◆はじめに
お疲れ様です。てんさいチンパンジー(@tensai_manohito)です。
私事ですが、先日開催された第20期スタンダード神挑戦者決定戦で幸運にも優勝して挑戦者の権利を得ました。
最近はモダン大好きおじさんになっており、あまりスタンダードはやっていませんでしたが、勝てたことは素直に嬉しかったです。が、本番である神決定戦では特に惜しいところもなくボコボコにされてしまいました。宮田さんは防衛おめでとうございます!
そして唐突ですが、いまモダンが熱い!!(ますだ調べ)
私自身、もともとはアミュレットタイタン、けちストーム、サニーサイドアップ、タメシブルームといった怪しいデッキ(諸説あり)を使うのが楽しくてモダンをやっていたのですが、気づけばモダンそのものが楽しくなってしまい、最近はいろんなデッキで遊んでいます。
先月はリビングエンドを紹介させていただきましたが、今月は最近のお気に入りである「カスケードクラッシュ」を紹介します。カスケードクラッシュは現在のモダンを代表するデッキで、かつ構築思想もある程度固まったデッキではありますが、私なりに手を加えた部分を中心に解説できればと思います。
また、カスケードクラッシュを使う予定がない方に向けても、カスケードクラッシュ対策にも触れていますので、最後までお付き合いただけると幸いです。
◆カスケードクラッシュとは?
《衝撃の足音》を中心としたミッドレンジデッキです。デッキ内の2マナ以下の呪文を《衝撃の足音》のみにすることで、《断片無き工作員》《暴力的な突発》から確実に《衝撃の足音》をめくることができます。
これは3マナで4/4のサイ・トークンが2体展開できる圧倒的なパフォーマンスです。「ただサイ・トークンを出して殴るだけ」と揶揄されることもありますが、これは“たったそれだけでも勝てる”という意味も含んでいます。
「続唱」呪文から《衝撃の足音》を確実にめくる都合上、2マナ以下の呪文を採用できない=序盤が脆いと思いきや、《砕骨の巨人》や《厚かましい借り手》で2マナから妨害も可能です。また、《否定の力》《激情》《緻密》のようなピッチ呪文も使用できるので、意外と隙がありません。
手札1枚から8~10点分の打点を確保できるため、残りの手札をすべてバックアップにあてることが可能です。そのため、マリガンへの耐性が非常に高く、ダブルマリガンやトリプルマリガンをしても普通にゲームになります。
同じく「続唱」を利用するデッキとしてリビングエンドがありますが、リビングエンドと比較すると以下のメリット・デメリットがあります。
▼メリット
対策が効きづらい
カスケードクラッシュ対策には《仕組まれた爆薬》のようなカードが取られますが、これはサイ・トークンを効率よく対処できるだけです。リビングエンドにおける《大祖始の遺産》がデッキそのものを機能不全にさせるレベルの対策なので、その差は歴然です。
また、《虚空の杯》のような「続唱」自体の対策に関しても、リビングエンドはそれを退かさなければほぼ詰みなのに対し、カスケードクラッシュは《砕骨の巨人》や《厚かましい借り手》などのクリーチャーで殴りきる展開は十分にありえます。
このように、“対策の対策”に対してかなりの耐性を持っている点がウリです。
▼デメリット
最大値が低い
リビングエンドは万全の状態から「続唱」呪文で《死せる生》が唱えられればほぼ確実に勝ちます。しかし、カスケードクラッシュの場合は4/4 のサイ・トークンが2体出るだけです。《虹色の終焉》や《冥途灯りの行進》でサイ・トークンが除去されればもう1回やり直しです。そういった意味でも「続唱」自体の威力には大きな差があります。
要するに最大値を取るならリビングエンド、安定を取るならカスケードクラッシュということになります。
《大魔導師の魔除け》の採用について
カスケードクラッシュにはいくつかのカラーバリエーションがあります。ティムールカラーでまとめたものが主流ですが、今回は私のお気に入りである《大魔導師の魔除け》を使ったタイプを紹介します(以降、それぞれを「ティムール型」「青型」と称します)。
