By Atsushi Ito
グランプリで、いつも一番最後まで会場に残る2人。
2,000人以上いたプレイヤーたちは帰路につき、会場の撤収作業が始まっている中で、この3日間きりの夢から醒めずに、夢を追い続ける2人。
それが、スーパーサンデーシリーズ予選の決勝戦を戦う2人だ。
スタンダードあるいはレガシーの苛酷な予選を抜けてきた8名が、決勝ドラフトを経て2人にまで絞り込まれた。
1人は岡山の豊田。一緒に来ていた友人たちが見守る中、堅実な青緑タッチ黒のデッキを組み上げてここまで勝ち残った。
1人は大阪のミツボシ。得意のレガシーで勝ち残ったものの、慣れないドラフトで勝手がわからず、友人にアドバイスされた「とりあえず赤黒決め打ちすればいいよ」との言に従いピックした赤黒でどうにか決勝までたどり着いた。
この1戦に、すべてがかかっている。
勝てば楽園行きの切符。だが負ければ、そこそこの賞品とあと一歩で負けたという記憶、そして辛い家路が待っている。
グランプリ本戦の決勝戦で村上と高橋が戦う裏で。
もう1つのグランプリ決勝戦が、ひっそりと幕を開けた。
Game 1
《盾を持つ守護者》からの《コロッソドンの一年仔》という展開を《ウクドのコブラ》で阻む上々の立ち上がりを見せるミツボシ。ならばと《上昇気流の精霊》を送り出す豊田に対しては、なおも《シルムガルの解体者》を3/3のブロッカーとしてプレイ、さらに勢いよく《ウクドのコブラ》で殴りだす。
だが豊田の場に《突進する大鹿の群れ》が出てはさすがに防御に回るしかない。しかも《エイヴンの偵察員》に《ウクドのコブラ》をバウンスされてしまうと、8点アタックを受けて残りライフが9点まで落ち込んでしまう。
それでも再召喚した《ウクドのコブラ》で地上を固めつつ《サルカンの凱旋/Sarkhan’s Triumph》から《吐酸ドラゴン》をサーチするのだが、豊田はここで《シルムガルの碑》を追加し、次のターンに満を持してフルアタックに行く。
豊田 弘記 |
《吐酸ドラゴン》が《シルムガルの碑》を、《ウクドのコブラ》が《突進する大鹿の群れ》をブロックするが、「圧倒」達成による「トランプル」でダメージが突き抜け、ミツボシの残りライフは既に残りわずか。
それでも、墓地に落ちた《吐酸ドラゴン》を《恐るべき目覚め》することで、ギリギリ耐えたかに見えたが。
ここで豊田がトップしたのはタッチカード、《ラクシャーサの墓呼び》。これにより横に広がった戦線を、残りライフ2点のミツボシは受け切ることができなかった。
豊田 1-0 ミツボシ
Game 2
《上昇気流の精霊》から《シルムガルの碑》、さらに《突進する大鹿の群れ》とつなげる豊田に対し、ミツボシは再び《サルカンの凱旋/Sarkhan’s Triumph》から《吐酸ドラゴン》をサーチ、「変異」でプレイした上で、《快速ウォーカイト》を送り出す。もし続くターンに《吐酸ドラゴン》が
「大変異」できたなら、飛行9点クロックが実現するというところだ。
だが豊田は《エイヴンの偵察員》で《快速ウォーカイト》をバウンスすると、《突進する大鹿の群れ》で強烈なクロックをかける。
一方、これが対処できないミツボシ。やむなく《快速ウォーカイト》を召喚しなおす……が、それは既に豊田の手の内だった。
ミツボシ ユウキ |
豊田がキャストしたのは、《ナーガの意志》。「変異」と《快速ウォーカイト》という、あと一歩で9点クロックになるはずだったそれを2ターンもの間眠りに就かせると、一挙8点を与えてミツボシのライフを8とする。
それでも《突進する大鹿の群れ》を止めるべく、同サイズの《グルマグのアンコウ》をブロッカーとして召喚したミツボシだったが。
豊田は《シディシの信者/Sidisi’s Faithful》を「濫用」し、再度の8点アタックでミツボシのライフをぴったり削りきった。
豊田 2-0 ミツボシ
スーパーサンデーシリーズ熊猫杯、優勝は豊田 弘記(岡山)!おめでとう!!