はじめに
みなさんこんにちは。
最近は日本国内でもテーブルトップのイベントが復活し、先週末には昨年から開催が延期されていたEternal Party 2020が開催されました。いつでもプレイできるオンラインも便利ですが、ほかの構築フォーマットと比べても対話の多いレガシーはテーブルトップでより楽しむことができます。
さて、今回の連載では先週末に開催されたMOCSQとEternal Party 2020の入賞デッキを見ていきたいと思います。
Legacy Premier #12349414
環境最強のデッキ、揺るがず
2021年10月23日
- 1位 Izzet Delver
- 2位 Lands
- 3位 Izzet Delver
- 4位 Echo Affinity
- 5位 4C Zenith Midrange
- 6位 Dooms Day
- 7位 Izzet Delver
- 8位 Izzet Delver
トップ8のデッキリストはこちら
参加者123名で開催された今大会の上位は、大方の予想通り現環境のトップメタであるIzzet Delverがプレイオフの半数を占めるという圧倒的な強さを見せました。
デッキ紹介
Izzet Delver
毎週開催されるLegacy Challengeよりも競技志向の強いプレイヤーが集まる大会なだけあり、Izzet Delverなど無難な選択をしたプレイヤーが散見されました。
最近では《秘密を掘り下げる者》を解雇して《ウルザの物語》パッケージを採用したミッドレンジや、《虹色の終焉》や《剣を鍬に》のために白をタッチしたJeskaiバージョンなどさまざまなバリエーションが見られますが、今回予選を通過したのはオーソドックスなIzzet Delverでした。
《秘密を掘り下げる者》を採用するのかミッドレンジ寄りの構成に寄せるのかはプレイヤーの好みやプレイスタイル、メタにも左右されますが、環境の《敏捷なこそ泥、ラガバン》デッキの中でもIzzetバージョンはもっともポピュラーな形です。
《秘密を掘り下げる者》を採用したテンポ寄りのバージョンは、軽い構成なため墓地にカードも溜まりやすく、巨大な《濁浪の執政》を早い段階でプレイしやすいという特徴があります。ロングゲームになりがちなコントロールやミッドレンジとのマッチアップでは不利が付きやすい印象がありますが、カウンターに守られた《濁浪の執政》を処理するのは難しいため実際はそこまで不利なマッチにはなりません。速さで勝りコンボデッキやほかの環境の雑多なデッキに強いこともあり、高い勝率を維持し続けています。
☆注目ポイント
メインから採用されている《はらわた撃ち》は、「昂揚」前の《ドラゴンの怒りの媒介者》や同型の《敏捷なこそ泥、ラガバン》、Death and Taxesの多くのクリーチャー、ElvesやZenith系のマナクリーチャーなどを展開を遅らせることなく処理できる便利な除去です。
《はらわた撃ち》や《ミシュラのガラクタ》といった0マナでプレイできるスペルは「諜報」能力を持つ《ドラゴンの怒りの媒介者》と相性が良く、墓地のカードも溜まりやすくなるので《濁浪の執政》を早い段階からプレイしやすくなります。《濁浪の執政》を3ターン目にプレイして数ターン守り切れば、デッキの相性に左右されることなく勝つことができます。これこそがこのバージョンが雑多なデッキに強い理由の一つです。
《真の名の宿敵》や《狡猾の宮廷》といった追加の勝ち手段がサイドに採られていることが多いですが、今回予選を通過したリストには、追加の《溶融》や《否定の力》といった特定のマッチアップに刺さる妨害スペルにスペースが割かれています。軸をずらした追加の勝ち手段を用意するよりも、メインのクロックをより効果のある妨害でバックアップしていく方が効率的だと判断されたようです。
《溶融》は最近よく見られるようになったAffinityのほかにも、多くのフェアデッキに採用されるようになった《ウルザの物語》パッケージにも効く受けが広いカードです。《否定の力》もコンボデッキやLandsなどの《壌土からの生命》を採用したデッキや、《永劫のこだま》デッキなど同型以外のさまざまなマッチで使えます。
Legacy Challenge #12349451
チャレンジでも親和が結果を残す
2021年10月24日
- 1位 Echo Affinity
- 2位 Selesnya Depths
- 3位 TES
- 4位 Mono Black Curse
- 5位 Cloud Post
- 6位 Counter Monkey
- 7位 Jeskai Monkey
- 8位 Selesnya Depths
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参加者65名で開催されたLegacy Challenge。
今大会で優勝したのはEternal Party 2020と同様にEcho Affinityでした。最近コンスタントに結果を残しているデッキなので、《敏捷なこそ泥、ラガバン》以外のデッキを使いたいという方にもオススメのデッキです。
デッキ紹介
Counter Monkey
採用されているカードの多くはIzzet Delverと同様ですが、《秘密を掘り下げる者》や《ドラゴンの怒りの媒介者》が抜けて土地が多めに採用され、《ウルザの物語》パッケージを搭載したミッドレンジ寄りに調整されています。
現環境でもっとも人気があり結果も残しているのはIzzet Delverですが、最近は多くのデッキが《濁浪の執政》に対する解答を用意することで環境に対応しています。
☆注目ポイント
テンポ寄りのIzzet Delverと異なり、このバージョンは《ウルザの物語》や《表現の反復》によってカードアドバンテージを稼ぎ、構築物トークンや《改良式鋳造所》《濁浪の執政》などでゲームを決めます。
そのため《敏捷なこそ泥、ラガバン》と《目くらまし》の枚数も減らされていますが、ある程度マナを必要とする《ウルザの物語》のために宝物トークンを生成してくれる《敏捷なこそ泥、ラガバン》は、このデッキでも十分に強いカードです。
現環境では《紅蓮破》や《剣を鍬に》といった《濁浪の執政》を処理できる除去が散見されます。それらを多用するデッキに対しては、《ウルザの物語》や《改良式鋳造所》は信頼性のあるフィニッシャーとして機能します。このデッキでは《改良式鋳造所》がメインから2枚採用されています。
