みなさんこんにちは!
いよいよ待ちに待ったGP京都が来週末に開催されます。日本で初めて開催されるレガシーのGPだけに大きな盛り上がりが期待できそうです。
さて、今回の記事ではSCG Invitational RichmondとSCGO Richmond、第3期レガシー神挑戦者決定戦、SCG Premier IQ Syracuseの結果をチェックしていきたいと思います。
SCG Invitational Richmond トップ8
~SCG Invitationalを制したのはTemur Delver~
2015年3月29日
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1位 Temur Delver/カナディアン・スレッショルド
2位 Miracles/白青奇跡
3位 Lands/土地単
4位 Esper Thopter Foundry/ソプターコントロール
5位 Shardless Sultai/続唱青黒緑
6位 Infect/感染アグロ
7位 Miracles/白青奇跡
8位 Sultai Delver/青黒緑アグロ
(SCG Invitational Richmond プレイオフはスタンダードで行われました)
Jacob WilsonはTemur Delver、Reid DukeはMiraclesと、多くのプロプレイヤーはそれぞれ使い慣れたデッキを選択していました。Elvesをよく使っていたプレイヤーのChris AndersonはEsper Thopter Foundryと珍しいタイプのデッキを使用していたのが印象的です。
同様にElvesで何度も入賞経験のあるRoss Merriamも異なるデッキ(Sultai Delver)を選択していることから、Miraclesなど相性の悪いデッキが増加傾向にあるElvesは現在のレガシーの環境では肩身が狭いようです。
SCG Invitational Richmond デッキ解説
「Temur Delver」
3 《Tropical Island》 3 《Volcanic Island》 4 《霧深い雨林》 4 《汚染された三角州》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《敏捷なマングース》 4 《タルモゴイフ》 -クリーチャー(12)- |
4 《渦まく知識》 4 《目くらまし》 2 《四肢切断》 4 《Force of Will》 4 《稲妻》 4 《呪文貫き》 4 《もみ消し》 4 《思案》 -呪文(28)- |
2 《紅蓮破》 2 《呪文嵌め》 2 《Rough》 2 《水没》 2 《Grafdigger’s Cage》 1 《硫黄の精霊》 1 《青霊破》 1 《狼狽の嵐》 1 《古えの遺恨》 1 《壌土からの生命》 -サイドボード(15)- |
過去のSCGOやGPで同様のデッキで入賞し続けているJacob Wilson。今大会のレガシー部門でもTemur Delverで全勝という成績を記録しました。
軽い優秀なクロックと大量に積まれた妨害スペルでANTやShow and tell系のコンボに強く人気のあるアーキタイプのひとつで、メタに関係なくレガシーの大きな大会では常に一定数存在します。
《不毛の大地》+《もみ消し》による土地破壊と《呪文貫き》や《目くらまし》といった軽いソフトカウンターは特にレガシーに不慣れなプレイヤーに対して無類の強さを発揮します。
フェッチランドの起動タイミングやサーチする土地の選択、ソフトカウンターを絡めた駆け引きなど覚えることが多いので、レガシーの大きな大会に参加する際はこのデッキとのプレイテストは必ずしておきたいところです。
☆注目ポイント
サイドの《呪文嵌め》は《瞬唱の魔道士》、《相殺》、《タルモゴイフ》、《石鍛冶の神秘家》など2マナの脅威が多数存在するため追加のカウンターとして申し分ない性能です。
SCG Premier IQ Richmond トップ8
~青いメタゲームの海を泳ぎ切ったReanimator~
2015年3月29日
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1位 Reanimator/リアニメイト
2位 Infect/感染アグロ
3位 Miracles/白青奇跡
4位 Miracles/白青奇跡
5位 Death and Taxes/白ウィニー
6位 Elves/エルフ
7位 Jeskai Delver/パトリオット
8位 Shardless Sultai/続唱青黒緑
同週末に開催されていたSCG Invitationalに参加していたプレイヤーも(トップ8に入賞していたプレイヤーを除き)参加しており、MiraclesやShardless Sultaiといった青いフェアデッキが多く勝ち残りました。入賞したプレイヤー層もTom RossやBBDといった強豪プレイヤーが見られるなど、往年のSCGOを彷彿させます。
そんな中優勝を果たしたのは、墓地対策が薄くなってきたことで最近好調なReanimatorです。
SCG Premier IQ Richmond デッキ解説
「Reanimator」「Infect」「Miracles」
