皆さんこんにちは。
先週末には新セット『神々の軍勢』のプレリリースがありましたが皆さん楽しい週末を過ごせましたか?
さて、今回は現環境の最後の大会であるStarCityGames.com Open Series(SCGO) BaltimoreとGP Vancouverの解説をしていきたいと思います。
SCGO Baltimore トップ8 デッキアーキタイプ
2014年1月24日
1位 Mono Black Devotion/黒単
2位 Mono Black Devotion/黒単
3位 RW Devotion/赤白ビートダウン
4位 UW Control/白青コントロール
5位 GR Monsters/赤緑怪物
6位 Mono Blue Devotion/信心青単
7位 GR Monsters/赤緑怪物
8位 Esper Control/白青黒コントロール
現環境最後のスタンダードの大会のSCGO Baltimoreはトップメタの一角であるMono Black Devotionのワンツーフィニッシュでした。他にはMono Blue DevotionやUW Control,RG Monsters等環境最後の大会のトップ8らしくトップメタのデッキが多数見られました。
SCGO Baltimore デッキ解説
「Mono Black Devotion」「GR Monsters」
18 《沼》 4 《静寂の神殿》 4 《変わり谷》 -土地(26)- 4 《群れネズミ》 4 《夜帷の死霊》 4 《冒涜の悪魔》 4 《アスフォデルの灰色商人》 -クリーチャー(16)- |
4 《思考囲い》 1 《強迫》 4 《肉貪り》 1 《ファリカの療法》 3 《英雄の破滅》 4 《地下世界の人脈》 1 《漸増爆弾》 -呪文(18)- |
3 《生命散らしのゾンビ》 2 《死者の神、エレボス》 2 《闇の裏切り》 2 《強迫》 2 《破滅の刃》 2 《ファリカの療法》 1 《真髄の針》 1 《漸増爆弾》 -サイドボード(15)- |
今回Mono Black Devotionで見事に優勝を飾ったZach Jesseは他のリストとは少し異なるアプローチをしていました。メインとサイドに1枚ずつ採用されている《漸増爆弾》は同系対決の切り札である《群れネズミ》を一掃し、同系において重要なアドバンテージ源である《地下世界の人脈》を除去することが可能です。コントロールに対しても《拘留の宝球》や《ヴィズコーパの血男爵》等黒単にとって触り難いパーマネントに対する回答になります。
苦手なUW Controlとのマッチアップを少しでも有利にする為に《強迫》もメインに1枚採用されています。RG Monstersを意識してサイドには《破滅の刃》とPW対策に《真髄の針》が採られています。
7 《森》 6 《山》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《奔放の神殿》 2 《変わり谷》 -土地(23)- 4 《エルフの神秘家》 3 《森の女人像》 3 《漁る軟泥》 3 《加護のサテュロス》 4 《世界を喰らう者、ポルクラノス》 4 《ゴーア族の暴行者》 4 《嵐の息吹のドラゴン》 -クリーチャー(25)- |
2 《ミジウムの迫撃砲》 2 《Felsh // Blood》 4 《ドムリ・ラーデ》 3 《歓楽者ゼナゴス》 1 《獣の統率者、ガラク》 -呪文(12)- |
4 《霧裂きのハイドラ》 2 《ショック》 2 《ミジウムの迫撃砲》 2 《垂直落下》 2 《破壊的な享楽》 2 《紅蓮の達人チャンドラ》 1 《自由なる者ルーリク・サー》 -サイドボード(15)- |
緑と赤の優秀なクリーチャーやPWをマナクリーチャーから展開する中速デッキです。新セットの『神々の軍勢』からも新戦力となりそうなカードが見られます。
赤緑の神である《歓楽の神、ゼナゴス》は5マナと重くクリーチャー化の条件も厳しいですが、このカードの能力によって強化された《嵐の息吹のドラゴン》や《霧裂きのハイドラ》等は相手にすると非常に厄介です。《霊気のほころび》と《宿命的火災》も、各種GodやPWは赤緑にとって対処が難しかったので地味ながら貴重な除去スペルです。
GP Vancouver トップ8 デッキアーキタイプ
2014年1月25日
1位 UW Control/白青コントロール
2位 Mono Blue Devotion/信心青単
3位 UW Control/白青コントロール
4位 Mono Black Devotion/黒単
5位 Mono Black Devotion/黒単
6位 Mono Blue Devotion/信心青単
7位 Mono Blue Devotion/信心青単
8位 UW Control/白青コントロール
