By Yoshihiko Ikawa
シャッフルをしながら、予選ラウンドを振り返る2人。
聞けば今年度のPWCランキングは大井が8位・長尾が9位。ともに大会に出場し、ともに競い合っている友人同士とのこと。
いつも通りの友人と臨む、いつもとは違う特別な大会。それがこのPWCチャンピオンシップ。
楽しそうに、かつ真剣に。一年に一度しかない「PWCC優勝」というタイトルを目指して、対戦が始まった。
Game 1
スイスラウンドの順位により、先手は青黒コントロールの長尾。
土地5枚と《胆汁病》《英雄の破滅》をキープ。
後手、アブザンアグロの大井は「昼飯早く食いすぎたかな、腹減ったー」と大食いキャラをアピールしつつマリガン。
長尾 「7枚でキープしたからって手札強いとは限らないよ」
大井 「今日ダブマリから青黒に勝ちましたよ」
緊張感とは無縁なのか、トラッシュトークを繰り広げる2人。
チャンピオンシップであっても、ここがPWCなのは変わらない。実に楽しそうだ。
ファーストアクションは後手・大井の2ターン目《ラクシャーサの死与え》。これにはエンドに《胆汁病》で処理される。
3枚目の土地が置けない大井の次なる脅威は《羊毛鬣のライオン》、これには《英雄の破滅》。大井のアクションを長尾がテンポよく捌いていく。
ここまで4ターン、自分のターンを土地セットエンドだけで淡々と終えている長尾。実はここまでのドローで土地と《精霊龍、ウギン》2枚しか引いておらず、既に「弾切れ」状態。《欺瞞の神殿》の「占術」でトップに残すことを選ぶと、大井から飛んできた《思考囲い》にも「これしかないよ」と手札を見せる。
だが、前のターンの《欺瞞の神殿》でライブラリーに残しておいたのは《ジェイスの創意》。そしてこの3ドローが
《解消》
《英雄の破滅》
《英雄の破滅》
と濃厚!顔には出さないが、これには長尾も大喜びだろう。
長尾 泰貴 |
一方、やっと4枚目の土地を引き込んだ大井。ここから反撃だ、と言わんばかりに次々と脅威を繰り出すものの、
1枚目の《包囲サイ》は《英雄の破滅》。
2枚目の《包囲サイ》は《解消》。
3枚目の《包囲サイ》も、《解消》。
さらに《先頭に立つもの、アナフェンザ》には《英雄の破滅》と綺麗に捌かれ、余ったマナを綺麗に使って《時を越えた探索》まで。ここまで来てしまうと、もはや青黒コントロールの時間だ。
長尾から繰り出された《悪夢の織り手、アショク》こそ《英雄の破滅》で対処するものの、翌ターンに出された《精霊龍、ウギン》を触ることができず、さらに《悪夢の織り手、アショク》が盤面に追加されたところで大井はゲームを畳んだ。
大井 0-1 長尾
Game 2
1ゲーム目に敗れあとがない大井だが、7枚に満足いかなかったようで即座にマリガン。
一方の長尾は、土地5枚に《英雄の破滅》2枚という手札を「そっちがマリガンならやるかー」とキープ。
1ターン目《思考囲い》からの2ターン目《羊毛鬣のライオン》、3ターン目《ラクシャーサの死与え》とグッドムーブの大井。
それに対して、長尾は《ラクシャーサの死与え》を即座に《英雄の破滅》。さらに《羊毛鬣のライオン》には2回殴られたあと、「怪物化」をさせないよう自分のターンに《信者の沈黙》で対応する。
そして返す5ターン目。大井の後続は……なし。
大井 雅貴 |
《英雄の破滅》のようなリアクションスペルが手札に溜まったのか、土地しか引いていないのか。
どちらにせよ、攻め続けたい大井にとっては厳しい展開となってしまった。
逆に捌く側である長尾は《時を越えた探索》で手札を補充すると、万全な体制に。
《アブザンの魔除け》ドローモードから駆け付けた大井の《先頭に立つもの、アナフェンザ》は《解消》。
まずはサイドインした《黄金牙、タシグル》で大井の虎の子である《英雄の破滅》を使わせたあと、大井が繰り出した渾身の《真面目な訪問者、ソリン》に対し、100点満点の解答である《精霊龍、ウギン》!
このプレインズウォーカーが生存したまま長尾にターンが返ってくると、あとは「+2」を起動するのみ。
手札に複数枚のカウンターを温存したまま、ダメージランドと《思考囲い》で傷ついていた大井のライフを、精霊龍の《幽霊火》が焼き尽くした。
長尾 「なんでも持ってた」
大井 「引きつえー」
大井 0-2 長尾
終始大井を圧倒しつづけた長尾。
所要時間はわずか10分程度、青黒コントロールとは思えないほど早い、完璧な勝利だった。