By Yoshihiko Ikawa
国内では『戦乱のゼンディカー』×6を用いたリミテッドGPが開催されなかったため、この環境の研究はあまり進んでいないと言えるでしょう。
そこで、108人のGPT名古屋で【勝ち残ったシールドデッキ】を見て気づいた点について言及していきたいと思います。
■ シールドで強い色、強い色は?
上位8人のデッキを見ると、
・白黒タッチ緑
・白青黒(《森》は《輝く光波》の「収斂」専用)
・白緑タッチ黒
・白青
・黒緑タッチ青
・青緑タッチ白
・青黒タッチ白
・白青タッチ黒赤
となっており、「白」の圧倒的な使用率が目につきます。
上位者に白が多い理由は以下の3つが考えられます。
1. コモンの飛行クリーチャーが多い
今回の環境では《目なしの見張り》や《末裔の呼び出し》のような「エルドラージ・末裔」クリーチャーを呼び出すカードが多数収録されていることもあり、地上で速攻をかける軽量ビートダウンは組みにくい傾向があります。
そんな中、飛行クリーチャーはいつだって安定感バツグンです。「この環境、飛行が強いね」。
2. 確定除去が強い
軽量ビートダウンが組みにくい分、《破滅の昇華者》のような大型エルドラージが主力を務める、ミッドレンジのようなデッキを大多数のプレイヤーが組んでいます。そのため、同じ土俵で戦うには「相手の大型エルドラージを対処できるか」が大事なポイントとなります。
その点、ほかの色に比べて除去が豊富な白は「除去が強い」という点でもほかの色よりも採用しやすいのでしょう。特に《真っ逆さま》《大物潰し》はシングルシンボルであり、タッチも容易なのでほかの除去カードよりも使用頻度が高くなっているのが分かります。
3. 圧倒的なレアが数種類ある
シールドでデッキを組む際、色を選ぶ基準のひとつとして「レアが強い色を選ぶ」というのもあながち間違いとはいえません。ドラフトと違って綺麗なビートダウンが少ない以上、シールドでは最終的にはカードパワーの叩き付け合いになることが少なくないのですから。
レアのカードパワーという点でも、白は他の色と比べて頭一つ抜けています。
1枚でゲームを決めたり、圧倒的な盤面を大逆転できるこれらのカードはこの環境でも屈指のパワーカード。同フォーマットで行われた【GPアトランタ】の【初日9-0デッキリスト】を見ても、白いデッキの4分の3に《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》《隔離の場》《次元の激高》のどれかもしくは複数枚が搭載されています。
改めて今回のGPTの【トップ8シールドデッキ】を見てみますと、8人中4人が《隔離の場》もしくは《次元の激高》を所有しており、この超強力レアたちがゲームを幾度も決めたであろうことは想像に難くありません。
以上3点から、今の『戦乱のゼンディカー』では白が最有力であることは間違いないと思われます。
逆に、今回の上位デッキで一番使用率が低い(≒負け組)色は「赤」でした。なんと上位8デッキで赤を使っているのは1人、しかもその1人は4色目としてタッチで《ヴァラクートの発動者》を採用しているのみ、という寂しいもの。
この理由も明確で、
1. ほとんどが地上クリーチャーである
2. 除去がどれもエルドラージを倒せない/倒しづらい
3. 強力ではあるが、圧倒的なレアが少ない
と白と正反対であり、エルドラージをめぐる攻防で不利だからでしょう。
ですが、この赤もすべてが弱いわけではなく、盤面に左右されず安定したクロックを刻める《棘撃ちドローン》、後半生き残ったら勝ちの《ヴァラクートの発動者》、土地さえ並べばエルドラージですら撃ち落とせる《石の怒り》など強力なコモンもあります。
プールの状況にもよりますが、特定の色に固執しすぎず、その時々で臨機応変にプールの最大限の力を発揮させれるようデッキを構築したいものですね。