はじめに
みなさんこんにちは。
社会情勢により日本国内ではなかなかテーブルトップのマジックが難しいですが、MOはテーブルトップのレガシーと比べるとカードが集めやすく、Legacy Challengeなど大会も頻繁に開催されているのでおすすめです。
さて、今回の連載ではLegacy Super QualifierとLegacy Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Legacy Super Qualifier #12335490
最後に勝ったのはDelverとAffinity
2021年9月4日
- 1位 Affinity
- 2位 Izzet Delver
- 3位 Jeskai Urza Still
- 4位 4C Miracles
- 5位 Izzet Delver
- 6位 Doomsday
- 7位 Izzet Delver
- 8位 TES
トップ8のデッキリストはこちら
土曜日に開催されるLegacy Challengeの代わりにLegacy Super Qualifierが開催されました。
競技性の高いイベントだったこともあり、安定した勝率を期待できるIzzet DelverやJeskai Sagaなどが人気がありました。
今大会で決勝戦まで勝ち残ったのは、現環境のトップメタのIzzet Delverと『モダンホライゾン2』の登場によって大幅に強化された青いアーティファクトデッキでした。
デッキ紹介
Affinity
『モダンホライゾン2』から登場した《思考の監視者》や《ウルザの物語》によって大幅に強化された青ベースのアーティファクトデッキ。
『モダンホライゾン2』がリリースされた直後に活躍していたAffinityと異なり、《永劫のこだま》や《ライオンの瞳のダイアモンド》が搭載されたコンボ寄りの構成になっています。
《大いなる創造者、カーン》と《最高工匠卿、ウルザ》の枠に、アドバンテージ源であり回避能力持ちのアタッカーとしても機能する《思考の監視者》が採用されています。0マナのアーティファクトを多用するこのデッキでは《思考の監視者》や《湖に潜む者、エムリー》+《ミシュラのガラクタ》(《ウルザのガラクタ》)によって継続的にアドバンテージを稼ぎやすくなっています。
☆注目ポイント
《ウルザの物語》はアーティファクトベースのこのデッキでは最高のパフォーマンスを見せます。3ターン目以降には、フィニッシャークラスの構築物トークンを2体残したあとに《影槍》をサーチすることで、クリーチャーデッキとのマッチアップでダメージレースを優位にできます。
フェアデッキに対するフィニッシャー兼アドバンテージ源の《改良式鋳造所》や、サイド後は墓地対策の《魂標ランタン》、《永劫のこだま》を墓地に落としつつ「フラッシュバック」に必要なマナを捻出できる《ライオンの瞳のダイアモンド》などを状況に応じてサーチすることができます。土地なのでカウンターもされる心配がありません。
0マナのアーティファクトが多いため《練達飛行機械職人、サイ》によってトークンを並べることができ、アドバンテージ源として機能しつつ構築物トークンの強化や《思考の監視者》の「親和」にも貢献します。最近は《邪悪な熱気》の登場によって以前よりも除去耐性は落ちているものの、Izzet Delverとのマッチアップでは依然として除去されにくく、飛行を持つトークンを生成できるので《濁浪の執政》も止まります。
《思考の監視者》はほぼ1マナで2ドローできるクロックとして扱えます。青ベースもう一つのメリットは《意志の力》を無理なく運用できることです。カードアドバンテージを稼ぐ手段が豊富なのでピッチでプレイしやすく、ほかのコンボデッキや《溶融》や《無のロッド》といった強力なサイドボードカードを対策することができます。
4C Miracles
コントロールのエキスパートAnziDは、今大会でも多色のコントロールデッキで結果を残していました。基本的にBant Controlに《表現の反復》と《紅蓮破》のために赤を足したデッキとなっています。彼は今大会直前に開催された日曜日のLegacy Challengeでも優勝を収めていました。
このデッキのイノベーションは《表現の反復》が採用されていることです。Delver系などでよく見られるアドバンテージ源ですが、コントロールでも使えるカードというのが分かりました。
☆注目ポイント
