第3回 前編は【こちら】
斉藤 「前回はデッキについて紹介していただきましたが、今回はデッキの弱点や、プレイするにあたって上手い人がどんなことを考えているかを紹介していきたいと思います。
では、今回も高橋 徹さんよろしくお願い致します。」
高橋 「よろしくお願い致します。」
■弱点・やられて嫌なことは?
斉藤 「エスパー石鍛冶を使っていて、やられたら嫌なことをやきついカードを教えてください。」
高橋 「《真の名の宿敵》が入る前までは《罰する火》エンジンが特にきつかったです。デッキ的に生き残るカードがありません。今でも厳しいことには変わりません。
単体のカードとしては、《祖先の幻視》のアドバンテージはきついです。そういうデッキはメインから装備品を割る方法を持っていたりPWを起用してる場合が多いからです。ビートから出てくるカードでは、《森の知恵》と、《梅澤の十手》を代表とする装備品が嫌ですね。《森の知恵》はコントロール相手に息切れしなくなりますし、装備品が出ると全ての生物を捌かなければいけなくなるからです。」
斉藤 「なにかコンボにされて嫌なことはありますか?」
高橋 「コンボ戦では、早い段階で攻めにこられると厳しいです。行動が限定されている段階でこられると対処しきれない場合があります。」
斉藤 「そのためのハンデスでもありますね。出鼻をくじくことによってエスパーに有利な時間までもっていきやすいですね。」
■各主要デッキに対するサイドボーディング
斉藤 「大まかに対ビート、コンボ、テンポ、コントロールを相手する時のサイドチェンジの考え方を教えてください。」
高橋 「こちらが基本的なサイドボーディングの考え方です。
●対ビート
《Force of Will》を抜いて除去を入れます。《Force of Will》のようなアドバンテージを失うカードは不要だからです。コントロール側に回りましょう。装備品か《精神を刻む者、ジェイス》で制圧できる盤面を目指す事になります。早期に場に出たPWや《森の知恵》でゲームが決まる事も多いので《呪文貫き》は大概残すようにします。
●対コンボ
重い生物である《真の名の宿敵》やいらない除去を抜きます。追加でハンデスとカウンター、置物と多面的に妨害するものをインします。《石鍛冶の神秘家》から《饗宴と飢餓の剣》や《翻弄する魔道士》など妨害兼クロックになる生物で勝ちを狙いにいきます。
●対テンポ
1:1交換を繰り返すゲームになりがちで《Force of Will》のディスアドバンテージが響きやすいので《Force of Will》を抜きます。《精神を刻む者、ジェイス》も盤面に出れば強いですが特に赤の入ったテンポ相手は最も対処のされやすいカードの一つなので減らす事が多いです。相手のハンドの穴をつくとゲームプランが非常に立てやすくなるのでハンデスは残します。
●対コントロール
焦点となる数枚のカードを争う事になりハンデスを増やします。《剣を鍬に》でクリーチャーを捌く必要に駈られる事は少ないため除去を減らします。
3 《島》 2 《平地》 1 《沼》 2 《Tundra》 2 《Underground Sea》 1 《Scrubland》 4 《溢れかえる岸辺》 3 《汚染された三角州》 2 《湿地の干潟》 1 《Karakas》 2 《ミシュラの工廠》 -土地(23)- 4 《石鍛冶の神秘家》 4 《瞬唱の魔道士》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(12)- |
4 《剣を鍬に》 4 《渦まく知識》 3 《思考囲い》 2 《思案》 2 《呪文貫き》 1 《至高の評決》 3 《Force of Will》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(25)- |
2 《翻弄する魔道士》 2 《安らかなる眠り》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《外科的摘出》 1 《流刑への道》 1 《狼狽の嵐》 1 《思考囲い》 1 《強迫》 1 《解呪》 1 《盲信的迫害》 1 《至高の評決》 1 《Force of Will》 1 《饗宴と飢餓の剣》 -サイドボード(15)- |
