MTG Just Now! vol.9 -マグマのしぶき etc.-

晴れる屋メディアチーム


情報を制す者はマジックを制す。

特にSNSによる情報交換が盛んな現代、口コミがその後のメタゲームに与える影響は計り知れない。
すなわち、バズってる(話題になっている)カードを知ることは、メタゲームの把握と予測の大いなる助けとなることだろう。
当企画では、そんな「今、バズってるカード」を週刊で追っていきたいと思う。


カードの紹介に入る前に、先週行われたイベントやマジック関連の主な出来事を簡単におさらいしよう。



【マリガン・ルールの変更】

2015年8月21日、全世界で同時に【マリガン・ルールの変更】がアナウンスされた。


俗に「バンクーバー・マリガン」と呼ばれていたこのルールはStarCityGames所属のプロプレイヤーである【Patrick Chapinによって考案された】ルールで、端的に言うとマリガンを行い初期手札が減ったプレイヤーは、キープを宣言したあとゲーム開始前に占術1を行うというものだ。
【プロツアー『マジック・オリジン』】で試験的に導入されていたこのマリガン・ルールは多くの参加者から好意的な評価を得たようで、【行弘賢のプロツアー『マジック・オリジン』調整録&参加レポート!】(Dig cards.comより)では、その感触について述べられている。

しかしながら【プロツアー『マジック・オリジン』】では、たびたび「占術忘れ」も発生したとのこと。
【津村健志のプロツアー『マジック・オリジン』レポート ~実戦編~】【齋藤友晴のGPダラス2015・プロツアー『マジック・オリジン』レポート】でも書かれているとおり、プロプレイヤーの間でさえ不慣れなうちは頻出するミスのようだ。
新しいマリガン・ルールの施行は『戦乱のゼンディカー』プレリリースが行われる2015年9月26日(土)からだが、友人同士で行うフリープレイなどでこのマリガン・ルールの練習をしてみてもよいかもしれない。

また、8月27~30日に開催される【2015年世界選手権】ではこの新マリガン・ルールが導入されるそうだ。
日本からはHareruya Pros所属の山本 賢太郎選手とTEAM MINT所属の渡辺 雄也選手の出場する今大会で、新マリガン・ルールはどのように機能するのだろうか。



【ワールド・マジック・カップ2015予選が開催される】

8月22-23日、【GP京都】の会場にもなった京都パルスプラザにて【ワールド・マジック・カップ予選(WMCQ)大阪】(スタンダード)が開催された。

ワールド・マジック・カップ(WMC)は過去に存在したイベントである「国別対抗戦」の後継にあたるイベントで、各国から選出された4名で1チームとなり世界最強国の座をかけて戦うトーナメントだ。
プロツアーや世界選手権にも並ぶ世界最大級のイベントで、これに出場するためには各国で3回開催される予選を突破する必要がある。

誰でも予選に参加できるわけではなく、いくつかの参加条件をすべて満たしている必要があり、予選とはいえ非常に大規模でレベルも高い。参加条件については【こちら】を参照のこと。

国内で開催される最初の【ワールド・マジック・カップ2015予選】となった【WMCQ大阪】【玉田 遼一選手(和歌山)】が優勝を収めた。


トップ8に殿堂プレイヤーが3人という非常に”濃い”トーナメントを勝ち抜いたシルバーレベルプロ・玉田選手のWMC本戦での活躍にも期待される。

また、9月5-6日には【WMCQ東京】(モダン)、9月19-20日には【WMCQ名古屋】(スタンダード)が開催される。栄えある「日本代表」の座に就くのは誰になるのだろうか?



主要な出来事はこのあたりだ。
さて、それでは今大きな話題を呼んでいるカードたちを紹介しよう。



1. マグマのしぶき今わの際

【vol.4】【vol.8】で触れたとおり、現スタンダード環境は《搭載歩行機械》に支配されていると言っても過言ではない。
それどころか【ついにヴィンテージでさえ結果を残してしまった】。その(X)(X)というマナコストは《Mishra's Workshop》《太陽の指輪》《トレイリアのアカデミー》といったヴィンテージ特有のマナ加速の恩恵をフルに享受することができるのだった。
現段階では《ヴリンの神童、ジェイス》《異端の癒し手、リリアナ》を凌ぐ『マジック・オリジン』最強のカードと言っても差し支えはないだろう。

1枚でゲームの趨勢を決するといっても過言ではないクリーチャーだが、無論として対抗手段も存在する。
それが《今わの際》《マグマのしぶき》といった追放除去だ。


マグマのしぶき今わの際


上記2枚のカードにも後引きだと機能しにくい・ロングゲームでの信頼度は落ちる・《ドロモカの命令》がキツいといった欠点はあるが、軽くて使い勝手がよくメインから採用しやすい対策カードということで、概ね及第点と言えるだろう。

