By Yuya Hosokawa
早くもPWC Championshipは第4ラウンド。
第4ラウンドからは3byeを持つプレイヤーも全て対戦テーブルに着くことになる。ということは、つまり。
【今期のミスターPWCである三宅 恭平】がフューチャーマッチに登場するということだ。
「PWC優勝回数は2回しかないんです」と本人が申し訳なさそうに言う。確かに歴代のミスターPWCと比べると少ない優勝回数ではあるが、トップ8入賞回数は歴代屈指。安定した成績を保ち続けることがマジックにおいていかに難しいかは、今更説明の必要はないだろう。三宅は立派な第10期ミスターPWCだ。
そんな新たなミスターPWCの前に立ちはだかるのは、さすがはPWCCと呼ぶべきか、ミスターPWCの魔力か――PWC屈指の強豪だ。
斉田 逸寛である。
PWCで斉田を知らない者は少ないだろう。メタゲームの中心となるデッキを駆使し、的確なプレイで勝利を積み重ねるプレイヤーだ。今期は不調のようだがそれでもPWCは優勝している。
そしてこのPWCCとも相性が良い。【PWC Championship 2011】ではなんと当時のミスターPWCだった和田 寛也を倒して見事優勝を果たしたのだ。本日も環境最強と名高いアブザンアグロを携え、現在のスコアは3勝0敗。トップ8へ、そして優勝へ向けて邁進している。
ミスターPWC三宅とミスターPWCキラー斉田の熱い戦いが今始まる。
Game 1
ミスターPWCとしての最初のゲームとなった三宅だが、痛恨のダブルマリガン。早くも「終わったかな」と呟くが、その目に闘志がたぎっているのは見て取れる。
氏族の土地の置き合いからゲームは幕を開け、スゥルタイの三宅は3ターン目に《サテュロスの道探し》を、斉田は2ターン目に《羊毛鬣のライオン》を呼び出し、3枚目の土地となる《疾病の神殿》で「占術」を行い、手札の《先頭に立つもの、アナフェンザ》を見やった。
そしてここからミスターPWC対ミスターPWCキラーの熾烈な争いが始まる。
まずは《羊毛鬣のライオン》に《英雄の破滅》を打った三宅は、後続となる《先頭に立つもの、アナフェンザ》も同じ運命を辿らせる。
ならば、と斉田は《包囲サイ》。ここに三度目となる《英雄の破滅》が飛んでくることはなかったが、三宅は回答を持っていた。
《荒ぶる波濤、キオーラ》だ。
そして今度はお返しとばかりに斉田の手札から《英雄の破滅》。だがミスターPWC、プレインズウォーカーの戦いでは負けたくないとばかりにもう1枚の《荒ぶる波濤、キオーラ》を。
だが、三宅がミスターPWCなら斉田はPWCキラー。《荒ぶる波濤、キオーラ》にも《英雄の破滅》を浴びせ、この戦いを五分へと引き戻す。
否、五分ではない。三宅の手札はダブルマリガンにより1枚。対して斉田は《包囲サイ》をコントロールしている上に、手札もある。そして今新たにプレイしたのは《荒野の後継者》。斉田の優勢は明らかだった。
エンド前に三宅が《時を越えた探索》を唱えるまでは。
それでも依然として不利なのは三宅に変わりない。7枚を慎重に吟味した三宅は不利を覆すべく動く――わけでもなく、即座にドロー、土地をセット、ゴー。
ここで斉田は仕掛ける。《サテュロスの道探し》に《残忍な切断》を打ち込んだのだ。一気にライフを6まで落とし、手札の《包囲サイ》に――は手を伸ばさない。
斉田 逸寛 |
斉田の選択は正しかった。三宅はこのターン終了時に2枚目の《時を越えた探索》。
そして時を越えた三宅がプレイしたのは《命運の核心》だったのだ。
《包囲サイ》を温存していた斉田はここでプレイ。《残忍な切断》を受けるものの、ライフを3点まで落とす。
三宅はひたすら耐える。強襲していない《風番いのロック》を《英雄の破滅》。斉田からのお代わりとなる2枚目の《風番いのロック》も、《胆汁病》2発で全力で処理する。
泥臭く守りを固めるミスターPWC。そんな三宅に力を貸すプレインズウォーカーが、既に戦場にいた。
《悪夢の織り手、アショク》だ。
《クルフィックスの狩猟者》を奪い取っていたこのプレインズウォーカーは、まずは夢から現実の戦場へとこれを呼び出す。
そして三宅が土地をセットしたことでライフは4となり、《包囲サイ》の魔の手から逃れたのだ。
この《悪夢の織り手、アショク》の活躍に、眠っていた他のプレインズウォーカーたちも目覚め出す。
まずは斉田に忠誠を誓う《真面目な訪問者、ソリン》もろとも屠る《精霊龍、ウギン》。