斉藤 「では、各主要デッキに対するサイドボーディングを教えてください。」
高橋 「実際に使っているリストを元に、具体的に見ていきましょう。」
●対RUGデルバー
in 2 《安らかなる眠り》 1 《流刑への道》 1 《狼狽の嵐》 1 《至高の評決》 |
out 3 《Force of Will》 1 《火と氷の剣》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 |
《タルモゴイフ》《敏捷なマングース》を弱体化させるための《安らかなる眠り》と追加除去をイン。《Force of Will》と重い《火と氷の剣》《精神を刻む者、ジェイス》をアウトします。
RUGデルバーとの戦い方としては、1ターン目の《秘密を掘り下げる者》に対してもライフを失うことを恐れすぎず、《目くらまし》ケアなどをして正確に捌くことを優先しています。メインは《殴打頭蓋》を着地させることをゴールとして目指します。サイド後は比較的楽に戦うことができるはずです。最近は《真の名の宿敵》に代わってしまいましたが、サイドから入ってくる《硫黄の渦》・《冬の宝珠》・《森の知恵》などの負けに直結するカードのために《解呪》を入れる場合もあります。
●対スニークショー
in 2 《翻弄する魔道士》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《狼狽の嵐》 1 《外科的摘出》 1 《思考囲い》 1 《強迫》 1 《解呪》 1 《饗宴と飢餓の剣》 1 《至高の評決》 1 《Force of Will》 |
out 4 《剣を鍬に》 2 《真の名の宿敵》 1 《石鍛冶の神秘家》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 |
サイドから追加のカウンターや妨害をインします。《剣を鍬に》や《真の名の宿敵》は不要となるためサイドアウトします。
戦い方としては、スニークショーは時間を与えすぎると《思考囲い》や《呪文貫き》の効果がどんどん薄れていくので、構えすぎずにある程度のリスクを負ってもクロックを早めに確保します。スニークショーというデッキ自体は単純な構成なので、しっかり《実物提示教育》や《騙し討ち》を妨害すれば勝てます。
《解呪》はサイドから積まれやすい《血染めの月》や《防御の光網》を対処できますし、《騙し討ち》を巡るカウンター合戦において《呪文貫き》でマナを使わせてから壊すことも可能です。
●対ANT
in 2 《翻弄する魔道士》 1 《狼狽の嵐》 1 《外科的摘出》 1 《思考囲い》 1 《強迫》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《饗宴と飢餓の剣》 1 《Force of Will》 1 《安らかなる眠り》 |
out 2 《石鍛冶の神秘家》 2 《真の名の宿敵》 1 《至高の評決》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《殴打頭蓋》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 |
サイドインアウトはスニークショーの時と同じように追加の妨害をインし、《真の名の宿敵》を中心とした不要なものをアウトします。
戦い方としては、スニークとは違いANT戦は負けない盤面というのを作りやすいので、無理に攻めるのではなく負けない事を優先にプレイします。ライフを詰めれば《むかつき》ルートは潰せるようになりますが、スニークと比べると出来るだけ負けないプレイを優先してます。
サイド後は《闇の腹心》や《ザンティッドの大群》が入ってくる可能性を考慮して《剣を鍬に》を残すようにしましょう。
●対エスパー石鍛冶
in 1 《思考囲い》 1 《解呪》 1 《盲信的迫害》 |
out 2 《剣を鍬に》 1 《Force of Will》 |
装備品を壊す《解呪》、相手の《真の名の宿敵》だけ対処できる《盲信的迫害》、《精神を刻む者、ジェイス》や装備品争いで大切になる追加のハンデスを入れます。
