ジャッジインタビュー: 菅谷 裕信 ~ジャッジとプレイヤーの両立~

晴れる屋

By Atsushi Ito


 グランプリをはじめとするマジックのイベントを縁の下で支える力持ち。それがジャッジだ。

 ジャッジがいなければイベントの公正な運営はできない。その意味で、マジックの発展に欠かせない存在と言える。

 しかし、ジャッジになるとプレイヤーはなかなかやれないというイメージを持っている方もいるのではないだろうか?

 そこのところ、実際はどうなのだろうか。

 そこで、【グランプリ・マニラ08】優勝をはじめとする3度のGPトップ8経験を持つ現役のプレイヤーでありながらレベル1ジャッジの資格を持つ、菅谷 裕信(千葉)氏に話を伺ってみた。







■ 菅谷氏のジャッジ遍歴

--「菅谷さんはいつごろジャッジになられたんですか?」

菅谷 「2006年ごろですかね。もうずーっとレベル1でやってます。PTQが千葉で開催されるようになったのが2003年ごろだったんですが、そうなると継続的にそのレベルの大会を運営するためにジャッジが必要だよねという話になって、地元千葉のコミュニティに貢献できるならと思ってジャッジ資格をとったんです」

--「ですが、【グランプリ・マニラ08】で優勝してからは結構プレイヤーメインで活動されてましたよね」

菅谷 「あのときは、『そろそろグランプリでジャッジさせてもらおうかなー』と思いつつアジアGPに遠征したらうっかり優勝しちゃって(笑) それからは勝てるなら、ということでプレイヤーメインで活動していました」

--「今回、グランプリでのジャッジは初めてということですが、心境の変化があったんでしょうか?」

菅谷 「いや、最近日本のグランプリは人数が多くて、プロポイントやプロツアーの権利的にあまりおいしくないんですよね。なので、昔やれなかったGPジャッジに今度こそ挑戦しようと思って、今回応募しました」



■ ジャッジとプレイヤーの両立

--「実際問題、ジャッジとプレイヤーって両立できるんでしょうか?

菅谷 「ごく高いレベル、例えばプロプレイヤークラブのゴールドレベル以上とレベル2ジャッジとかになると難しいとは思いますが、普通にレベル1ジャッジをやる分には全然可能だと思いますよ。私の場合は、参加人数が比較的少ないアジアのグランプリにプレイヤーとして遠征して、日本のグランプリはジャッジをやるみたいなスタイルを検討しているところです」

--「菅谷さん自身は、今のところレベル2を目指してはいないんでしょうか?」

菅谷 「もちろんレベル2への興味はあります。ただプレイヤーとしての目標はプロツアーで勝つことなので、正直なところもしレベル2になってプレイヤー活動が阻害されたら……と思うと踏み切れないんですよね」

--「レベル2になると何か特別な負担がかかったりすることがあるんでしょうか?」

菅谷 「最近始まったPPTQ制度があるので、レベル2になると土日はそれに駆り出されるのではないか、という不安はあります。ですが、それもまだ制度が始まったばかりだったり、そもそも日本にレベル2ジャッジの絶対数が不足しているという問題が根底にあるので、もう少し制度がうまく機能するようになっていくか、あるいは例えば『レベル2ジャッジとして、地元千葉のショップのPPTQは重点的にお手伝いさせていただきます』みたいな感じで折り合いを付けられればいいと思うんですけどね」

--「ジャッジの皆さんもこのゲームが好きで支えているわけで、ということはつまりみんなマジックやりたいに決まってますからね。みんなが少しずつ地元のPPTQを支えていくような形で隙間を埋められるのが理想、ということになるんでしょうか」

菅谷 「そうですね。やはり自分がプレイヤーとして育ったコミュニティに貢献したいという思いがあるので、私としては千葉で開かれる大会を支えつつ、プレイヤーとしての目標も追いかけていけたらいいなと思います」



■ ジャッジに興味があるプレイヤーの方へ

--「最後に、今はプレイヤーだけどジャッジにも興味があります、という方に向けて何かメッセージがあれば」

菅谷 「何事も両立は大変ですが、プレイヤーとして上を目指すのであれば、レベル1ジャッジ程度の知識はどちらにせよ必須なので、レベル1の資格は持っておいて損はないと思います。最近は各地でGPTが開催されるので、それのヘッドジャッジとかをやってみると、プレイヤーとしても視野が広がるのかなと。そこから先は、やってみて『楽しい。向いてるかも』って思ったら進んでみればいいと思うので」

--「ありがとうございました」