対処できずにターンを返すしかない斉田に、ダメ押しとなる《頂点捕食者、ガラク》。
ミスターPWCの名にふさわしいプレインズウォーカーの連打で、三宅はダブルマリガンの劣勢を見事に逆転した。
三宅 1-0 斉田
Game 2
半分以上の時間を消費してしまったゲーム1。有利な状況を逆転されてしまった斉田としては、燃えざるを得ないだろう。
そしてこのゲームでは、斉田がその力を如何なく発揮することとなった。
おなじみのタップインの鏡打ちから《羊毛鬣のライオン》とここまでは変わらない展開だが、3ターン目には《ラクシャーサの死与え》、更には《クルフィックスの狩猟者》と攻め続ける。
それに加え、今回は三宅から除去が飛んでくることはなかったのだ。《疾病の神殿》、《ヤヴィマヤの沿岸》、そして3枚目の土地も《ヤヴィマヤの沿岸》と、かみ合わない様子。
《クルフィックスの狩猟者》で見えていた《思考囲い》をそのまま斉田が三宅へ向けると、手札を見られることを嫌った三宅は、公開することなくその手札をライブラリーに混ぜ合わせた。
三宅 1-1 斉田
Game 3
斉田はこのマッチでついにマリガン。それでも2ターン目には《羊毛鬣のライオン》をしっかりと戦場へ。
どちらかというと、不安に見えるのは三宅のほうだった。沼、《汚染された三角州/Polluted Delta(ONS)》と並べ、3ターン目には《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth(V12)》。そしてそこから《英雄の破滅》と、完全に青黒コントロールと化している。
斉田の後続は《先頭に立つもの、アナフェンザ》を見やり、三宅はドローし、ここで待望の《ヤヴィマヤの沿岸》をセット。だがプレイしたのは緑などまるで関係のないカードだった。
三宅が唱えたのは《危険な櫃》。
三宅 恭平 |
これが斉田を悩ませることとなる。除去コントロールの三宅に対して強烈な《世界を目覚めさせる者、ニッサ》がある。なんとしてでも《危険な櫃》を使わせてこのプレインズウォーカーを通したい。
少考の末、《先頭に立つもの、アナフェンザ》で攻撃するのみで斉田はターンを返す。
三宅はもちろん《危険な櫃》を使うためにドロー、セット、ゴー。この隙に斉田は《アブザンの魔除け》で手札を増やすも、通常ドローも含めて引いた3枚は全て土地。再びプランを練り直す。
斉田のプレイは、《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を出して《危険な櫃》を使わせる、というものだった。
果たして斉田の狙いは通じ、《信者の沈黙》が4/4の《森》と交換となり、《世界を目覚めさせる者、ニッサ》と《先頭に立つもの、アナフェンザ》を失ったものの、これで《危険な櫃》を戦場からようやく退けることが出来た。
斉田はまず《思考囲い》。ここで三宅が公開した手札は《リリアナ・ヴェス》、《頂点捕食者、ガラク》、《残忍な切断》という強烈なもの。
豪華なラインナップから《リリアナ・ヴェス》を選択し、《羊毛鬣のライオン》を戦場に。
無事に7枚目の土地が引けた三宅は《頂点捕食者、ガラク》で《羊毛鬣のライオン》を屠る。そして《英雄の破滅》で即座に墓地送りに。
ここで力を使い果たした2人。お互いに土地を引き続け――静寂は、斉田が《ラクシャーサの死与え》をドローするまでの間、続いた。
《ラクシャーサの死与え》をコントロールした斉田の場には、土地が7枚。《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》があるためにこれらを全て《ラクシャーサの死与え》に使用することができる。
8枚目の土地を置いた斉田は《ラクシャーサの死与え》で攻撃し、攻撃が通ることを確認すると、これを2回パンプアップ。三宅はこれを受け入れてライフは残り6。
三宅は静かに逆転のプランを練る。まずは致死ダメージとなる《ラクシャーサの死与え》を《残忍な切断》でタップさせ、ここで呼び出したのは第1ゲームを制したキーカード、《精霊龍、ウギン》。
ライフは6。静かにターンを返す三宅。
斉田はドローし――戦場を見やった。2回のパンプアップ、そして再生マナを2回分立たせていた。戦場には8マナ。
それを再確認し、斉田は手札にある2枚を開示した。
1枚目は《包囲サイ》――
そしてもう1枚も、《包囲サイ》。
三宅 1-2 斉田