はじめに
こんにちは、晴れる屋メディアチームの富澤です。突然ですが、みなさんは第6期パイオニア神決定戦を御覧になりましたか?
150名以上のプレイヤーが参加して大盛況に終わった同大会は、パイオニアらしく多くのアーキタイプが活躍していました。フィーチャーマッチへ登場するデッキは目まぐるしく変わり、さまざまな戦略を披露してくれたのです。この多様性こそがパイオニアの魅力であり、アイデンティティーと呼ぶべきものでしょう。
ところで、パイオニアってどこからカードが使えるのかご存じですか?また、禁止カードを正確に把握していますか?
パイオニアはフォーマット制定直後にイベントが中止になってしまったため、ほかの構築戦と比べて不明瞭な部分があります。「いざ遊ぼう」と思っても調べなければいけないことが多いのです。
そこで今回はパイオニアがどんなフォーマットだったのか改めてみていきます。
使用可能セット&禁止カード
まずはパイオニアをこれから始めてみたい方へ向けてフォーマットの特徴と使用可能セット、そして禁止カードをご説明します。デッキなどが気になる方は次の章まで読み飛ばしてくださいね。
パイオニアとは、『ラヴニカへの回帰』以降のスタンダードセットに収録されたカードを使用できる構築フォーマットです。スタンダードより広く、モダンよりもやや狭いちょうど両者の中間に位置したフォーマットとなります。特徴としてはローテーションがなく、友好色フェッチランドが禁止されている点です。使えるカードは増えれど減らないため、ひとたびデッキを構築すれば禁止改定がない限りは遊び続けることができます。
「相棒」や「出来事」、《軍団のまとめ役、ウィノータ》や《ボーラスの城塞》など、近年のスタンダードで活躍したデッキをアップデートして使えるのも魅力のひとつでしょう。『ラヴニカへの回帰』以降のスタンダードを遊んでいた方でしたら、手持ちのカードを使ってデッキを構築することができるのです。
パイオニアは健全な環境を目指しており、必要枚数が少ないコンボデッキや過度に速いデッキは禁止となる傾向にあります。また、マナベースは整っているものの友好色フェッチランドが使用できないことが最大の特徴であり、3色以上のデッキはやや不安定となります。単色アグロはそれらを咎める存在ですが、決して速さだけに全振りした細いデッキではありません。歴代屈指のカードが選ばれているため、単色ながら非常に強力なデッキなのです。
流行デッキ
では、パイオニアの主力デッキをみていきましょう。ここではアグロ、ミッドレンジ、コントロール、コンボの4種類の代表的なデッキをご紹介します。
赤単アグロ
いつ、いかなる時代にもフォーマットを問わず存在するのがこの赤単アグロです。低マナ域のクリーチャーを火力でバックアップする構成は相手を問わず強力であり、中盤以降はプレインズウォーカーも絡めて本体を狙っていきます。この手のデッキの弱点であるリソース不足を補えるように、能力土地や《舞台照らし》が多めに採用されていますね。
スタンダードの定番であった《砕骨の巨人》はパイオニアでも活躍しており、このカードをもっとも上手く使えるデッキこそ赤単アグロにほかなりません。果敢も相まって単なる2点火力以上の効果が見込めるためです。ほかにも《バグベアの居住地》や《火遊び》などスタンダードで見かけるカードもちらほらとあり、パイオニア初めには最適なデッキといえます。
イゼットフェニックス
環境の本命といえばイゼットフェニックスです。《弧光のフェニックス》を墓地へと落とし、インスタントかソーサリーを連鎖させることでノーコストで復活させて攻めていきます。軽い呪文が多いため《氷の中の存在》も相性が良く、気がつけば墓地にカードが貯まっているので《宝船の巡航》も手軽に使えます。青いデッキにしては珍しいほとんど打ち消しを使用しないミッドレンジデッキとなります。
スタンダードで活躍中の《表現の反復》を使いたい方にはおススメのデッキです。全体的に軽い構成であるため確実にカード2枚分になり、追放したカードが使えずにモヤモヤすることはありません。
5色ニヴ
クリーチャーデッキが中心となるパイオニアだからこそ、ボードコントロールに特化したデッキも生まれてきます。5色ニヴはまさにボードコントロールの申し子であり、単体/全体の除去を絡めて戦場を平定していき、《ニヴ=ミゼット再誕》へ繋げることでアドバンテージ差を確固たるものとします。構築の自由度が高く、プレイヤーの好みに合わせたカードチョイスが魅力といえます。
《白日の下に》はこのデッキを代表する呪文であり、バリューを最大限引き出すべく局所的にしか活躍できないカードもメインボードに採用されています。5マナ以下とはいえ状況に応じた最適な1枚をプレイできるのですから、戦況は大きく変化します。《白日の下に》の選択肢こそこのデッキの強味であり、構築時にもっとも悩む部分です。
《ジェスカイの隆盛》コンボ
コンボデッキに位置するのが《ジェスカイの隆盛》であり、やや複雑なデッキです。キーカードである《ジェスカイの隆盛》を設置後、《森の目覚め》を使って土地をクリーチャー化し、呪文をプレイすることでマナを増やしつつルーティングを繰り返していきます。この手順を繰り返すことでクリーチャーのサイズもアップしていきますので、最後は巨大化した土地で攻撃して終わらせます。