青型の最大のメリットは、なんといっても《大魔導師の魔除け》の採用によってミラーマッチに強くなることです。ミラーマッチはどちらが多くの「続唱」呪文を引けるかのみが勝敗を分けます。介入する余地はほとんどありません。《大魔導師の魔除け》は相手の《衝撃の足音》を打ち消せるだけなく、サイ・トークンのコントロールを奪えるため、相手にだけ「続唱」を連打されて負けるという展開はぐっと減ります。
反面、積極的にライフを詰めてくる相手には逆立ちしても勝てません。カスケードクラッシュはフェッチランドを多用する構造なため、特にバーンとの相性は悪いです。
ティムール型の場合は《宝石の洞窟》を経由した最速2ターン目の続唱による押しつけパターンがありますが、青型はマナベースの負荷から《宝石の洞窟》ではなく《溢れかえる果樹園》を採用することが一般的で、前述のような押しつけパターンが一切ないため、相性通りの一方的なゲームになってしまいます。
◆サンプルリスト
(※非表示のカードは《火/氷》です)
◆採用カード:メインボード
マナベース
ほとんどの土地を青絡みに寄せています。ティムール型と異なり《山》《踏み鳴らされる地》は不採用で、フェッチランドも《樹木茂る山麓》を採用せずに青絡みで統一しました。青マナカウントできない土地は《森》《耐え抜くもの、母聖樹》の2枚のみと、最低限の採用に留めています。
《森》は《血染めの月》の上から《断片無き工作員》《暴力的な突発》を唱えるため、《耐え抜くもの、母聖樹》は《虚空の杯》などの置き物対策も兼ねているため、青マナが出ないリスクを負ってでも必要と判断しました。
安定して《大魔導師の魔除け》を使うためにはこれくらい寄せる必要があります。《山》《踏み鳴らされる地》のせいで《大魔導師の魔除け》が適正ターンに唱えられなくては寄せている意味がありません。
《断片無き工作員》/《暴力的な突発》
《衝撃の足音》をめくる呪文たちです。特に触れません。
《砕骨の巨人》
「当事者」カードその1。普通使いで1:2交換をしやすく、初手にあると嬉しいカードです。また、サイド後に「続唱」呪文が対策された際には貴重な戦力としてカウントできます。
対コンボやスケール差のある相手(対アミュレットタイタン、マネーパイルなど)には弱いことから減らされることも多いですが、「続唱」以外では最強クラスのカードです。しっかり4枚採用することを推奨します。
《厚かましい借り手》
「当事者」カードその2。《砕骨の巨人》と違って単体でリソース稼ぐことはほとんどないですが、《大魔導師の魔除け》と一緒に構えられるインスタント&瞬速がデッキ構造とマッチしています。
サイド後は《虚空の杯》《虚空の鏡》といった対策を一時的に退かした上で、最終的にはクロックにもなってくれるため、これもまたデッキとの相性は抜群です。ただし、クリーチャーとして唱えるときは《レンと六番》に注意。[-1]能力でやられると嫌な気分になります。
《緻密》
序盤を埋める「想起」エレメンタル。《大魔導師の魔除け》とともに3~4ターン目から構える動きを一貫させるために採用しています。《激情》に比べると決まったときのインパクトは小さいですが、《時を解す者、テフェリー》《原始のタイタン》などの苦手なカードに対してインスタントタイミングで耐性がつくのが強みです。
《衝撃の足音》
「待機4」と遅いものの、わずか1マナで「待機」可能で、「待機」明けは0マナの仕掛けになります。途中で引くとガッカリすることもありますが、初手に1枚ある分には悪いどころかむしろ良いほうです。喜んで「待機」しましょう。この“引いても嬉しい”というのが《死せる生》との大きな違いです。
《火/氷》
最強の呪文。2ターン目に唱えられると勝率が5倍になります(当社比)。《氷》で土地を対象に取るのが最強で、実質キャントリップつきの《枯渇》です(?)
