◆はじめに
先週末に『イニストラード:真紅の契り』がMTGアリーナで実装され、紙のリリースも今週に迫りました。というわけで、今回は“スタンダードのデッキをアップデートしよう”というテーマで書かせていただきました。
既存デッキの強化と新規デッキ開発の二軸で見ていきます。最後に特に新環境で使いたいデッキがない…という方に向けて、今すぐ使えるおすすめデッキを紹介します。
◆既存デッキを強化しよう
まずは既存デッキの強化から考えていきます。前環境から存在したデッキに対して、どのようなカードが追加されるのかをサンプルリストとあわせて見ていきましょう。
白単アグロ
《スレイベンの守護者、サリア》
本セットの再録組はどれも強力ですが、特に《スレイベンの守護者、サリア》は使えるフォーマットのほぼすべてですでに実績があります。圧倒的な影響力で戦場を支配するのか、意外と《棘平原の危険》に倒されまくって大したことがないのか。現在のスタンダードでどの程度の影響を及ぼすのか楽しみですね。
《監禁の円環》《勇敢な姿勢》
《絹包み》(実質)と《勇敢な姿勢》(本物)です。どちらも実績のある除去ということで、少なくともサイドには採用されそうです。
《有望な信徒》
置き物破壊は基本的にサイド向きの能力ですが、最低限のステータスに加えて「訓練」持ちというハイスペック。メインでも活躍が期待できます。重なると物足りなさを感じるので、1~2枚くらいがちょうどいいでしょう。
緑単アグロ
《隆盛な群れ率い》
空いていた1マナ域を埋めるクリーチャーがついに登場しました。序盤に活躍するのはもちろんのこと、終盤に引いても2アクションに貢献しながら最低限のサイズも担保されています。これぞ緑単アグロが求めていた1マナ域です。ノータイムで4枚でしょう。
《墓所のうろつくもの》
墓地対策とコスト軽減能力、そして高ステータス。まさに神話レアの風格。ただ、メインでは《老樹林のトロール》《カザンドゥのマンモス》と枠を争うことになるので、優先順位は低めです。サイドに少し用意しておくのがよいでしょう。
《ウルヴェンワルドの奇異》
4マナ域としては《探索する獣》には見劣りするものの、裏面が強烈です。終盤に価値の下がるマナクリーチャーを強く運用できるようになるため、1~2枚あると嬉しいですね。
イゼットターン/イゼットドラゴン
《炎恵みの稲妻》《引き裂く炎》《吸血鬼の復讐》
実際に使うかどうかはおいておいて、この手のカードは選択肢として用意されているのが嬉しいですね。この中では《炎恵みの稲妻》が今後もよく見かける定番除去になりそうです。
《洗い落とし》《中略》
追加された打ち消しも選択肢に挙がります。《中略》は言わずもがなの実績のある打ち消しです。後手だと少し使いづらいのが気になりますが、打ち消した呪文を追放する効果は魅力的です。《洗い落とし》は「予顕」状態の《アールンドの天啓》をわずか1マナで消せるため、ミラーマッチのプレイに影響を与えそうです(あえて「予顕」しないなど)。
《削剥》
これもまた実績のある除去です。《安堵の火葬》との選択になると思いますが、よほどの理由がない限りは《削剥》のほうがいいでしょう。これで《セレスタス》にイライラすることも少なくなりそうです。
《嵐削りの海岸》
さらば《凍沸の交錯》。ありがとう《凍沸の交錯》。きみと砕いたワイルドカードのことは忘れないよ。
《捜査員、ジェイコブ・ハーキン》
《ヴリンの神童、ジェイス》を彷彿とさせるルーティング&変身能力です。変身に掛かるマナコストはかなり重いですが、解決時に支払いを選べるので除去で妨害されることがないのが嬉しいポイントですね。変身後は圧倒的なリソース能力で、除去の減るミラーマッチのサイド後では活躍しそうです。
ティムールトレジャー
《マナ形成のヘルカイト》
《ドラゴンの火》に対応した重量ドラゴンです。《月の帳の執政》よりも分かりやすく勝ちに直結しているため、そのまま差し替えられると思います。後続の《エシカの戦車》や《髑髏砕きの一撃》に巨大な火力が付いてくると考えるとゾッとしますね。
《恐怖のドールハウス》
マナコストは重いものの、設置できればすべてのクリーチャーに実質除去耐性が付きます。1マナで《黄金架のドラゴン》をコピーされたらたまったもんじゃないです。《厚顔の無法者、マグダ》のサーチ先として1枚あると嬉しいですね。
ディミーアコントロール
《船砕きの怪物》
