準決勝: 長尾 泰貴(東京) vs. 斉田 逸寛(東京)

晴れる屋



By Yuya Hosokawa


 121人が参加したPWC Championshipももう残るプレイヤーは4人。その内の2人が目の前に。

 まずは斉田 逸寛。

 【PWC Championshipでの優勝経験】がある他、草の根大会での優勝経験は数知れず。PWC屈指の強豪だ。

 対するは長尾 泰貴。

 知る人ぞ知るPWCの古豪。一度はマジックから離れていたようだが、ここ何年かで復帰し、その後はPWCで上位に名を連ねている。

 準決勝。会場からは既に多くのプレイヤーが姿を消し、先ほどまでの喧騒が嘘のように、静寂に包まれている。その静けさに、準決勝という重みを否応なく理解させられる。

 厳かな空気に包まれる中、準決勝は静かに開始した。




Game 1
 先手の斉田はオープニングハンドをすぐにマリガンし、続けて配られた6枚には、先ほど選択した時と同じぐらいのスピードで答えを出した。

 《疾病の神殿》《砂草原の城塞》と並べて1ターン遅れて《羊毛鬣のライオン》をプレイする斉田。青黒コントロールの長尾はこれに《胆汁病》を差し向けると、続くターンにタップアウトして《悪夢の織り手、アショク》を呼び出した。


悪夢の織り手、アショク


 《先頭に立つもの、アナフェンザ》を送り込む斉田に対して、《悪夢の織り手、アショク》でリムーブしていた《先頭に立つもの、アナフェンザ》をプレイする長尾。

 《アブザンの魔除け》で再び追放される《先頭に立つもの、アナフェンザ》。だが斉田のコントロールする《先頭に立つもの、アナフェンザ》《信者の沈黙》で同じ場所へ。

 そしてこの《悪夢の織り手、アショク》がひたすらライブラリーを削り続ける。

 斉田の《羊毛鬣のライオン》《包囲サイ》《解消》され続けている間も、ずっと。

 《時を越えた探索》を打たれても、ただ見ていることしかできない。

 ようやく《英雄の破滅》をドローした斉田だったが、《ジェイスの創意》をプレイした長尾の手札は豊潤。

 《精霊龍、ウギン》が戦場に姿を現すと、《英雄の破滅》を持たない斉田は、すぐに土地を片付けた。


長尾 1-0 斉田




Game 2
 今度は満足行く7枚をもらった斉田は、2ターン目に《羊毛鬣のライオン》、続くターンは《クルフィックスの狩猟者》と、絶好調の展開。

 一方、マリガンを強いられた長尾は見るからに苦しそうだった。目の前の5点クロックを見つめながら、セットランド以外のアクションを起こせないでいる。



長尾 泰貴 


 ここで一気に勝負を決めたい斉田だったが、土地が3枚でぴたりと止まる。《アブザンの魔除け》で2枚引いてみても、土地は見つからない。

 だが長尾は相変わらずのドローゴー。

 訝しげな表情で《思考囲い》を打つ斉田。長尾は笑顔で手札を開示した。

 2枚の《精霊龍、ウギン》《時を越えた探索》《軽蔑的な一撃》という手札があらわになる。これは動こうにも動けない。

 ドローで《命運の核心》を引けなかった長尾は、勝負を第3ゲームに託すこととなった。
 

長尾 1-1 斉田




Game 3
 ようやく両者が7枚キープとなったゲーム3を、長尾はいつもどおりのタップインで始めた。今回は1点ゲインのある《陰鬱な僻地》

 対照的に斉田はスーサイドなスタート。《ラノワールの荒原》から《思考囲い》だ。長尾の手札から《胆汁病》を抜き去る。

 返す刀で長尾も《思考囲い》《荒野の後継者》《ラクシャーサの死与え》《羊毛鬣のライオン》《アブザンの魔除け》の中から、《ラクシャーサの死与え》をチョイス。

 《羊毛鬣のライオン》が落とされなかったことで悩んだ斉田は、《荒野の後継者》を先にプレイする。

 結局1ターン遅れてプレイしたこの《羊毛鬣のライオン》《英雄の破滅》されてしまうも、斉田の次の脅威は《クルフィックスの狩猟者》



斉田 逸寛 


 1ターン土地が止まってしまった長尾は今度は無事《光輝の泉》にめぐり合う。

 再び《クルフィックスの狩猟者》をコントロールしながら土地が止まってしまった斉田は、先ほどのゲームをなぞるかのように《アブザンの魔除け》をプレイ。そのままドローした《思考囲い》に手を伸ばす。

 長尾の手札は《時を越えた探索》が2枚に《精霊龍、ウギン》《ジェイスの創意》《ジェイスの創意》が墓地に置かれ、すぐに時を越えるために追放領域へと移動した。

 《時を越えた探索》で土地にめぐり合った長尾はセット、ゴー。

 斉田の《包囲サイ》は通すものの、即座に《命運の核心》

 だが土地が止まっていた分、斉田の手札は濃厚だ。今度は《真面目な訪問者、ソリン》

 この《真面目な訪問者、ソリン》が生き残った斉田。まずは《アブザンの魔除け》をドローモードで使用する。そして待望の5枚目の土地を手に入れると、《真面目な訪問者、ソリン》を失って2/2トークンを戦場に呼び出す。

 ここで8枚目の土地をセットした長尾は、フルタップで《精霊龍、ウギン》。第1ゲームでは、このプレインズウォーカーが勝利の要因となった。

 だが、それは斉田の手札に対処法がなかった場合だ。

 このゲームの斉田は持っていた。プレインズウォーカーの仕事を終わらせる《英雄の破滅》を。

 ゲームを終わらせるプレインズウォーカーも持っていた。

 《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を。


世界を目覚めさせる者、ニッサ



長尾 1-2 斉田