《火》もダメージが振り分けなので、《敏捷なこそ泥、ラガバン》+《ドラゴンの怒りの媒介者》や《下賤の教主》+《極楽鳥》を同時に倒したりも可能です。このカードの初出(『アポカリプス』)が20年以上前というのが信じられません。強すぎます!
《否定の力》
ほぼ《時を解す者、テフェリー》専用の打ち消し呪文です。デッキ全体を構える形に寄せているため、ピッチせずに素で唱えることも多いです。ただ、サイド後は《神秘の論争》のほうが使いやすく強力なため、対コンボ以外のほとんどのマッチアップでサイドアウトされます。
《大魔導師の魔除け》
デッキのキーカード。このカードを強く使うためにデッキ全体を青に寄せています。カスケードクラッシュはサイ・トークンを並べた後は戦闘以外にやることがないので、1枚で複数の役割を持つカードとは相性が良いです。ほとんどは打ち消しモードで唱えますが、土地を伸ばしたいときはドローモード、ミラーマッチではコントロール奪取モードと状況や相手次第でマルチに活躍します。
《謎めいた命令》
追加の《大魔導師の魔除け》です。若干やりすぎ感はありますが、《大魔導師の魔除け》と違って《虚空の杯》のような置き物にも触れるのがポイント。サイド後は《神秘の論争》に弱いので頻繁にサイドアウトします。
◆採用カード:サイドボード
《神秘の論争》
青いデッキにサイドイン。カジュアルに《否定の力》と入れ替えます。
《忍耐》
墓地を使うデッキにサイドイン。「続唱」対策されたときは普通にクロックとしても活躍します。マナベースが青に寄っているので、緑のダブルシンボルは意識しないと素出しできない点には注意が必要です。
《活性の力》
置き物や《ウルザの物語》を使うデッキにサイドイン。腐るときはとことん腐るので、困ったら入れないほうが無難です。
《死亡/退場》
《エスパーの歩哨》やマナクリーチャーを使うデッキにサイドイン。カードパワーはデッキ内でもダントツで低く、できれば採用したくはありません。しかし、ハンマータイムヨーグモスコンボのように序盤からしっかり動きたい相手には1マナという軽さが重要になるため、仕方なく採用しています。この辺りを無視するのであれば不採用も視野です。もしくは《激情》と差し替えてもよいかもしれません。
◆不採用カード
《山》/《踏み鳴らされる地》
《大魔導師の魔除け》を適正ターンに唱えるためには、これらの青マナの出ない土地を引くのは許容できません。
《激情》
ピッチコストにできるカードに似たような役割が多く、「火力を捨ててこのカードを唱えるのもな~」という状況が多かったため不採用としました。ハンマータイムやヨーグモスコンボなど、明確にこのカードが強い相手も存在するので、サイドに採用したい気持ちもあります。
《血染めの月》/《月の大魔術師》
サイドの選択肢が少ない中では効果も劇的なため、サイドでの採用率は高いです。しかし、青型はティムール型と異なり、《大魔導師の魔除け》を使う関係からこれらを採用するのは自殺行為に等しいです。
フェッチランドを青絡みに寄せているため、《森》を持ってくるのが難しい点もマイナスポイント。むしろ出されるとキツいレベルです。
《プリズマリの命令》
置き物破壊としても重く、宝物・トークン生成もデッキとそこまで合わず、火力やルーティングも中途半端で必要性を感じませんでした。普通使いでリソースが取れるタイミングも限られているため、今回は不採用としました。
◆プレイ指針
本項ではプレイ指針について解説します。カスケードクラッシュはクリーチャーを唱える・攻撃する・ライフを削るといったフェアな優等生デッキです。しかし、3マナで8~10点のクロックを掛けられるデッキは普通ではありません。どう見てもアンフェアです。この“アンフェア”な部分をどう活かすかを意識しましょう。
マリガンをする
カスケードクラッシュは非常にマリガン耐性の高いデッキです。勝つために必要なカードが少ないため、ダブルマリガンくらいであれば平気で戦えます。 そのため、なんとなく戦えそうな7枚をキープするくらいであれば、マリガンしたほうが強くなることは大いにありえます。