現環境最後のスタンダードで行われたGPの結果らしく、トップ8は現環境のトップメタに位置するMono Black DevotionとMono Blue Devotion,UW Controlで占められました。そして、優勝はUW Controlでした。
GP Vancouver デッキ解説
「UW Control」「UW Control」「Mono Blue Devotion」「Mono Black Devotion」
5 《島》 5 《平地》 4 《神聖なる泉》 4 《アゾリウスのギルド門》 4 《欺瞞の神殿》 2 《静寂の神殿》 3 《変わり谷》 -土地(27)- 1 《霊異種》 -クリーチャー(1)- |
3 《中略》 4 《今わの際》 2 《アゾリウスの魔除け》 4 《解消》 4 《スフィンクスの啓示》 4 《至高の評決》 4 《拘留の宝球》 4 《思考を築く者、ジェイス》 3 《太陽の勇者、エルズペス》 -呪文(32)- |
4 《万神殿の兵士》 4 《テューンの大天使》 3 《闇の裏切り》 3 《反論》 1 《好機》 -サイドボード(15)- |
同週末に開催されたSCGO BaltimoreでもプロプレイヤーのBrad Nelsonも同様のリストでトップ4に入賞していたことから、デッキの完成度の高さが伺えます。アメリカでは齋藤友晴さんが使っていたリストという事でSaito Controlと呼ばれており、今回優勝したカナダのプロプレイヤーのAlexander Hayne のリストもオリジナルと同様のリストでした。余談ではありますが、筆者もようやく《テューンの大天使》を4枚揃えることができたので(筆者のよく行くお店では同カードの品薄状態が続いていました)試してみたところ、FNMや地元の大会で入賞することができました。
メインの《中略》は相手の先手3ターン目の《海の神、タッサ》や《地下世界の人脈》といった厄介なスペルを後手でもカウンター可能です。《変わり谷》は中盤以降残りのライフを削りに来る相手の《変わり谷》を受け止め、同系戦では相手のPWを牽制すると同時にカウンターされない重要なダメージソースとなるので、3枚と多目の数字にも納得です。
サイドの《テューンの大天使》はサイド後《急速混成》等の除去を抜いて《反論》や《否認》をサイドインしてくるMono Blue Devotionに対して特に強力です。《記憶の熟達者、ジェイス》《霊異種》等Mono Blue側はこちらがタップアウトした隙に着地させるエンドカードがあるのに対し、従来のUW Controlのアクションは《太陽の勇者、エルズペス》と《思考を築く者、ジェイス》ぐらいでしたが、そこに《テューンの大天使》が加わったことにより非常に楽になりました。単純に相手のタップアウトの隙をついて着地させる脅威が増えたことも大きな魅力です。Mono Blue側も《急速混成》は残し難いですし、《反論》や《否認》でカウンターできない脅威は非常に厄介です。この《テューンの大天使》の活躍を受けて、最近はMono Blueも確定カウンターである《解消》をサイドボードに採用し始めたので、今後UW Controlをプレイする方は注意した方がいいでしょう。
《闇の裏切り》は隙の大きい《至高の評決》や、《地下世界の人脈》等を除去するために取っておきたい《拘留の宝球》を使うことなく処理することを可能にします。UW Controlにとっては触り難い《幽霊議員オブゼダート》を除去できるのも魅力です。新セットの『神々の軍勢』からも新戦力になりそうなカードが何枚か見られるので、お勧めのアーキタイプです。
6 《島》 6 《平地》 4 《神聖なる泉》 4 《アゾリウスのギルド門》 2 《静寂の神殿》 1 《欺瞞の神殿》 2 《変わり谷》 -土地(25)- -クリーチャー(0)- |
2 《急かし》 1 《中略》 4 《アゾリウスの魔除け》 2 《今わの際》 4 《解消》 4 《スフィンクスの啓示》 3 《予言》 4 《至高の評決》 4 《拘留の宝球》 3 《太陽の勇者、エルズペス》 3 《思考を築く者、ジェイス》 1 《不死の霊薬》 -呪文(35)- |
3 《ギルドとの縁切り》 3 《次元の浄化》 2 《テューンの大天使》 2 《反論》 2 《否認》 2 《真髄の針》 1 《払拭》 -サイドボード(15)- |
Alexander Hayne の優勝したリストと異なりドロースペルを多目に採用し、ライブラリーアウトによる決着が珍しくない同系対策に《不死の霊薬》を搭載したMike Vasovski。Mikeはカナダ出身ですがミシガン在住で筆者とも交流があるので今回お話を聞くことができました。テーロスがスタンダードに加入して以来青白を使い続けているプレイヤーで去年の10月に開催されたSCGO Indianapolisでは惜しくもタイブレーカーに敗れトップ8を逃していました。
筆者:まずはトップ8入賞おめでとう。環境初期の頃から青白を使い続けてるみたいだけど、今大会に向けて調整した所はある?
