準々決勝: 小笠原 翔(神奈川) vs. 赤岩 拓(埼玉)

晴れる屋

By Hiroshi Okubo





Game 1


●先攻:小笠原(RUG Delver)の初手(1マリガン・「占術1」で見たカードはトップに置く)

《稲妻》
《稲妻》
《蒸気の絡みつき》
《目くらまし》
《思案》
《Tropical Island》


●後攻:赤岩(Tin-Fins)の初手

《湿地の干潟》
《グリセルブランド》
《グリセルブランド》
《暗黒の儀式》
《御霊の復讐》
《金属モックス》
《水蓮の花びら》



 先攻の小笠原。クロックがなく、《思案》に懸ける初手だったが、当然相手のデッキのことはしっかりと予習済み。初動は焦らず《Tropical Island》をプレイ、しっかりと《蒸気の絡みつき》を構えてターンを返す。

 対する赤岩は「アンタップ、アップキープ、ドロー」の宣言に続けて「ターンを終了します。ディスカードに入ってもいいですか?」 これに小笠原は苦笑し、優先権を放棄すると、赤岩の手札からは《グリセルブランド》が捨てられたのだった。


 レガシーフォーマットに慣れていない者には、赤岩の1ターン目の行動は一見してふざけているようにすら見えるかもしれない。しかし、長年レガシーをプレイしてきた小笠原は当然、この行為が意味することを、自分に突き付けられたタイムリミットを理解している。

 《思案》をプレイし、シャッフルを選択。ドローした《Volcanic Island》をプレイし、ターンを返す。



 赤岩の第2ターン。《湿地の干潟》をプレイし、《水蓮の花びら》をプレイ。続けて《グリセルブランド》をコストに当て、小笠原を対象に《暴露》

 小笠原はたまらず《目くらまし》をプレイするが、赤岩は構わず《湿地の干潟》をクラック。《Underground Sea》をサーチして要求された1マナを支払う。

 公開された手札は《ヴェンディリオン三人衆》《稲妻》2枚、《蒸気の絡みつき》、そして《目くらまし》のコストで手札に戻されていた《Tropical Island》。ここから《蒸気の絡みつき》が抜き取られ、全ての準備が整った。



赤岩 拓


 《水蓮の花びら》から黒1マナを得て、《暗黒の儀式》。黒1マナを残して《御霊の復讐》をプレイすると、《グリセルブランド》が戦場に降臨した。

 14枚のカードをドローし、浮いていた1マナから《陰謀団式療法》をプレイ。指定はもちろん《稲妻》だ。


 さらに《グリセルブランド》で戦闘に入り、失ったライフは絆魂によって癒される。そのまま第2メインフェイズに役目の終わった《グリセルブランド》《陰謀団式療法》のコストに当て、小笠原の手札からは無情にも《ヴェンディリオン三人衆》まで抜き取られる。

 その後、赤岩は膨大な手札をディスカード。よもや小笠原にできることはトップデッキが《稲妻》だった上で、うっかり赤岩がライフを《稲妻》圏内まで支払うことを祈るのみとなった。


 祈りが通じたのか、小笠原のデッキトップはたしかに《稲妻》だった。しかし悲しいかな。Tin-Finsの導師、赤岩に”うっかり”はなく……


小笠原 0-1 赤岩


 赤岩の強烈なコンボに対し、終始苦笑を浮かべつつ静観することしかできなかった小笠原。第2ゲームで巻き返しを果たせるか。


Game 2


●先攻:小笠原の初手(1マリガン・「占術1」で見たカードはボトムに置く)

《Tropical Island》
《沸騰する小湖》
《大歓楽の幻霊》
《ヴェンディリオン三人衆》
《Force of Will》
《硫黄の渦》


●後攻:赤岩の初手(1マリガン・「占術1」で見たカードはトップに置く)

《グリセルブランド》
《暗黒の儀式》
《再活性》
《浅すぎる墓穴》
《暴露》
《暴露》



 さて、二人のこの初手を見てどう感じるだろうか?

 小笠原が“間に合えば”、《硫黄の渦》を設置し《グリセルブランド》の脅威に対抗することができるだろう。

 しかし赤岩の初手を見てほしい。そう、黒マナが1マナでもあれば、即座に《グリセルブランド》を釣り上げられる初手である。

 そして赤岩は「占術1」したカードを、ライブラリートップに置いたのだ……



 第1ターン。小笠原は《沸騰する小湖》を置くのみでターンを返す。


 返す赤岩のターン。ドローは《汚染された三角州》! まずはこれをプレイし、《浅すぎる墓穴》をコストに当てて《暴露》をプレイ。対象は小笠原。

 手札から《Force of Will》を抜き去ると、続けて《暗黒の儀式》をコストに《暴露》をプレイ。この対象は自分だと宣言すると、赤岩は自身の手札から《グリセルブランド》を捨て、墓地にある《グリセルブランド》《再活性》で釣り上げてターンを返す。



小笠原 翔



 なんとかして《蒸気の絡みつき》を引きたい小笠原。《沸騰する小湖》をクラック、《Volcanic Island》をサーチして《思案》

 ここに解答はなく、続いて《Tropical Island》をプレイして《思案》をプレイするが、対応して赤岩が《グリセルブランド》の起動型能力を起動する。


 さらにフルタップでターンを返す小笠原に、赤岩の追撃は続く。まずは《グリセルブランド》で攻撃し、ライフを補充すると《汚染された三角州》をプレイ。続いて《渦まく知識》→解決後に《汚染された三角州》起動と、着実に手札を整えていく。

 そして再びの《暴露》で小笠原から《渦まく知識》を奪い去り、残された手札は《硫黄の渦》《大歓楽の幻霊》のみとなってしまう。


 小笠原のトップデッキは《渦まく知識》。メインでこれをキャストし、再びターンは赤岩に戻る。


 赤岩の第3ターン。《水蓮の花びら》をキャストし、《グリセルブランド》でアタック! 万事休すかと思われたが、小笠原の手札からは《蒸気の絡みつき》が飛び出した!

 これで勝負は分からなくなったか。ギャラリーが固唾を呑んで見守る中、赤岩があざ笑うかのように手札から唱えたのは《実物提示教育》


実物提示教育グリセルブランド


 負けない手を打ち続けるためにキャントリップ呪文を唱え続け、延命手段を求めることしかできない小笠原を、赤岩の《グリセルブランド》が介錯した。


小笠原 0-2 赤岩


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