1 《島》 1 《沼》 2 《Underground Sea》 1 《Bayou》 1 《Tropical Island》 4 《霧深い雨林》 4 《汚染された三角州》 2 《新緑の地下墓地》 -土地(16)- 1 《墓所のタイタン》 3 《グリセルブランド》 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 1 《潮吹きの暴君》 1 《エメリアの盾、イオナ》 -クリーチャー(7)- |
4 《渦まく知識》 4 《入念な研究》 4 《納墓》 3 《思案》 4 《再活性》 2 《思考囲い》 1 《動く死体》 3 《目くらまし》 4 《死体発掘》 4 《Force of Will》 1 《時を越えた探索》 3 《水蓮の花びら》 -呪文(36)- |
3 《強迫》 3 《突然の衰微》 2 《夜の戦慄》 2 《真髄の針》 1 《Tropical Island》 1 《墨溜まりのリバイアサン》 1 《見栄え損ない》 1 《ゴルガリの魔除け》 1 《時を越えた探索》 -サイドボード(15)- |
墓地対策や対策クリーチャーの《封じ込める僧侶》が減少傾向にあるため、最近好調のReanimator。特に《突然の衰微》のために緑を足したNick Patnodeのリストは《安らかなる眠り》や《封じ込める僧侶》などの対策カードにも耐性があります。
☆注目ポイント
《夜の戦慄》、《見栄え損ない》、《ゴルガリの魔除け》など《ルーンの母》や《スレイベンの守護者、サリア》対策が多めに採用されています。カウンターされない《突然の衰微》も《ルーンの母》の前では無力なので重要です。
特に《ゴルガリの魔除け》は追加の置物対策になり、《突然の衰微》でも触れない《虚空の力線》も壊せます。
1 《森》 4 《Tropical Island》 4 《霧深い雨林》 4 《新緑の地下墓地》 1 《樹木茂る山麓》 1 《ペンデルヘイヴン》 4 《墨蛾の生息地》 1 《不毛の大地》 -土地(23)- 4 《ぎらつかせのエルフ》 4 《貴族の教主》 4 《荒廃の工作員》 -クリーチャー(26)- |
2 《Berserk》 4 《渦まく知識》 1 《輪作》 2 《ギタクシア派の調査》 1 《思案》 2 《呪文貫き》 1 《もみ消し》 3 《巨森の蔦》 3 《目くらまし》 4 《激励》 3 《Force of Will》 1 《時を越えた探索》 1 《強大化》 -呪文(11)- |
2 《水流破》 2 《剣を鍬に》 2 《クローサの掌握》 2 《安らかなる眠り》 1 《Karakas》 1 《Savannah》 1 《屍百足》 1 《呪文滑り》 1 《狼狽の嵐》 1 《Force of Will》 1 《森の知恵》 -サイドボード(15)- |
Tom RossはGP New Jerseyでも同デッキで準優勝を果たしているInfectのスペシャリストです。デッキの存在が広く知れ渡っている現在は以前のようにこのデッキとの対戦経験の少ないプレイヤーの不意を突くことは難しくなりましたが、このデッキの強みは高速コンボデッキという側面がありながらロングゲームにも強いところです。
毒カウンターは通常ダメージと異なり回復が不可能なため、毎ターンパンプスペルによる瞬殺コンボによるプレッシャーを相手に与えつつ、確実に毒カウンターを蓄積させるといったゲームになることの方が多くなります。
☆注目ポイント
今回Tom Rossが使用したリストで最も特徴的だったのは白をタッチしていたことです。これにより墓地対策の《安らかなる眠り》、除去の《剣を鍬に》にアクセスが可能になりました。
相手を毒殺するこのデッキにとって《剣を鍬に》によるライフゲインは気にならず、相手のブロッカーをたったの1マナで除去できるのでテンポ面においても優秀です。
4 《島》 2 《平地》 3 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 2 《乾燥台地》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 -土地(21)- 2 《瞬唱の魔道士》 -クリーチャー(2)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《剣を鍬に》 1 《対抗呪文》 1 《Council’s Judgment》 2 《天使への願い》 4 《Force of Will》 2 《時を越えた探索》 4 《終末》 4 《Sensei`s Divining Top》 4 《相殺》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(37)- |
3 《紅蓮破》 2 《封じ込める僧侶》 2 《翻弄する魔道士》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《呪文貫き》 2 《Wear》 1 《紅蓮地獄》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
レガシーでは青白系のデッキを得意とし、去年の11月に開催されたGP New Jerseyでも特徴的なJeskaiで優勝を飾っていたBBDですが、今回はMiraclesを選択しています。
