《秘密を掘り下げる者》。
一度《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》に変身したなら、確実かつ無慈悲なクロックを刻む凶悪クリーチャーである。
そういつしか《野生のナカティル》は姿を消したものの、この1マナクリーチャーは刷られたその時からレガシーのテンポクリーチャーとしての立ち位置を欲しいままにしてきた。
そして《秘密を掘り下げる者》の系譜は《宝船の巡航》の登場によりその隆盛を極める。
だが如何せん勝ちすぎた。
モダンからヴィンテージにまで青赤デルバーの支配が及ぶとあっては、さすがに勢力を弱められざるを得ない。
《宝船の巡航》の禁止により青赤デルバーは明らかに弱体化したのだ。
残された《時を越えた探索》がオムニテルを最強のデッキに押し上げ、残されたデルバーははたして。
本稿では【こちら】で勝率8割を達成したグリクシスコントロールを調整し、そして最終的にグリクシスデルバーを練り上げた“ボルト算”土屋 洋紀 (千葉)にインタビューを行った。
◆デッキ決定までの過程について
――「さっそくですが、勝率8割のグリクシスコントロールを捨ててデルバーを選択した理由はなんだったんでしょうか」
土屋 「ボルト算なので」
――「え???」
土屋 「まあボルト算は置いておいても、やはり初速の問題と、本番ということで使い慣れたデルバーを選びました」
――「勝率よりも慣れ親しんだデッキということですか」
土屋 「あとは勝率が高いといってもサンプルデータが多いわけではないので、やはり経験値の多いデッキを選びたかったです」
――「土屋さんとデルバーといえばカナスレのイメージもありましたが」
土屋 「カナスレはメタ上で相性の良いデッキも多いんですが、新しいカードがほとんど追加されていないのでデッキパワー的に不安が残りました」
――「他に選択肢に挙がったデッキはありましたか?」
土屋 「自分はコンボを使わないから選択肢では無かったんですが、ANTやリアニも結構強いです」
――-「今のコンボといえばオムニテルが筆頭では?」
土屋 「結局オムニテルはコンボデッキだから、キラーカードに弱いのがちょっと。実際サイド後はANT、リアニの方がオムニテルに有利が付くくらいだと思います」
――「オムニテルが無条件で強いと思っていたので意外でした。それでは土屋さんが考えるデルバーのメリットは何ですか?」
土屋 「やっぱりメタに合わせてチューン出来るところかな。」
――「メタゲーム上の立ち位置としてグリクシスデルバーはどうでしょうか」
土屋 「トップメタとしてオムニテル、ミラクル、青赤デルバーの3種を想定していて、青赤デルバーのままだとオムニテル、ミラクルのいずれも不利だと考えていました。ただ《陰謀団式療法》を加える事によりオムニテルに有利が付き、ミラクルにも5分以上に戦えます」
――「《陰謀団式療法》の存在は偉大ですね」
◆カード選択について
――「グリクシスデルバーの強み、というか魅力はどこになるんでしょうか」
土屋 「やはり《若き紅蓮術士》と《陰謀団式療法》のコンボです。ただ下ブレすると弱いので、メイン4枚にはしていません」
――「デッキの構造は青赤デルバーとあまり変わりませんよね」
土屋 「そうですね、《陰謀団式療法》の有無くらいです。元々《宝船の巡航》禁止後に《時を越えた探索》を入れて青赤デルバーを回してみたらコンボに強かったことと、サイドボードに入れてみた《陰謀団式療法》がフェアデッキにも強かったのでメインに昇格させました」
――「デッキの見た目は一般的なレシピそのものに見えますが」
土屋 「メインに《グルマグのアンコウ》を入れていないところが一般的じゃないかもです。《グルマグのアンコウ》のために《時を越えた探索》を減らしたくはなかったので。ただサイドは結構人と違うかも」
――「良ければ解説をお願いします」
土屋 「例えば《仕組まれた爆薬》なんかはデルバーではあまり使わないカードなんですが、全除去枠と茶破壊を兼ねるので採用しています。《虚空の杯》も怖いので茶除去枠の枚数も減らせませんでした。他にも《タルモゴイフ》対処枠を《精神支配》にして、青赤デルバー同型でも使えるように変えています」
――「これだけ聞くと、レガシーの構築技術はメインというよりサイドボードに差が出るっていう感じですか」
土屋 「ですねー、目的と必要枚数からサイドボードを構築しています。新規カードとしては《コラガンの命令/Kolaghan’s Command》に期待していて、元々《ラクドスの魔除け》だったんですが、《コラガンの命令/Kolaghan’s Command》ならアドバンテージ源として4枚目の《時を越えた探索》になり得るかもと思っています」
――「あと見た目で気になるのがメインで《タルモゴイフ》に触れられないところなんですが、その辺りどうお考えでしょうか」
土屋 「まず《タルモゴイフ》と《若き紅蓮術士》を比較すると、《若き紅蓮術士》の方が除去耐性が低い。この点は自明ですが、もしお互いが《タルモゴイフ》、《若き紅蓮術士》とコントロールしてるのなら《若き紅蓮術士》に軍配が上がります。ただ対《タルモゴイフ》という部分で考えるのなら、《グルマグのアンコウ》という選択肢には若干の未練がありますね」
◆ずばり今回の目標は?
――「レガシー初のグランプリということで、土屋さんも期するところがあったと思いますが、やはり目標はベスト8でしょうか?」
土屋 「…とも思ってたんですが、そう言われるとやはり優勝と言いたくなる(笑)」
――「やはり優勝ですか(笑)」
土屋 「あとレガシーは競技フォーマットでは無いので、レガシーで有名でも競技で言えば無名です。だからこそプロには負けたくないし、プロに勝ってベスト8に入れればかっこいいと思います」
4 《Volcanic Island》 2 《Underground Sea》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 2 《沸騰する小湖》 -土地(16)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《僧院の速槍》 4 《若き紅蓮術士》 1 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(13)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《ギタクシア派の調査》 4 《稲妻》 2 《二股の稲妻》 2 《陰謀団式療法》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 3 《時を越えた探索》 -呪文(31)- |
3 《紅蓮破》 2 《陰謀団式療法》 2 《終止》 1 《真の名の宿敵》 1 《外科的摘出》 1 《思考囲い》 1 《唐突なる死》 1 《コラガンの命令/Kolaghan’s Command》 1 《精神支配》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |