決勝戦:大島 啓輔(青単フェアリー) vs. 岡本 智大(ボロスゲート)
晴れる屋メディアチーム
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(※編注:『第1期関西帝王戦パウパー』は9月19日の禁止制限告知の前に開催された大会です)
今や人気フォーマットの一つと言って差し支えない“パウパー”。
その人気に後押しされ、『第1期関西帝王戦パウパー』が満を持しての開催となった。
パウパーとは、コモンカードのみが使用を許されたフォーマットだ。しかし、コモンのみとて侮るなかれ。《稲妻》や《暗黒の儀式》といったMTGを代表するカードに加え、《トレイリアの恐怖》のような最新のカードまでが入り乱れる、非常に奥深くエキサイティングなフォーマットなのだ!
昨今は『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』の新システム「イニシアチブ」系デッキが環境を賑わせており、今大会でも多数の上位入賞が見られた。しかし、決勝戦へと駒を進めたのはそれらを打ち倒してきた2つのデッキ。
堂々のスイスラウンド1位通過。大島 啓輔が操るは「青単フェアリー」。
ドロー、打ち消し、そして優秀なクリーチャー。伝統的な“クロックパーミッション”の形を取るこのデッキは古くから愛好家も多く、《呪文づまりのスプライト》が非常に強力な働きを見せる。
対する岡本 智大の使用デッキは「ボロスゲート」。
デッキに多く採用されているのは粘り強さが売りのクリーチャー。一見頼りなく見えるかもしれないが、ひとたび『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』より加わった《バジリスク門》や、デッキの冠にもなっている《農民の結集》の後押しを受けたならば想像を超えた攻撃力を発揮する。
栄えある“初代パウパー帝王”に就任するのはどちらのプレイヤーか。
先手大島のマリガンを経て決勝戦はスタート。
大島は2ターン続けての《フェアリーの悪党》、岡本は《月皇の古参兵》から《聖なる猫》で早くも地上と飛行のダメージレースが開始される。《聖なる猫》の絆魂も相まって、序盤から目まぐるしくライフが動く。
両者3ターン目に土地が置けずにターンを返すが、大島は岡本のターン終了時に《渦まく知識》で土地を確保。自ターンを迎えると《フェアリーの予見者》で不要牌はライブラリーの下へ。岡本も土地を引き込むが、これが《崖門》。タップインによる1ターンの遅れがゲームに影響を見せるかどうか。
大島は《フェアリーの悪党》の1体を《深き刻の忍者》へと変身させてドローを進めるが、手札へ戻った《フェアリーの悪党》を再展開はせず。立たせた2枚の《島》がカウンター呪文を強烈に匂わせる。
そうは言ってもこの盤面を放置するわけにはいかない岡本。プレイした《未達への旅》は大島の《呪文づまりのスプライト》に阻まれる。岡本は改めて《炎の斬りつけ》を《深き刻の忍者》へ撃ち込み退場願う。
大島は自ターンで先ほど戻した《フェアリーの悪党》を展開すると、3枚目《フェアリーの悪党》も続けて戦場へ。岡本がプレイした《スレイベンの検査官》を2枚目の《呪文づまりのスプライト》で退けると、大島の戦場には6体の飛行クリーチャーが。すべて1/1といえども、軽視できる状況ではなくなってきた。
岡本は《信仰無き物あさり》で新たなカードを求める。捨てられたカードは《虹色の断片》と《農民の結集》。ここで引き込んだ《聖なる猫》を追加した岡本。絆魂軍団でダメージレースを逆転できるか。
すべてのクリーチャーで攻撃した大島に対し、岡本は《聖なる猫》2体で攻撃。大島のライフを9へと落とし、自身の残りライフ10を守るための《虹色の断片》の「フラッシュバック」に備えて《月皇の古参兵》は立たせたままでターンを返す。
大島の総攻撃に対して岡本は予定通り《虹色の断片》を「フラッシュバック」。大島がこれを《呪文づまりのスプライト》でカウンターすると、岡本は手札からさらなる《虹色の断片》。大島は少考するが、ここが使いどきと見たか《魔力の乱れ》。フルタップの岡本は要求マナを払えずライフが4へと落ちる。
迎えたターンの岡本はまたも2体の《聖なる猫》で攻撃、そして今度は《農民の結集》を「フラッシュバック」。大島はこれを《島》2枚を捨てての《撃退》。呪文の応酬が止まらない。
返すターンの大島、《虹色の断片》が見えている状況ではあるが、このターンドローした《定業》で《深き刻の忍者》を手に入れることを選択。致死量の攻撃は注文通り《虹色の断片》で躱されるが、《呪文づまりのスプライト》を「忍術」して手札へカウンターを確保。
岡本は全クリーチャーで攻撃を返すと、《深き刻の忍者》へ《炎の斬りつけ》。大島は少し悩むが、これを通してしまっては結局岡本の残りライフを次のターンで削り切ることはできなくなる。結果《呪文づまりのスプライト》でカウンターすることを選択するが、さらなる《炎の斬りつけ》により《深き刻の忍者》は墓地へ。
大島の戦力はパワー1の飛行クリーチャーが7体。岡本のライフは8。岡本の戦力は絆魂2体を含むパワー1の地上クリーチャーが3体。大島のライフは4。先に攻撃できる大島が優勢に見えるが、岡本のデッキにはクリーチャーのパワーを上げるカードも採用されている。
