決勝戦:原田 暖平(イゼットデルバー) vs. 馬場 大樹(8 Cast)

晴れる屋メディアチーム

「最強」と呼ばれるのには、理由がある

たとえば、レガシーの現環境を定義づけるデッキとして名が挙がるのは、間違いなく「イゼットデルバー」だろう。だが、誰が使っても同等の強さを発揮するわけではなく、ましてや雑多なリストで連勝ができるほど甘いデッキでもない。

常にそのデッキを使って勝利しているのなら、相応の“理由”があるのだ。もちろん、ほかのデッキにも同じことが言えるのが、レガシーという世界である。

そんな第12期関西帝王戦レガシーの参加者、74名。激闘を乗り越えて決戦の場に残ったのは、TC大阪が誇る2人の猛者だ。

イゼットデルバー

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原田 暖平

原田 暖平が使用するのは「イゼットデルバー」。レガシー最強の名をほしいままにするクロックパーミッションデッキ。《敏捷なこそ泥、ラガバン》を禁止改訂で失ってもその立ち位置は揺るがない。並大抵のデッキは徹底的な除去、打ち消し、そしてデッキ名にもなっている《秘密を掘り下げる者》をはじめとした優秀な小型クリーチャーで打ち砕く。

8 Cast

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馬場 大樹

馬場 大樹が使用するのは「8 Cast」。アーティファクトを最大限活用するデッキで、『神河:輝ける世界』統率者で《河童の砲手》を手に入れたことで、デッキ全体の完成度が飛躍的に上昇した。《虚空の杯》などの妨害手段にも長けており、前述した河童や《ウルザの物語》から出た構築物・トークンで敵を瞬く間に蹂躙する。

関西帝王戦黎明期から出場し続け、王の座を狙い続けた原田。初代レガシー帝王として、今は挑戦者として決勝戦に臨む馬場。

関西レガシー環境が誇る屈指のトッププレイヤー同士による戦いの幕が、いま上がった。

決勝:原田 暖平(左) vs. 馬場 大樹(右)

決勝:原田 暖平(左) vs. 馬場 大樹(右)

決勝

Game 1

双方1回のマリガンを経て、スイスラウンド2位通過の原田からゲームが始まった。

秘密を掘り下げる者

原田が《Volcanic Island》から早速《秘密を掘り下げる者》を出したのに対し、馬場は《島》を置くだけに留まる。原田としては早急に変身させたいところだが、今回は残念ながら《秘密を掘り下げる者》のままだ。

だが、デッキトップの操作はこのデッキの十八番でもある。《思案》を唱えて1ドローした原田は、追加の《Volcanic Island》を置いて《秘密を掘り下げる者》で攻撃。ひとまず馬場のライフを19に減らした。

さて、相手のクリーチャーがまだ本調子でないなら、馬場は自分のペースを作りたいところだ。《ウルザの物語》を出した馬場は、X=1で《虚空の杯》を唱えるも、これは原田が《目くらまし》で打ち消した。そして相手の出鼻を挫いた原田がアップキープにめくった《思案》によって、《秘密を掘り下げる者》《昆虫の逸脱者》へと見事変身を遂げた。

秘密を掘り下げる者不毛の大地

その攻撃でライフを16に削った原田は、次いで《思案》を唱えてドローを調整した後、《不毛の大地》で馬場の《ウルザの物語》を破壊した。これで、馬場の戦場に残っているのは1枚の《島》だけだ。

未認可霊柩車

どうにか状況をイーブンに持っていきたい馬場は、ここで《教議会の座席》を出し、捻出した2マナで『ニューカペナの街角』の新顔、《未認可霊柩車》を唱えた。墓地のカード追放と打点の両方を担える、新時代の墓地対策カードだ。馬場は早速《不毛の大地》《目くらまし》を追放して、ターンを渡した。

メインから墓地対策カードを出された原田だが、攻撃の手は緩めない。《Volcanic Island》を出してから《昆虫の逸脱者》で攻撃し、3点ずつダメージを与えてゆく。それ以上のことはしないが、イゼットデルバーを相手にして、これ以上プレッシャーを感じる行動もない。

