はじめに
みなさんこんにちは。
今月は『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』のリリースが控えてますね。統率者戦向けのセットですが、レガシーでも使えるため環境に影響を与えるカードがあるのか要注目です。
さて、今回の連載ではLegacy Challengeと4 Seasons Tournamentsの結果を追っていきたいと思います。
Legacy Challenge #12422660
優勝は黒単
2022年5月28日
- 1位 Mono Black Depths
- 2位 Izzet Delver
- 3位 Jeskai Control
- 4位 Reanimator
- 5位 Izzet Delver
- 6位 Temur Murktide
- 7位 Karn Echo
- 8位 Doomsday
トップ8のデッキリストはこちら
Delver系やコントロール、コンボとさまざまなデッキが入賞していた中で、なんとMono Black Depthsが優勝を収めました。
デッキ紹介
Mono Black Depths
今大会で優勝したのは、《暗黒の深部》コンボに加えて《ウルザの物語》パッケージや《ダウスィーの虚空歩き》《敵対工作員》といった多くの戦略に刺さる能力を持つクリーチャーを搭載したMono Black Depthsでした。コンボだけでなく妨害を交えたアグロプランが用意されており、単色とは思えないほど多角的な攻めができるのが特徴です。
サイドには《Helm of Obedience》コンボも搭載されています。コンボパーツの《虚空の力線》は、墓地対策としてReanimatorなどに刺さります。
☆注目ポイント
墓地対策能力を持つ《ダウスィーの虚空歩き》やサーチ禁止能力を持つ《敵対工作員》は環境の多くのデッキに対して有効で、特に回避能力を持つ《ダウスィーの虚空歩き》はクロックとしても優秀です。
《ウルザの物語》パッケージはJeskai ControlやDeath and Taxesなど、《剣を鍬に》や《カラカス》といった《マリット・レイジトークン》を対処する手段があるマッチアップで活躍します。《ウルザの物語》のおかげでコンボのみに頼らず、黒単色でありながら多角的に攻めることができます。
サイドには《虚空の力線》とコンボになる《Helm of Obedience》が採用されています。最近は墓地コンボ以外に「昂揚」や「探査」など墓地を利用するデッキが多いので、《虚空の力線》はいろいろなマッチアップでサイドインできます。《Helm of Obedience》のおかげで墓地対策しながらコンボも狙える一石二鳥のカードになっています。
Legacy Challenge #12422670
結果を残し続ける黒単
2022年5月29日
- 1位 Izzet Delver
- 2位 Karn Echo
- 3位 Elves
- 4位 Mono Black Depths
- 5位 Mono Black Depths
- 6位 Elves
- 7位 Izzet Delver
- 8位 Mono Red Painter
トップ8のデッキリストはこちら
Mono Black Depthsがここでも結果を残しています。優勝こそIzzet Delverに譲ったものの、土曜に引き続き入賞とデッキパワーは確かなようです。
デッキ紹介
Izzet Delver
現在でもトップを走り続けているIzzet Delver。リストはすでに完成されており、メインに大きな変化は見られませんが、サイドはメタに応じて調整の跡が見られます。
このデッキは、《ドラゴンの怒りの媒介者》や《濁浪の執政》といった強力なクリーチャーに加えてカードアドバンテージ源の《表現の反復》があり、コンボだけでなくコントロールとのマッチアップでも有利が付きます。
☆注目ポイント
最近のマナ基盤は、19枚目の土地として《表現の反復》などを再利用できる《神秘の聖域》が採用されていましたが、代わりに追加の《蒸気孔》が採用されています。《ドラゴンの怒りの媒介者》《稲妻》《表現の反復》など赤マナが必要なシチュエーションが多いため、ゲーム後半のアドバンテージよりも安定性を優先したようです。
レガシーはコンボも含めて青いデッキが多いため、《紅蓮破》をメインから採用したリストが主流になっています。環境に多数存在する青いデッキに加えて、同型のフィニッシャーである《濁浪の執政》に対する回答になるところが複数採用されている理由になります。
同型のサイド後は、アドバンテージを失う《意志の力》がサイドアウトされて《紅蓮破》が追加されるので、マナ総量が1のスペルをカウンターしやすい《相殺》が活躍します。ほかにも、《暗黒の儀式》や各種ハンデス、キャントリップ、《夏の帳》などを封じれるのでコンボデッキに対しても有効です。
ハンデスや《夏の帳》など最近のコンボは青対策を大量に積んでいるため、《意志の力》や《否定の力》といったカウンターだけでは間に合わないことが多く、対策を散らしておくことが重要です。
4 Seasons Tournaments
8つの異なるアーキタイプ
2022年6月5日
- 1位 Cephalid Breakfast
- 2位 8 Cast
- 3位 Grixis Shadow
- 4位 Merfolk
- 5位 Selesnya Depths
- 6位 4C Control
- 7位 Izzet Delver
- 8位 Jeskai Control
