USA Standard Express vol.12 -SCGO Orlando, SCGO Columbus-

Kenta Hiroki



皆さんこんにちは。

新セットのBorn of the Godのスポイラーも公開され始めました。多色のGodシリーズや各種Temple、新メカニックであるTribute等、注目度満載です。

さて、今回の記事ではSCGO OrlandoSCGO Columbusの解説をしていきたいと思います。



SCGO Orlando トップ8 デッキアーキタイプ

2014年1月12日
1位 Mono Blue Devotion/信心青単
2位 BW Midrange/白黒コントロール
3位 RW Aggro/赤単
4位 Mono Blue Devotion/信心青単
5位 Mono Blue Devotion/信心青単
6位 Naya Midrange/白赤緑ビートダウン
7位 Mono Black Devotion/黒単
8位 BW Control/白黒コントロール

前回のSCGO Indianapolisで優勝していたMono Black Devotionですが今週は流石にメタられていたのか、上位には少数でした。今回の勝ち組は、優勝者も含めてトップ8に3名のプレイヤーを送り込んだMono Blue Devotionでした。ほぼ毎回トップ8に入賞する安定したパフォーマンスを誇ります。他にはBW MidrangeやRW Aggro,GW Aggroに《嵐の息吹のドラゴン》《ドムリ・ラーデ》の為に赤を足したNaya Midrangeが入賞していました。



SCGO Orlando デッキ解説

「Mono Blue Devotion」「BW Midrange」「RW Aggro」「Naya Midrange」


Tyler Wilkerson 「Mono Blue Devotion」 SCGO Orlando (1位)

20 《島》
4 《変わり谷》
1 《ニクスの祭殿、ニクソス》

-土地(25)-

4 《雲ヒレの猛禽》
4 《審判官の使い魔》
4 《潮縛りの魔道士》
4 《凍結燃焼の奇魔》
4 《夜帷の死霊》
4 《海の神、タッサ》
4 《波使い》

-クリーチャー(28)-
1 《急速混成》
1 《サイクロンの裂け目》
2 《タッサの二叉槍》
1 《家畜化》
2 《思考を築く者、ジェイス》

-呪文(7)-
4 《反論》
2 《急速混成》
2 《解消》
1 《払拭》
1 《否認》
1 《サイクロンの裂け目》
1 《豚の呪い》
1 《タッサの二叉槍》
1 《家畜化》
1 《思考を築く者、ジェイス》

-サイドボード(15)-
hareruya


プロツアー・テーロス以来、ほぼ全てのスタンダードの大会で上位入賞しているMono Blue Devotion。今回優勝したTyler Wilkersonはメインに《家畜化》を1枚採用しています。ミラーマッチやMono Black Devotionの《夜帷の死霊》を奪うことで一気に青への『信心』を5まで集めたり、RW Devotionの《ボロスの反攻者》等を奪ったりと、青白コントロール以外のほとんどのマッチアップで活躍のチャンスがあるカードです。

サイドは前回のSCGO Indianapolisで入賞していたRaymondのリスト同様にカウンターが多めで、《霊異種》等の追加のフィニッシャーは不採用です。RG Monster等に強い確定カウンターの《解消》の他にも、《払拭》が採用されています。インスタントしかカウンターしない用途の狭いカウンターですが、わずか1マナでこのデッキにとって厄介な《今わの際》等のインスタントスピードの除去をカウンターできるのが強みです。

波使い家畜化払拭






Brennan DeCandio 「BW Midrange」 SCGO Orlando (2位)

10 《沼》
4 《神無き祭殿》
2 《神聖なる泉》
4 《静寂の神殿》
2 《オルゾフのギルド門》
4 《変わり谷》

-土地(26)-

3 《群れネズミ》
3 《夜帷の死霊》
4 《冒涜の悪魔》
4 《ヴィズコーパの血男爵》

-クリーチャー(14)-
4 《思考囲い》
2 《今わの際》
2 《肉貪り》
2 《究極の価格》
4 《英雄の破滅》
3 《地下世界の人脈》
1 《漸増爆弾》
2 《太陽の勇者、エルズペス》

