メタゲームブレイクダウン

晴れる屋


By Atsushi Ito


 早くも新しいシーズンに突入したPPTQ。その権利を獲得するため集まった、130名のプレイヤーたち。

 そんなプレイヤーたちの選択がこちらだ。





 久しぶりのブレイクダウンはなかなかに興味深い結果となった。順に追ってみよう。



■ アブザンアグロ-15名


 『運命再編』前の王者だが、依然として環境最多勢力を誇っている。

 《勇敢な姿勢》をモロに食らう上に得たものが少ないとはいえ、そのポテンシャルは疑いようもなく、生半可なコンセプトでは太刀打ちできない。

 だが以前と比べて明らかに支配率は落ちており、ダメージランドの隙をつく赤いデッキが増加したこともあって、前ほど安定した選択ではなくなってしまった印象だ。

羊毛鬣のライオン包囲サイ




■ マルドゥミッドレンジ-14名


 ここにきてマルドゥが復活の兆しを見せてきた。赤白に《はじける破滅》をタッチしただけというものも含まれてはいるが、多くは『運命再編』前に一時期流行った《軍族の解体者》入りのミッドレンジである。

 何故今更マルドゥなのか?その理由はわからないが、最近ジェスカイミッドレンジが隆盛してきたことと関係があるのかもしれない。

 いずれにせよこれだけの割合を占めているとなれば、大会に出るならマルドゥへの警戒は外せないだろう。

はじける破滅軍族の解体者




■ 赤白ミッドレンジ-13名


 『運命再編』によって最も恩恵を受けたアーキタイプ。

 特に《前哨地の包囲》によって、赤白という手札を消費しやすいカラーリングながら消耗戦に劇的に強くなったのが大きい。

 凋落気味のアブザンアグロに代わって、これからも勢力を伸ばしていくと思われる。

魂火の大導師前哨地の包囲




■ 緑信心-11名


 こちらも『運命再編』によって大きく強化されたアーキタイプで、《囁きの森の精霊》《精霊龍、ウギン》のセットは《世界を喰らう者、ポルクラノス》に頼りがちだった決定力を大幅に改善した。

 特に赤をタッチしたバージョンは、《囁きの森の精霊》を放置してしまうと生み出した「予示」と《火口の爪》の「獰猛」で一気にライフを詰めてくるので、相手にする場合には4~5ターン目は可能な限り除去を構えたいところだ。

囁きの森の精霊精霊龍、ウギン




■ ジェスカイミッドレンジ-10名


 最近じわじわと勢力を伸ばしているジェスカイ。《風番いのロック》がフィールドから減少したことで、《カマキリの乗り手》の支配力が増しているということなのだろう。

 また、とにかく目の上のタンコブだった《包囲サイ》《勇敢な姿勢》により簡単に処理できるようになったのが大きい。《勇敢な姿勢》はクロックを保持するのにも役立つため、まさしくこのデッキのためのパーツといっても過言ではないだろう。

カマキリの乗り手勇敢な姿勢




■ アブザンコントロール-9名


 先日の【グランプリメンフィス】でBrad Nelsonをはじめトップ8に5人を送り込んだ流行のアーキタイプ。

 これまではコントロールでは《風番いのロック》が使えず、かといって《太陽の勇者、エルズペス》は4枚入れるには重すぎるというジレンマを抱えていたが、『運命再編』で《黄金牙、タシグル》が加入したことにより4~5マナ相当のフィニッシャーが補充され、コントロールプランの一貫性が取れるようになった。

 今回のPPTQでも、台風の目になるかもしれない。

黄金牙、タシグルクルフィックスの狩猟者





 『運命再編』がスタンダード環境に加入して1か月が経過したが、『運命再編』でアブザンアグロ以外のデッキが均等に強化された結果、アブザンアグロの1強体制が解消され、再びスタンダードのメタゲームは混沌の渦に叩き込まれた、といった印象を受けた。

 はたして次に抜き出るのはどのアーキタイプか。