《ウルザの物語》のサーチ対象として採用されている《上天の呪文爆弾》は、2色のこのデッキにとって数少ない貴重な《濁浪の執政》など高タフネスクリーチャーを対策する手段になります。
《ウルザの物語》と《改良式鋳造所》はマナを多く必要するためメインから土地が23枚と多めに採られており、サイドにも追加の《不毛の大地》と《カラカス》が採用されています。《神秘の聖域》は《表現の反復》や除去を再利用することが可能で、《目くらまし》で手札に戻して再度使えるシナジーもあります。
Eternal party 2020
8 CastがRagavanの海を渡り切る
2021年10月24日
- 1位 Echo Affinity
- 2位 Aluren
- 3位 Izzet Delver
- 4位 Izzet Delver
- 5位 Mono Red Prison
- 6位 Izzet Delver
- 7位 Counter Monkey
- 8位 Izzet Delver
シノハラ ゲン
Twitter: @MtgBigmagic
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日本国内で久々に開催された大規模なテーブルトップのイベント、Eternal Party 2020が参加者129名で行われました。
今大会の上位はIzzet DelverやCounter Monkeyといった《敏捷なこそ泥、ラガバン》デッキがプレイオフの半数を占める結果になりましたが、優勝を収めたのはEcho Affinityというアーティファクトデッキでした。
デッキ紹介
Echo Affinity
《湖に潜む者、エムリー》のアーティファクトシナジーと《ライオンの瞳のダイアモンド》+《永劫のこだま》のコンボを搭載したアーティファクトデッキ。ここ最近レガシーの定番のデッキとして定着していましたが、『モダンホライゾン2』から《ウルザの物語》と《思考の監視者》が登場したことによって大幅に強化されました。《思考の監視者》と《物読み》を4枚ずつ採用しているため8 Castとも呼ばれています。
このデッキの基本的な動きは、低マナのアーティファクトを並べて《思考の監視者》や《物読み》などでアドバンテージを稼いでいき、《練達飛行機械職人、サイ》や巨大な構築物トークンによって相手を圧倒していきます。
☆注目ポイント
低マナのアーティファクトが多いため《湖に潜む者、エムリー》は強力なアドバンテージ源として機能し、《思考の監視者》と《物読み》によって容易にリソースを補充することができます。そのため、ほかのアーティファクトを主力としたデッキに比べてアーティファクト除去に耐性があり、このデッキを対策するには《溶融》のように一度に複数のアーティファクトを処理できるスペルが必須となります。
《練達飛行機械職人、サイ》は《濁浪の執政》や《敏捷なこそ泥、ラガバン》など脅威に対するブロッカーを提供してくれます。Izzet Delverにとっては、「昂揚」した《邪悪な熱気》や《紅蓮破》以外で《練達飛行機械職人、サイ》を処理するのが難しいので信頼性があります。
アーティファクトデッキなだけあって《ウルザの物語》から生み出される構築物トークンが容易にフィニッシャークラスのサイズになります。《ウルザの物語》からサーチできるカードは、メインでは《改良式鋳造所》と《影槍》が選択されています。サイド後は《真髄の針》や《魂標ランタン》といった特定の戦略、デッキに有効なアーティファクトをサーチ可能です。
Aluren
《魔の魅惑》を軸にしたコンボデッキとカテゴライズされていますが、実際は多色ミッドレンジにフィニッシャーとしてコンボを組み込んだ構成になっています。
クリーチャーを使ったコンボデッキの強みとして、コンボをスタートするまではミッドレンジのように振舞うことができます。多くのカードが継続的なアドバンテージを稼ぎだすものが多く、相手は《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《時を解す者、テフェリー》といった脅威の対処を余儀なくされます。相手のリソースが枯渇した頃合いを見て《魔の魅惑》コンボを決めるのがこのデッキの基本戦略となります。
このようにコンボキルを搭載したミッドレンジは多角的な攻めができるため対戦難易度が高く、Izzet Delverなどフェアデッキに対して強いデッキです。
☆注目ポイント
《洞窟のハーピー》は《寄生的な大梟》との無限ライフドレインコンボを成立させるためのキーカードの1枚となります。コンボ以外でも自軍の《護衛募集員》などETB能力持ちのクリーチャーをバウンスして再利用することが可能です。
《虹色の終焉》は環境の多くの脅威に対処できる歴代でももっとも優秀な除去の一つです。幅広い脅威に対処できる優秀な除去ですが、《濁浪の執政》を対処できるように《剣を鍬に》もしっかり採用されています。
サイド後はElvesやDeath and Taxes、アーティファクトデッキなど複数のパーマネントを並べてくるデッキ用に《破滅的な行為》が投入されます。
総括
テーブルトップのイベントが復活しましたが、MOと同様に《敏捷なこそ泥、ラガバン》を採用したデッキが高い勝率を出しています。環境にテコ入れが入る時期、禁止になるカードについてなど話題になっている現在のレガシーですが、Eternal Weekendの開催も控えているためそれまではこの環境が続くことが予想されます。
《敏捷なこそ泥、ラガバン》デッキ以外で要注目のデッキは、MOPTQ、Eternal Party 2020、Legacy Challengeのすべてのイベントで結果を残していたEcho Affinityです。爆発力がありアドバンテージを稼ぐ手段が豊富なため、アーティファクト対策に耐性があるデッキで、カウンターを採用しているためコンボデッキとの相性も悪くないデッキです。一度試してみることをオススメします。
USA Legacy Express vol. 190は以上となります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!