-呪文(20)-
3 《幽霊議員オブゼダート》
2 《生命散らしのゾンビ》
2 《闇の裏切り》
2 《強迫》
2 《破滅の刃》
1 《罪の収集者》
1 《今わの際》
1 《異端の輝き》
1 《漸増爆弾》

-サイドボード(15)-
hareruya


Mono Black DevotionからDevotion要素を取り除き白を足すことで、《ヴィズコーパの血男爵》などのMono Black Devotionに対して強いカードにアクセスを可能にしたのがBW Midrangeです。《太陽の勇者、エルズペス》は相手の《ヴィズコーパの血男爵》に対する回答になります。トークンを場に展開することで自軍の《ヴィズコーパの血男爵》を相手の《肉貪り》から護ることも容易です。環境の優秀な単体除去である《今わの際》にアクセスできるのも強みです。

白マナを調達するのと同時に《夜帷の死霊》を3ターン目にスムーズにキャストできるように《神聖なる泉》が採用されているなど、マナベースにも工夫が見られます。サイドには追加のフィニッシャーとして《幽霊議員オブゼダート》が採用されています。青白等のコントロールデッキ相手にサイドインされるカードですが、せっかくなのでこのカードと相性の良い《エレボスの鞭》も追加したいところです。

ヴィズコーパの血男爵太陽の勇者、エルズペス幽霊議員オブゼダート






James Kerr 「RW Aggro」 SCGO Orlando (3位)

11 《山》
4 《聖なる鋳造所》
4 《凱旋の神殿》
4 《変わり谷》

-土地(23)-

4 《火飲みのサテュロス》
4 《ラクドスの哄笑者》
4 《灰の盲信者》
3 《若き紅蓮術士》
4 《チャンドラのフェニックス》
1 《薪荒れのシャーマン》
1 《嵐の息吹のドラゴン》

-クリーチャー(21)-
3 《ショック》
4 《稲妻の一撃》
4 《マグマの噴流》
1 《炬火の炎》
2 《岩への繋ぎ止め》
2 《紅蓮の達人チャンドラ》

-呪文(16)-
4 《ボロスの反攻者》
3 《頭蓋割り》
2 《モーギスの狂信者》
2 《ミジウムの迫撃砲》
2 《岩への繋ぎ止め》
1 《嵐の息吹のドラゴン》
1 《破滅のロッド》

-サイドボード(15)-
hareruya


赤白というと最近はRW Devotionが流行っていますが、今回入賞したJames Kerrのリストは、1マナのクリーチャーをメインに8枚搭載し火力を多めに積んだ速攻型です。基本的に赤単で、《岩への繋ぎ止め》のために白を足しているようです。赤系のビートダウンにとって、Mono Blue Devotionの《波使い》は色を足さなければならないほどキツイことが窺えます。

火飲みのサテュロス若き紅蓮術士岩への繋ぎ止め






Mike Reilly 「Naya Midrange」 SCGO Orlando (6位)

4 《森》
2 《山》
4 《聖なる鋳造所》
4 《踏み鳴らされる地》
4 《寺院の庭》
4 《奔放の神殿》
2 《凱旋の神殿》

-土地(24)-

4 《エルフの神秘家》
4 《森の女人像》
2 《漁る軟泥》
3 《加護のサテュロス》
2 《魔女跡追い》
4 《世界を喰らう者、ポルクラノス》
4 《ゴーア族の暴行者》
4 《嵐の息吹のドラゴン》

-クリーチャー(27)-
3 《ワームの到来》
3 《岩への繋ぎ止め》
3 《ドムリ・ラーデ》

-呪文(9)-
4 《霧裂きのハイドラ》
3 《歓楽者ゼナゴス》
2 《ショック》
2 《ミジウムの迫撃砲》
2 《パーフォロスの槌》
1 《岩への繋ぎ止め》
1 《紅蓮の達人チャンドラ》

