こんにちは!
先週末は、最後の日本代表を決める【WMCQ2015 名古屋予選】に参加してきました。
『戦乱のゼンディカー』発売前最後の大型イベントということで、『テーロス』ブロックや『マジック基本セット2015』が使える最後の大会でした。
■ 使用デッキとその理由
デッキは【津村健志のゴキゲン!MO生活】で使用していた「ハンガーバック・アブザン」。
3 《森》 2 《平地》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《砂草原の城塞》 4 《疾病の神殿》 2 《静寂の神殿》 3 《ラノワールの荒原》 3 《コイロスの洞窟》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地(26)- 4 《棲み家の防御者》 4 《羊毛鬣のライオン》 3 《搭載歩行機械》 3 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 1 《巨森の予見者、ニッサ》 4 《包囲サイ》 1 《黄金牙、タシグル》 -クリーチャー(20)- |
2 《思考囲い》 3 《ドロモカの命令》 1 《究極の価格》 3 《アブザンの魔除け》 2 《英雄の破滅》 1 《真面目な訪問者、ソリン》 1 《英雄の導師、アジャニ》 1 《太陽の勇者、エルズペス》 -呪文(14)- |
2 《アラシンの僧侶》 2 《思考囲い》 2 《異端の輝き》 2 《究極の価格》 2 《悲劇的な傲慢》 1 《自傷疵》 1 《正義のうねり》 1 《霊気のほころび》 1 《ドロモカの命令》 1 《太陽の勇者、エルズペス》 -サイドボード(15)- |
構成は【グランプリの獲得プロポイントレースで独走しているAnteri Fabrizioさん】が【グランプリ・プラハ2015で使用したもの】を真似させてもらいました。
■ デッキの強み
このデッキ最大の長所は、異様なまでに長期戦に強いことです。このデッキには4枚の《棲み家の防御者》に始まり、各種「プレインズウォーカー」などの長期戦に強く、なおかつ対処が難しいカードが目白押し。
《羊毛鬣のライオン》や《先頭に立つもの、アナフェンザ》でビシバシ殴って速攻でゲームを終わらせることもありますが、半分くらいのゲームは消耗戦の末にアドバンテージ差で勝つこととなります。
それが最も顕著なのは対「アブザン・コントロール」戦で、このマッチは長期戦になると「ハンガーバック・アブザン」側が不利になると思われがちですが、僕は長期戦になれば負けないという確固たる自信を持っています。
このデッキよりも長期戦に長けたデッキは、《ジェイスの創意》や《時を越えた探索》擁する青いデッキくらいのもので、それらのデッキに対しても明確に不利というほどではありませんし、コントロールデッキはデッキ構築もプレイングも難しいのでそもそも選ぶ人が少ないだろうと予想していました。
また、このデッキを選んだもうひとつの動機として、サイドボード後にデッキの速度を自由に変えられることが挙げられます。対戦相手はこのデッキに対して「ビートダウン用のサイドボーディング」を施してきますが、対戦相手が除去や短期戦用のカードを増やせば増やすほどに、こちらの長期戦の強さが際立つ結果となります。
このデッキはビートダウンではなく、攻める要素を持ったコントロールデッキだと思っていますし、対戦相手は僕がどんなサイドボーディングをするか分からないため、こちらの速度に合わせたサイドボーディングが難しいこともこのデッキの強みだと思います。
■ サイドボーディングプラン
■ 対「ハンガーバック・アブザン」 (Hangarback Abzan)
対戦相手のデッキにも《棲み家の防御者》が入っている場合、序盤のクリーチャーを「追放」することが非常に重要になります。そのため、《先頭に立つもの、アナフェンザ》、《異端の輝き》や《アブザンの魔除け》でクリーチャーを積極的に「追放」すると、ゲーム運びが楽になります。
もしも対戦相手のデッキに《風番いのロック》が入っている場合には、《ドロモカの命令》を全部抜いて《悲劇的な傲慢》を2枚をサイドインします。
基本的には、対戦相手のクリーチャーをこまめに除去する展開になるので、《風番いのロック》がいないのであれば《悲劇的な傲慢》はあまり効果的ではありません。
■ 対「アブザン・コントロール」 (Abzan Control)
このマッチの鍵は対戦相手の《太陽の勇者、エルズペス》です。《太陽の勇者、エルズペス》だけは放置するとすぐに負けてしまうので、手札に除去が1枚しかない場合には、それ以外の脅威は極力無視するように心がけるといいでしょう。
《精霊龍、ウギン》に対しては、出てくる直前のターンに《棲み家の防御者》を「変異」で出したり、《搭載歩行機械》を出しておいたりで対応しましょう。