ミラーマッチではハンデスのタイミングがポイントで、《精神を刻む者、ジェイス》着地の前のターンや《石鍛冶の神秘家》の装備サーチ後など、重要なタイミングがいくつもあります。特に《殴打頭蓋》や《梅澤の十手》を失うことはゲームを大きく傾かせかねません。なのでハンデスを自分が効果的に使うのは勿論、相手のハンデスから重要なカードを隠せる《渦まく知識》は他のマッチアップよりもさらに大切に使う必要があります。
●対ミラクル
ミラクルとのゲームは、《相殺》+《師範の占い独楽》が揃うかどうかがほとんどの場合焦点になります。《相殺》単体よりも《師範の占い独楽》単体の方が大抵の場合仕事量として大きいので、どうせ《相殺》を《Force of Will》するくらいなら、最初から《師範の占い独楽》に対して積極的に《Force of Will》した方が大抵の場合正解だと思います。仮に《師範の占い独楽》《相殺》を揃えられてしまったときは、《仕組まれた爆薬》の烈日をうまく利用することでデッキトップにないであろうマナ域にコストを調節し、誘発型能力を除けつつ《相殺》を割ることを覚えておくといいでしょう。
エスパー石鍛冶側としては、《火と氷の剣》の着地を目指しましょう。クリーチャーを並べなくても相手にプレッシャーを与えられる場を作ると楽になります。
●対BUGデルバー
対RUGデルバーとほぼ同じです。違うところとしては、《死儀礼のシャーマン》がいるので《瞬唱の魔道士》を減らし、《敏捷なマングース》《稲妻》が無い分盤面への影響&生存率が高い《精神を刻む者、ジェイス》を残すところです。《墓忍び》が《真の名の宿敵》になっている場合は《精神を刻む者、ジェイス》を減らして《盲信的迫害》をインします。
戦い方も基本的には対RUGデルバーと一緒です。しかし《真の名の宿敵》で止まるクロックは《タルモゴイフ》だけなので、RUGデルバーでは重視すべき《真の名の宿敵》の着地をそこまで大事にする必要はありません。
●対罰する火ジャンド
ジャンドの大きなクロックとして、《タルモゴイフ》と《死儀礼のシャーマン》があります。その二つを封じ込める《安らかなる眠り》をイン。《罰する火》対策にもなっています。また生物デッキなので除去を追加します。
戦い方としては、メインボードは《罰する火》《燃え柳の木立ち》が揃う前に無理をしてでもライフを詰めるようにするべきです。少し有利な盤面程度では《罰する火》エンジンが揃った瞬間に崩壊します。万が一揃ってしまった場合には《真の名の宿敵》で押すか《ヴェンディリオン三人衆》でタイミングをみつけて引っこ抜くしかありません。
サイド後は墓地対策のおかげで《罰する火》1枚で屈する事は大きく減るので《闇の腹心》を巡るゲームになりがちです。1T目の《死儀礼のシャーマン》に対して《剣を鍬に》を打つ前に、次のターンに《闇の腹心》をキャストされた時の事をよく考える必要があります。特に《死儀礼のシャーマン》は並んだ所を《仕組まれた爆薬》か《至高の評決》で巻き込みやすいです。《闇の腹心》(或いは《森の知恵》の)を盤面に残さなければ勝利が難しいマッチアップではないです。
●対エルフ
in 2 《翻弄する魔道士》 1 《エーテル宣誓会の法学者》 1 《流刑への道》 1 《思考囲い》 1 《盲信的迫害》 1 《至高の評決》 1 《Force of Will》 |
out 2 《真の名の宿敵》 2 《呪文貫き》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 1 《瞬唱の魔道士》 1 《火と氷の剣》 |
コンボ対策のカードをイン。生物でチェーンしていくデッキですので、除去の追加はもちろんのこと《エーテル宣誓会の法学者》や《翻弄する魔道士》もいれます。《真の名の宿敵》や《精神を刻む者、ジェイス》は重いためアウト。
戦い方としては、《ワイアウッドの共生虫》を対処しながら《自然の秩序》だけケアすれば《石鍛冶の神秘家》が何とかしてくれます。大事なのは倒すべきエルフを間違えないことですね。基本的にはマナを生むだけのエルフを必要以上に恐れる必要はありません。一方《ワイアウッドの共生虫》はほとんどの場合において最優先除去対象です。他のエルフを殆んどのピン除去から逃がせるだけでなく全除去からのリカバリーも容易にし、《エルフの幻想家》とのコンボはそれまでの苦労を水の泡にします。また、こちらの一番強力な勝筋である《梅澤の十手》も地上のクリーチャーでは機能しなくなります。これは《クウィリーオン・レインジャー》+《ドライアドの東屋》でも言える事なのでこちらも除去優先度が高いです。《死儀礼のシャーマン》は手札に《瞬唱の魔道士》がいるときは除去すべきですが他の場合は、ライフに余裕がない場合を除き手札内容と相談して除去を温存する事もあります。