湖に潜む者、エムリー

一方、馬場も8 Cast「らしい」動きをするべく、追加の《島》を置いて、《湖に潜む者、エムリー》を戦場に送り出した。原田が、対抗策があるような様子を見せつつもこれを通すと、《未認可霊柩車》でさらに相手の墓地のカードを追放する。

ここまで馬場の行動を許した原田だが、決して策がないわけではなかったようだ。《厚かましい借り手》《湖に潜む者、エムリー》のバウンスを狙う。馬場は少し悩んだ調子で、《河童の砲手》をコストにしたピッチスペル《意志の力》を使って打ち消した。

しかし、なおも《昆虫の逸脱者》の攻撃は続く。残り9点となったライフは、イゼットデルバーの前では非常に心もとない。しかも原田は《ミシュラのガラクタ》を出して、即座に起動。馬場のデッキトップが《ウルザの物語》であることを把握する。加えて《紅蓮破》《湖に潜む者、エムリー》に撃ち込み、反撃の準備すら許さない。

このまま3回殴られる前に反撃を試みたい馬場は、《ウルザの物語》を設置し、《未認可霊柩車》を起動してから、頼みの綱である《物読み》を唱える。ところが、馬場の手札にやってきたのは2枚の《ミシュラのガラクタ》

ドローはできるが、盤面をどうにかするには到底届かない。ひとまず馬場は2枚の《ミシュラのガラクタ》を戦場に出し、原田を対象にして起動した。これで、相手のアップキープにドローはできる。

不毛の大地ウルザの物語

だが、当然ながら原田の猛攻は止まらない。引き続きクリーチャーで攻撃しつつ、《不毛の大地》でまたも馬場の《ウルザの物語》を破壊する。それ以上のアクションは見せないが、マナやアーティファクト生成手段を奪われ、毎ターン3点もライフを削られる光景は、馬場にとって悪夢そのものだ。

ここで馬場は2枚目の《ミシュラのガラクタ》を起動し、一縷の望みにかける。対抗策が引けずとも、再度設置した《ミシュラのガラクタ》、追加の《ウルザのガラクタ》でさらにドローを狙い、あきらめずに戦う姿勢を見せる。

不毛の大地教議会の座席

これに対し、いまだ優位を維持する原田は、《昆虫の逸脱者》の攻撃に加え、《不毛の大地》《教議会の座席》を破壊し、徹底的に馬場の行動を制限する。馬場のライフは3で、もはや《稲妻》の一撃で敗北が決する危険な状況だ。

それでも《ミシュラのガラクタ》で原田のデッキトップを確認した馬場は、通常ドローと併せた追加のドローを行い、《教議会の座席》《オパールのモックス》を設置してターンを渡す。ターンを得た原田は同じように《昆虫の逸脱者》で攻撃を仕掛けるが、ここで遂に馬場が動いた。彼が用いたのは、『神河:輝ける世界』からのニューフェイス、《天上都市、大田原》

天上都市、大田原

能力を打ち消せない原田は、大人しくバウンスを受け入れ、もう一度《秘密を掘り下げる者》を出してターンエンドを宣言する――かと思いきや、彼の手から飛び出てきたのは、なんともう1枚の《秘密を掘り下げる者》だ!

秘密を掘り下げる者秘密を掘り下げる者

こうなればもう、馬場は原田のデッキの一番上のカードがソーサリーかインスタントでないことを祈るばかりだ。しかし、原田がめくったカードは《意志の力》。2体の《昆虫の逸脱者》を前に、とうとう馬場は投了を選んだ。

原田 1-0 馬場

Game 2

原田が王手、馬場が追いかける2ゲーム目は、ノーマリガンで開始。

今度も馬場が、早いうちから原田の行動を制限しにかかる。《教議会の座席》《オパールのモックス》《ミシュラのガラクタ》を挟んでX=1の《虚空の杯》を出す、8 Castにおける王道パターンだ。もっとも、青をデッキに擁する原田がそれを許すはずがない。《表現の反復》を追放した《意志の力》で、原田はきっちりと《虚空の杯》を打ち消した。

