準々決勝: 増門 健太(新潟) vs. 八十岡 翔太(東京)

晴れる屋

By Kenji Tsumura


 八十岡 翔太。説明不要の強豪であり、今年10月には念願の殿堂入りを果たした。今大会にはスタンダードに「エスパードラゴン」を、レガシーには「ANT」を持ち込みここまで勝ち進んできた。

 対するは増門 健太。予選ラウンドを12勝1敗1分と圧倒的な強さで勝ち進んできた増門は、「エスパーメンター」と「Shardless Sultai」を選択している。特筆すべきはスタンダードラウンドの成績で、増門は強豪揃いのこのイベントで唯一の7戦全勝を記録しているプレイヤーだ。

 予選を上位で通過したプレイヤーには、決勝ラウンドのフォーマットを選ぶ権利が与えられる。予選を1位で通過した増門は、当然のごとくスタンダードを選択。増門がさらに記録を伸ばすのか。それとも八十岡が増門に初めての土をつけるのか。






Game 1



 ダイスロールの結果、先手は八十岡。増門の《ヴリンの神童、ジェイス》《シルムガルの嘲笑》で退けると、3ターン目には《苦い真理》をキャストしてペースを掴む。


苦い真理


 増門が繰り出した2枚目の《ヴリンの神童、ジェイス》《究極の価格》で対処し、次なる脅威である《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》《龍王オジュタイ》で迎え撃つ。


龍王オジュタイ


 増門は《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の「+1」能力を起動して攻撃した後、《シルムガルの命令》を構えてターンを返す。《シルムガルの命令》では《龍王オジュタイ》をバウンスすることしかできないが、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》が攻撃している現状ならば1ターンを稼ぐだけでも十分な活躍と言える。

 だが八十岡は《強迫》《シルムガルの命令》を炙り出すと、そのまま《時を越えた探索》へと繋げてゲームを掌握しにかかる。


時を越えた探索


 増門は《龍王オジュタイ》を除去できるカードを引くことができず、防戦一方に。本来なら頼りになるはずの《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》も、この龍王の前では時間稼ぎにしかならない。

 八十岡の《龍王オジュタイ》が数回の攻撃を終えた後、増門もぎりぎりのタイミングで自身の《龍王オジュタイ》を引き込むが、八十岡がしっかりと《忌呪の発動》でこれに対処し、1本目は八十岡が先取。


増門 0-1 八十岡




Game 2



 《搭載歩行機械》《龍王オジュタイ》《強迫》に土地が4枚という手札をキープした増門は、1ターン目に《強迫》を打つことはせず、2ターン目の《搭載歩行機械》から動き始める。


搭載歩行機械


 2ターン目まで土地を置くだけだった八十岡に《強迫》を打ち込んでみると、《僧院の導師》《強迫》《究極の価格》《時を越えた探索》といった面々が。

 ここから《時を越えた探索》を抜き去ると同時に、増門は「八十岡が《龍王オジュタイ》に触ることができない」という重要な情報を手にする。八十岡も《僧院の導師》から《強迫》を返すが、増門の手札は《龍王オジュタイ》と土地ばかりだったためにこれは空振り。

 そして、1本目のお返しとばかりに、今度は増門が《龍王オジュタイ》を戦場に。ここまで土地しかなかった増門の手札だが、《龍王オジュタイ》《時を越えた探索》を運んでくるとゲームの天秤は一気に増門へと傾く。



増門 健太


 八十岡も《ヴリンの神童、ジェイス》《黄金牙、タシグル》を並べて対抗するものの、《龍王オジュタイ》が止まらないうえに、《搭載歩行機械》に阻まれ攻撃を通すことができない。

 八十岡がようやく引いた《完全なる終わり》《軽蔑的な一撃》で打ち消し、そのまま《龍王オジュタイ》が勝負を決めた。


増門 1-1 八十岡




Game 3



 後手、増門の《ヴリンの神童、ジェイス》がファーストアクション。八十岡は《強迫》で手札確認をしつつ、《絹包み》でこれに応える。《強迫》で覗いた手札は《究極の価格》×2・《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》×2で、そこから《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の片割れを落とした。

 増門は3ターン目こそ動けなかったものの、八十岡が《苦い真理》を打ってターンを返してきたために、安心して《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を着地させることに成功する。


ゼンディカーの同盟者、ギデオン


 しかし、1本目と同様にまたしても《龍王オジュタイ》を降臨させる八十岡。《龍王オジュタイ》のアタックで即座に《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を退場させると、《僧院の導師》までも加えて盤石の体制を築き上げる。



八十岡 翔太


 《龍王オジュタイ》で手札が充実した八十岡は、増門の後続を完全にシャットアウトし、準決勝進出に王手をかけた。


増門 1-2 八十岡




Game 4



 増門が7枚の手札をキープしたのに対し、八十岡はダブルマリガンでのスタートとなった。

 増門は《層雲の踊り手》を「変異」で着地させると、続くターンには2マナを残しながら《ヴリンの神童、ジェイス》を戦場に送り込む。


層雲の踊り手


 八十岡が繰り出した《龍王オジュタイ》には的確に《軽蔑的な一撃》を合わせ、ゲームの主導権を渡さない。《ヴリンの神童、ジェイス》を《束縛なきテレパス、ジェイス/Jace, Telepath Unbound》へと「変身」させ、止めと言わんばかりに《僧院の導師》から《強迫》をプレイし逆転の目を摘みにいく。

 そこで八十岡が公開した手札は、土地が2枚と……《龍王シルムガル》


龍王シルムガル


 この《龍王シルムガル》が増門の《束縛なきテレパス、ジェイス/Jace, Telepath Unbound》を奪い去ると、除去呪文を持たない増門の手が止まる。だが増門は決して焦ることなく、《層雲の踊り手》の「大変異」コストを残しながら、慎重に盤面を強化していく。

 2体目の《層雲の踊り手》(変異)も追加し、万が一の逆転劇を封じたうえで、ついに《ヴリンの神童、ジェイス》へとたどり着いた増門。(序盤に起動した《ヴリンの神童、ジェイス》で捨てていた)《破滅の道》が墓地にあることを確認すると、八十岡はカードを片付けた。


増門 2-2 八十岡




Game 5



 最終ゲームは、これまでと全く別のゲーム展開が待ち受けていた。

 八十岡、増門ともに3ターン目に《僧院の導師》を展開するまでは同じだったが、八十岡の後続は《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》で、増門の後続は《ヴリンの神童、ジェイス》だった。


ゼンディカーの同盟者、ギデオンヴリンの神童、ジェイス


 八十岡は増門の《僧院の導師》《絹包み》で追放し、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》をクリーチャー化して全軍でアタック!

 増門は合計で12点にも及ぶ攻撃を通す余裕がなく、《ヴリンの神童、ジェイス》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を止めるしかない。

 続くターンには《龍王オジュタイ》を呼び出すが、すでに《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》をチャンプブロックしなければいけないほどにライフはすり減っていた。

 《僧院の導師》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》のコンビが、八十岡に貴重な勝ち星をもたらした。


増門 2-3 八十岡



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