つい先日、日本に6年ぶりの【プロツアー優勝という名誉をもたらした】のは、瀧村 和幸が使用した「アブザンアグロ」だった。
プロツアー優勝という最高の結果で自身の価値を示したこのデッキは、瞬く間にスタンダードを牽引する存在となった。
その勢いは留まることを知らず、Magic Online最大のビッグイベントである【MOCSを制し】、翌週に開催された【グランプリ・インディアナポリス2015】でも優勝をかっさらっていった。
もはやこのデッキがスタンダードで最高のデッキであることに疑いの余地はない。
そして、「アブザンアグロ」を使う上で最も大きな課題となるのは、先手が圧倒的に有利とされるミラーマッチをどう乗り越えるかである。
多くのプレイヤーが色を足したり様々なアプローチを試みる最中、シルバーレベル・プロの和田 寛也は、《白蘭の騎士》に光を見出した。
この度のDeck Techでは、そんな和田 寛也の「《白蘭の騎士》・アブザン」誕生の経緯をお伝えしたい。
和田 寛也 |
--「《白蘭の騎士》に注目した理由をお聞かせいただけますか?」
和田 「もともと『アラーラの断片』の頃から《白蘭の騎士》が大好きで、プロツアー『戦乱のゼンディカー』前に色々なデッキでこのカードを試していたんですよね。《梢の眺望》と《大草原の川》をサーチできるとあって非常に強力なカードなので、どんなデッキであれ《白蘭の騎士》を使いたいと思ってました」
--「すぐに『《白蘭の騎士》入りアブザン』にたどり着いていたんですか?」
和田 「最初は『白青』の《掴み掛かる水流》なんかが入ったビートダウンを作ってみて、そこから『バント』や『エスパー』など色々な形を試しました。その過程で、『アブザン』こそが《白蘭の騎士》を最も生かせるデッキだと気付いたんです。『アブザン』は《ドロモカの命令》・《アブザンの魔除け》とクリーチャーを強化する手段が豊富なので、2/2『先制攻撃』というスペックを生かしやすいんですよね。」
--「ついつい土地を持ってくる能力に目が行ってしまいがちですが、戦闘力も評価されているんですね」
和田 「序盤は《搭載歩行機械》にも臆することなく向かっていけますし、複数体いれば対戦相手のアタックを躊躇させることができますしね」
--「そのうえで、ミラーマッチの後手番を乗り越える術にもなると」
和田 「ミラーマッチでは、先出しが有利な《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》と《風番いのロック》が存在するため、後手番はどうしても劣勢になりやすいです。《白蘭の騎士》があれば後手でも先に《風番いのロック》をキャストすることができるようになりますし、手数が増えるので先手・後手を入れ替えやすくなります。僕はどうしても『アブザン』デッキの《搭載歩行機械》が好きになれなかったので、その枠を《白蘭の騎士》と入れ替えました」
--「そう聞くと《白蘭の騎士》を採用しない手はないように思えるんですが、デメリットはありますか?」
和田 「デメリットはマナベースに負荷がかかることです。《白蘭の騎士》を出すためには序盤に白白を揃えないといけないので、そのせいでたまに動きが歪になってしまうことがあります。また、サイドボード後には黒いカードが増えてデッキのバランスが変わるので、サイド後も含めるとマナベースには改良の余地があると思います。ただし、ミラーマッチの先手・後手を入れ替えるカードは貴重なので、個人的にはメリットの方が優ると感じています」
--「ありがとうございました」
世界で1番《白蘭の騎士》を使っていると豪語する和田。「アブザンアグロ」のミラーマッチでお困りのプレイヤーは、ぜひ《白蘭の騎士》をお試しいただきたい。
2 《森》 2 《平地》 2 《梢の眺望》 1 《燻る湿地》 1 《窪み渓谷》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《樹木茂る山麓》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《乱脈な気孔》 2 《ラノワールの荒原》 -土地(26)- 4 《始まりの木の管理人》 4 《棲み家の防御者》 3 《白蘭の騎士》 4 《先頭に立つもの、アナフェンザ》 4 《包囲サイ》 3 《風番いのロック》 -クリーチャー(22)- |
4 《ドロモカの命令》 4 《アブザンの魔除け》 1 《残忍な切断》 3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 -呪文(12)- |
3 《絹包み》 3 《精神背信》 2 《黄金牙、タシグル》 2 《強迫》 2 《究極の価格》 1 《残忍な切断》 1 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 1 《真面目な訪問者、ソリン》 -サイドボード(15)- |