計46エキスパンション。
これはモダンフォーマットで使用可能なカードセットの数である。レガシーには及ばないものの、スタンダードが最大でも8エキスパンションしか使用しないことを思うと、なんと膨大なカードプールだろうか。スタンダードですら手一杯の僕たちがモダンの可能性をすべて把握しているとはとても思えない。
そう、モダンには未知なるアイデアがたくさん眠っているはずなのだ
それはちょっとしたコンボかもしれないし、はたまた特殊なビートダウンかもしれない。
ここではGPTプラハ2015を彩った、磨けば輝く原石かもしれない「ちょっと珍しいアイデア」を紹介しよう。
■ 《崇拝》コンボ
2 《島》 1 《平地》 1 《森》 2 《繁殖池》 1 《神聖なる泉》 3 《霧深い雨林》 2 《溢れかえる岸辺》 1 《吹きさらしの荒野》 4 《内陸の湾港》 3 《氷河の城砦》 2 《神秘の神殿》 2 《ハリマーの深み》 -土地(24)- 4 《森の女人像》 1 《不可視の忍び寄り》 -クリーチャー(5)- | 4 《白鳥の歌》 2 《血清の幻視》 1 《手練》 3 《交錯の混乱》 2 《きらめく願い》 1 《剥奪》 1 《ぶどう弾》 3 《牧歌的な教示者》 2 《知識の渇望》 2 《虚空粘》 1 《偉大なるオーラ術》 1 《地の封印》 1 《交易路》 4 《崇拝》 1 《永劫の輪廻》 1 《神聖の力線》 1 《不死の霊薬》 -呪文(31)- | 2 《機を見た援軍》 1 《大祖始の遺産》 1 《真髄の針》 1 《ぬめるボーグル》 1 《野生の朗詠者》 1 《否認》 1 《石のような静寂》 1 《倦怠の宝珠》 1 《内にいる獣》 1 《金輪際》 1 《神聖の力線》 1 《軍勢の集結》 1 《袖の下》 1 《鷺群れのシガルダ》 -サイドボード(15)- |
古えのエクステンデッドに伝わる奥手の一つに「《崇拝》ハメ」がある。あるときはプロテクション持ちと、またある時は《トロールの苦行者》と。除去耐性の高いクリーチャーと組み合わせることで、赤単を筆頭にダメージを勝利手段にするあらゆるデッキを完封してしまうという恐ろしい戦略だ。
時は流れて2015年。現在のモダン環境で「《崇拝》ハメ」を再現しようと試みたのが、ここで紹介する「《崇拝》コンボ」である。何かのデッキに《崇拝》を入れるのではなく、《崇拝》で完封するために構築されている清々しいまでのプリズンデッキに仕上がっている。
気になる現代の《崇拝》の相棒は、スタンダードでも活躍する”強い《ユートピアの木》”こと《森の女人像》だ。
序盤はタフネス3の壁となりつつマナ加速することで《崇拝》を設置するまでの鍵として働き、《崇拝》を設置した後は『呪禁』持ちのコンボパーツとして八面六臂の活躍をする。
《交錯の混乱》や《牧歌的な教示者》など豊富なサーチ手段で素早くコンボを揃えれば勝利は目前だ。《偉大なるオーラ術》や《神聖の力線》で守りを強固にしてもよし、《永劫の輪廻》+《野生の朗詠者》+《ぶどう弾》の芸術コンボでフィニッシュするのもよしだ。
《夜の衝突》などの「ライフを失う」効果に弱いのは玉に瑕だが、基本的には鉄壁そのもの。どうしてもアグロデッキに負けたくない日の最終兵器だ。
■ 《冒涜の行動》信心
1 《沼》 1 《山》 4 《血の墓所》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《偶像の石塚》 4 《悪意の神殿》 3 《奔放の神殿》 3 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(24)- 4 《大歓楽の幻霊》 4 《炎樹族の使者》 4 《凍結燃焼の奇魔》 4 《ボロスの反攻者》 4 《怨馬》 4 《火山の乱暴者》 1 《肉捻り》 -クリーチャー(25)- | 2 《強迫》 1 《双つ身の炎》 4 《冒涜の行動》 4 《エレボスの鞭》 -呪文(11)- | 3 《稲妻》 3 《粉々》 3 《難問の鎮め屋》 2 《灰の盲信者》 2 《モーギスの狂信者》 1 《強迫》 1 《ぬいぐるみ人形》 -サイドボード(15)- |
