USA Standard Express vol.39 -SCGO Washington DC, etc.-

Kenta Hiroki



皆さんこんにちは!

新セットの『運命再編』がリリースされて2週間になり、新カードを含んだデッキが大きな大会でも結果を残しています。

さて、今回の記事ではSCGO Washington DCSCG Premier IQ Indianapolisの結果を見ていきたいと思います。



SCGO Washington DC

~新環境初のスタンダードのSCGOを制したのはPWを多数搭載したSultai Control~


2015年1月25日

Gerard Fabiano 

1位 Sultai Control/青黒緑コントロール
2位 RW Aggro/赤白ビートダウン
3位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン
4位 UW Heroic/白青英雄
5位 Sultai Ramp/青黒緑コントロール
6位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン
7位 Abzan Midrange/白黒緑コントロール
8位 Jeskai Aggro/白青赤ビートダウン

新環境に入ってもAbzanの強さは変わらず、AggroとMidrangeを合わせるとトップ8に3名の入賞者を出しています。しかし、決勝戦は『運命再編』からの新カードを活用したRW AggroとSultai ControlというマッチアップでSultai Controlが優勝を収めました。



SCG Washington Premier IQ デッキ解説

「Sultai Control」「RW Aggro」「Abzan Aggro」「Abzan Midrange」



Gerard Fabiano「Sultai Control」
SCGO Washington DC(1位)

3 《沼》
2 《島》
4 《汚染された三角州》
2 《ラノワールの荒原》
2 《ヤヴィマヤの沿岸》
4 《華やかな宮殿》
4 《疾病の神殿》
2 《欺瞞の神殿》
1 《神秘の神殿》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地(25)-

4 《サテュロスの道探し》

-クリーチャー(4)-
2 《思考囲い》
4 《胆汁病》
2 《軽蔑的な一撃》
3 《英雄の破滅》
2 《スゥルタイの魔除け》
2 《ラクシャーサの秘密》
2 《残忍な切断》
2 《命運の核心》
1 《啓示の解読》
4 《時を越えた探索》
2 《悪夢の織り手、アショク》
2 《荒ぶる波濤、キオーラ》
1 《頂点捕食者、ガラク》
2 《精霊龍、ウギン》

-呪文(31)-
2 《ラクシャーサの死与え》
2 《黄金牙、タシグル》
2 《部族養い》
2 《否認》
2 《ファリカの療法》
1 《世界を喰らう者、ポルクラノス》
1 《漂う死、シルムガル》
1 《思考囲い》
1 《スゥルタイの魔除け》
1 《悲哀まみれ》

-サイドボード(15)-
hareruya


新PWの《精霊龍、ウギン》を含め計7枚のPWを搭載したSultai Control。《サテュロスの道探し》《啓示の解読》《ラクシャーサの秘密》《スゥルタイの魔除け》など墓地を肥やす手段を多数採用しており、「探査」ドロースペルの《時を越えた探索》や「探査」除去の《残忍な切断》、サイドの 「探査」クリーチャーの《黄金牙、タシグル》を活用していきます。
スイーパースペルの 《命運の核心》、スイーパーにもフィニッシャーにもなる《精霊龍、ウギン》の加入により実現が可能になったアーキタイプです。

メインはほぼノンクリーチャーですが、サイドには 《ラクシャーサの死与え》《世界を喰らう者、ポルクラノス》《漂う死、シルムガル》《黄金牙、タシグル》計6体ものクリーチャーが採られています。サイド後は異なる軸から攻めることが可能で、特に除去を減らしてきた相手に効きそうです。

《部族養い》はこのデッキが苦手とする速いアグロデッキに対してサイドインされるカードで、サイドに採られているクリーチャーによって「獰猛」を達成するのも比較的容易です。10点ゲインは《かき立てる炎》2枚分を打ち消しているのと同様の効果で、火力によって止めを刺してくるJeskai AggroやRW Aggroに対して特に有効です。

精霊龍、ウギン命運の核心部族養い






Danny Goldstein「RW Aggro」
SCGO Washington DC(2位)

6 《山》
5 《平地》
4 《戦場の鍛冶場》
2 《マナの合流点》
4 《凱旋の神殿》
2 《風に削られた岩山》

-土地(23)-

3 《道の探求者》
1 《魂火の大導師》
4 《ゴブリンの熟練扇動者》
4 《僧院の導師》

-クリーチャー(12)-
2 《巻き添え被害》
4 《稲妻の一撃》
4 《急報》
3 《マグマの噴流》
2 《勇敢な姿勢》
4 《軍族童の突発》
4 《かき立てる炎》
2 《前哨地の包囲》