この《思案》と《瞬唱の魔道士》を採用した型は、GP New Jerseyでもトップ4に入賞していたヨーロッパのMiraclesマスターのPhilipp Schoneggerが使用していたことでヨーロピアンスタイルとも呼ばれています。
☆注目ポイント
《思案》は多くのMiraclesのリストに1-2枚見かけることがありますが、このリストは4枚フルに採用しています。奇跡スペルのセットアップもしやすくなり《瞬唱の魔道士》との相性もよく、《時を越えた探索》の「探査」コストのために墓地を肥やすことも容易になります。
サイドには《ヴェンディリオン三人衆》、《翻弄する魔道士》、《封じ込める僧侶》の3種類の妨害要素を搭載した軽いクロックが多数採られています。
第3期レガシー神挑戦者決定戦 トップ8
~Reanimatorを駆る入江準がレガシー神への挑戦権を獲得~
2015年3月29日
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1位 Reanimator/リアニメイト
2位 ANT/むかつきストーム
3位 12 Post/12ポスト
4位 Deathblade/デスブレード
5位 UR Delver/青赤デルバー
6位 Painter/ペインター
7位 UR Delver/青赤デルバー
8位 Miracles/白青奇跡
奇しくもSCG Premier IQ Richmondと同様にReanimatorの優勝で幕を閉じた第3期レガシー神挑戦者決定戦。しかし、SCG Premier IQ Richmondの結果と異なりANTなどのコンボも見られ、12 Postや未だに根強い人気を誇るUR Delverも結果を残しています。
第3期レガシー神挑戦者決定戦 デッキ解説
「Deathblade」
3 《Underground Sea》 3 《Tundra》 2 《Tropical Island》 1 《Bayou》 1 《Savannah》 1 《Scrubland》 4 《汚染された三角州》 3 《溢れかえる岸辺》 2 《湿地の干潟》 1 《Karakas》 -土地(21)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《石鍛冶の神秘家》 3 《潮の虚ろの漕ぎ手》 4 《真の名の宿敵》 3 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(18)- |
4 《剣を鍬に》 4 《渦まく知識》 2 《思案》 2 《思考囲い》 1 《コジレックの審問》 3 《突然の衰微》 2 《集合した中隊》 1 《時を越えた探索》 1 《Umezawa`s Jitte》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 -呪文(22)- |
4 《Force of Will》 3 《翻弄する魔道士》 2 《真髄の針》 1 《根絶》 1 《盲信的迫害》 1 《クローサの掌握》 1 《仕組まれた疫病》 1 《Grafdigger`s Cage》 1 《虚無の呪文爆弾》 -サイドボード(15)- |
《死儀礼のシャーマン》から《真の名の宿敵》など優秀なクロックを展開していくテンポ寄りのミッドレンジデッキ。 フェアデッキとのマッチアップを想定していたのか《Force of Will》はサイドに落とされています。
☆注目ポイント
『タルキール龍紀伝』からの新カード《集合した中隊》はライブラリートップの6枚からマナコストが3以下のクリーチャーを最大2体まで場に出すことができるスペルで、《石鍛冶の神秘家》や《真の名の宿敵》など低マナの強力なクリーチャーを多数採用したこのデッキでは活躍が期待できます。
〔m_True-Name Namesis〕 |
SCG Premier IQ Syracuse トップ8
~Jeskai StonebladeにMiraclesの要素を加えたデッキが優勝~
2015年3月29日
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1位 Jeskai Stoneblade/白青奇跡
2位 Deadguy Ale/デスブレード
3位 Miracles/白青奇跡
4位 Grixis Control/青黒赤ジャンク
5位 Miracles/白青奇跡
6位 Shardless Sultai/続唱青黒緑
7位 Burn/赤単
8位 Sultai Delver/青黒緑アグロ
最近のSCG Premier IQでは珍しくコンボやローグデッキが少なくSCG Premier IQ Richmondに引き続いて青いフェアデッキやコントロールが中心です。優勝は《Sensei’s Divining Top》や《終末》を採用したJeskaiカラーのStonebladeでした。
SCG Premier IQ Syracuse デッキ解説
「Jeskai Stoneblade」「Burn」