虚空の杯意志の力

そして原田は《Volcanic Island》から、今度は《ドラゴンの怒りの媒介者》を繰り出した。墓地対策の影響をやや受けるが、《昆虫の逸脱者》と同じ打点に加え、自ら墓地を肥やしながらドローの質もある程度高められる優良クリーチャーだ。

これを見た馬場は《ミシュラのガラクタ》を起動。原田のデッキトップが《表現の反復》であることを確認しつつ、ターンをもらう。そして《島》を置くと、早々に《湖に潜む者、エムリー》を戦場に呼び出した。

原田これを打ち消さなかったが、デッキのエンジンを放っておくほど甘くはない。《赤霊破》を使い、きっちりと「諜報」してから破壊して、《ドラゴンの怒りの媒介者》で攻撃。1ゲーム目と同様、馬場のライフを削り始めただけでなく、《不毛の大地》《教議会の座席》も破壊する。

ドラゴンの怒りの媒介者

初動を妨害された馬場は、《天上都市、大田原》を置いてターンエンド。一方、原田は《思案》と「諜報」を絡めて、墓地を肥やしながらドローもこなす。そしてとうとう、「昂揚」を達成した《ドラゴンの怒りの媒介者》が攻撃を始めた。パワー3、飛行を持つクリーチャーの攻撃は、どこか1ゲーム目を想起させる動きだ。ただ、今回は戦闘フェイズ後に追加の《ドラゴンの怒りの媒介者》のおまけつきだ。

今度はデッキトップなど気にせず、毎ターン3/3が攻撃を続けてくる。ここで馬場はまたも《湖に潜む者、エムリー》を戦場に出し、アーティファクトを墓地へと送る。とはいえ速攻を持たない《湖に潜む者、エムリー》では、ターンを渡すほかない。

湖に潜む者、エムリー邪悪な熱気

早急にクリーチャーを処理したい原田にとっては、好機でもある。《表現の反復》できっちりと《邪悪な熱気》を追放した原田は、フェッチランドで《Volcanic Island》を持ってきて、しっかりと《湖に潜む者、エムリー》を焼き払う。そして2体の《ドラゴンの怒りの媒介者》の攻撃で、馬場のライフは10。次の攻撃に火力を絡められれば、簡単にライフは削り切られてしまうだろう。そうなる前に、馬場は解答策を引き込まなければならない。

物読み

《古えの墳墓》で2点のダメージを受けてでも《物読み》を唱えた馬場が引いたのは、《意志の力》――そして、望んでいた「解答」

努めて冷静にターンを渡した馬場に対し、原田は攻撃を叩き込む。ライフは2まで削られるが、とどめの《稲妻》《意志の力》で打ち消し、どうにかライフ1を保ったままターンをもらう。

後続の《秘密を掘り下げる者》も唱えられるが、これは馬場にとっては都合がよかった。なぜなら《天上都市、大田原》を伝説ルールで張り替えまでした彼が握っていたのは、同コスト帯のカードをまとめて吹き飛ばす――《仕組まれた爆薬》

仕組まれた爆薬

このアーティファクトを通した原田に対し、馬場は容赦なく起爆。3体のマナ総量が1のクリーチャーをまとめて破壊し、戦場を更地にする。

――しかし、原田はまるで動じなかった。

濁浪の執政稲妻

《渦まく知識》で手札を整えた彼の手札から、《濁浪の執政》が現れたからだ!しかも《神秘の聖域》を出し、デッキトップを《稲妻》に固定した!これで馬場は、同時に2つの脅威を処理しなければならなくなったのだ!

こうなると、もはや馬場に打つ手はない。馬場が投了し、原田に軍配が上がった。

そして彼はついに、待ち望んだ帝王の座に就いたのだった。

原田 2-0 馬場

原田 暖平

『第12期関西帝王戦レガシー』、優勝は原田 暖平!おめでとう!

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