「この手札で何ができるのか」というのをイメージし、勝ちに繋がるビジョンが見えないようであれば積極的にマリガンしましょう。詳細なマリガン判断については後述いたします。
クロックを掛ける
《砕骨の巨人》と《大魔導師の魔除け》のような3マナが渋滞し、どちらから先に唱えるか悩む場面は頻出します。そのような状況でのセオリーとしては、先にクロックになるカードを唱えたほうがよい方向に転がることが多いです。
クロックをかけずに構えることを選んだ場合、それを見た相手がさして重要でない行動に切り替えてくることもままあります。そうしてずらされた結果、延々と構え続けることになり、一生クロックをかけられる展開にならないようでは本末転倒です。であれば、一番最初にリスクを負ってクロックをかけましょう。早ければ早いほどリスクは小さいです。
もちろん、現時点で5マナあり、1ターン待てばに3マナ+3マナで動けることが確定している場合は1ターン遅らせたほうが良いでしょう。「先にクロックを掛けろ!」というのはあくまで《厚かましい借り手》《暴力的な突発》のようにインスタントタイミングでクロックを掛けられるカードがない + 3ターン目のような複数行動を取れるようになるまでにターン数がかかる場合の話です。
ライフを詰める
カスケードクラッシュの勝ち手段は相手のライフを削りきることです。サイ・トークンは3ターン目前後で出てくるクリーチャーの中では比較的大きなサイズで、基本的に戦闘で悩むことは少ないです。
しかし、中盤以降は《濁浪の執政》や《タルモゴイフ》といった4/4を越えるサイズのクリーチャーが並び始めると、攻撃に参加させるのが難しくなってきます。そんなとき、攻撃の手を休めるのではなく、チャンプアタックを含んだとしても戦闘に参加させたほうが良いケースもあります。
相手のライフが落ち込めば、終了ステップの《暴力的な突発》を嫌ってブロッカーを多めに立たせてくる = 相手の攻撃を抑える可能性もあります。また、相手のライフが2以下になれば《砕骨の巨人》や《火/氷》のような本体火力でゲームを決められる = 《否認》のような打ち消しのためにマナを構えなければなくなり、不自由な行動を強いる可能性も出てきます。
いずれにせよ、相手のライフを詰めることで相手の行動に大きく制限を掛けられるため、ライフは積極的に詰めていきましょう。
◆マリガン判断
本項ではマリガン判断について解説します。キープ/マリガンは以下の基準を満たすかどうかで判断します。
土地:2枚~3枚
3マナあればほぼ不自由なく動けるため、2枚から3枚がベストです。1枚以下は問答無用でマリガンです。4枚目までは《緻密》の素キャストや《謎めいた命令》のために悪くはないですが、必須というほどではないです。5枚以上はおおむねマリガンです。
「続唱」呪文:~4枚
「続唱」呪文は連打しても強いです。むしろ連打しましょう。土地3枚、《断片無き工作員》《断片無き工作員》《暴力的な突発》《暴力的な突発》のような手札は喜んでやりましょう。
《衝撃の足音》:~1枚
1枚までならキープ基準になります。が、2枚目以降は後続の「続唱」呪文の価値が大きく下がるのでマリガンも視野です。
《砕骨の巨人》/《火/氷》:1枚~
カスケードクラッシュの動き出しは基本的に3ターン目になります。なので、2ターン目を埋めてくれるカードは非常に心強いです。特に《火/氷》はクリーチャーを使わないデッキに対しても裏目なく2ターン目を埋めてくれるため、「続唱」呪文の次にキープに寄与するカードです。
以下、サンプルとしていくつかのCaseでマリガン判断を考えます。これらはすべてメイン戦を前提としています。サイド後は相手に合わせて対策の有無などと組み合わせて考えてください。
Case 1
キープします。2ターン目の《氷》による妨害からの3ターン目の《断片無き工作員》によるクロック、そして《大魔導師の魔除け》によるバックアップ。完璧なラインナップです。土地周りにも問題ありません。これ以上ない最高の手札でしょう。
Case 2