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先週末にイタリアで開催された大規模なレガシーのイベント。
MOではIzzet Delverが幅を利かせていますが、今大会ではプレイオフに勝ち残った8名のプレイヤーがすべて異なるアーキタイプを選択していました。
デッキ紹介
Cephalid Breakfast
今大会ではHareruya ProsのJavier Dominguez氏も参戦していました。Javier選手はCephalid Breakfastを使用し、見事に優勝しています。
《セファリッドの幻術師》を軸にしたクリーチャーベースのコンボデッキです。基本的な動きは、まず《セファリッドの幻術師》とそれをマナをかけずに対象にできる《コーの遊牧民》か《手甲》を組み合わせることでライブラリーのすべてのカードを墓地に落とします。その過程でライブラリーから出た3体の《ナルコメーバ》を《戦慄の復活》のコストに充て、《タッサの神託者》を墓地から復活させて特殊勝利を狙います。
コンボだけでなくハンデス、除去、カウンターとそろったEsperカラーの特徴を活かした構成で、《石鍛冶の神秘家》+装備品や《空を放浪するもの、ヨーリオン》でアドバンテージを稼ぐミッドレンジとしても振舞うことができます。また、《護衛募集員》からコンボパーツや《孤独》などを状況に応じてサーチするツールボックス的な要素も持ち合わせています。
☆注目ポイント
《霊気の薬瓶》によってカウンターで妨害されることなくコンボパーツを場にそろえることができます。《セファリッドの幻術師》コンボのパーツである《手甲》は、《石鍛冶の神秘家》でサーチしてくることが可能です。
特定のキーカードを引き当てる確率を考慮すると、80枚デッキのコンボは矛盾したコンセプトに感じられますが、このデッキは《セファリッドの幻術師》コンボに大きく依存した構成ではなく、《欠片の双子》コンボのようにコンボをちらつかせつつ、《空を放浪するもの、ヨーリオン》によるミッドレンジプランを実行することができます。
80枚デッキは60枚デッキよりも一貫性は劣りますが、《護衛募集員》や《石鍛冶の神秘家》などのサーチ手段や《悪意の大梟》、各種ドロースペルが多数搭載されているためデッキの動きは安定しています。
メインは除去や装備品などフェアデッキとのマッチアップで活躍するカードにスペースが割かれている分、サイドには《神秘の論争》《思考囲い》《狼狽の嵐》といったコンボデッキとのマッチアップ用のカードが多数見られます。《神秘の論争》は赤が使えないこのデッキにとって貴重な青対策カードで、コントロールやDoomsdayなど青ベースのコンボとのマッチアップで重宝します。
《エーテル宣誓会の法学者》と《疫病を仕組むもの》は特定のマッチアップにおいて有効で、《護衛募集員》でサーチできるため1枚ずつの採用になっています。特に《疫病を仕組むもの》は、Elvesなど小型のクリーチャーを並べる戦略に刺さります。
Merfolk
Merfolkはレガシー環境で常に一定数見かける定番の部族デッキです。最近はマーフォーク以外にも青い優秀なクリーチャーが登場したため、全体的にデッキパワーも上がっています。
《虚空の杯》や《船殻破り》などで相手の行動を制限しながらマーフォークを並べ、各種ロードによって強化してビートダウンしていきます。
☆注目ポイント
このデッキの理想的な動きは、1ターン目に《霊気の薬瓶》を置いて2ターン目に《虚空の杯》をX=1で設置し、相手の行動を制限しつつ《霊気の薬瓶》からクロックを展開していくことです。《魂の洞窟》のおかげでこちらのカードは《虚空の杯》の影響を受けません。
比較的新しいカードとして『モダンホライゾン2』から《激浪の形成師》が登場しました。Death and TaxesやElvesなどのクリーチャーデッキに対しては、相手の土地を《島》にして無理やり島を渡ることができます。
相手の追加のドローを制限する《船殻破り》は、マーフォークなのでロードによる強化の恩恵を受けることができます。瞬速で隙も少なく《虚空の杯》とともに環境の多くの戦略に刺さります。
強力な除去である《虹色の終焉》が登場したことで、現在はスイーパーを採用したデッキが少なくなりました。それにより、単体除去に耐性のある《真の名の宿敵》はいままで以上に強力な勝ち手段となります。
パーマネントに触りにくいのが青単の弱点ですが、最近は《天上都市、大田原》や《厚かましい借り手》といったカードも登場したため、以前に比べて《梅澤の十手》や《殴打頭蓋》など厄介なパーマネントを対処しやすくなりました。
クリーチャー除去に貧しいこのデッキにとって、2ターン目の《石鍛冶の神秘家》から出てくる《殴打頭蓋》は厳しいカードでしたが、それを奪って勝ち手段にしてしまう《ファイレクシア病の支配》は面白いチョイスです。
総括
6月7日に禁止制限告知がありましたが、レガシーはノーチェンジでした。
詳しい理由は公式でも語られていますが、《敏捷なこそ泥、ラガバン》を失ったことで勝率が下がり、ほかのデッキも同様に結果を残しているところがノーチェンジの理由のようです。先週末に開催された大規模なレガシーのイベントでは、プレイオフに入賞したデッキがすべて違うこともあり、もう少し様子を見ることになりそうです。
USA Legacy Express vol.200は以上です。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!