■ 対「赤単」 (Red Deck Wins)
対「赤単」で意識すべきは、対戦相手が「クリーチャーを展開したいターン」なのか、「除去を打ちたいターン」なのかを見極めて、それと反対の行動をさせるように動くことです。《ドロモカの命令》を構えてクリーチャーを展開できるほど余裕ができれば大体勝ちなので、焦ってクリーチャーを出さないように注意しましょう。
クリーチャーを展開すべきか除去を優先すべきか悩んだときの指針として、対戦相手のクリーチャーが「果敢」持ちの《僧院の速槍》か《ケラル砦の修道院長》、または《大歓楽の幻霊》だった場合には、除去を優先した方が最終的に受けるダメージが少なくなることが多いです。
なぜ《アラシンの僧侶》が3枚ではなく、1枚が《正義のうねり》になっているかというと、《正義のうねり》はサイド後に出くわすことの多い《雷破の執政》にも効果があるためです。
《アラシンの僧侶》では「果敢」軍団から身を守りづらいですし、《正義のうねり》ならば《先頭に立つもの、アナフェンザ》の入ったデッキにもサイドインできます。
ただし、《正義のうねり》一辺倒にしてしまうと、対戦相手がアタックしないとマナを損してしまったり、《ドロモカの命令》が使いづらくなったりと悪い面があるのも確かなので、そういった意味で《アラシンの僧侶》2枚、《正義のうねり》1枚はちょうど良いバランスだと思います。
■ 対「青赤《アーティファクトの魂込め》」 (UR Ensoul)
●先手 (On the Play)
●後手 (On the Draw)
このマッチの焦点は、《アーティファクトの魂込め》をしっかりと対処できるかどうかで、それさえクリアできれば有利なゲーム運びができます。
サイドボード後はカウンター呪文が入ってくるので、幸いにも《悲劇的な傲慢》が引けた場合には、それを確実に通すように注力しましょう。
■ 対「白単信心」 (Mono White Devotion)
このマッチは《万神殿の兵士》も非常にきついですし、1本目は不利です。しかし、サイドボード後はそれを逆手にとって、多色のクリーチャーを減らして純然たるコントロールデッキになって対抗します。こちらはサイドボード後に攻める気がないので、《万神殿の兵士》なんかも無視できるようになります。
《払拭の光》で《搭載歩行機械》を対象にされたときには、《払拭の光》の能力の解決前に《ドロモカの命令》を使えば《搭載歩行機械》は戦場に残る点にご注意ください。
■ 対「ジェスカイ」 (Jeskai)
このマッチのサイドボーディングプランにはあまり自信がないですが、相性としては5分くらいです。サイドボーディングプランに自信がない理由としては、ほかのデッキほどMOで当たらないため試行回数が少ないこと、対戦相手も自由に速度が変えられるためこちらがそれに合わせるのが難しいことの2点です。
《オジュタイの命令》を悠々と構えられる展開は避けたいので、基本的には攻めるのが吉だと思います。かなり組し難い相手なので、できれば当たりたくないなぁと思いつつ本戦を迎えました。
■ WMCQ2015 名古屋予選・予選ラウンド
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | BYE | |
Round 2 | ハンガーバック・アブザン | 〇×〇 |
Round 3 | アブザン・コントロール | 〇〇 |
Round 4 | マルドゥ | ×〇〇 |
Round 5 | 白単信心 | ×〇〇 |
Round 6 | アタルカ・レッド 【テキストカバレージ】 | ×〇〇 |
Round 7 | 青赤《アーティファクトの魂込め》 【テキストカバレージ】 | ×〇〇 |
Round 8 | ID (赤単) | |
Round 9 | ID (エスパー・コントロール) |
7-0-2で決勝進出。
印象的だったのは、7回戦の原根君との試合です。
1本目はこちらが後手で、1回のマリガンを挟んで初手は下記の通り。
1ターン目に《思考囲い》を打つか、1ターン目はタップインで我慢するか。僕は《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》から《思考囲い》のプランを選んだんですが、原根君がキープするまでにかなり時間を費やしていたため、彼の手札に《搭載歩行機械》と《アーティファクトの魂込め》がないことは明白でした。
そのため、1ターン目はタップインで我慢して、対戦相手の2ターン目のアクションと、こちらの次のドロー次第で《羊毛鬣のライオン》か《思考囲い》かを選んだ方が良かったと思います。どちらにせよ土地を引きすぎてだめそうでしたが、もしかするとそうしていたら勝てていたかも?
