準々決勝: 中道 大輔(埼玉) vs. 山本 康平(埼玉)

晴れる屋

By Yuuya Hosokawa

 スイスラウンド8回戦を終えて、119人の猛者は8人となった。

 そしてその8人の中に、やっぱりあの男はいた。

 先週のPWCでも彼は同じようにトップ8に残っていた。予選ラウンドを7-0という完全勝利に収め、準々決勝も危なげなく勝ち、そして彼はトータル8-0のスコアで得たPWCポイントで、本当に大きな称号を獲得した。



 ミスターPWC。

 最も新しいミスターPWCとなった中道 大輔は、PWCチャンピオンシップでもあっさりとトップ8に残ってみせたのだ。

 3bye明けのラウンド4、いきなり敗北を喫してしまった中道だったが、そこからの持ち直しは流石で、そのメンタルもまた、ミスターPWCにあるべき強さと言えよう。

 さて、そんな絶好調の中道大輔にいきなり膝をつかせたのが、目の前にいる山本 康平なのだ。



 一度は予選ラウンドで負けた相手。先のラウンドでは赤白バーンを駆る山本に燃やされてしまった中道。今度はリベンジに燃えていることであろう。

 中道が腰に帯刀するは、先週自らのミスターPWCを確定させた名刀。黒タッチ赤コントロールである。



Game 1


 《悪意の神殿》を含む6枚の土地に《胆汁病》というオープニングハンドを中道は長考の末にマリガンする。赤バーンを相手に火力以外でのダメージをなるべく食らいたくない中道としては、このハンドは非常に悩ましいのだろうが、さすがに攻め手のない手札で始めるのはリスクが高いと判断したようで、大人しくマリガンをする。

 すると次に配られた6枚がなんと5枚の土地と《ラクドスの復活》

 再び悩む中道。だが、今度の決断は先ほどよりも早かった。中道はこの手札のまま、赤バーンと相対することを決めたのだ。

 《悪意の神殿》で見えた《冒涜の悪魔》をそのまま置いた中道は、その次のドローで《胆汁病》を手に入れる。両者含めて最初に呪文は、3ターン目の中道のターン終了時に山本が唱えた《マグマの噴流》となった。

 続けてプレイした《チャンドラのフェニックス》は今引いたばかりの《胆汁病》で処理し、《冒涜の悪魔》をプレイする中道。赤白バーン相手に最も強力な動きである、除去を挟んでの《冒涜の悪魔》を、《ラクドスの復活》と5枚の土地という初手からなんなくやってのけたのだ。

冒涜の悪魔

 
 そして一方的に火力を受け続けるだけだった中道は一転して攻勢に回る。まずは《思考囲い》を打ち込むと、これにレスポンスで《マグマの噴流》が本体へと飛ぶ。《灼熱の血》が2枚に《稲妻の一撃》という3枚から《稲妻の一撃》を選ぶと、《変わり谷》とともに攻撃する。これでライフは山本が10、そして中道は14。

 山本は再びドロー、セット、ゴー。《冒涜の悪魔》が痛烈な一撃を加え、これで山本のライフは残り4となる。

 そして中道は手札にある《ラクドスの復活》に手を伸ばす。もちろんXは山本を焼き尽くす4。

 手札の最後の1枚が《戦導者のらせん》だったことで、《ラクドスの復活》のダメージによる即死は防ぐことが出来た山本だったが、肝心の中道のライフが10では、そもそも話しにならない。

 一度は《稲妻の一撃》をトップデッキすることで《チャンドラのフェニックス》を墓地から戻し、それを《冒涜の悪魔》の生贄に捧げたものの、中道が《変わり谷》を追加すると、山本は黒き軍勢に屈する他なかった。


中道 1-0 山本


Game 2

 
 勢いがある。というのは非常にオカルトな話になってしまうが、先週ミスターPWCになったばかりのこの男には、目に見えて勢いがあった。

 鮮やかなトップデッキの連続で勝利を収めた中道は止まらない。

 神殿の置き合いから2ターン目に山本がプレイした《火飲みのサテュロス》には、即座に《肉貪り》を打つ。

 そして逆に《生命散らしのゾンビ》で山本を攻め立てる!

 ダメージレースに持ち込まれることを嫌った山本はすぐにゾンビを《岩への繋ぎ止め》で処理するのだが、中道は続くターンに《変わり谷》で攻撃し、5ターン目には《アスフォデルの灰色商人》をプレイと、アグレッシブに動く。これにはたまらず《頭蓋割り》を挟む山本だったが、効率よくダメージを与えているとはいえない。

 それもそのはずで、山本はここまで毎ターンセットランドをし続けているのだ。

 7枚、8枚、9枚。山本が戦場に並べる土地は増えるばかり。中道はひたすら《変わり谷》で攻撃する。

変わり谷


 そして山本が呪文を引くよりも早く2枚目の《変わり谷》を引いた中道は、そのまま土地だけでリベンジを果たしたのだった。


中道 2-0 山本