《精神を刻む者、ジェイス》は《敏捷なこそ泥、ラガバン》など強力な1マナ域が登場したことで環境が高速化して依然と比べると厳しくなりましたが、《虹色の終焉》《剣を鍬に》という優秀な単体除去に加えてスイーパーの《終末》も使えるのでまだまだ活躍できます。《終末》を使わないリストも最近見られるようになりましたが、《ルーンの母》を使うDeath and Taxesなどとのマッチアップでは複数のクリーチャーを流せるスイーパーが欲しくなります。
Delver系のクロックを止めつつコンボデッキに対しては墓地対策にもなる《忍耐》ですが、色拘束の厳しさから枚数が減量されています。ただ、Delver系とのマッチアップでは《花の絨毯》を一緒にサイドインすることでプレイしやすくなります。4色のこのデッキではBant Controlよりも《花の絨毯》はより重要となっているため3枚と多めに採られています。
色マナを確保するために氷雪基本地形を減量してデュアルランドを多めに採用しているため《氷牙のコアトル》 は不採用になっています。そして、その枠に採用されているのが《表現の反復》です。Delver系と比べると安定して2枚のカードを活用するのは難しくなりますが、軽い除去やドロースペルを多用するデッキなのでアドバンテージを稼ぎやすくなります。
Legacy Challenge #12335541
ハイタイド
2021年9月5日
- 1位 Death and Taxes
- 2位 High Tide
- 3位 Elves
- 4位 Izzet Delver
- 5位 Jeskai Saga
- 6位 Jeskai Saga
- 7位 Sneak and Show
- 8位 Jeskai Saga
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優勝こそ逃したもののプレイオフに3名の入賞者を出すなど安定したパフォーマンスのJeskai Saga。
今大会で決勝まで残ったデッキは定番のDeath and Taxesと懐かしい青ベースのコンボデッキのHigh Tideでした。
デッキ紹介
High Tide
レガシーを長い間プレイしているプレイヤーには懐かしい《時のらせん》と《High Tide》を軸にしたコンボデッキ。
このデッキの基本的な動きは、《High Tide》と《転換》で大量のマナを捻出して《時のらせん》をプレイします。《時のらせん》によってカードを7枚引いたあと土地も起きるので、さらに各種ドロースペルや《商人の巻物》によってキーカードである《狡猾な願い》を探します。そして最終的に《思考停止》でゲームを決めます。
☆注目ポイント
メインデッキは従来のHightideとさほど変化がなく、クリーチャーレスでドロースペル、サーチスペル、コンボパーツ、カウンターが中心に構成されています。
このデッキの主な勝ち手段は《思考停止》、または《引き裂かれし永劫、エムラクール》などライブラリーを修復するデッキに対しては《青の太陽の頂点》によるライブラリーアウトなのでコンボを発動したターンにほぼ勝利が確定します。
サイドボードには《激しい叱責》が4枚採用されています。青単という構成上使える除去が限られますが、《スレイベンの守護者、サリア》《エーテル宣誓会の法学者》《聖域の僧院長》などコンボを妨害してくる厄介なヘイトベアーを無力化してコンボを決めることが可能です。キャントリップ付きなので腐りにくく、青いカードなので使いやすいスペルです。
Legacy Challenge #12337920
コンボの名手がチャレンジを制する
2021年9月11日
- 1位 Doomsday
- 2位 Jeskai Saga
- 3位 Jeskai Saga
- 4位 Mono Green Cloudpost
- 5位 Jeskai Saga
- 6位 Sneak and Show
- 7位 Grixis Delverless
- 8位 Izzet Delver
トップ8のデッキリストはこちら
Jeskai Saga、Izzetなど《敏捷なこそ泥、ラガバン》を搭載したミッドレンジやアグロコントロールが中心でした。
そんな中で優勝を収めたのは、Doomsdayコンボで結果を残し続けているsawatarixでした。
デッキ紹介
Grixis Delverless
最近流行りの《秘密を掘り下げる者》を採用していないIzzetに《悪意の大梟》と《殺し》のために黒をタッチしたバージョン。
《虹色の終焉》や《剣を鍬に》《翻弄する魔道士》をタッチしたJeskaiバージョンや、今回入賞したGrixisバージョンなど、最近はIzzetバージョンとの同型に対抗するために除去の性能で勝るほかの色にタッチするバージョンを見かけます。
