みなさんこんにちは。【のぶおの部屋】を書かせていただいている、斉藤 伸夫です。
今回は、ゲストを呼んでの「のぶおの部屋」ではなく「禁止改定後の奇跡コントロール(以下ミラクル)解説記事」を依頼いただきました。
そこで、先日開催された参加人数302人の【BIGMAGIC Sunday Legacy】では優勝を、その翌日に開催された参加人数154人の【第5期レガシー神挑戦者決定戦】ではTOP8と二日連続入賞できたレシピを元に、現環境でのミラクルについての解説をしていきたいと思います。
■ 禁止改定前後のミラクルの立ち位置について
禁止改定前、つい先日までのレガシーの環境といえば「グリクシス系デッキ」vs.「オムニテル」という環境でした。グリクシスの妨害の質がオムニテルを少しだけ上回っている印象で、その2強の下にミラクル・土地単・感染などがいました。
《秘密を掘り下げる者》のようなクロックを守りながら継続的に妨害を出し続けるため、もしくは《実物提示教育》を通すためという目的の違いがあるにせよ、最序盤からたくさんのキャントリップでデッキを掘り進めて相手のエンド時に《時を越えた探索》を打つというのが、レガシーで最高の動きでした。デッキ構築も《渦まく知識》《思案》《Force of Will》《ギタクシア派の調査》《時を越えた探索》(禁止前は《宝船の巡航》)の計20枚からスタートすることが多かったです。
しかし、ミラクルはグリクシス系デッキやオムニテルのように能動的に墓地を肥やして《時を越えた探索》につなげるゲームをするというより、しっかり捌いた後にハンドを補充するために使用していました。しっかり捌こうにも相手の《時を越えた探索》の方が早いタイミングで打てる上入っている枚数が多いことがネックになっている状況でした。
《時を越えた探索》はミラクルを最高のデッキにしたと思っていましたが、《時を越えた探索》を3-4枚採用できる他のデッキの強化にもなっていました。守るデッキであるミラクルからすると攻める側のデッキが息切れをしないのはとても脅威でした。
そして9/28(月)。【禁止改定】により、《時を越えた探索》の禁止(+《黒の万力》の解禁)という発表がありました。「やっぱり禁止にされてしまったか。」というのが第一印象でした。
《宝船の巡航》に続いて《時を越えた探索》も禁止になった今、使えるカードが増えているとはいえ、基本的には『タルキール覇王譚』が発売される前(2014年9月発売前)の環境に近くなるだろうという風に考えました。
《時を越えた探索》や《宝船の巡航》などの「探査」スペルが出る前のレガシーはミラクルが一番勝っていました。それは海外の結果やMagicOnlineの結果を見ても明白です。
そしてその環境に加えてどんなカードが追加されたのか、改めて整理してみることに。
2014年9月~今に至るまでに新しく出たカードをアーキタイプで分けてみると以下のようになります。
アーキタイプ | 新戦力 |
奇跡コントロール | 《僧院の導師》《封じ込める僧侶》 |
BUG続唱 | 《ヴリンの神童、ジェイス》 |
デス&タックス | 《ヴリンの翼馬》 |
青赤デルバー | 《僧院の速槍》 |
感染 | 《強大化》 |
グリクシス、BUG系 | 《黄金牙、タシグル》《グルマグのアンコウ》 |
エルフ | 《群れのシャーマン》 |
ジャンド | 《コラガンの命令》 |
バント | 《珊瑚兜への撤退》 |
石鍛冶系 | 《石術師、ナヒリ》 |
ストーム系 | 《闇の誓願》 |
土地単 | 《溶鉄の渦》 |
《僧院の導師》と《封じ込める僧侶》を得たミラクルが一番強化されており、以前からも強いということもあり調整することを決意しました。
禁止改定が発表された次の週に開催された【Ovino X】という335人もの人数が参加した海外の大会では、決勝がミラクルミラー。やはり想定通り、ミラクルが勝てるデッキとしてまたメタの上位に上がってきた印象でした。