-サイドボード(15)-
hareruya


GW Aggroに《嵐の息吹のドラゴン》《ドムリ・ラーデ》《紅蓮の達人チャンドラ》など赤のパワーカードを足したNaya Midrange。メインは《ドムリ・ラーデ》を採用している関係で非クリーチャースペルは《ワームの到来》《岩への繋ぎ止め》の2種類と必要最低限で、サイドには追加のPWの《歓楽者ゼナゴス》《紅蓮の達人チャンドラ》、青白コントロールなどが使ってくる全体除去に強い《パーフォロスの槌》や追加の除去の《ミジウムの迫撃砲》《ショック》等、赤いカードが多めに搭載されているのが印象的です。Mono Blue Devotionに強い《霧裂きのハイドラ》は当然のように4枚積みです。

嵐の息吹のドラゴンワームの到来霧裂きのハイドラ





SCGO Columbus トップ8 デッキアーキタイプ

2014年1月19日
1位 Big Boros/赤白コントロール
2位 RW Boros/赤単
3位 GR Monsters/赤緑怪物
4位 BW Midrange/白黒コントロール
5位 BW Midrange/白黒コントロール
6位 Mono Blue Devotion/信心青単
7位 UW Control/白青コントロール
8位 GR Monsters/赤緑怪物

Mono Blue DevotionとMono Black Devotionが優勝することが多かった最近のSCGOでは珍しくBig Borosの優勝で幕を閉じたSCGO Columbus。前回優勝していたMono Blue Devotionは今回のトップ8にはわずかに一名で、Mono Black Devotionに至ってはトップ8には不在でした。上位にMono Black Devotionにとって相性の悪いBWが数名勝ち残っているところから見るに、Mono Black Devotionにとっては厳しいメタだったことが窺えます。



SCGO Columbus デッキ解説

「Big Boros」「UW Control」「GR Monsters」


Michael Kenney 「Big Boros」 SCGO Columbus (1位)

11 《山》
3 《平地》
4 《聖なる鋳造所》
4 《凱旋の神殿》
1 《ボロスのギルド門》
2 《変わり谷》

-土地(25)-

4 《若き紅蓮術士》
4 《チャンドラのフェニックス》
4 《ボロスの反攻者》
2 《鍛冶の神、パーフォロス》
2 《嵐の息吹のドラゴン》

-クリーチャー(16)-
4 《稲妻の一撃》
4 《マグマの噴流》
2 《ミジウムの迫撃砲》
2 《戦導者のらせん》
2 《岩への繋ぎ止め》
2 《軍勢の集結》
2 《紅蓮の達人チャンドラ》
1 《太陽の勇者、エルズペス》

-呪文(19)-
2 《嵐の息吹のドラゴン》
2 《摩耗+損耗》
2 《今わの際》
2 《異端の輝き》
2 《神々の憤怒》
2 《岩への繋ぎ止め》
1 《ミジウムの迫撃砲》
1 《真髄の針》
1 《太陽の勇者、エルズペス》

-サイドボード(15)-
hareruya


RW Devotionと異なりDevotionの要素を除外し、《太陽の勇者、エルズペス》《紅蓮の達人チャンドラ》といったPWや《軍勢の集結》を搭載するなど、カードパワーを重視した構成です。全体的に色拘束がRW Devotionと比べて緩くなったので、《変わり谷》を採る余裕もできました。トークンを製造する《太陽の勇者、エルズペス》《軍勢の集結》《鍛冶の神、パーフォロス》の組み合わせはゲームを決定づける強さがあります。

火力も多めに搭載されておりそれらと相性の良い《若き紅蓮術士》《チャンドラのフェニックス》も採用されています。サイドも含めればデッキ内の除去の数はMono Black Devotionよりも多く、本体にも当てることが出来るバーンスペルはコントロール相手にも無駄になることが無いのが強みです。クリーチャーデッキに対してはクリーチャー除去を多数搭載しているため有利が付きそうです。Mono Black Devotionに対しても《軍勢の集結》《太陽の勇者、エルズペス》のおかげで長期戦にも強く、毎ターン生産されるトークンは赤いデッキにとって対処の困難な《冒涜の悪魔》を無力化させます。

チャンドラのフェニックス鍛冶の神、パーフォロス軍勢の集結






Mike Williams 「UW Control」 SCGO Columbus (7位)