それを見込んでブロッカーを立たせる選択肢もある。しかし岡本が絆魂クリーチャーのパワーを上げる術を持っていた場合は2度の攻撃でもライフを削りきれるかはわからない。意を決した大島は全軍アタックを選択。これで岡本のライフは1に。
自ターンを迎えた岡本、《身震いする発見》でライフを3へと引き上げつつドローを進める。だが引いた3枚を含めても状況を打破できるカードはなし。壮絶なダメージレースは大島に軍配が上がった。
大島 1-0 岡本
1ゲーム目とは打って変わり、岡本は《砦門》を続けて設置しマナベースの確保、大島は《定業》《蓄積した知識》で手札の充実を図ってゆくスタート。
ゲームが動いたのは4ターン目。岡本のプレイした《信仰無き物あさり》に対して大島の《呪文づまりのスプライト》が姿を現す。
だが、これには岡本がサイドインした《紅蓮破》が飛ぶ。大島のお株を奪うカウンター返しにより《信仰無き物あさり》は成就。《農民の結集》と《虹色の断片》が墓地へと送られ、《崖門》が設置される。
大島は《フェアリーの予見者》を呼び出し後のターンへの準備を整える。
岡本は《身震いする発見》で《平地》と《未達への旅》を新たなカードへ交換すると、《バジリスク門》を設置しつつ2体の《月皇の古参兵》を戦場へ。
大島は《フェアリーの予見者》の攻撃を《深き刻の忍者》へ「忍術」させ、《蓄積した知識》、《フェアリーの予見者》再召喚と繋げる。カウンター呪文を構える選択は取らず、このターンはすべてのマナを戦力の拡充に費やす。
岡本は《未達への旅》で《深き刻の忍者》を排除すると、《バジリスク門》を起動。このターン置いた2枚目の《バジリスク門》と合わせて「門」の数は5つ。6/6となった《月皇の古参兵》で攻撃を開始する。そしてさらに《スレイベンの検査官》を戦場へ。マナも手札もピッタリ使い切った格好だ。
大島はこのゲーム3度目となる《蓄積した知識》から《フェアリーの悪党》。《スレイベンの検査官》はフェアリー達のダブルブロックで討ち取るが、2枚の《バジリスク門》に後押しされた《月皇の古参兵》により14あったライフは一気に2へ!
大島は《怪物縛り》で《月皇の古参兵》を1体封じてこれで残りライフは1。《トレイリアの恐怖》をブロッカーとして配備してターンを返す。
岡本は《バジリスク門》で《月皇の古参兵》を強化しての攻撃を継続する。これは《フェアリーの悪党》と《トレイリアの恐怖》によるブロックで相討ち。戦闘後、岡本は《月皇の古参兵》を「降霊」させにかかるが、これは《呪文づまりのスプライト》の餌食に。
大島は《トレイリアの恐怖》を戦場に追加すると、岡本の《ラフィーンの密通者》には《対抗呪文》、《紅蓮破》には《水流破》でそれぞれ対処。徐々に大島のペースとなってきたか。
しかし岡本は《身震いする発見》で《聖なる猫》《虹色の断片》を新たなカードに変換すると、《ラフィーンの密通者》と《聖なる猫》の「不朽」能力により戦線を再構築。
カウンター呪文も撃ち尽くしたのか、大島からの妨害はなし。
これらが《バジリスク門》で強化されるに至っては、大島に攻撃を押し留める術は残されていなかった。
大島 1-1 岡本
最終ゲームは大島の《フェアリーの予見者》から幕を開ける。岡本は《崖門》設置から2ターン目には《月皇の古参兵》《聖なる猫》を戦場へ。
大島は《蓄積した知識》《定業》でドローを進めると、《怪物縛り》で《聖なる猫》を無力化する。さらに土地の止まった岡本の《ラフィーンの密通者》へは《魔力の乱れ》でカウンター。テンポ良く序盤の攻勢を捌いてゆく。
岡本は1ターン遅れて3枚目の土地となる《バジリスク門》を設置すると《スレイベンの検査官》。大島は《蓄積した知識》でドローしてみるが、これは無事戦場へ。
大島は《定業》、さらに《定業》、そして《フェアリーの予見者》と占術を重ねるのだが、見えたカードはすべてライブラリーの下へ。目当てのカードに中々出会えない大島に対し、手掛かり・トークンのドローを挟んで《崖門》を設置した岡本は《バジリスク門》を起動しての攻撃を開始する。
《月皇の古参兵》は《怪物縛り》で対処する大島。岡本は攻撃の手を止めず、《バジリスク門》で《スレイベンの検査官》を強化。
この攻撃は《断絶》でしのごうという大島に対し、岡本は《紅蓮破》で攻撃を継続する意思を見せる。しかしこれは《魔力の乱れ》でカウンターされ、《スレイベンの検査官》は岡本の手札へ。
その攻防の最中にも大島のフェアリー達が攻撃を続けているが、ライフは岡本13に対して大島9。《バジリスク門》の一撃が大きく、ライフレースはまだ岡本がリード。
岡本は先ほど《断絶》された《スレイベンの検査官》を《聖なる猫》とともに再召喚。《砦門》設置で《バジリスク門》の威力を上げると《聖なる猫》を強化して攻撃。この絆魂クリーチャーの攻撃によりライフは岡本15に対し大島3と一気に大きな差が開けられる。
大島は攻撃の手を止め、3体の《フェアリーの予見者》をブロッカーとして立たせて岡本の攻撃を迎え撃つ。
だが岡本は、ここで2枚目の《バジリスク門》を設置。大島の手にはここまで幾度となく脅威をはじき返して来たであろう《対抗呪文》。だが、呪文でない土地・カードは《対抗呪文》をもってしても無力化することは叶わない。
《スレイベンの検査官》と《聖なる猫》がそれぞれこの強力な土地の後押しを受け、岡本を“初代パウパー帝王”の栄誉へと導くこととなった。
大島 1-2 岡本
『第1期関西帝王戦パウパー』優勝は岡本 智大!おめでとう!!