また、市川 ユウキ選手がWMCQ大阪に持ち込んだ【独自の調整を重ねた青白コントロール】にはメインから《今わの際》4枚に加えて《存在の破棄》1枚が採用されていた。

すっかり定番クリーチャーとなった《搭載歩行機械》だが、決して完全無欠というわけではない。万全の対策を講じたい。



2. 欠片の双子

モダン環境黎明期より常に結果を残し、メタゲームに睨みを効かせてきた【欠片の双子コンボ】
最速で3ターン目に《詐欺師の総督》or《やっかい児》→4ターン目に《欠片の双子》をプレイし一瞬でゲームを決めるそのコンボはモダンの代名詞と言っても過言ではない。


詐欺師の総督欠片の双子


このデッキが、なんとモダンの壁を飛び出しレガシーでも結果を残したのである。


Max Ansbro「UR Twin」
2015 LEGACY CHAMPIONSHIP (6位)

4 《島》
1 《山》
4 《Volcanic Island》
1 《Tundra》
1 《Plateau》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《沸騰する小湖》
1 《乾燥台地》

-土地(20)-

2 《瞬唱の魔道士》
3 《詐欺師の総督》
3 《やっかい児》
2 《ヴェンディリオン三人衆》

-クリーチャー(10)-
4 《渦まく知識》
4 《稲妻》
4 《思案》
1 《紅蓮破》
1 《呪文嵌め》
2 《対抗呪文》
4 《Force of Will》
3 《時を越えた探索》
4 《欠片の双子》
1 《仕組まれた爆薬》
2 《精神を刻む者、ジェイス》

-呪文(30)-
2 《エーテル宣誓会の法学者》
2 《硫黄の精霊》
2 《狼狽の嵐》
2 《紅蓮破》
2 《摩耗+損耗》
2 《誤った指図》
2 《大祖始の遺産》
1 《イゼットの静電術師》

-サイドボード(15)-
hareruya



環境に存在する多くのデッキの主たる戦略がクリーチャーに依存するモダンでは、ほぼすべてのデッキにクリーチャー除去が搭載されており、コンボを警戒されている状況から決めるのは容易ではなかった。


四肢切断流刑への道突然の衰微


だが、レガシーでは【むかつきストーム】【実物提示教育】のようにクリーチャーをほぼ使用しないデッキや、クリーチャー除去があまり有効でないデッキが一定数存在することから、除去は4枚の《稲妻》のみというデッキも決して少なくない。

しかしながら《稲妻》《欠片の双子》コンボを阻害するのに十分でないことは、《詐欺師の総督》のタフネスを見ていただければお分かりのことだろう。
さらに《渦まく知識》《思案》《時を越えた探索》といったドロー呪文によってコンボに必要なカードを速やかに揃えることも可能なので、レガシーではモダン以上にコンボを決めやすい(可能性がある)ということだ。

また、いわゆる『オールインコンボデッキ』ではないので、コンボが決まらなかったからといって勝ち筋が失われるということもない。
デッキの構成はほぼ【青赤コントロール】に近いので、コンボのプレッシャーをかけつつじっくりとライフを攻めることも可能である。

はたしてレガシーの《欠片の双子》デッキは『一発屋』で終わってしまうのか、はたまたレガシー環境に新たな風穴を開けるのか。今後の動向にも要注目だ。



2. 徴税の大天使

このカードを初めて見たとき、あなたは何を考えただろうか?


徴税の大天使


おそらく、「白信心」というワードが頭をよぎったプレイヤーも少なくないはずだ。

青、黒、赤、緑。いずれの色でも「信心」を軸にしたデッキが組まれてきたが、唯一「白信心」だけはメタゲームに一瞬たりとも爪跡を残すことはなかった。

アメリカのトッププロで、白ウィニー愛好家としても世界に名を馳せるCraig Wescoeは、そんな不遇のアーキタイプの樹立に挑戦した。



氏は先週末アメリカ・ペンシルバニア州フィラデルフィアで開催されたWMCQにこのデッキを持ち込み、惜しくも優勝は逃したものの3位入賞という好成績を残している。
《白蘭の騎士》《族樹の精霊、アナフェンザ》《オレスコスの王、ブリマーズ》といった「信心」深いウィニークリーチャーを主軸にしたデッキで、《ニクスの祭殿、ニクソス》から出るマナは《見えざるものの熟達》《搭載歩行機械》につぎ込まれるのだろう。

また、上述の《徴税の大天使》も4枚採用されており、《風番いのロック》《領事の鋳造所》などが採用されていることから地上を止めて空から殴る戦略を軸としていることが伺える。

Craig Wescoe選手の白ウィニーへの造詣の深さと愛から生まれたこのデッキ。まさにプレイヤー自身の「白への信心」が実を結んだようなリストである。






いかがだっただろうか?

今週もまた多くのカードがプレイされ、注目され、議論を呼ぶのだろう。

次回の記事も楽しみにしていただけたら幸いである。



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