5 《島》
5 《平地》
4 《神聖なる泉》
4 《アゾリウスのギルド門》
4 《欺瞞の神殿》
2 《静寂の神殿》
3 《変わり谷》

-土地(27)-

1 《霊異種》

-クリーチャー(1)-
3 《中略》
4 《今わの際》
2 《アゾリウスの魔除け》
4 《解消》
4 《スフィンクスの啓示》
4 《至高の評決》
4 《拘留の宝球》
4 《思考を築く者、ジェイス》
3 《太陽の勇者、エルズペス》

-呪文(32)-
4 《万神殿の兵士》
4 《テューンの大天使》
3 《闇の裏切り》
3 《反論》
1 《好機》

-サイドボード(15)-
hareruya


齋藤 友晴さんがPTQで使用した青白コントロールでツイッターを通して知れ渡ったリストです。アメリカではメインのフィニッシャーを最小限に絞り《不死の霊薬》を採用したバージョンが主流ですが、今回入賞したリストは《変わり谷》《太陽の勇者、エルズペス》が3枚ずつと多めに採られており、《霊異種》もメインに採用されています。

サイドには追加のクリーチャーの《テューンの大天使》《万神殿の兵士》が採用されています。クリーチャーをメインに殆ど採用していないので、サイド後に除去を減らした相手の意表を突くことが可能です。また、追加の除去として《闇の裏切り》が採用されています。基本的に2色ですがメインに採用されている《欺瞞の神殿》《静寂の神殿》から黒マナが調達可能で、環境に多く存在する《夜帷の死霊》《冒涜の悪魔》《群れネズミ》《幽霊議員オブゼダート》といったクリーチャーをわずか1マナで除去することが可能です。

霊異種テューンの大天使闇の裏切り





Jason Hall 「GR Monsters」 SCGO Columbus (3位)

8 《森》
5 《山》
4 《踏み鳴らされる地》
4 《奔放の神殿》
2 《ニクスの祭殿、ニクソス》

-土地(23)-

4 《エルフの神秘家》
4 《カロニアの大牙獣》
3 《森の女人像》
2 《漁る軟泥》
2 《加護のサテュロス》
4 《世界を喰らう者、ポルクラノス》
3 《ゴーア族の暴行者》
4 《嵐の息吹のドラゴン》

-クリーチャー(26)-
2 《ミジウムの迫撃砲》
2 《Flesh》
4 《ドムリ・ラーデ》
2 《歓楽者ゼナゴス》
1 《獣の統率者、ガラク》

-呪文(11)-
4 《霧裂きのハイドラ》
2 《ショック》
2 《垂直落下》
2 《破壊的な享楽》
2 《漸増爆弾》
1 《自由なる者ルーリク・サー》
1 《ミジウムの迫撃砲》
1 《紅蓮の達人チャンドラ》

-サイドボード(15)-
hareruya


最近数を増やしつつあるRG Monsters。今回入賞したJason Hallのリストは爆発力を高める為に《ニクスの祭殿、ニクソス》を採用しています。そのため色拘束の強い《カロニアの大牙獣》が採用されています。Devotionによる爆発力を重視するなら《炎樹族の使者》が定番ですが、パワーが3であるため現環境で多くのデッキに採用されている《今わの際》に引っかからないのが優先的に採用された要因だと思われます。

カロニアの大牙獣世界を喰らう者、ポルクラノスニクスの祭殿、ニクソス





総括

SCGO Orlandoは現環境のTier1デッキのMono Blue Devotionが優勝を果たしました。トップ8に3名の入賞者を出す等、相変わらずの強さです。その翌週のSCGO Columbusは赤白デッキのワンツーフィニッシュでした。しかし、同じ赤白でも準優勝者のKent Ketterは爆発力を重視したRW Devotionなのに対し、優勝したMichael KenneyはDevotion要素を除外し除去を多めに搭載したコントロール寄りにした型でした。同様の色の組み合わせながら両者共に異なる方向性で、現在の環境の面白さを体現しています。さて、現環境も終盤を迎え、2月からは新セットのBorn of the Godが加入します。新セットが現スタンダードにどのような影響を与えるのか、今から楽しみです。

以上SCGO OrlandoとSCGO Columbusの解説でした。

次回の記事ではSCGO BaltimoreとGP Vancouver BCの解説を予定しています。

それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!