《梅澤の十手》が《突然の衰微》で割られる事は絶対に防ぐべきなので、《梅澤の十手》で攻める前には必ず《ヴェンディリオン三人衆》かハンデスを挟むようにしています。《ヴェンディリオン三人衆》は飛行をもっているため、エルフ+《ワイアウッドの共生虫》や《クウィリーオン・レインジャー》+《ドライアドの東屋》などの《梅澤の十手》を無効化にするテクニックも通用しないのが強みです。
■細かいテクニックや初歩テクニック
斉藤 「エスパー石鍛冶を使うにあたり、なにか細かいテクニックや気をつかっていることがあれば教えてください。」
高橋 「石鍛冶を使う上でのテクニックをいくつか紹介したいと思います。相手が青い場合、先手2ターン目にだした《石鍛冶の神秘家》でサーチした《殴打頭蓋》を《石鍛冶の神秘家》で場に出す時自分のメインで能力を使うことにより相手からの《ヴェンディリオン三人衆》で《殴打頭蓋》を抜かれるリスクがなくなります。《石鍛冶の神秘家》の能力スタックで《ヴェンディリオン三人衆》をプレイされると《殴打頭蓋》が場に出ずにデッキボトムにいってしまうからです。」
斉藤 「《ヴェンディリオン三人衆》はよくみるカードの一つなので覚えておくべきでしょう。なにか他にありますか?」
高橋 「RUGデルバー相手などでよくあることですが、《石鍛冶の神秘家》を放置されて能力で《殴打頭蓋》を場に出すも、トークンが生まれる誘発型能力をもみ消されることがあります。場に《石鍛冶の神秘家》とトークンのついていない《殴打頭蓋》があるとき3マナで戻す能力と《石鍛冶の神秘家》の能力で再度場に《殴打頭蓋》を出すことができますが、戻すタイミングで《石鍛冶の神秘家》を焼かれてしまっては、場に《殴打頭蓋》を出すことができません。しかし、《石鍛冶の神秘家》の能力を起動したスタックで《殴打頭蓋》の戻すという能力を使うことにより、《稲妻》などの除去をケアすることができます。もしも《石鍛冶の神秘家》が焼かれてしまっても《殴打頭蓋》を場にだしてトークンを生成することができます。」
斉藤 「これはとても大切なテクニックですね。このテクニックのおかげで落とすはずだったゲームを取れることもありそうです。」
斉藤 「《石鍛冶の神秘家》の誘発に関係するテクニックはありますか?」
高橋 「はい。ありますよ。レガシーの基本的な動きとして『《渦まく知識》+シャッフル手段』というものがあります。《渦まく知識》をプレイして不要牌を送り込んでから《石鍛冶の神秘家》を出すと、《石鍛冶の神秘家》の誘発型能力によるシャッフルを嫌がった相手が《石鍛冶の神秘家》をカウンターしてくる場合があります。そのケアとして、《石鍛冶の神秘家》を先に場に出し誘発型能力のスタックで《渦まく知識》を唱えると、不要なものをライブラリーに戻しながら、装備品をサーチできることになります。」
斉藤 「《石鍛冶の神秘家》をカウンターすることはできても、なかなか《渦まく知識》はカウンターしづらいですからね。」
■まとめ、エスパー石鍛冶に興味がある人へ
斉藤 「この記事を見てくださってる方々に一言あればお願いします。」
高橋 「一貫して言えることは攻める姿勢を大事にってことですね。本当にコンバットが大事になります!全てを捌けるデッキではないのでライフのプレッシャーをかけることによって選択肢を無くすってことを意識しています。《石鍛冶の神秘家》によるアドバンテージの差やハンデスの価値はゲームが長引くほど薄まっていくので、ライフを詰めて相手の選択肢を狭めることは常に意識した方が良いと思います。」
斉藤 「そうですね。よく《石鍛冶の神秘家》の能力を起動することがないのに、1点のコンバットをしない人を見かけます。そのようなコンバットをコツコツすることも大切になるデッキですよね。
今回は、インタビューありがとうございました。」
高橋 「ありがとうございました。」
次回は、デス&タックスを使っているあの人を招待して、一緒に解説していきたいと思います。
それでは、また第4回でお会いしましょう!