《時を越えた探索》を軸にしたグリクシス系デッキ・オムニテルが弱体化したことによって、青くないデッキの増加やANT、感染、エルフのような《時を越えた探索》依存していなかったコンボデッキの増加が予想されるので、比較的ミラクルにとって良い環境になることが予想できました。
■ 今回のミラクルができた経緯 ~チーム調整~
リストの解説の前に、今回のミラクルができた経緯を簡単にお話しておきます。
普段ミラクルを構築するときは「1人で構築して、仲の良いミラクルユーザーにレシピを提供してテストする」というスタイルをとっていましたが、ある日みんなで食事にいったとき、友人の1人から「もしBMOやレガシー神挑戦者決定戦に参加するのであればレシピなどをシェアさせてほしい」とお願いされました。
いい機会なので、「今後のためになるかもしれないから、ミラクルを使う5人の友人でラインのグループを立てて、毎日意見を投げ合いながら共に構築するのはどうか」と提案して、実際に行動に移しました。
レシピの共有はもちろんのこと、メタるべきアーキタイプに対するサイドインアウトをエクセルでまとめて情報共有もしました。下の画像のような、シーンごとでどのようにプレイするのが適切だと思うかという問題形式の意見交換もしました。
実際のLINEグループでの議論の様子。
チーム5人のうち「【BIGMAGIC Sunday Legacy】に参加する4人全員TOP32入賞」という目標を掲げてチームが動きました。
先に結果を書くと、【BIGMAGIC Sunday Legacy】1位・14位・20位・23位と参加したチームメンバーが全員入賞!!また、翌日の【第5期レガシー神挑戦者決定戦】8位、14位も75枚同じリストです。
頼れるチームメンバー。左上から青柳 元彦、黒川 直樹、川居 祐介、小林 龍海。
みんなで調整しながら結果を残せたことはとても嬉しかったですね。
■ 今回のリストの解説(採用した/しなかったカードの解説など)
それでは、今回使用したデッキリストの解説をしていきたいと思います。
2連戦で使用したデッキがこちらです。
4 《島》 2 《平地》 3 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 2 《沸騰する小湖》 2 《汚染された三角州》 2 《乾燥台地》 1 《Karakas》 -土地(22)- 2 《瞬唱の魔道士》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(4)- |
4 《渦まく知識》 3 《思案》 3 《剣を鍬に》 1 《呪文嵌め》 1 《紅蓮破》 1 《対抗呪文》 2 《天使への願い》 1 《議会の採決》 1 《至高の評決》 3 《Force of Will》 3 《終末》 4 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(34)- |
2 《封じ込める僧侶》 2 《僧院の導師》 2 《狼狽の嵐》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《摩耗+損耗》 1 《対抗呪文》 1 《至高の評決》 1 《Force of Will》 1 《安らかなる眠り》 1 《仕組まれた爆薬》 -サイドボード(15)- |
ミラクルというデッキの紹介や動きなどは、「のぶおの部屋」で紹介していますので、よかったらこちらも読んでみてください。
→【のぶおの部屋 -第5回 奇跡コントロール(前編)-】
☆根幹となる固定パーツ
《渦まく知識》 ×4
レガシー最高のカード。このカードを使うか使わないで勝率が3割くらい変わると思っています。
《師範の占い独楽》 ×4
《相殺》 ×4
《相殺》《師範の占い独楽》で沈むデッキがどれほどあるか。この2種の武器をいかに使うかが、ミラクルというデッキを使う上で差が出るところでもあります。
《精神を刻む者、ジェイス》 ×3
《天使への願い》 ×2
《時を越えた探索》がなくなった今、《ヴェールのリリアナ》系デッキの増加、URベースのテンポデッキの減少を予想し、アドバンテージ兼勝利手段は計3-4枚から5枚まで増加。