一昨年のスタンダード環境を賑わせた「《ボロスの反攻者》+《冒涜の行動》」というプチコンボが帰ってきた。当時は《ボロスの反攻者》と《冒涜の行動》の2枚共に替えが利かなかったが、今回紹介するデッキには《怨馬》と《火山の乱暴者》という頼もしい増員がなされている。
コンボといっても複雑なことは何もない。《ボロスの反攻者》と《怨馬》という『ダメージを反射するクリーチャーたち』に、《冒涜の行動》と《火山の乱暴者》で大ダメージを叩き込むだけだ。与えられた10点以上のダメージが対戦相手に反射し、そのショックで対戦相手が倒れる。とてもシンプルな作りだ。
このデッキでは、このコンボをもう一段階強化する工夫をしていることにも注目したい。それは《エレボスの鞭》である。自身のクリーチャーに絆魂がつくことで『ダメージを反射する能力』が強力になるとともに、《火山の乱暴者》の能力で任意の数だけライフを得ることができるのだ。
(《火山の乱暴者》は、あなたと対象に任意の数だけダメージを与える能力を持っている。これが《エレボスの鞭》環境下だと、あなたと対象に与えたダメージだけのライフを得るため、例えば一億点と宣言すると、二億点のライフを得ると同時に一億点のダメージを受けることで差し引き一億点のライフを得る)
《ボロスの反攻者》、《エレボスの鞭》、《火山の乱暴者》と揃えばもうやりたい放題間違いなしだ。
コンボパーツのどれもが3マナ以上なのでもっさりとした印象は強いが、そんな悩みも《ニクスの祭殿、ニクソス》が生み出すマナが解決してくれる。《炎樹族の使者》《凍結燃焼の奇魔》と懐かしい信心デッキの核となる二枚がデッキの基盤を底上げしている。
《欠片の双子》や《精力の護符》ではない珍しいコンボが気になるあなたにお勧めする楽しいコンボデッキだ。
■ 《アブザンの隆盛》トークン
1 《森》 1 《平地》 1 《沼》 2 《神無き祭殿》 1 《草むした墓》 1 《寺院の庭》 3 《湿地の干潟》 3 《新緑の地下墓地》 4 《吹きさらしの荒野》 1 《孤立した礼拝堂》 2 《剃刀境の茂み》 1 《ドライアドの東屋》 -土地(21)- 4 《極楽鳥》 4 《宿命の旅人》 4 《ツカタンのサリッド》 4 《臓物の予見者》 4 《血の芸術家》 4 《復活の声》 2 《カルテルの貴種》 2 《永遠の証人》 -クリーチャー(28)- | 4 《戦列への復帰》 3 《集合した中隊》 4 《アブザンの隆盛》 -呪文(11)- | 4 《ブレンタンの炉の世話人》 3 《突然の衰微》 2 《思考囲い》 2 《倦怠の宝珠》 2 《エイヴンの思考検閲者》 2 《精神染み》 -サイドボード(15)- |
「エルフ《集合した中隊》」に「アブザン《集合した中隊》」と、今や《集合した中隊》デッキはメタゲームの一角を占める勢力にまで成長した。サーチ能力、カードアドバンテージ、展開力。そのすべてを備える強力な《集合した中隊》は、新たなデッキを生み出し、既存のデッキを一線級まで引き上げるだけのポテンシャルを秘めていたのだ。
そして、ここで紹介するのは行弘 賢謹製の「《アブザンの隆盛》トークン」である。
プロツアー『運命再編』時から存在するデッキではあるものの、《ツカタンのサリッド》など若干どころではないほど頼りないカードが搭載された『デッキとしては綺麗だけど、カードが弱い』デッキの代表として日の目を浴びなかったデッキの一つだ。
しかし、これに《集合した中隊》が加わったらどうなるのか?もしかしたら……?
そんな淡い希望を背負って行弘の手で再構築されたのがこれだ。《血の芸術家》《戦列への復帰》《アブザンの隆盛》によるトークン生成クリーチャーを最大限活用するコンセプトはそのままに、ゲームの鍵を握る《血の芸術家》や《復活の声》をより多く展開する工夫として《集合した中隊》を組み込んでいる。
今大会はTop16とまずまずの成績で終え、きっと成功点と失敗点が新しく見えたことだろう。このデッキがどのように進化していくのか。次なる活躍が今から待ち遠しい。