《星界の大蛇、コーマ》もびっくりの能力です。デカい&硬い!瞬速&打ち消されないため、構え合う展開では最強クラスのフィニッシャーです。反面、ほかの呪文が前提になるので、ガツガツ動いてリソースを交換した後だとただのデカブツで終わってしまうのはイマイチです。
同じ色のフィニッシャーに《溺神の信奉者、リーア》がいますが、活躍する相手とタイミングが異なるので、散らして採用するのがよさそうです。ところでコイツはイカなのかエビなのか…
《英雄の破滅》
再録組の普通の除去です。現在のスタンダードの黒い除去は意外と使い勝手が悪かったので、この手の万能除去はありがたいですね。3マナはちょっと重い気もしますが、贅沢は言ってられません。出された飯を食べましょう。
《戦慄の遁走》
これは…《コジレックの審問》!?2ターン以内に唱える場合はそのまま、3ターン目以降は「切除」で唱えましょうという分かりやすいデザインです。可もなく不可もなくといったカードですが、《強迫》よりはメイン向きかなという印象です。
◆新規デッキを開発しよう
次に私が注目するカードをいくつかピックアップして、それらを使ったデッキを紹介します。
《ケッシグの炎吹き》
呪文に反応してアンタップしなくなった代わりに殴れるようになった《熱錬金術師》です。実質《熱錬金術師》が2種類になったので、これはデッキになるのではないかと思いました。
赤単スペル
コンセプトは見たまんまです。クリーチャーを並べて呪文を連打する、以上!クリーチャー・火力・ドローの配分については議論の余地がありますが、骨格はこんなものでしょう。リソースを稼げるカードが多く、終盤にも息切れしない構成を意識しています。除去で対処しようとしてくる相手にはむしろ強く出られる想定です。
《血なまぐさい小像》
これらは1枚で2枚分のアーティファクトを用意できます。これらを並べて《ガラゼス・プリズマリ》を出せば、すべての宝物が《Mox》になるので、一気にマナ加速ができるのではないかと考えました。
並べた大量の《Mox》で何をするかですが、この《Mox》はインスタントかソーサリーにしか使えないため、それだけで勝てるものがよいでしょう。そう、《アールンドの天啓》です。結局これかよ!という声が聞こえてきそうですが、結局これです。
イゼットターン《Mox》型
《ガラゼス・プリズマリ》に寄せている分だけコンボ色の強いイゼットターンです。アーティファクトを並べる要員として《血なまぐさい小像》だけでは足りないので、《鍵の秘密》にも手伝ってもらうことにしました。
《血なまぐさい小像》は単体で3/3ブロッカーとしても運用できるので、1マナ立たせていれば迂闊なアタックは抑制できますし、最終的に追加ターンを得たときにはアタッカーとしても運用できます。それ以外はベーシックなイゼットターンなので、改めて語ることはないです。
《血瓶の調達者》
よくあるデメリット持ちアタッカーですが、とにもかくにもデカすぎる!戦場に出たターンの返しに《黄金架のドラゴン》が攻撃に参加できないレベルの圧倒的サイズに時代を感じます。血・トークンの生成もデメリットに見せかけて相手に消費を強要させる=使用するマナを縛れるため、本当にデメリットなのか疑わしいです。要するに、このクリーチャーはめちゃくちゃ強い!
ラクドス吸血鬼
特に捻りなくシンプルなクリーチャーデッキにしました。血・トークンでマナフラッドが受かるため、マナカーブ通りに動くことを優先して土地は多めにしています。序盤からプレッシャーを掛けた上で《血瓶の調達者》を展開できれば、デメリットもほとんど気にならないでしょう。
◆今すぐ使えるおすすめデッキ
最後に特に使いたいデッキがない…という方に向けて、今すぐ使える”板”デッキを紹介します。
イゼットコントロール
《アールンドの天啓》を廃した純正のイゼットコントロールデッキです。序盤を除去で捌き、《予想外の授かり物》のマナブーストから《溺神の信奉者、リーア》《船砕きの怪物》での制圧を狙います。すでに流行の兆しを見せており、今後もよく見るアーキタイプになりそうです。
本記事はこれで以上となります。いろいろな既存デッキがアップデートされ、今回紹介した新デッキ以外にも、これからどんどん新たなデッキが出てきそうですね。今週末に開催される『イニストラード:真紅の契り』環境初陣戦にも参加予定なので、当たった方はよろしくお願いします。
増田 勝仁 (Twitter)