《時を越えた探索》禁止後の環境では、《精神を刻む者、ジェイス》は出してターンが返ってきたらゲームに勝てるほどの支配力を持つようになりました。
《天使への願い》は《ヴェールのリリアナ》デッキへの一番の解答です。
☆クリーチャー選択
《瞬唱の魔道士》 ×2
《ヴェンディリオン三人衆》 ×2
まず「クリーチャーを採用するか?しないか?」というところで話し合いました。
選択肢がいろいろありますが、有力なカードとしては
・《瞬唱の魔道士》
・《ヴェンディリオン三人衆》
・《僧院の導師》
・《造物の学者、ヴェンセール》
といったところでしょうか。
生物を採用した理由として「盤面とライフにプレッシャーをかけられること」が挙げられます。《時を越えた探索》の禁止によって増えるであろう《ヴェールのリリアナ》と黒系コンボデッキへの対応力をあげるために採用することにしました。相手に選択を強いることが多くなるので、長いラウンドやる上でミスを誘えるのも少なからずあると思います。
ゲーム中に1枚くらい引ければいいので、3-5枚を採用のラインとしていました。
禁止改定発表の段階では、
というBUG続唱などのフェアデッキを意識した枚数配分でした。
しかし、BMOの数日前までいろいろなデッキと調整していく上で、まだ今の環境ならメインに《僧院の導師》はいらないと感じ、
という枚数になりました。
そしてBMO前日。《ヴェンディリオン三人衆》のサイドイン率の高さと《対抗呪文》2枚目のサイドアウト率を天秤にかけ、《ヴェンディリオン三人衆》の方がメインでの貢献度が高いと思い2枚目を採用。
今回は採用しませんでしたが、今後もし《ヴェールのリリアナ》がもっと増えるようであれば、2-4枚の《僧院の導師》をメインに採用することもありそうです。
☆細かな枚数や選択
《呪文嵌め》 ×1
今回採用したカードで一番見慣れないであろう《呪文嵌め》。
調整段階での環境予想として、ミラクルミラー、BG系のフェアデッキ(BUGデルバー含む)、黒系コンボ、スニークショーの4つが多いと予想しました。次点でカナスレやエルフ。
《呪文嵌め》はスニークショー・RUGデルバー以外にはかなり強力で、主軸となるカードをたった1マナでカウンターできるという強みがあります。またスニークは《時を越えた探索》を失ったオムニテルユーザーがすぐには移行しないと予想の元、そこまで多くなくサイドから意識すればいいだろうということでこのカードを選択しました。RUGデルバー戦は《森の知恵》や《タルモゴイフ》と完全に腐るわけではないので許容できます。
一緒に調整してた4人に最初は否定されていましたが、この枠は《時を越えた探索》が禁止になったときから「絶対使おう」と思っていたので強い理由を説明し説得しました。テストをした結果「とても強い」という理解を得ましたし、今では「2枚目がほしい」と言ってる人すらいます。
《終末》 ×3
《至高の評決》 ×1(サイドに+1)
《終末》と《至高の評決》などの全体除去の選択ですが、フェアデッキが《時を越えた探索》を失ったことによってアドバンテージを確保するカードが減った今、全体除去でアドバンテージをとることがそのまま勝利に直結すると思い4枚採用することに(サイドに5枚目!)。
1枚の《至高の評決》(サイドに1枚)にはいくつかの理由があります。
(1).「青い」カードなので、全体除去が腐りやすい対コンボ戦で《Force of Will》のコストに充てることができる。
(2).《相殺》の4マナ域の増加のため。《騙し討ち》やミラーマッチでの《精神を刻む者、ジェイス》など、ミラクルの苦手とするカードに少しでも耐性をつけたい。
(3).《呪文嵌め》を入れることによってRUGデルバーであまり引きたくないカードが増えたので、絶対的な安心感のある《至高の評決》を採用。これで《敏捷なマングース》もしっかり除去ができます。
(4).ミラーのサイド後の相手の《僧院の導師》のため。(1)や(2)の理由も合わさって、《終末》をサイドアウトすることが可能になります。