-呪文(25)-
2 《静翼のグリフ》
2 《消去》
2 《マグマのしぶき》
2 《乱撃斬》
2 《異端の輝き》
2 《対立の終結》
2 《太陽の勇者、エルズペス》
1 《嵐の息吹のドラゴン》

-サイドボード(15)-
hareruya


新カードの《僧院の導師》をフィーチャーしたRW Aggro。《僧院の導師》はモダンやレガシーで活躍している《若き紅蓮術士》のようなクリーチャーで、非クリーチャースペルを多数採用したこのデッキにフィットしたクリーチャーです。《若き紅蓮術士》と異なり3マナとなりましたが、自身も「果敢」を持ち、生み出されたトークンも「果敢」持っているためカードパワーも高めです。

《岩への繋ぎ止め》は不採用で、除去枠には《勇敢な姿勢》《巻き添え被害》が採用されています。《勇敢な姿勢》は対象となるクリーチャーも多くクリーチャーを除去から保護することもできるので、除去スペルにありがちなコントロールとの対戦で無駄牌になることも少なくなり、他のクリーチャーデッキとのマッチアップでは破壊されなくなるモードがコンバットトリックとしても使えます。

《巻き添え被害》は追加コストにクリーチャーのサクリファイスが要求されますが、インスタントなので相手の除去に対応して死ぬ運命にあるクリーチャーをサクリファイスすることも可能です。トークン戦略寄りのこのデッキではコストを支払うのも容易なので、ほぼ《稲妻》として使用できそうです。

《前哨地の包囲》の「カン」の能力は《紅蓮の達人チャンドラ》の0能力と同様で、中盤以降は毎ターン追加のドローとして扱えます。自軍のクリーチャーが場を離れるたびに対象のプレイヤーかクリーチャーに1点ダメージ与える「龍」の能力はトークン戦略寄りのこのデッキと相性がよく、コントロールデッキにスイーパーの《命運の核心》などをキャストされても相手のPWを道づれにしたりできます。

僧院の導師勇敢な姿勢前哨地の包囲





Andrew Boswell「Abzan Aggro」
SCGO Washington DC(6位)

3 《沼》
2 《森》
2 《平地》
4 《吹きさらしの荒野》
2 《ラノワールの荒原》
4 《マナの合流点》
4 《砂草原の城塞》
1 《疾病の神殿》
1 《静寂の神殿》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地(24)-

4 《万神殿の兵士》
4 《始まりの木の管理人》
4 《羊毛鬣のライオン》
4 《ラクシャーサの死与え》
3 《先頭に立つもの、アナフェンザ》
2 《加護のサテュロス》
4 《包囲サイ》

-クリーチャー(25)-
4 《勇敢な姿勢》
3 《胆汁病》
4 《アブザンの魔除け》

-呪文(11)-
4 《思考囲い》
3 《悲哀まみれ》
2 《狩人狩り》
2 《異端の輝き》
2 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》
1 《完全なる終わり》
1 《残忍な切断》

-サイドボード(15)-
hareruya




Hunter Nance「Abzan Aggro」
SCGO Washington DC(3位)

2 《平地》
1 《森》
4 《吹きさらしの荒野》
3 《コイロスの洞窟》
3 《ラノワールの荒原》
4 《砂草原の城塞》
3 《疾病の神殿》
2 《静寂の神殿》
1 《豊潤の神殿》
2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地(25)-

4 《羊毛鬣のライオン》
4 《ラクシャーサの死与え》
3 《クルフィックスの狩猟者》
3 《先頭に立つもの、アナフェンザ》
4 《包囲サイ》
3 《風番いのロック》
2 《黄金牙、タシグル》

-クリーチャー(23)-
2 《思考囲い》
3 《胆汁病》
4 《英雄の破滅》
2 《アブザンの魔除け》
1 《真面目な訪問者、ソリン》

-呪文(12)-
4 《悲哀まみれ》
3 《異端の輝き》
1 《思考囲い》
1 《自然に帰れ》
1 《胆汁病》
1 《残忍な切断》
1 《真面目な訪問者、ソリン》
1 《リリアナ・ヴェス》
1 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》
1 《太陽の勇者、エルズペス》