スタンダードで禁止になっている《創造の座、オムナス》を使えるデッキです。《創造の座、オムナス》をまだ使いたい、使いたりない方はいかがでしょうか。
チャレンジャーデッキから始めて
とは言ってもまったくの0からカードを集めてデッキを構築するのは大変かもしれません。そこでおススメしたいのが公式より発売されているチャレンジャーデッキです。チャレンジャーデッキは非常に完成度の高い構築済デッキであり、少しカードを入れ替えるだけ最新のリストへと生まれ変わります。
アゾリウススピリット
アゾリウススピリットはアグロとコントロールの中間地点に位置するデッキであり、瞬速を生かした攻防一体の挙動が魅力のデッキとなります。単体のサイズは小さいものの、《至高の幻影》や《天穹の鷲》などのロードを召喚することで一気に打点がアップ。ダメージ量が読みにくく、相手からすれば手痛い一撃をくらってしまいます。
構築済でやや物足りなさを覚えた方は色を足してみるのはいかがでしょうか。緑を足したバントスピリットは環境トップに君臨するアーキタイプのひとつです。《集合した中隊》はスピリットと相性の良いインスタントであると同時に、1枚で複数体のクリーチャーを展開できる勝負を決める一手となるカードです。
3色にする場合はマナベースの変更が必要です。ショックランドがベストですが、近年の多色土地カードは強力なものばかりでありほかでも十分代用できます。お手持ちのカードを見比べて、最適なマナベースを構築しましょう。
逆に色を減らした青単も構築可能です。土地の大半を《島》か《冠雪の島》に置き換え、《天穹の鷲》や《呪文捕らえ》を《執着的探訪》や《霊灯の罠》と入れ替えるだけです。単色にすることで《不詳の安息地》や《変わり谷》を採用できるのもメリットです。
ロータスコンボ
構築済唯一のコンボデッキがロータスコンボです。コンボと聞いただけで敬遠してしまうかもしれませんが、その完成度は素晴らしいの一言に尽きます。特にメインボードは数枚を入れ替えただけでトーナメントで見かけるデッキへと早変わりしてしまうほど。
動きは2種類の土地、《睡蓮の原野》と《演劇の舞台》を揃えるところから始まり、この2枚から6マナ以上生み出せるようにコピーすれば準備完了です。あとは土地をアンタップするカードを使ってマナを増やし、ドロー呪文でデッキを掘り進めていきます。この手順を繰り返して《全知》の設置を目指します。《全知》設置後は《副陽の接近》を2度唱えるだけで勝利できるため、慣れればパズル感覚で回せるデッキといえます。
やはり《爆発域》と《バーラ・ゲドの復活》は外せません。前者は《森の占術》でサーチできるアグロに対する防御策であり、後者はコンボパーツを拾えるリカバリーとなります。しかもどちらも土地として使えるため、序盤から終盤まで一切無駄になりません。マナを伸ばし増やすことが前提のデッキにおいて、これほどかみ合ったカードはほかにないでしょう。
ナヤウィノータ
最後にチャレンジャーデッキではありませんが、直近のスタンダードのカードを多く使ったデッキをご紹介します。ナヤウィノータは見てわかる通り、《金のガチョウ》や《軍団のまとめ役、ウィノータ》などつい先日まで活躍していたカードばかりなのです。土地カードを除けばマナクリーチャーと《復活の声》以外はすべてここ3年以内のカードであり、スタンダードで遊んでいた方ほど構築しやすいデッキといえるでしょう。
《軍団のまとめ役、ウィノータ》はパイオニアへ移行したことで、安定した初動を手に入れました。2種類のマナクリーチャーは3ターン目の《エシカの戦車》や《軍団のまとめ役、ウィノータ》の着地を確定させると同時に、攻撃時のトリガーとなるのです。序盤から《トヴォラーの猟匠》が強襲しては、相手に勝ち目はありません。
問題となるのはやはりマナベースです。幸いなことに《軍団のまとめ役、ウィノータ》が要求するのは白と赤1つずつであり、最速でも3ターン目に揃えれば間に合います。マナクリーチャースタートを前提に考えるならば、極力タップインの土地は減らしたいところ。ダメージランドやファストランド、小道サイクルを活用してマナベースを整えましょう。
おわりに
スタンダード以下のフォーマットと聞くと、古いカードばかりが活躍して新しいカードは太刀打ちできないとばかりに思い込んでいましたが、どうやらそれは誤解だったようです。ナヤウィノータのように最近のカードが中核をなすデッキもあり、少しカードを足すだけで一線級のデッキへと早変わりします。チャレンジャーデッキをベースにカードを入れ替えていくのも面白そうです。
カードプールの広いパイオニアは代用カードもあるため、各々の資産に合わせた構築が楽しめる環境だとわかりました。スタンダード以外で遊びたい方にはおススメの構築フォーマットとなります。
パイオニアに興味が出てきた方は下記の動画もぜひ御覧ください。紹介しきれなかったデッキやカードが登場しています。
それではまた!
- 2022/1/15
- 第6期パイオニア神挑戦者決定戦
- 晴れる屋メディアチーム