(2).《相殺》の4マナ域の増加のため。《騙し討ち》やミラーマッチでの《精神を刻む者、ジェイス》など、ミラクルの苦手とするカードに少しでも耐性をつけたい。
(3).《呪文嵌め》を入れることによってRUGデルバーであまり引きたくないカードが増えたので、絶対的な安心感のある《至高の評決》を採用。これで《敏捷なマングース》もしっかり除去ができます。
(4).ミラーのサイド後の相手の《僧院の導師》のため。(1)や(2)の理由も合わさって、《終末》をサイドアウトすることが可能になります。
「4マナソーサリー」という重さがネックになる感染やデス&タックスが増えるようであれば、《至高の評決》を4枚目の《終末》に戻すと思います。
《思案》 ×3
《思案》は序盤の手数が増え、相手のアーキタイプによって必要なカードを引き、引きたくないカードを弾く重要な仕事をもちます。1ターン目《思案》で《相殺》を引き込み (思案で見えた3枚目を1-3マナ域のどれかを積み込む)、2ターン目《相殺》で相手の返しの行動を積み込んだカードでカウンターという理想的なパターンもあります。
またビートや《秘密を掘り下げる者》デッキ相手に「奇跡」スペルを下に積み直す(「奇跡」でプレイするターンを遅らせる)というとても大事な仕事もあります。これは《定業》にはなかなかできない仕事ですね。「奇跡」でプレイするターンを《思案》で操作することによって1対2交換や《呪文貫き》ケアをすることが可能になります。
海外では「土地21枚+《思案》4」が主流ですが、URベースの速いデッキが減ると予想したので枚数を抑えても問題ないと考えました。また土地22枚あった方が《不毛の大地》デッキに安心感があるので気にいってます。22枚目に《Karakas》を取れるのも意味がありますね。
《剣を鍬に》 ×3
ミラクルには優先的に《剣を鍬に》を当てたいクリーチャーが数種類います。代表例は以下の通り。
(1).《闇の腹心》:アドバンテージを稼いでくるので、出てきたらすぐに除去したいため。
(2).エルフの《ドライアドの東屋》:《終末》だとフェッチから延々と場に戻ってくるため。
(3).《ガドック・ティーグ》:《終末》や《精神を刻む者、ジェイス》が打てなくなってしまうため。
(4).《秘密を掘り下げる者》:早い高クロックであり、あまりライフを減らしたくないため。
(2).エルフの《ドライアドの東屋》:《終末》だとフェッチから延々と場に戻ってくるため。
(3).《ガドック・ティーグ》:《終末》や《精神を刻む者、ジェイス》が打てなくなってしまうため。
(4).《秘密を掘り下げる者》:早い高クロックであり、あまりライフを減らしたくないため。
これらと対峙する際は《剣を鍬に》は4枚欲しくなります。
しかし、
(1).《闇の腹心》には《呪文嵌め》がありますし2ターン目は《闇の腹心》よりも《Hymn to Tourach》をプレイされることの方が多いです。
(2).エルフの《ドライアドの東屋》を《剣を鍬に》するのは《終末》の後でもよい=急いで除去しなくても良いです。
(3).《ガドック・ティーグ》は伝説のクリーチャーなので《Karakas》で戻せますし、これも《呪文嵌め》が効きます。
(4).《秘密を掘り下げる者》は《紅蓮破》でも除去できます。
(2).エルフの《ドライアドの東屋》を《剣を鍬に》するのは《終末》の後でもよい=急いで除去しなくても良いです。
(3).《ガドック・ティーグ》は伝説のクリーチャーなので《Karakas》で戻せますし、これも《呪文嵌め》が効きます。
(4).《秘密を掘り下げる者》は《紅蓮破》でも除去できます。
このように(1)~(4)、すべて《剣を鍬に》と他の方法合わせて4枚以上確保できているので《剣を鍬に》は3枚に抑えました。
《紅蓮破》 ×1
大きい大会になれば、青いデッキに当たることが極めて多いです。
【BIGMAGIC Sunday Legacy】や【第5期レガシー神挑戦者決定戦】のトップ8を見ても28枚使用されている《渦まく知識》。2日連続で決勝ラウンドのデッキの8分の7が青かったですね。
