古のフォーマット、ヴィンテージで神決定戦が開催される……そんな知らせを受けたからかどうかは知らないが、今回長き眠りを経て古豪が復活した。
【プロツアー・名古屋05】チャンピオン、小室 修だ。
そんな小室が使っているのは「The Perfect Storm」こと「TPS」。ヴィンテージの強力カードを惜しげもなく使ってストームを稼ぐという点で、《むかつき》は入っていないもののいわばヴィンテージ版の「ANT」である。
対する高橋のデッキは《ドルイドの誓い》。《禁忌の果樹園》とのコンボにより最速で《グリセルブランド》を場に出すというデッキだが、どちらかというと《ドルイドの誓い》のクリーチャー耐性からクリーチャーデッキに対して相性が良く、非生物コンボである「TPS」には相性はあまり良くないとのこと。
はたして「華麗なる天才」小室の華麗なコンボが炸裂するのか。
Game 1
先手の高橋が《Library of Alexandria》をセットしてターンを終える立ち上がり。先手でも7枚キープなら、このまま次のターンのドローフェイズを迎えることができればすぐさま能力が発動する凶悪な土地だ。
返す小室は《Library of Alexandria》の起動を防ぐのと安全確認も兼ねて《強迫》で応じるが、公開された手札は《禁忌の果樹園》《Mox Jet》《渦まく知識》に加えて《Force of Will》が3枚というもの。《渦まく知識》を抜くものの、この牙城を崩すのはなかなか難しそうだ。
返すターンに土地置かずに手札6枚を維持した高橋に対し、やむなく小室は《Mana Crypt》《陰謀団の儀式》《Mox Sapphire》から《闇の誓願》をプレイ、《Force of Will》をコストとしての《Force of Will》を切らせにいく。
さらに続くターンには温存した《ヨーグモスの意志》をプレイする小室。公開情報からは《Force of Will》のコストとなる青い呪文がないところだったが、きっちり《精神的つまづき》を引き込んでいた高橋はこれをコストにあてての《Force of Will》で阻止。
そしてここからお互い攻め手がなく、ヴィンテージ名物 (?) の長いドローゴー合戦が始まる。
小室 修 |
先に有効牌にたどり着いたのは高橋だった。
《定業》から《ドルイドの誓い》を設置すると、《禁忌の果樹園》で生成されたスピリット・トークンにより、小室がターンを返してしまうと《グリセルブランド》が出現する状況となってしまう。
それでも《陰謀団式療法》のフラッシュバックでスピリット・トークンを生け贄に捧げ、高橋の手札の4枚目の《Force of Will》を落としつつ1ターンを稼いだ小室。さらに高橋に《精神を刻む者、ジェイス》までも追加された返しの事実上のラストドローに全てを賭ける。
……が、無情にもそのドローも土地だった。
そしてついに《ドルイドの誓い》が発動。降臨するのは当然《グリセルブランド》。
7枚ドロー、そして《Demonic Tutor》から《Mana Drain》をサーチして盤石の構えを見せる高橋に対し、全てが終わった後の小室の最後のドローは、あまりにも遅すぎた《Ancestral Recall》だった。
小室 0-1 高橋
Game 2
今度は小室が《Library of Alexandria》でターンを終えると、返す高橋が《Tropical Island》《Mox Ruby》から《ドルイドの誓い》を設置。とはいえ《禁忌の果樹園》がないので今はまだ置き物に過ぎない。
一方ターンが返ってきた小室は《Library of Alexandria》起動から《Mana Crypt》をプレイ、そして《防御の光網》を設置。これにより高橋は《Force of Will》ですら3マナ構えていないと打てなくなってしまう。
しかしそれならそれで攻めるのみと開き直ったか、高橋は《定業》から《Time Walk》へとつなげ、追加ターンには《精神を刻む者、ジェイス》を着地させる!実質後手2ターン目に降臨させるビッグプレイだ。
《防御の光網》があるとはいえ、このまま待っていてもジリ貧な小室は《ギタクシア派の調査》《Mox Emerald》《Black Lotus》から青青《Mox Emerald》《Library of Alexandria》残しの状態で《Timetwister》をプレイして仕掛けにいく。
ドロー次第でこのターンに勝てるという状況だったが、はたして小室が引いた7枚は土地が多く、《Mox Jet》《渦まく知識》を挟んでもなお、《闇の誓願》からの《苦悶の触手》を打っても16点しか入らない。
そして高橋のライフは17点。あと1マナ、あとストーム1つ。やむなく見えていない3枚目かシャッフル後の1ドローにかけて《思案》を打つ小室。3枚目に欲しいカードはない。シャッフル……
ドロー。
ターンエンド!
高橋 研太 |
すべてを失った小室に対し、やがて高橋は《実物提示教育》から《グリセルブランド》を降臨させる。
即座に14ドロー、そして高橋が《Demonic Tutor》を公開すると、ターンが返ってくる望みが絶たれた小室から「あー、引かれた」と声が漏れた。
すなわち。
4マナ、無限ターン。
小室 0-2 高橋