Mike:今大会に向けて調整したのは、メインの《太陽の勇者、エルズペス》の枚数を3枚に増量した所と、サイドに《ギルドとの縁切り》と《次元の浄化》を採用した所だね。《太陽の勇者、エルズペス》は中盤以降にゲームを有利に進めるのに役に立ち勝ち手段としても優秀で、《ギルドとの縁切り》と《次元の浄化》はRG系との相性の改善の為に採用する事にした。《ギルドとの縁切り》は《幽霊議員オブゼダート》に対する回答にもなる。土地が25枚で他のリストより少な目に見えるけど、《予言》《アゾリウスの魔除け》《急かし》と多目にドロースペルを採っているからそれほど気にはならなかった。
筆者:なるほど。《ギルドとの縁切り》は《拘留の宝球》との相性の悪さから最近あまり見かけないから気になっていたんだ。
Mike:RG相手には《拘留の宝球》をサイドアウトして、《ギルドとの縁切り》と《次元の浄化》をサイドインする事になる。サイド後はRG側もエンチャント破壊(主に《破壊的な享楽》)を導入してくるし追加のPWも入るから、《次元の浄化》はそういった相手には特に刺さる。
筆者:サイドから《次元の浄化》が入る事を考えると、このリストの《急かし》はキャントリップ以上の仕事をしそうだね。《急かし》からの《予言》も地味ながら隙が少ないし、《急かし》からの 《至高の評決》や《次元の浄化》は 《嵐の息吹のドラゴン》のような速攻持ちのクリーチャーを相手にした時に特に強そうな印象があるけど。
Mike:《急かし》は強い場面では本当に強くて、最悪キャントリップとして土地や有効札を探すのに貢献する。相手が《嵐の息吹のドラゴン》や《霧裂きのハイドラ》で殴ってきてもダメージを受けることなく流すことができるのがこのスペルの魅力だね。Mono Blue Devotionに対して戦闘中に《急かし》をキャストすれば、その後の《至高の評決》を警戒して《急かし》にカウンターを使ってくれるかもしれない。
筆者:なるほど。今回はインタビューに応じてくれてありがとう。
他にも新セットの『神々の軍勢』がデッキに与える影響についても質問してみましたが、未だスポイラーには目を通していなかったようです。
次のデッキの解説に移る前に筆者的に現在のUW Controlに影響を与えそうなカードを挙げておきます。
『神々の軍勢』からは待望の青白占術ランドである《啓蒙の神殿》が加入します。デッキのマナ基盤の安定度が更にアップします。
《宿命的報復》は7マナと重めですがインスタントスピードでクリーチャーとPWを一掃することができます。PWは青白の2色では対処が困難で《拘留の宝球》が数少ない対抗手段でしたが、RG等はサイド後にエンチャント対策を投入してくるのでサイド後の除去としての信頼性に欠けました。今後は追加のスイーパーとして1-2枚採用されそうです。
《オレスコスの王、ブリマーズ》は攻めながら守る事を可能にするクリーチャーで、サイドボードに追加のクロックとして採用してみるのも面白そうです。
20 《島》 4 《変わり谷》 1 《ニクスの祭殿、ニクソス》 -土地(25)- 4 《雲ヒレの猛禽》 4 《審判官の使い魔》 4 《潮縛りの魔道士》 4 《凍結燃焼の奇魔》 4 《海の神、タッサ》 4 《夜帷の死霊》 4 《波使い》 -クリーチャー(28)- |
2 《急速混成》 2 《家畜化》 2 《タッサの二叉槍》 1 《思考を築く者、ジェイス》 -呪文(7)- |
4 《反論》 2 《家畜化》 2 《思考を築く者、ジェイス》 2 《記憶の熟達者、ジェイス》 1 《急速混成》 1 《否認》 1 《タッサの二叉槍》 1 《真髄の針》 1 《漸増爆弾》 -サイドボード(15)- |
優勝こそ逃しましたが、今大会も準優勝という好成績を収めたMono Blue Devotion。今回入賞したPeter Sundholmのリストでは多くのMono Blue Devotionに最低一枚採用されている《サイクロンの裂け目》が不採用で、代わりに《家畜化》が増量されています。サイドにも2枚追加で採用されていることから、同系対決やMono Black Devotionとのマッチアップを想定していたものと予想されます。