2枚入れるとミラーや《実物提示教育》デッキには強くなりますが、増加するであろう《ヴェールのリリアナ》デッキ相手に無駄牌になって負けるだろうという懸念から1枚に抑えました。
明確にカウンターしたかった《時を越えた探索》も禁止によってなくなりましたしね。
《対抗呪文》 ×1
レガシーはどんなカードが飛んでくるかわかりませんし、ゲーム中盤以降に強いカウンターは1-2枚は確保したいと思っています。
ミッドレンジより遅いマッチやコンボ戦のために2枚目をサイドにとりました。
《議会の採決》 ×1
オムニテルが減ることが予想され、《ヴェールのリリアナ》・《真の名の宿敵》・《火と氷の剣》・《森の知恵》などを《造物の学者、ヴェンセール》で処理するより《議会の採決》で処理すべきと考えこちらを選択しました。
《Force of Will》 ×3 (サイドに+1)
練習過程から「メイン3枚でも1キル系コンボ以外には勝てる」ということが分かっていたので3枚に。もちろん1キル系のベルチャーみたいな相手には欲しいですが、最近は全く見ないので気にしませんでした。もしも当たってしまったらサイドから4枚目をサイドインして対応します。
ちなみに、【BIGMAGIC Sunday Legacy】の決勝ラウンドは3戦ともコンボでしたが、すべてメインをとっています。
《Karakas》 ×1
《造物の学者、ヴェンセール》を採用しないので1枚に。《ガドック・ティーグ》・《スレイベンの守護者、サリア》、そしてスニークやリアニメイトを想定して1枚は採用。
《Volcanic Island》 ×2
《秘密を掘り下げる者》デッキには《赤霊破》系を0-1枚だけに抑えるという考えの元、2枚で抑えました。
☆サイドボード
サイドボードには「比較的どんなデッキにもいれることが可能な丸いカード」と「特定のアーキタイプに刺さるキラーカード」の2種があります。ミラクルは以前と比べて数も増えましたしメタられる側に回ったと思いますので、色々なシチュエーションに対応できるようなサイド構築をしようと思い、前者の「丸いサイドカード」を中心に構築しました。以前の「RUGデルバー対スニークショー環境」のように、ずば抜けているデッキがいたら《罠の橋》のようなキラーカードをとることもあります。
《仕組まれた爆薬》 ×1
どんなデッキにもそこそこの仕事をします。そしてどのデッキからも出てくる可能性のある《真髄の針》に強いです。
よくある光景としては、《敏捷なマングース》と《真髄の針》、《死儀礼のシャーマン》2枚、《石鍛冶の神秘家》と《森の知恵》などと1対2交換することが多いです。また3色必要となりますが《ヴェールのリリアナ》にも干渉可能なのもポイントです。
《狼狽の嵐》 ×2
コンボ全般と《もみ消し》デッキに強い。《もみ消し》デッキと戦うときは、エンド時の《渦まく知識》などのアクションに対応してフェッチを切り《もみ消し》を誘い、《狼狽の嵐》で《渦まく知識》と《もみ消し》を一緒にカウンターしてしまいましょう。
《赤霊破》 ×1
《紅蓮破》 ×1
《赤霊破》《紅蓮破》は赤を足す最大の理由ですね。ミラーをみるなら計4枚とりたいですが、《呪文嵌め》が《相殺》をカウンターできるので計3枚に抑えました。黒いコンボの方が多そうだったというのも、これらを3枚に抑えた理由の一つです。
《摩耗+損耗》 ×1
用途はいろいろありますが、《虚空の杯》と《窒息》相手にしっかり引きたいです。特に《摩耗+損耗》は《平地》1枚で《窒息》を破壊できるのが強みですね。
ちなみに《相殺》で公開するときは、1マナ域もしくは2マナ域をカウンターできます(3マナはカウンターできません)。
《封じ込める僧侶》 ×2
スニーク、黒系コンボ(リアニメイト・発掘)、エルフ、《霊気の薬瓶》デッキを意識して2枚とりました。
《時を越えた探索》の禁止によりオムニテルが減少するであろうと予想の元、オムニテル以外に強力なヘイトベアを選択。
《安らかなる眠り》 ×1
《封じ込める僧侶》にできなくて《安らかなる眠り》にできることは?