-サイドボード(15)-
hareruya



前環境でもトップメタの一角として活躍していたAbzan Aggroは新環境でも2人の入賞者を出す安定したパフォーマンスを見せました。

Hunter Nanceのリストは前環境のリストと比べても大きな変化は見られませんが、『運命再編』から加入した注目の「探査」クリーチャー《黄金牙、タシグル》がメインに2枚採用されています。同じくメインから採用されている《クルフィックスの狩猟者》とも相性がよく、Abzan Aggroでも中速寄りの構成です。

一方でAndrew Boswellのリストは新カードの《始まりの木の管理人》と1マナクリーチャーの《万神殿の兵士》が取られているなどアグレッシブな構成で、それらのクリーチャーを1ターン目に安定してキャストできるようにタップインランドは少なめにして《マナの合流点》が4枚採られています。
「瞬速」持ちの《加護のサテュロス》はソーサリースピードのスイーパーを多用するコントロールに対して強いカードで、中盤以降はコンバットトリックとしても使えます。RW Aggroでも説明した除去スペルにも保護スペルにもなる《勇敢な姿勢》もしっかり4枚採用されています。

黄金牙、タシグルクルフィックスの狩猟者始まりの木の管理人





Interview With Dan Musser


Dan Musser 
今回Abzan Midrangeで入賞を果たしたDan MusserにFacebookを通してインタビューをすることが出来ました。

以前もレガシーの記事でインタビューに協力してくれたプレイヤーでSCGOも含めて大きな大会で何度も入賞経験のある強豪です。また、先週末にアメリカのPittsburghで行われたPTQでも同様のデッキで優勝し、プロツアーの権利を獲得しています。



Dan Musser「Abzan Midrange」
SCGO Washington DC(7位)

2 《森》
2 《平地》
4 《吹きさらしの荒野》
3 《コイロスの洞窟》
2 《ラノワールの荒原》
4 《砂草原の城塞》
4 《疾病の神殿》
4 《静寂の神殿》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地(26)-

4 《クルフィックスの狩猟者》
4 《包囲サイ》
1 《黄金牙、タシグル》

-クリーチャー(9)-
4 《思考囲い》
2 《胆汁病》
4 《アブザンの魔除け》
3 《英雄の破滅》
2 《骨読み》
1 《完全なる終わり》
2 《対立の終結》
1 《残忍な切断》
2 《真面目な訪問者、ソリン》
3 《太陽の勇者、エルズペス》
1 《精霊龍、ウギン》

-呪文(25)-
3 《異端の輝き》
3 《悲哀まみれ》
2 《骨読み》
1 《黄金牙、タシグル》
1 《霊気のほころび》
1 《胆汁病》
1 《完全なる終わり》
1 《残忍な切断》
1 《英雄の導師、アジャニ》
1 《リリアナ・ヴェス》

-サイドボード(15)-
hareruya




■ デッキの選択理由


--定番の《森の女人像》が不採用だったりメインから《対立の終結》が取られていたりと今までとは少し違ったリストみたいだけど、今回のデッキを選択した経緯は?

Dan: デッキは大会の1週間ほど前にSteve Rubin(以前の記事でもインタビューに協力してくれたプレイヤーでプロツアーを制したAri Laxの使用していたAbzan Midrangeの制作者の1人)が作ったもので、彼とは今回の旅でデッキリストもシェアした。

《森の女人像》を解雇したのはSteveのアイディアで、彼の論理では《森の女人像》はほとんどのマッチでサイドアウトされる上に2ターン目以降引いてくるとマナ基盤としてもやや頼りなく、ブロッカーとしても現環境ではあまり役に立たないということだった。メインの《対立の終結》は緑系のデッキの不意を付くためのイノベーションで、《森の女人像》が抜けたのもあって理にかなった選択だ。

--今回採用されていた新しいカードの感想を聞かせてくれる?