キープします。「続唱」呪文こそありませんが、初手の《衝撃の足音》は十分にキープ基準になりえます。ほかの呪文で十分に時間を稼ぐこともできるため、このレベルであればキープで問題ないでしょう。
Case 3
キープします。「続唱」呪文も《衝撃の足音》もありませんが、2~4ターン目の行動も確約されており、相手の妨害で十分な時間も稼げます。[Case 2]に近い考え方で、これもまたキープして良いでしょう。
Case 4
マリガンします。呪文には文句がないため、「赤マナさえ引ければ…」とキープしたくなる手札ですが、いざ適正ターンまでに引けなかったときに後れを取り戻すほうが難しいです。
また、土地を1枚引くだけでは《暴力的な突発》《大魔導師の魔除け》が同時に受からないため、3ターン以内に2枚の土地を引く必要があります。 このレベルであれば、より良い手札を求めてマリガンしたほうがよいでしょう。
Case 5
マリガンします。[Case 3]は「続唱」呪文がなくとも、それ以外の呪文が強力なのでキープしても問題ないと判断しました。しかし、《砕骨の巨人》と《厚かましい借り手》だけで勝てる相手は流石に存在しません。不要な土地も多く、これ以上の土地引きは受け入れられないことも考えると、マリガンしたほうがよいでしょう。
◆サイド方針
本項ではサイド方針について解説します。モダンには膨大なアーキタイプが存在するため、個別にサイドボーディングを紹介するのではなく、サイドアウトの方針について解説します。
サイドインするカードは「◆採用カード解説」で解説した通りなので割愛します。そもそもカスケードクラッシュはサイドの種類が少なく、メインでの固定パーツも多いため、入れ替えのパターンはあまり多くはないです。
《否定の力》
対コンボ以外はほぼ不要です。そのため、多くのマッチアップでサイドアウト候補になります。サイド後はお互いに不要なカードが抜けてリソース勝負になりがちなので、そうなると《否定の力》は重い《否認》になりがちで使いにくいです。《時を解す者、テフェリー》対策もサイド後は《神秘の論争》のほうが優れているため、素直に入れ替えましょう。
《緻密》/《謎めいた命令》
青い相手にはサイドアウト候補です。青くて重いカードは《神秘の論争》をケアするのが難しいため、素直にサイドアウトしたほうが無難です。
《厚かましい借り手》
ふんわりとしたカードなので困ったらサイドアウトします。対策の対策(主に《活性の力》)と交換されることが多いです。
《砕骨の巨人》
火力が当たらないor2点では意味のない相手にはサイドアウトします。主にクリーチャーを使わないアミュレットタイタンやタメシブルームなどのコンボデッキ相手に抜くことが多いです。
◆TIPS
本項ではカスケードクラッシュを扱うにあたってのTIPSを紹介します。
《火/氷》関連
相手の終了ステップに《暴力的な突発》から仕掛けたいときは、戦闘後メイン・フェイズ終了時に土地を対象に取りましょう。こうすることで、相手がメインフェイズ内で追加で行動を起こさない限り浮きマナを無駄にできるため、結果的に終了ステップの仕掛けが通りやすくなります。ただし、《呪文貫き》のようなマナ要求の打ち消しには引っかかりやすくなるので相手次第では注意が必要です。
また《氷》を複数唱える際、アップキープに複数枚唱えるよりも、アップキープに1枚、ドローステップに1枚と唱えたほうが浮きマナを無駄にさせられます。
《忍耐》関連
自分の墓地を対象にすることも可能です。これによって自身の《衝撃の足音》を山札に戻すことで、「続唱」呪文でめくる回数を増やせます。《明日の瞥見》デッキでも使われるテクニックです。覚えておきましょう。
《衝撃の足音》関連
「続唱」でめくれた《衝撃の足音》は唱えないことも選べます。《死せる生》と異なり、唱えない意味はあまりないですが、《大歓楽の幻霊》がいるときなどは唱えないほうがよいケースも存在します。ただし、「待機」していた場合、「待機」が明けた際には必ず唱えなければいけません。
《厚かましい借り手》/《死亡/退場》/《天上都市、大田原》関連
