パイオニア:メタゲームブレイクダウン

晴れる屋メディアチーム

はじめに

昨年末に開催が予定されながらも、延期に延期を重ねていたThe Last Sun 2020がとうとう幕を開けた。強豪が集う招待制の本大会はパイオニアとレガシーで行われ、総勢103名のプレイヤーがトーナメントセンター大阪に集結した。

本記事ではそのフォーマットのひとつである、パイオニアのメタゲームブレイクダウンをお届けしよう。

メタゲームブレイクダウン

答えを発表する前に、まずは採用数が多かったカードをご覧いただこう。

考慮表現の反復

採用数がもっとも多かったのは、なんと最新エキスパンション『イニストラード:真夜中の狩り』に収録されたばかりである《考慮》であった(132枚)。これまでパイオニアの1マナキャントリップといえば《選択》だったが、墓地にカードを落とせるのが《考慮》にしかない強みだ。パイオニアを飛び越え、モダンなどでも採用実績がある。

採用数の銀メダルを獲得したのは、同じく今年発売されたセットである『ストリクスヘイヴン:魔法学院』のドロー呪文、《表現の反復》だった(130枚)。たった2マナで3枚から2枚を選べるこの呪文は、レガシーメタゲームブレイクダウンでもご紹介するが、下環境まで多大な影響を及ぼしたカードである。

さて、1位と2位が青と赤のカードであるこということは……そう、お気づきのとおり使用者数トップを飾ったのはあのアーキタイプだ。

アーキタイプ 使用者数 使用率
イゼットフェニックス 31 30.10%
ボロスバーン 16 15.53%
ナヤウィノータ 15 14.56%
ロータスコンボ 6 5.83%
スピリット 6 5.83%
赤単アグロ 5 4.85%

使用者が5名以上のアーキタイプを表にまとめた。ご覧のとおり、《考慮》《表現の反復》をふんだんに盛り込んだイゼットフェニックスが最大勢力となった。

イゼットフェニックス

弧光のフェニックス宝船の巡航

パイオニア黎明期からこの2枚はパイオニア界のパワーカードだった。にもかかわらず、イゼットフェニックスは環境トップを獲れずにいた。

その状況を打破したのが、まさに《考慮》《表現の反復》という新カードの登場だった。特に《考慮》は安定性を高めるばかりか、墓地に落ちている《弧光のフェニックス》を戻しやすい1マナのスペルであり、墓地を肥やせば《宝船の巡航》の「探査」コストも確保しやすくなる。その意味で《考慮》は主役の2枚を使いやすくするパワーカードと言える。

ボロスバーン

火遊び

採用数3位の《弧光のフェニックス》に続き、4番手につけたのはこれまた『イニストラード:真夜中の狩り』で登場したばかりの《火遊び》(116枚)。この新火力を歓迎しているのがボロスバーンだ。

《火遊び》《ショック》と大差がないように見えるが、1ターンでも早く決着をつけたいバーンデッキにとって占術1が持つ意味は大きい。ゲームプランを進めながら、最後の一押しを探し出してくれる。

速度で押すボロスバーンはイゼットフェニックスに有利だと言われている。軽い呪文を咎める《大歓楽の幻霊》や、《弧光のフェニックス》を除去しながら本体を狙える《灼熱の血》も有利となる一因だろう。

パイオニア第二章

新型コロナウィルスの影響によりイベントが中止されるまで、パイオニアはプレイヤーズツアーに採用されるなど、大きな注目を浴びる新フォーマットだった。中止による空白の期間、パイオニアというフォーマットから関心が薄れてしまった人も少なくないだろう。

しかし、大会再開と同時にチャレンジャーデッキが発売されるなど、紙独自のフォーマットであるパイオニアは再び活気を取り戻しつつある。事実、先日の第5期パイオニア神挑戦者決定戦は定員オーバーするほどの盛況ぶりだった。

パイオニアはスタンダードからもっとも近いフォーマットであり、新セット発売とともに確かに変化していく。今回のメタゲームはまさにそれを証明していた。

そして今月には『イニストラード:真紅の契り』の発売が控えている。いま一度、パイオニアというフォーマットにプレイヤーが溢れる未来を期待しよう。

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