Deck Tech: 木原 惇希の「キハラワークス」

晴れる屋

By Yuya Hosokawa


 2014年、6月1日。伝説は始まった。
 
 スタンダード神決定戦。269名ものプレイヤーがたった一つの称号、【スタンダード神】を目指して火花を散らした。

 そして、並み居る強豪をなぎ倒し、決勝ではあの八十岡翔太の操る赤白バーンとの死闘を制し、見事初代スタンダード神に輝いた男。




 木原 惇希である。

 新潟の精鋭と日々切磋琢磨している木原が今回The Last Sun 2015に持ち込んだデッキは、奇しくも八十岡を倒したときと同じエスパーカラー。

 エスパーと言えば、【ワールド・マジック・カップ】で活躍したエスパードラゴンや、【GP神戸】で話題になったエスパーメンターがまず最初に思い浮かぶ。

 だが、そこは初代スタンダード神の木原。テーブルにデッキを広げると、そこには一風変わった“色のない青いカード”がたたずんでいた。




--「木原さんと言えばエスパードラゴンやエスパーコントロールを使われているイメージがありましたが、ちょっと違いますね」

木原: 「そうですね。エスパードラゴンはおっしゃる通り使っていたことはあったんですけど、全然勝てなくて(笑)」

--「なるほど。このデッキはエスパーですけど、どちらかというとかなり攻めるデッキですよね」

木原: 「攻めます! なんといってもこのデッキにはコイツがいますからね!


空中生成エルドラージ


木原: 「コイツは半端なく強いです。このデッキ、5マナのアクションが多いんですけど、3ターン目に《空中生成エルドラージ》、4ターン目に5マナのカードって動くとすぐ勝てます。このデッキの勝ち手段の一つが、《空中生成エルドラージ》から《風番いのロック》なので」


風番いのロック


--「最近は《風番いのロック》、少し減ってますよね。【アブザンミラーでもあまり強くない】ことも言及されていましたし……」

木原: 「そうですね。ただこのデッキは4ターン目に《風番いのロック》を出しますからね。《空中生成エルドラージ》がとにかく強いです」

--「そもそもどうして《空中生成エルドラージ》を入れようと思ったんですか?」




木原: 「実はこのデッキ、新潟の友人の【田中ユウが自作してグランプリ神戸でトップ16に入賞】したものなんですよ。これいいな!と思って田中と話して、これ強いあれ弱いって話をして、今のこの形に落ち着きました。最初は《白蘭の騎士》が入っていたり、《空中生成エルドラージ》が4枚入ってなかったり、《風番いのロック》も4枚じゃなかったり」

--「そういえばさっきの《風番いのロック》の話にもありましたけど、このデッキ、《白蘭の騎士》が入っていないんですね」


白蘭の騎士


木原: 2/2先制攻撃が活躍しないマッチが多すぎるんですよ。後手でしか強くないし、その後手でもマナブーストするだけ。アタルカレッドには強いんですが、それだけで。その点、《空中生成エルドラージ》は違います。《空中生成エルドラージ》先手でもマナブーストできる《白蘭の騎士》だと思ってもらっていいですよ!」

--「推しますね、《空中生成エルドラージ》

木原: 「ハッ……!すみません、《空中生成エルドラージ》への愛が強すぎるあまり……そうですね、《白蘭の騎士》のもう一つのよくないところは、マナベースを白基調にしなくちゃいけないところです。そうすると、除去の選択を変えなければならないんです」

--「《破滅の道》が使いづらくなるんですね。」


破滅の道停滞の罠


木原: 「その通りです。《破滅の道》《停滞の罠》にする必要が出てくるため、単純にデッキが弱体化します。《停滞の罠》《ドロモカの命令》でシャクられますからね。《破滅の道》は、マナが伸びやすいこのデッキでは『覚醒』で打つことも多いので、なるべくならこっちを入れたいんです」

--「プレインズウォーカーもたくさん入っていますね。」


ゼンディカーの同盟者、ギデオン灯の再覚醒、オブ・ニクシリス真面目な訪問者、ソリン


木原: 「まあ《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は相性がいいカードが多いので4枚ですね。《空中生成エルドラージ》と相性がいいです。《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》も4ターン目に出すと重さも気にならず強いです。そうです、《空中生成エルドラージ》のおかげです。そして《真面目な訪問者、ソリン》は……説明不要ですね! 《空中生成エルドラージ》と相性抜群です」

--「サイドボードには《空中生成エルドラージ》のような推しはいますか?」

木原: 《隠れたる龍殺し》ですね! こいつはすごいですよ」


隠れたる龍殺し


--「すごいですか?」

木原: 「すごいです。いろんなデッキにサイドインしますね。エスパードラゴンに対しては、『変異』で出したら《層雲の踊り手》と勘違いしてくれて除去を使ってくれます。《完全なる終わり》をこれに打ってくれて、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》が残って勝ったこともあります」

--「なるほど。《龍王オジュタイ》を倒す機会も多そうですね」



1日目の試合の様子


木原: 「アブザンに対してはいうまでもなく、アタルカレッドには2/1絆魂が強いですから。それこそ《先祖の結集》コンボみたいなデッキ以外には大体サイドインします。すごく強いカードです」

--「そう聞くとすごく強そうです。というかこのデッキ、アタルカレッドにかなり強そうですね」

木原: 「アタルカレッドもそうですけど、アブザンやエスパードラゴンなんかにも有利ですよ。《先祖の結集》コンボだけ少しキツいですけど、他のデッキには大体いけます」

--「今日はありがとうございました。この後の3回戦はレガシーですね。頑張ってください!」


 木原の推し、《空中生成エルドラージ》、お試しあれ。




木原 惇希「キハラワークス」
The Last Sun 2015

3 《平地》
3 《沼》
1 《島》
3 《大草原の川》
3 《窪み渓谷》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《汚染された三角州》
2 《進化する未開地》
4 《乱脈な気孔》

-土地(27)-

4 《搭載歩行機械》
4 《空中生成エルドラージ》
4 《風番いのロック》

-クリーチャー(12)-
2 《荒野の確保》
2 《破滅の道》
3 《残忍な切断》
2 《シルムガルの命令》
4 《絹包み》
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
2 《真面目な訪問者、ソリン》
2 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》

-呪文(21)-
3 《隠れたる龍殺し》
3 《自傷疵》
3 《正義のうねり》
3 《精神背信》
2 《軽蔑的な一撃》
1 《究極の価格》

-サイドボード(15)-
hareruya