《死亡》はクリーチャー以外を対象に取ることはできません。《時を解す者、テフェリー》を倒せなくてもイライラしないようにしましょう(1敗)。
《厚かましい借り手》と《退場》は自分のパーマネント(クリーチャー)を対象に取ることはできません。テキストに書いてある通りです。気をつけましょう(2敗)。
ちなみに《天上都市、大田原》は自分のパーマネントを対象に取れます。テキストはよく読みましょう(3敗)。
◆カスケードクラッシュ対策
本項ではカスケードクラッシュの対策について紹介します。カスケードクラッシュを使用する予定がない方にとって、どのようにしてカスケードクラッシュを攻略するかの手助けになれば幸いです。
ただ、カスケードクラッシュは対策に強いデッキなため、「これを入れればバッチリ!」というカードはハッキリ言って存在しません。紹介するカードたちは万能ではなく、あくまで自身のデッキに合った対策はどれか?というサポート程度に考えて下さい。
《虚空の杯》/《虚空の鏡》
「続唱」対策。《断片無き工作員》《暴力的な衝撃》《衝撃の足音》を無力化します。が、無視して《砕骨の巨人》などで殴りきることもあります。過信は禁物です。
《時を解す者、テフェリー》
「続唱」対策。サイ・トークンを戻された上でカードも引かれるので最悪です。採用できるのであればこれがベストでしょう。《天上都市、大田原》で退かされることもありますが、基本的に戦闘以外では退かせず、定着すれば最強です。《砕骨の巨人》や《厚かましい借り手》で頑張って倒しに行くような展開では大体勝たないというのが現実です。
《仕組まれた爆薬》/《拘留代理人》/《大渦の脈動》
出てきたサイ・トークンをまとめて対処できます。色を選ばず先置き可能な《仕組まれた爆薬》が最も使いやすいです。《拘留代理人》は《エラダムリーの呼び声》でサーチ可能なので、デッキによってはこちらを優先することもあるでしょう。
《大渦の脈動》は《仕組まれた爆薬》に比べると重さやタイミングが気になりますが、《仕組まれた爆薬》では不都合がある場合には検討の余地があります(自分もトークンを運用するなど)。
《乱動する渦》/《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》
マナコストを払わないことを咎めるカードたち。《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》は火力で落ちやすく、イマイチです。
《乱動する渦》は置き物ということで触られづらく、かつカスケードクラッシュがフェッチランドによるライフ損失が激しいことから、ライフを詰めるデッキが使うサイドとしては最適です。ただし、逆にライフを詰めるのが遅いデッキが使っても5点支払って普通に唱えられてしまう可能性があるため、コントロールデッキでは使わないほうがよいでしょう。
《エメリアのアルコン》/《弁論の幻霊》
呪文に回数制限をかけるカード。「続唱」呪文からの《衝撃の足音》を止められます。よく《霊気の薬瓶》から出てきて悶絶します。タフネス2以下は《砕骨の巨人》《火/氷》で落としやすいですが、タフネス3を越えると途端に対処できなくなるので、この手の対策を使うのであればタフネス3以上のものを選ぶとよいです。
《狼狽の嵐》
「続唱」呪文を打ち消すには最適です。マナコストも軽く、非常に使いやすいです。
◆おわりに
以上でカスケードクラッシュのデッキガイドは終了になります。
カスケードクラッシュはフェアデッキと見せかけて、《氷》からの《断片無き工作員》のようなアンフェアな動きを持った、現代モダンらしいデッキです。同じ「続唱」を使ったリビングエンドと違って大きな有利/不利がつくマッチアップが少なく、対策カードでゲンナリすることもほとんどありません。これぞtier1デッキ!といった風格で、モダンで長く戦える・勝てるデッキを使ってみたい!という方にオススメです。
本記事を通じてカスケードクラッシュに興味を持つキッカケになる、またカスケードクラッシュを扱う人の手助けになれば幸いです。
増田 勝仁 (Twitter)