Dan:《黄金牙、タシグル》は強かったね。殆どの場合4マナ浮かせてキャストできてアドバンテージを稼ぐことができたし、今回はメイン、サイドに1枚ずつだったけどメインに2枚目を入れてもいいと思う。《精霊龍、ウギン》はサイドに入れておくべきカードだったかも知れないけど、僕はどんなカードにも対処できるこのカードが好きだから、やっぱりメインに採っておきたいかな。


■ SCGO Washington DCから1週間、PTQ『タルキール龍紀伝』のデッキリスト


Dan Musser「Abzan Midrange」
PTQ『タルキール龍紀伝』(優勝)

2 《森》
2 《平地》
4 《吹きさらしの荒野》
3 《コイロスの洞窟》
2 《ラノワールの荒原》
4 《砂草原の城塞》
4 《疾病の神殿》
4 《静寂の神殿》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地(26)-

4 《クルフィックスの狩猟者》
4 《包囲サイ》
1 《黄金牙、タシグル》

-クリーチャー(9)-
4 《思考囲い》
3 《胆汁病》
4 《アブザンの魔除け》
2 《骨読み》
2 《対立の終結》
3 《英雄の破滅》
1 《完全なる終わり》
1 《残忍な切断》
1 《リリアナ・ヴェス》
3 《太陽の勇者、エルズペス》
1 《精霊龍、ウギン》

-呪文(25)-
3 《異端の輝き》
3 《悲哀まみれ》
2 《骨読み》
1 《黄金牙、タシグル》
1 《胆汁病》
1 《完全なる終わり》
1 《残忍な切断》
1 《真面目な訪問者、ソリン》
1 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》
1 《英雄の導師、アジャニ》

-サイドボード(15)-
hareruya



Dan: PTQではメインの《真面目な訪問者、ソリン》をサイドの3枚目の《胆汁病》《リリアナ・ヴェス》に入れ替えた。《真面目な訪問者、ソリン》はライフゲインが必要なときや場が平らなとき以外はそれほどでもなくて、状況に依存するカードだったからね。それでもミラーマッチやコントロールとのマッチアップではインパクトのあるカードだから1枚サイドに残すことにした。

《世界を目覚めさせる者、ニッサ》はミラーマッチやコントロールのPWにプレッシャーをかけられる。《精霊龍、ウギン》に場を平らにされたあとも4/4で打ち倒すことができる。


■ サイドボードや苦手なデッキについて


Dan:《異端の輝き》は様々なデッキに効くとてもよいカードだ。Heroic, Abzan(Aggro, Midrange), 《岩への繋ぎ止め》《払拭の光》を採用したデッキ全般に対してサイドインする。《悲哀まみれ》は赤単やその他の速いアグロとのマッチアップでサイドインされる。残念なことにこのデッキは速いデッキを苦手とするから必須だね。

《骨読み》はコントロールやミラーでサイドインされる。追加の《残忍な切断》は対《嵐の息吹のドラゴン》用で、《完全なる終わり》はPWを使うデッキに対して投入される。《黄金牙、タシグル》はほぼ毎回サイドインされていたからさっきも話したようにメインでもよかったかもね。アグロに対してもマナコストの安い4/5のブロッカーになり、ミッドレンジやコントロールに対してはカードアドバンテージを提供してくれる。

--今回もインタビューに協力してくれてありがとう。改めてSCGO入賞、PTQ突破おめでとう。

対立の終結真面目な訪問者、ソリン異端の輝き





SCG Premier IQ Indianapolis

~青黒コントロールやTemur Aggroなど『運命再編』の恩恵を受けたデッキが多数入賞。優勝はUW Heroic~


2015年2月1日

Nathaniel Bass

1位 UW Heroic/白青英雄
2位 4C Delve/多色ビートダウン
3位 Temur Aggro/青赤緑ビートダウン
4位 UB Control/青黒コントロール
5位 Sultai Control/青黒緑コントロール
6位 Abzan Aggro/白黒緑ビートダウン
7位 Abzan Midrange/白黒緑コントロール
8位 UB Control/青黒コントロール

UB ControlやTemur Aggroなど『運命再編』から加入したカードによって強化されたデッキが多数見られます。Abzanもアグロとミッドレンジの両方が入賞しているなど安定した成績を残しています。



SCG Premier IQ Indianapolis デッキ解説

「4C Delve」「Temur Aggro」「UB Control」



Patrick Cowe「4C Delve」
SCG Premier IQ Indianapolis(2位)

2 《森》
2 《平地》
3 《吹きさらしの荒野》
3 《マナの合流点》
4 《華やかな宮殿》
4 《砂草原の城塞》
2 《ヤヴィマヤの沿岸》
1 《コイロスの洞窟》
1 《ラノワールの荒原》

