ちょっと珍しいレガシーのデッキたち~The Last Sun2015予選1212(レガシー)編~

晴れる屋


 今は昔。古の青には、とある必殺技があった。

 カウンターの脇をすり抜けて展開された軽量クリーチャーの群れをたった1枚で塞き止めるあのカードだ。

 
プロパガンダ


 攻撃クリーチャー1体につき2マナの”通行料”を要求するこのエンチャントは、対戦相手に『攻撃するか、カードを使うか』のどちらかを迫り、攻撃的なデッキに対して強力なアンチカードとして活躍していた。使用されるデッキの幅も広く、「パーミッション」では防御の要として、「プリズン」では相手をがんじ搦めにするキーカードとして、古き良き青の時代を支えていた1枚だ。


亡霊の牢獄


 しかし、現在では”通行料”を要求する能力は、《亡霊の牢獄》を筆頭に白へと役割を移し、青らしい能力といった印象は薄れてきてしまっている。特殊なパーマネントで相手を邪魔して搦めてロックする。そんな《停滞》《プロパガンダ》など青いカードが積み上げてきた「プリズン」らしさは、今や青のものではなくなってしまったのだ。

 それでも、「プリズンと言ったら青でしょ!」と高らかに宣言するデッキが今大会に登場した。


◆ 青赤プリズン


「青赤プリズン」
The Last Sun2015予選 1212(レガシー)

8 《島》
6 《山》
4 《沸騰する小湖》
2 《溢れかえる岸辺》
2 《裏切り者の都》

-土地(22)-

1 《瞬唱の魔道士》
1 《嵐の神、ケラノス》

-クリーチャー(2)-
3 《祖先の幻視》
4 《渦まく知識》
3 《稲妻》
3 《呪文貫き》
2 《発展の代価》
2 《爆裂+破綻》
1 《対抗呪文》
1 《火+氷》
1 《移し変え》
1 《双つ術》
4 《Force of Will》
1 《誤った指図》
1 《溶鉄の渦》
4 《プロパガンダ》
2 《基本に帰れ》
2 《血染めの月》
1 《ラル・ザレック》

-呪文(36)-
2 《大祖始の遺産》
2 《赤霊破》
1 《青霊破》
1 《真髄の針》
1 《破壊的脈動》
1 《呪われたトーテム像》
1 《無のロッド》
1 《Acid Rain》
1 《魔力流出》
1 《火山の流弾》
1 《沸騰》
1 《野火》
1 《Anarchy》

-サイドボード(15)-
hareruya


 《プロパガンダ》で相手の出足を払い、《嵐の神、ケラノス》がじっくり弱火で焼き尽くす。まさに古典的な「プリズン」デッキだ。

 だが、ここで一つの疑問が生まれる。


 「本当に《プロパガンダ》だけで、《嵐の神、ケラノス》が動く時間を稼げるの?」


 レガシーといえば古今東西あらゆるデッキが集う環境。《プロパガンダ》という対クリーチャー専用の罠だけで止まってくれるわけがない。そこで追加で用意された罠こそがこれだ。


基本に帰れ血染めの月


 そう。特殊地形対策だ。レガシー環境には強力な特殊地形で溢れていることは、周知の事実である。ならば特殊地形を対策した罠を用意しない理由もないだろう。《基本に帰れ》は文字通りマナをロックし、《血染めの月》は根本的に色マナの供給すら許さない。どちらも重ねて引くと弱いカードなので、丁寧に合計4枚が2種類に散らされている。

 次なる疑問は、これだ。


 「時間を稼げることは分かった。じゃあ、こちらは相手を止めている間に何ができるの?」


 その疑問へのストレートな回答も当然用意されている。


祖先の幻視爆裂+破綻


 こちらが目指すのは完封勝利。そのためには対戦相手よりも多くのカードにアクセスすることが一番の近道だろう。そこで用意されたのが《祖先の幻視》だ。弱体化版の《Ancestral Recall》として知られているカードだが、このデッキにおいてその印象は払拭される。なぜなら、《祖先の幻視》の弱点である『待機』というラグは、相手を遅らせる「プリズン」にとってはないも同然だからだ。気がついたら手札が3枚増える。これだけでも時間を稼ぐ価値はある。

 そして、それに続くのが《爆裂+破綻》だ。十分にリソース差をつけたら、あるいは相手を足止めできたら、あとは勝利に向かうだけ。《嵐の神、ケラノス》を出して、カウンター呪文で守り切るのも乙だが、《爆裂+破綻》で完璧にロックしてしまうのもかっこいい。身をよじる程度には動いていた相手に止めを刺す1枚だ。


野火沸騰


 サイドボードもかなり”ロック”な作りだ。《魔力流出》《呪われたトーテム像》などのキラーカードとともに、大量土地破壊が用意されている。Duallandなど基本地形タイプを持つ多色土地を狙い撃つ《野火》《沸騰》は、「青白奇跡」には基本地形ごと焼き尽くす劇的な活躍をするに違いない。《沸騰》ではこちらの《島》も壊れてしまうが、それでゲームに勝てるならば些細な犠牲である。

 相手と近距離で差し合うデッキも、ひらりと華麗に躱すデッキも楽しいが、相手に何もさせずに完封する「プリズン」デッキも最高に面白い。古き良きコンセプトが現代でどこまで通用するのか。これからの「プリズン」にも期待したい。


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