それは《罰する火》を止める、土地単のデッキ否定、RUGデルバーの《敏捷なマングース》や《タルモゴイフ》のサイズを下げること。それぞれ大きな意味があります。
《僧院の導師》 ×2
アグレッシブサイド。UR系がいなくなったので《石鍛冶の神秘家》+《殴打頭蓋》パッケージよりもこちらを選択。トークン戦略を苦手とするデッキはレガシーに多く、かなりの頻度でサイドインします。
《ヴェンディリオン三人衆》 ×1
ミラーやコンボとの対戦では、引くと勝率がかなり上がる《ヴェンディリオン三人衆》。いろいろな工夫の効くカードということもあり、特に気に入っているカードでもあります。
《Karakas》で戻して《Force of Will》のブルーカウントにすることもあれば、《相殺》が貼っていればブレストでトップにすることもあるでしょう。
必ずしも相手を対象に選ぶのではなく、自分を選びサイクリングを積極的にすることも多いです。
また、プレイするタイミングで強さが変わるカードです。相手のドロー後に出すべきか?戦闘中に出すべきか?安全に相手のエンド時か?はたまた自分のメインで出すべきか?シチュエーションによって使い方が変わるのも好きな理由かもしれません。
《至高の評決》 ×1
《敏捷なマングース》を意識した上で、しっかり除去するため。ビート全般には安心できるカードです。
《Force of Will》 ×1
《対抗呪文》 ×1
コンボやミラーと当たったときにカウンターを厚くしたいという理由で採用しました。比較的青くないスペルをカウンターすることを目的としています。
☆最後の最後まで悩んだサイドカード紹介
・《狼狽の嵐》の3枚目
やはり黒いコンボが増加しそうだったので3枚目を入れるのが理想でしたが、メインに《呪文嵌め》があるということを考慮して2枚に抑えました。
・《摩耗+損耗》の2枚目
《窒息》が入ってくるデッキは他にも《森の知恵》や装備品など対象が多いため2枚目が欲しくなりますが、決勝ラウンドに残ったときに腐ることが多いので1枚で抑えました。
・《青霊破》or《水流破》1枚
《狼狽の嵐》や《赤霊破》は《実物提示教育》というカードには強いですが、《騙し討ち》に干渉できません。そこで《騙し討ち》をカウンターできて《硫黄の渦》や《若き紅蓮術士》対策も兼用できる《青霊破》も検討しましたが、最終的に範囲の広い《封じ込める僧侶》で対応するということに。
・《誘惑蒔き》1枚
《実物提示教育》への対策であり、BUG系に滅法強いので採用を考えましたが、範囲が狭いので諦めました。もう少しメタが回ってBUG続唱が増えたら採用するかもしれません。
・《外科的摘出》1枚
後手のときの対リアニメイトやドレッジに間に合い、コンボ全般に強く、土地単へのキラーカードとして候補にあがりました。しかし、これも《安らかなる眠り》と《封じ込める僧侶》で対応することにしたため採用は見送ることに。
■ 対主要アーキタイプ数種で重要な部分
今回のデッキで主要アーキタイプに対して意識していることをまとめてみました。
☆対ミラクル
ミラクルミラーは《相殺》《師範の占い独楽》を争うゲームから始まります。《赤霊破》や《呪文嵌め》で《相殺》を弾きながら自分の《相殺》《師範の占い独楽》を完成させることが大事になります。
着地してしまったことのことを考えて《議会の採決》や《摩耗+損耗》をサイドインしたくなりますが、私はそれらのカードを着地させないことを目指すようにしています。出てしまった《相殺》を処理するという方法をとっても構いませんが、「もしもこれがカウンターだったら」となることもあるでしょう。
除去は大体すべてサイドアウトしますが、《至高の評決》はカウンターされない上青いカードですので、相手の《僧院の導師》対策のために入れておきます。
☆対RUGデルバー
《不毛の大地》と《もみ消し》をしっかり意識して除去に徹すれば、あとは《敏捷なマングース》と《硫黄の渦》をいかに処理するかというゲームになります。《敏捷なマングース》のための《至高の評決》、《議会の採決》。《硫黄の渦》は《議会の採決》や《摩耗+損耗》をするか、《硫黄の渦》を無視してダメージレースをしましょう。クロック勝ちすることができる《僧院の導師》は非常に頼もしいです。
サイド後は、《赤霊破》に引っかからない白いスペルを相手のカウンターをケアして通すことを意識してゲームすれば有利に運べると思います。序盤に《相殺》や《安らかなる眠り》を置くことと生物を除去することの2択になった場合は、生物を除去することをお勧めします。
重いカードである《天使への願い》や《精神を刻む者、ジェイス》などは少しずつサイドアウトしてコンパクトにします。