色マナの安定性を諦める代わりに《忍耐》《聖遺の騎士》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》など火力スペルでは対処しきれない脅威に対抗する手段にアクセスすることができるようになっています。ハンデスを採用していないのでコンボに対して特別な耐性がなく、プレイオフでもDoomsdayに敗れています。コンボデッキを意識するなら《思考囲い》などハンデスを採用することも検討したいところです。
☆注目ポイント
基本土地の枠が《Badlands》と《Underground Sea》になっており《血染めの月》への耐性が下がっていますが、《ドラゴンの怒りの媒介者》や《敏捷なこそ泥、ラガバン》《濁浪の執政》といった軽い脅威のおかげで致命的ではありません。
《悪意の大梟》と《殺し》は同型の《濁浪の執政》に対する回答として機能します。キャントリップ付きの《悪意の大梟》はカードアドバンテージを取ることができ、ピッチでプレイすることができる《殺し》は序盤の《敏捷なこそ泥、ラガバン》に対しても有力な対抗手段となります。
Legacy Challenge #12337930
猿の物語
2021年9月12日
- 1位 Izzet Saga Ragavan
- 2位 4C Zenith
- 3位 Elves
- 4位 Sneak and Show
- 5位 Jeskai Radavan
- 6位 Jeskai Ragavan
- 7位 TES
- 8位 High Tide
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土曜日に開催されたLegacy Challengeと同様に《敏捷なこそ泥、ラガバン》デッキが安定した成績を残していました。
前週でも結果を残していたHigh Tideが今大会でも入賞。多くの《敏捷なこそ泥、ラガバン》デッキが同型を意識してメインから除去を厚くしてきているからか、High Tide以外にもTES、Sneak and Showなどコンボデッキが多数勝ち残っていました。
デッキ紹介
Izzet Saga Ragavan
Izzet Delverlessから《ドラゴンの怒りの媒介者》を抜いて《ウルザの物語》パッケージを搭載したバージョン。《ウルザの物語》パッケージを搭載したフェアデッキはJeskai Sagaが一般的ですが、無色マナ土地の《ウルザの物語》を採用することによって色マナを安定して確保することが難しいというのが難点でした。Izzetカラーになったことで除去の自由度が狭まった代わりに安定性が向上しています。
☆注目ポイント
《ウルザの物語》でサーチできるアーティファクトは《改良式鋳造所》《大祖始の遺産》《真髄の針》の3種類になっています。
トークンを生成することができる《改良式鋳造所》は除去されずに残ればフェアデッキに対してゲームを支配するほどで余ったマナの使い道になります。《真髄の針》は《霊気の薬瓶》や《演劇の舞台》などさまざまなマッチアップで使えるカードで、《ウルザの物語》からサーチできることがこのカードの価値をさらに高めています。
サイドボードに1枚だけ採用されている《相殺》は、《師範の占い独楽》が禁止にされて以来使用率が激変したカードですが、1マナのキャントリップを多用するコンボデッキとのマッチアップでは有力な妨害手段として機能します。
《倦怠の宝珠》はETB能力持ちのクリーチャーを多用するDeath and Taxesなどに有効で、ほかにはDoomsdayの《タッサの神託者》なども無力化できます。
総括
Izzet Delverを始めとした《敏捷なこそ泥、ラガバン》デッキ同型に強いJeskaiが安定した成績を残しています。
最近では《敏捷なこそ泥、ラガバン》と相性の良い《目くらまし》についてソーシャルメディア上でさまざまな討論が交わされています。《敏捷なこそ泥、ラガバン》のようなサポートなしでは、《目くらまし》の代替コストとして島を戻すことによるテンポロスは厳しいので禁止までいくかは分かりません。
個人的には長期的に見て《敏捷なこそ泥、ラガバン》が禁止にされることは可能性としてありますが、《敏捷なこそ泥、ラガバン》は青ベースのデッキやコンボに対して強い一方で、Death and Taxesや各種《忍耐》デッキ(Bant、Selesnya Depths、Zenith系など)に対しては攻撃を通すことが難しく、メタゲーム的には意外に健全という意見も見られます。
USA Legacy Express vol. 188は以上となります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!