-土地(22)-

2 《エルフの神秘家》
4 《森の女人像》
4 《サテュロスの道探し》
4 《クルフィックスの狩猟者》
4 《血の暴君、シディシ》
4 《包囲サイ》
2 《風番いのロック》
4 《テーロスの魂》
3 《黄金牙、タシグル》

-クリーチャー(31)-
2 《神々との融和》
4 《残忍な切断》
1 《宝船の巡航》

-呪文(7)-
3 《思考囲い》
2 《異端の輝き》
2 《軽蔑的な一撃》
2 《悲哀まみれ》
2 《宝船の巡航》
1 《イニストラードの魂》
1 《否認》
1 《払拭の光》
1 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》

-サイドボード(15)-
hareruya



《黄金牙、タシグル》の加入によって強化された「探査」スペルを多数採用する4色のミッドレンジデッキ。《サテュロスの道探し》《神々との融和》そして《血の暴君、シディシ》によって墓地を肥やしていき「探査」スペルを駆使してアドバンテージを取っていきます。

高いカードパワーを持つ《テーロスの魂》は他の緑系のミッドレンジとのマッチアップを有利にし、《黄金牙、タシグル》《サテュロスの道探し》《神々との融和》で墓地を肥やすことで早ければ3ターン目にキャストすることが可能です。墓地を肥やすのはこのデッキの最も得意とすることで、多くの場合「探査」によって1マナでキャストすることができるのでテンポ面でも優秀で、中盤以降は起動型能力によって墓地を肥やしつつカードアドバンテージを稼げます。

血の暴君、シディシテーロスの魂サテュロスの道探し






Jacob Eckert「Temur Aggro」
SCG Premier IQ Indianapolis(3位)

3 《森》
2 《山》
4 《樹木茂る山麓》
2 《マナの合流点》
4 《開拓地の野営地》
3 《シヴの浅瀬》
3 《ヤヴィマヤの沿岸》
1 《奔放の神殿》
1 《天啓の神殿》

-土地(23)-

3 《エルフの神秘家》
4 《霜歩き》
4 《爪鳴らしの神秘家》
4 《炎跡のフェニックス》
4 《凶暴な拳刃》
3 《加護のサテュロス》
3 《灰雲のフェニックス》
3 《大いなる狩りの巫師》

-クリーチャー(28)-
4 《火口の爪》
2 《乱撃斬》
3 《稲妻の一撃》

-呪文(9)-
4 《軽蔑的な一撃》
3 《龍爪のスーラク》
2 《マグマのしぶき》
2 《頑固な否認》
2 《ティムールの魔除け》
2 《石弾の弾幕》

-サイドボード(15)-
hareruya



『運命再編』からの新カード《炎跡のフェニックス》によって前環境ではイマイチ元気がなかったTemur Aggroも強化され上位で見かけるようになりました。《霜歩き》は除去耐性は皆無でスペルの対象になるだけでサクリファイスされタフネスも1と非常に打たれ弱いクリーチャーですが、2マナパワー4という破格のスペックです。共に採用されている低マナ高パワーの《加護のサテュロス》《凶暴な拳刃》このデッキの強さを支える「獰猛」を達成させる手段として活躍します。

《大いなる狩りの巫師》は攻撃が通れば自軍のクリーチャーを強化し「獰猛」を達成すればこのデッキでは貴重なカードアドバンテージ源にもなり、このデッキに多数取られている火力呪文を駆使すれば攻撃を通すのも容易です。

炎跡のフェニックス霜歩き大いなる狩りの巫師





Michael Hamilton「UB Control」
SCG Premier IQ Indianapolis(8位)

5 《島》
5 《沼》
4 《汚染された三角州》
1 《血染めのぬかるみ》
2 《華やかな宮殿》
4 《陰鬱な僻地》
4 《欺瞞の神殿》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
2 《光輝の泉》

-土地(28)-


-クリーチャー(0)-
4 《胆汁病》
2 《軽蔑的な一撃》
4 《解消》
4 《英雄の破滅》
1 《信者の沈黙》
3 《命運の核心》
2 《ジェイスの創意》
4 《時を越えた探索》
3 《危険な櫃》
3 《悪夢の織り手、アショク》
2 《精霊龍、ウギン》

-呪文(32)-
3 《ジョルベイの闇潜み》
3 《悲哀まみれ》
2 《否認》
2 《無効化》
2 《研磨時計》
1 《軽蔑的な一撃》
1 《信者の沈黙》
1 《ジェイスの創意》

