By Kouhei Yamashita
名出の赤白ミッドレンジは、運命再編から《魂火の大導師》と《前哨地の包囲》という核になるカードを得て急速に広まったアーキタイプである。
先日の【グランプリメンフィス2015準優勝レシピ】の75枚コピーを携えた名出。
なんとマジックを初めてまだ一月程度という事だが、7-1-1という素晴らしい戦績でベスト8に残っている。
一方松田のシディシウィップ、『運命再編』以後は若干鳴りを潜めていた感があるか。
しかし必須パーツとされている《クルフィックスの狩猟者》の大胆な不採用。
さらに《漂う死、シルムガル》、《奔流の精霊》という新戦力のチョイスや、コントロール然と振る舞うであろうサイドボード構成など、かなりやり込んできている様子だ。
新鋭の赤白と古豪のシディシウィップ、「神」への挑戦権に駒を進めるのは果たしてどちらだろうか。
Game 1
スイスラウンド上位の名出が先手を選択。
後手の松田はマリガン、さらに《サテュロスの道探し》2枚はあるが緑マナの無い手札を再度マリガン。
占術土地と《森の女人像》を含む5枚をなんとかキープする。
名出は《魂火の大導師》、《道の探求者》、《前哨地の包囲》と流れるように展開。
「果敢」の後押しで《森の女人像》では止まらない。
《前哨地の包囲》がさらなる《前哨地の包囲》を導き、場には「カン」と「龍」の包囲が揃う。
なんとかクロックを残して手札の《エレボスの鞭》を生かしたい松田だが、2枚の《岩への繋ぎ止め》がそれをも許さない。
やがて《ゴブリンの熟練扇動者》から溢れ出るトークンが松田のライフを速やかに削り切った。
内出 1-0 松田
軽い火力を全て抜き《龍語りのサルカン》や《嵐の息吹のドラゴン》という重いカードで勝負を目論む名出。
一方の松田は《スゥルタイの魔除け》、《再利用の賢者》をわずかに入れるに留める。
Game 2
先手の松田は《血の暴君、シディシ》と《エレボスの鞭》が揃っている手札、やや序盤の展開に不安はあるだろうが7枚でキープする。
先に動くのは軽い赤白の名出、《道の探求者》から《ゴブリンの熟練扇動者》。
《かき立てる炎》を絡めて松田の《血の暴君、シディシ》2連打を捌きながら着実にライフを削っていく。
名出 和貴 |
しかし松田も《血の暴君、シディシ》3号を引き込んで耐える。
ちなみにここまで松田の《血の暴君、シディシ》はハズレ無しである。
ゾンビトークンが1体でも出ていなければ名出はもっと楽にビートダウンできている。
思えばあの数枚に留めたサイドボーディングは、デッキのクリーチャーの数を保つためだったのだろうか。
地上が駄目ならと、名出もサイドインした《嵐の息吹のドラゴン》展開。
続いてさらにドラゴン2体目!
これを《ニクスの織り手》でチャンプブロックしながらの《残忍な切断》と、ギリギリのところで耐える。
松田もやられっぱなしでは無く《エレボスの鞭》で「絆魂」を得た《血の暴君、シディシ》が殴り、するとやはりゾンビが増える。
そして勝負となるターンである。
ライフ5の松田に対して《龍語りのサルカン》が加わった2体の4/4飛行が襲い掛かりゲームセットかに見えたが、名出は横にいた《道の探求者》もレッドゾーンに進めていた!
この地上クリーチャーを松田は冷静にゾンビ2体でブロックし、「絆魂」で4点を得てライフを1残す。
値千金のライフを残した松田は《女王スズメバチ》を《エレボスの鞭》の能力でリアニメイトし、場を制圧するとともにライフを火力圏外へと逃がす。
あとは《血の暴君、シディシ》+《エレボスの鞭》というデッキ名を体現するシナジーが、緩やかに名出を介錯した。
名出 1-1 松田
Game 3
《魂火の大導師》と《森の女人像》が向かい合うGame1を思わせる立ち上がり。
しかし名出、今回は鍵となる《前哨地の包囲》が無い。
対する松田は4マナ、5マナと土地を置くのみ。
《血の暴君、シディシ》を連打していたGame2と同じデッキとは思えない。
《嵐の息吹のドラゴン》は的確に《英雄の破滅》で除去する。
そして6マナに到達した松田は叩き付けるように《漂う死、シルムガル》!
名出は手札の《軍族童の突発》をキャストできない。
そして攻勢は松田の「外さない」《血の暴君、シディシ》が殴り始める。
これを名出は《勇敢な姿勢》を《魂火の大導師》で再利用しながら、《道の探求者》を3/3にして打ち取ろうとするが、そこには《残忍な切断》が刺さる。
そしてさりげなく「探査」で取り除いていた《奔流の精霊》がゲーム外からプレイされる。
《漂う死、シルムガル》の-1/-1能力のせいでまともな戦闘がさせてもらえない名出を、ゾンビの群れが喰らいつくした。
松田 幸雄 |
名出 1-2 松田