☆対BUGデルバー
BUGデルバーのサイド構成次第にはなりますが、比較的強いカードの叩きつけ合いのようなゲームになります。
《相殺》や《安らかなる眠り》は《突然の衰微》が入っていないデルバーデッキには強いですが、BUGデルバー戦は相手の《突然の衰微》・《クローサの掌握》・《ゴルガリの魔除け》を腐らせてその差で勝つことができるのでセオリーとして《相殺》はすべてサイドアウトしています。相手も《突然の衰微》を抜いてそうなら少し《相殺》を残したりといったサイドボーディングの読み合いになりますね。
RUGデルバーと違い除去できない生物がいないので対生物に対して不安はありませんが、BUGデルバーはサイドに強い置物が多いので注意が必要です。代表例としては《真髄の針》、《無のロッド》、《森の知恵》、《苦花》、《ヴェールのリリアナ》など。それらの置物は常に頭にいれながらゲームを進行します。
☆対BG系ビート(ジャンド系)
ゲーム方針としては、
この2点を意識しながら、しっかりと捌いていき《天使への願い》を打つのが明確なゴールになります。天使トークンを処理する手段としてメジャーなのが《毒の濁流》や《大渦の脈動》などのソーサリータイミングが多いので、エンド時の《天使への願い》はとても強力です。
《突然の衰微》を持つデッキですが、《罰する火》を意識して《安らかなる眠り》はサイドインします。
☆対ANT
メインは《相殺》+《師範の占い独楽》を決めて、1マナと2マナをトップに積むことで勝利です。ハンドを8枚にしてストーム7の生《苦悶の触手》がありますので、ライフ17以上を維持しておくと安心です。ライフが16以下なら《苦悶の触手》のスタックで自分の生物に《剣を鍬に》をプレイしてライフゲインをすることもあります。
サイド後は、システム生物、《巣穴からの総出》、《突然の衰微》の3つをしっかり意識しながらゲームをすることが大事です。しっかりと《ザンティッドの大群》や《闇の腹心》を処理してアドバンテージを稼がせないことです。
《巣穴からの総出》のゴブリントークンを処理できないタイミングであれば、ゴブリンを出させないために《暗黒の儀式》系の呪文をカウンターすることもあります。
《突然の衰微》ケアのために《相殺》を重ねて貼るとなお良いでしょう。《相殺》を重ねたときに打ってくる《冥府の教示者》は《突然の衰微》をサーチしたがっている証なのでカウンターするといいですね。
☆対リアニメイト
やはりANT同様メインは《相殺》《師範の占い独楽》で1マナ2マナを積むのがゴールになります。また、《Karakas》はとても効果的です。
サイド後は相手がどのようなプランでくるのか見極めが大切です。スピード重視でくるか、《突然の衰微》のようなカードで妨害に対応してくるか、もしくは墓地対策自体を無視して《実物提示教育》を打ってくるかなどですね。除去をしっかり抜いて妨害を厚くして、うまく相手に合わせて対応しましょう。
最序盤に《師範の占い独楽》をプレイしたくなりますが、相手の《目くらまし》が強力なのであまり焦らないように。細かなところですが、急がずマナに余裕を持たせててゲームを進めていくことが大事になります。
☆対スニークショー
このマッチは《相殺》《師範の占い独楽》で3・4マナと積むことがゴールになります。
サイド後は《すべてを護るもの、母聖樹》を採用したり《裂け目の突破》でマナ域を変えてきたりします。《時を越えた探索》を失った今、《ヴェンディリオン三人衆》を有効的に使うことによって切り崩せるでしょう。
《封じ込める僧侶》はとても強いですが、スニーク側が《全知》を入れてくると無効化されてしまいますので気を付けないといけません。《すべてを護るもの、母聖樹》+《全知》+《引き裂かれし永劫、エムラクール》というルートをゲームが長引くと狙ってきます。ミラクル側の動きとしては《全知》着地から《引き裂かれし永劫、エムラクール》キャストスタックで《摩耗+損耗》や《赤霊破》で《全知》を破壊してから、《引き裂かれし永劫、エムラクール》を《Karakas》で戻すことで対処できます。
以上で私の「禁止改定後の奇跡コントロールの解説記事」は終了です。長文となってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
今後新しいエキスパンションや『統率者(2015年版)』が出ますので、今の環境で勝てるからといって次の環境では勝てるかはわかりません。これからのレガシーの変化が楽しみです。
それでは、また次回の「のぶおの部屋」でお会いしましょう。
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