-サイドボード(15)-
hareruya



以前の環境では全体除去は《危険な櫃》頼りでAbzan Aggroなどに苦戦を強いられていましたが、念願の黒い全体除去の《命運の核心》、スイーパーにもなりフィニッシャーにもなるPWの《精霊龍、ウギン》を得たことにより大幅に強化されました。

サイドの《ジョルベイの闇潜み》《沼》をコントロールしていれば2/4になり起動型能力によって「絆魂」もつくので全体除去の《悲哀まみれ》と共に苦手な速いアグロとの対戦で活躍が期待されます。

命運の核心ジョルベイの闇潜み悲哀まみれ





ボーナストピック

惜しくもトップ8には残らなかったものの、《ティムールの隆盛》を軸にしたコンボデッキがトップ16に入賞していました。


James Wager「Temur Combo」
SCG Premier IQ Indianapolis(14位)

6 《森》
1 《山》
4 《樹木茂る山麓》
1 《マナの合流点》
4 《開拓地の野営地》
2 《ヤヴィマヤの沿岸》
1 《神秘の神殿》
4 《ニクスの祭殿、ニクソス》

-土地(23)-

4 《エルフの神秘家》
4 《旅するサテュロス》
4 《起源のハイドラ》
2 《森の女人像》
3 《クルフィックスの狩猟者》
2 《加護のサテュロス》
4 《開花の幻霊》
4 《ティムールの剣歯虎》
2 《世界を喰らう者、ポルクラノス》
1 《狩猟の神、ナイレア》
1 《ケイラメトラの侍祭》

-クリーチャー(31)-
2 《召喚の調べ》
4 《ティムールの隆盛》

-呪文(6)-
3 《ナイレアの信奉者》
2 《再利用の賢者》
2 《スズメバチの巣》
2 《女王スズメバチ》
2 《召喚の調べ》
2 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》
1 《静翼のグリフ》
1 《クルフィックスの狩猟者》

-サイドボード(15)-
hareruya



《ティムールの隆盛》を軸にしたコンボデッキ。緑への信心を利用したデッキで、デッキの動きは以下の通りです。

1. 《ティムールの隆盛》が場にある状態で緑への「信心」を5以上集める。
2. 《ティムールの剣歯虎》《旅するサテュロス》をバウンスし再キャストする。
3. 《旅するサテュロス》《ティムールの隆盛》によって「速攻」を得ているので、直ぐに《ニクスの祭殿、ニクソス》を対象に能力を起動し、これを繰り返すことで無限マナを得る。
4. 《開花の幻霊》か他のパワー4のクリーチャーをキャスト&バウンスしドローを進め、ゲームに勝つのに必要な分のパワーのクリーチャーをプレイしてアタックする。

また、緑への「信心」が7以上あれば《ニクスの祭殿、ニクソス》《旅するサテュロス》の代わりに《ケイラメトラの侍祭》1枚でも緑の無限マナを得ることが可能です。
《召喚の調べ》はコンボパーツの《ティムールの剣歯虎》《ケイラメトラの侍祭》を探してくるだけでなく、サイド後は《女王スズメバチ》《再利用の賢者》《静翼のグリフ》などのクリーチャーを状況に応じてサーチしてします。

ティムールの隆盛ティムールの剣歯虎旅するサテュロス





総括

『運命再編』がスタンダードに与えた影響は大きく、既存のデッキの強化はもちろんのこと、Sultai ControlやTemur Ascendancyコンボなど新しいデッキも生み出されました。新カードの中でも特に高い使用率を誇るのは《精霊龍、ウギン》《命運の核心》《黄金牙、タシグル》で、小型エキスパンションでリリースから間もないのにもかかわらず多くのカードが使われています。

さて、今週末にはアメリカではスタンダードの大規模な大会でStarcity主催のRegionals Championshipがアメリカの14の異なるエリアで開催されます。賞金総額$5000と豪華で上位入賞者にはSCG Invitationalへの参加権も付いてきます。

次回の記事ではそのRegionals Championships WinterとSCGO Houstonの結果を見ていきたいと思います。新環境になってますます面白くなったスタンダード。今後の展開からも目が離せません。

それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!


※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『StarCityGames.com』
http://www.starcitygames.com/index.php