デッキ的に相手のクリーチャーに触る手段に乏しく《群れネズミ》1枚に負ける事もあるので、追加の対策として《漸増爆弾》もサイドに採られています。UW Controlを2回戦連続で倒して決勝戦までたどり着いたものの、このデッキにとって相手にすると最もキツイカードの1枚である《テューンの大天使》をサイドにフル搭載したUW Controlと当たり惜しくも敗れました。UW Controlの項でも解説しましたが、《テューンの大天使》は白いクリーチャーなので《反論》や《否認》でカウンターすることが不可能です。クリーチャー除去の《急速混成》もあまり残しておきたいカードではないので今後は確定カウンターである《解消》を2-3枚採用する事をお勧めします。
『神々の軍勢』からこのデッキに入りそうなカードは《タッサの拒絶》があります。普通に展開していけば《マナ漏出》とほぼ同様の性能になりそうです。状況に左右されますが1-2枚の採用は十分検討に値します。
18 《沼》 4 《静寂の神殿》 4 《変わり谷》 -土地(26)- 4 《群れネズミ》 4 《夜帷の死霊》 4 《冒涜の悪魔》 4 《アスフォデルの灰色商人》 -クリーチャー(16)- |
4 《思考囲い》 4 《肉貪り》 2 《ファリカの療法》 4 《英雄の破滅》 4 《地下世界の人脈》 -呪文(18)- |
4 《闇の裏切り》 3 《生命散らしのゾンビ》 3 《強迫》 2 《死者の神、エレボス》 1 《破滅の刃》 1 《ファリカの療法》 1 《究極の価格》 -サイドボード(15)- |
Matt Sperlingは初日全勝から二日目は1ラウンド落とすものの、初日の貯金を活かして最終戦をIDして決勝ラウンド進出を果たしていました。メインはOwen TurtenwaldがSCGO Indianapolisで使用していたリストと同様で、サイドはSCGO Baltimoreで優勝していたZachと同様にRGの増加に伴い 《死者の神、エレボス》と《強迫》が一枚ずつ抜けて単体除去の《究極の価格》と《破滅の刃》に差し替えられています。
新セットの『神々の軍勢』からも少数ながら新たな除去スペルの《胆汁病》と《悲哀まみれ》が加入されます。
《胆汁病》は《群れネズミ》に対して有効な回答になり、同系戦で《群れネズミ》を展開した側がそのままトークンを生み続けて圧倒するいわゆる”ネズミゲー”が減りそうです。《夜帷の死霊》もこのカードのおかげで以前よりも対処が楽になりそうです。今後はこのデッキを相手にする際にタフネス3以下の同じ名前のクリーチャーを一度に展開する際は《胆汁病》でアドバンテージを取られないように気を付ける必要が出てきそうです。《太陽の勇者、エルズペス》や《軍勢の集結》のトークンもまとめて除去できるので、除去スペルながらコントロール相手にも無駄カードになり難い所も魅力です。
《悲哀まみれ》はこのデッキが苦手としていた赤単や白ウイニー系のデッキに対して有効なサイドボードカードとして活躍が期待されます。
総括
現環境最後のスタンダードの大会であるSCGO BaltimoreとGP Vancouverの結果は、Mono Blue Devotion・Mono Black Devotion・UW Controlなど環境終盤らしくトップメタのデッキが多くを占めました。特にSCGO Baltimoreで優勝したMono Black DevotionとGP Vancouverで優勝を収めたUW Controlは『神々の軍勢』からの新戦力もあり、新環境でも引き続きトップメタの一角として活躍が予想されます。RGやBR Midrange、GWも新戦力の加入や各種占術ランドが揃った事でマナ基盤が強化されたので以前よりも人気が出そうです。今週末のSCGO Nashvilleが楽しみです。
以上SCGO BaltimoreとGP Vancouverの解説でした。
次回の記事ではSCGO NashvilleとSCGO Somersetの解説を予定しています。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!