3本目は幸運にも《悲劇的な傲慢》を引けたものの、動き的に原根君がカウンター呪文を持っていたため、動き方に工夫をする必要がありました。原根君の手札にあるのが《頑固な否認》・《軽蔑的な一撃》・《否認》のどれなのか判別する手段がなかったため、《アブザンの魔除け》や《ドロモカの命令》で揺さぶりをかけてみると、《否認》を1枚使わせることに成功。
ただし、その時点で盤面は少し原根君が有利だったので、もしも他にカウンター呪文を持っていない場合は《アブザンの魔除け》に食いついてきたりはしません。つまり、この時点でカウンター呪文が最低でももう1枚あることが判明したので、それを掻い潜るための術が必要でした。最終的に1枚目の《悲劇的な傲慢》を囮に2枚目を通すことに成功しましたが、あと1枚カウンター呪文を引かれていたら負けていたギリギリのゲームでした。
8回戦は全勝が2人しかいなかったので無難にID。最終戦は【去年の反省】もあって悩みましたが、IDすれば半分以上は先手だろうということと、対戦相手が顔見知りのヤスさんだったのでIDを選択。
最終成績は4位で決勝ラウンドへ。
■ WMCQ2015 名古屋予選・決勝ラウンド
実は前日はダイスが全敗だったんですが、今日の初戦は先手ということで少し気持ちは楽でした。
日本代表に向けて、いざ参る!
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
準々決勝 | アタルカ・レッド 【テキストカバレージ】 | 〇〇 |
準決勝 | 赤単 【テキストカバレージ】 | ×〇〇 |
決勝 | 赤単 【テキストカバレージ】 | ×〇〇 |
優勝して日本代表に!
【準決勝】で1本目を負けて、2本目にダブルマリガンしたときには死を覚悟しましたが、はまちさんが《山》を11枚くらい引いて奇跡の勝利。
3本目はこちらが最高のドローで勝利し、いよいよ大一番となる決勝戦。
……なんですが、実は試合の前に対戦相手の方が、「どうしても外せない用事があってWMC本戦には行けないので、権利を譲りたい」と申し出てくれました。
「WMCQのような大きな大会で勝てる機会は2度ないかもしれないけど、津村さんになら譲っても悔いはないです」とも仰ってくださいました。
そう言っていただけて非常に嬉しかったですし、ありがたくこの申し出を受けて、この時点で権利を獲得!
しかししかし、試合をしなかったり最終戦に負けて権利獲得となると、カバレージを楽しみにしているみなさんに申し訳ない&僕も試合後にツイートがしづらい(^_^;)
あとは単純に最後まで勝きりたいという個人的なこだわりもあったりで、決勝戦は通常通り行われることに。
お互いに1本ずつ取った最終戦。こちらは最高の初手に恵まれたものの、4連続か5連続で土地を引いてしまい、「もう1枚土地を引いたら負け」という状況まで追い込まれましたが、そこから《包囲サイ》2枚を含むトップデッキの嵐でなんとか勝利できました。
優勝できたこと自体も大変光栄で嬉しいことですが、お祝いの言葉やリツイートをたくさんいただけて、それも非常に嬉しかったです。応援してくださったみなさま。お祝いの言葉をくださったみなさまに感謝です。
Winnig WMCQ! #WMCQ
— 津村 健志 (@KenjiTsumura) 2015, 9月 20
「WMCQ」はあくまで「予選」なので、なべ君、玉田さん、楊さんと一緒に、本戦もがんばりたいと思います!
まずはその前に、今季最初のプロツアー、プロツアー『戦乱のゼンディカー』があるので、そこで好成績が残せるように精進します。今回のがまぐれだったと言われないように、しっかり練習したいと思います!
それでは、また次回のブログで!
コガモ
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