4 《島》 1 《山》 1 《平地》 2 《Tundra》 1 《Plateau》 1 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 2 《乾燥台地》 1 《Karakas》 -土地(21)- 3 《瞬唱の魔道士》 3 《石鍛冶の神秘家》 3 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(9)- |
4 《渦まく知識》 4 《稲妻》 2 《呪文貫き》 2 《思案》 2 《対抗呪文》 4 《Force of Will》 4 《終末》 3 《Sensei`s Divining Top》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(30)- |
3 《赤霊破》 3 《狼狽の嵐》 2 《悟りの教示者》 2 《仕組まれた爆薬》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《紅蓮地獄》 1 《精神壊しの罠》 1 《至高の評決》 1 《安らかなる眠り》 -サイドボード(15)- |
以前から見られたJeskaiカラーのStonebladeデッキ。《Sensei`s Divining Top》+《終末》を採用しているため《宝船の巡航》禁止以前に見られたGP New Jerseyを制したJeskai Bladeよりもコントロール寄りです。
☆注目ポイント
クリーチャーを多めに採っているため、Miraclesよりもアグレッシブですが《Sensei`s Divining Top》+《終末》が採用されているなどMiraclesとのハイブリットのようにも見えます。しかし、Miraclesと異なり《相殺》と《天使への願い》の部分が 《石鍛冶の神秘家》パッケージと 《ヴェンディリオン三人衆》になっており、除去も《剣を鍬に》ではなく《稲妻》になっているなどアグレッシブな構成です。
やはりコンボに対してはあまり強くないため、サイドには《狼狽の嵐》が3枚、そして《精神壊しの罠》と対策スペルが多めに採用されています。《エーテル宣誓会の法学者》や《安らかなる眠り》といった特定のデッキに対して劇的な効果が期待できるエンチャントの水増しにチュータースペルの《悟りの教示者》も採用されています。
14 《山》 4 《樹木茂る山麓》 1 《血染めのぬかるみ》 -土地(19)- 4 《ゴブリンの先達》 3 《渋面の溶岩使い》 4 《大歓楽の幻霊》 -クリーチャー(11)- |
4 《稲妻》 4 《Chain Lightning》 4 《溶岩の撃ち込み》 4 《発展の代価》 3 《灼熱の血》 2 《火炎の裂け目》 4 《裂け目の稲妻》 4 《火炎破》 2 《硫黄の渦》 -呪文(31)- |
3 《赤霊破》 3 《粉々》 3 《罠の橋》 2 《難問の鎮め屋》 2 《精神壊しの罠》 1 《紅蓮破》 1 《紅蓮地獄》 -サイドボード(15)- |
赤単色のバーンデッキ。《発展の代価》や《大歓楽の幻霊》などレガシーのデッキに対して刺さるカードが多く、デッキが安価なことも手伝ってGP京都本戦でも見られそうです。
☆注目ポイント
メインに採用されている《硫黄の渦》はこのデッキが苦手とするMiraclesや《殴打頭蓋》を使うStoneblade対策になります。
《相殺》+《Sensei`s Divining Top》を置かれても《硫黄の渦》は3マナのスペルが少ないMiraclesの《相殺》で打ち消されることも少なく、Miraclesは置物対策が少ないので着地させることができればそれだけでライフを削りきることも可能です。
サイドの《難問の鎮め屋》も追加の青対策として活躍します。《罠の橋》は特にSneak and ShowやReanimatorのファッティを止めるのに重宝しますが、ダメージレースを制するためにクリーチャーを採用した多くのデッキ相手にサイドインされます。
総括
SCG Invitational Richmondと併催して行われたSCG Premier IQ RichmondはSCG Invitational Richmondから流れてきた競技志向のプレイヤーが多く参加していたこともあり、普段のPremier IQと異なり以前のSCGOのようなコントロールや青いフェアデッキが中心でした。
その翌週のSCG Premier IQ Syracuseでもコンボが少なく、SCG Premier IQ Richmondと似た結果となりましたが、Reanimatorは多くのデッキが対策カードを用意していたためさすがに勝ち残れなかったようです。
SCG Premier IQ Richmondと第3期レガシー神挑戦者決定戦をReanimatorが制したことで、今後は多くのデッキのサイドに墓地対策が採られると思われます。GP京都本戦はDredgeやReanimatorといった墓地を使ったデッキにとっては厳しい大会になりそうです。
これで今回の解説を終わります。この記事の情報が少しでもみなさんの参考になれたなら幸いです。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーを!
※編注:記事内の画像は、以下のサイトより引用させて頂きました。
『StarCityGames.com』
http://www.starcitygames.com/index.php