課金額は、2500ジェムが手に入るウェルカム・セットを買ったときの5ドルのみです。幸い、私はアリーナを早い時期からプレイし始めていたので、全セットをドラフトする機会があり、ヒストリックの資産を築きやすい環境にありました。このような贅沢な状況にない場合は、ヒストリックの資産を揃えるのにワイルドカードが多く必要になってしまうかもしれません。
現在、私のアカウントには60,000を超えるジェム、116枚のレアワイルドカード、86枚の神話レアワイルドカードがあり、スタンダードのカードは全て所有、ヒストリックのカードも大部分持っています。リミテッドの勝率は66%オーバーです。競技的な実力がついてくれば60%以上の勝率を維持できると思いますから、資産あるアカウントを継続所有したいプレイヤーにとっては今回の方法が役立つはずです。
まとめ
競技マジックに適したアカウントを維持する方法をまとめるとこうなります。
この方法によれば、アカウントの資産を築けるだけでなく、継続的にプレイすることによって上達もしていきます。リミテッドが好みではないという人もいるかもしれませんが、パックを開封する以外にカードやワイルドカードを収集する現実的な方法がなくなってしまい、アリーナへの課金額がかさんでしまうでしょう。幸いなことに、ドラフトは最高に楽しいフォーマットですし、義務的にやったとしてもメリット尽くしですよ!
今回のような記事はどうだったでしょうか?気に入っていただけたら、ぜひTwitterで教えてくださいね!
パスカル・フィーレン(Twitter)