第5回 前編は【こちら】
前回はミラクルというデッキについて紹介しましたが、今回はミラクルの弱点や、プレイするにあたってどんなことを考えているかを紹介していきたいと思います。
■ミラクルの弱点・やられて嫌なことは?
ミラクルが苦手とする戦略やカード、負けパターンを挙げていきます。
■苦手な戦略
1:アドバンテージ源を多く持つミッドレンジ
ミラクルは、BUG続唱やジャンドといったミッドレンジ系のデッキを苦手とします。
これらのデッキはマナカーブが重いため《相殺》があまり意味を成さず、盤面のプレッシャーになりつつアドバンテージを稼ぐクリーチャーが多く、リセットされても盤面を復旧する能力が高いためです。
特にジャンドの《血編み髪のエルフ》は、ミラクル側の中盤の要となる《精神を刻む者、ジェイス》に強く、制圧しきれないことが多々あります。
2:多角的な攻め手
クリーチャー+PWなど、対処手段が全く違ってくるような攻め手を持っているデッキに対しては、ミラクル側がクリーチャー以外のパーマネントを処理する手段が限られているため、噛み合わない手札を抱えて負けてしまうこともあります。
プレインズウォーカーを多く持つデッキには、苦戦を強いられるでしょう。
3:対処しにくいクロック
対処手段が限られてしまうダメージ源としては、RUGデルバーのサイドに採用されている《硫黄の渦》が代表格ですが、《ガドック・ティーグ》+《光と影の剣》や《最後のトロール、スラーン》+《Karakas》などの組み合わせもこれにあたります。
特にRUGデルバーの《硫黄の渦》に関して言えば、このマッチでは相手のデッキの構造上、《目くらまし》や《呪文貫き》をケアしてクリーチャー除去を通さなければならないため、盤面を捌くにしても数回は攻撃を受けることを前提にしなければなりません。
そのため一度着地を許してしまえば、脅威を排除しきった後の残りわずかなライフをあっさり削り切られることが多いと感じています。
4:早い段階で仕掛けてくるコンボデッキ
これはどのデッキにも言えることですが、1~2ターン目に仕掛けられると、《Force of Will》を持っていない限り負けてしまうことがあります。
逆に、相手側がカウンターをケアして対処手段を探すような動きをされると、こちらも《渦まく知識》や《師範の占い独楽》といったドローカードが多いので、迎え撃つ準備が整っていることが多々あります。特にサイド後はほとんど守るカードしか入っていないので、待てば待つほどカウンターの量は増えていきます。
コンボ側は単体で役に立たないコンボパーツを固め引くこともあるので、ターンが進むごとにミラクルの手札は磐石になっていくでしょう。
対コンボ戦で負けたゲームの多くは、最序盤からマストカウンターを連打されるパターンですね。
突然死を防ぐために、1ターン目は《師範の占い独楽》を持っていてもプレイせず、《渦まく知識》や《呪文貫き》を構えることが多いです。
総じて、アドバンテージ源となる重いカードや、対処しにくい・できないカードを連続で叩きつけられることに弱いということが言えます(余談ですが、最も顕著な例として12Postというデッキが挙げられます)。
ですがここで注目して欲しいのは、ミラクルに勝つ方法だけではなく、これらの戦略やカードが実は、メタの中心であるテンポデッキのマナ否定戦略やコンボデッキに対しては非常に脆弱であるという点です。
ミラクルにとって不利なデッキがTier1に排除されやすいというメタゲームの構造が、ミラクルのメタ上の優位性を築いていることに気づいていただけたと思います。
■各主要デッキに対するサイドボーディング
対ビート、コンボ、テンポ、コントロールを相手にする時の、基本的なサイドボーディングの考え方です。
●対ビート
カウンター呪文や《相殺》などを抜き、《至高の評決》や《仕組まれた爆薬》を入れます。盤面に触れるカードを増やし、1対多数の交換をして相手を息切れさせましょう。
●対コンボ
コンボの種類にもよりますが、《剣を鍬に》や《終末》などの対生物用のカードを抜いてカウンターを増やします。どこを引いても妨害手段になるようなデッキに組み替えられるようサイドボーディングしましょう。
コンボ戦はマナを伸ばす必要が薄いため、土地を1~2枚サイドアウトすることはよくあります。
●対テンポ
生物を除去することを優先にしながら、相手に明確に刺さるパーマネントの設置を目指します。
《目くらまし》や《呪文貫き》を腐らせるために、重いスペルを減らして軽い妨害スペルを多く取るようにしましょう。
●対コントロール
レガシー環境のコントロールデッキ対決は、お互いのPWを巡る攻防になるので、対策できるカードを多く持つ側が勝ちやすくなります。
また、デッキ内のスペルのマナ域が似るため、《相殺》+《師範の占い独楽》もとても有効な場合が多いです。
5 《島》 2 《平地》 3 《Tundra》 3 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 2 《Karakas》 -土地(23)- 2 《瞬唱の魔道士》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《造物の学者、ヴェンセール》 -クリーチャー(5)- |
4 《剣を鍬に》 4 《渦まく知識》 2 《呪文貫き》 1 《対抗呪文》 2 《天使への願い》 4 《Force of Will》 3 《終末》 3 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 2 《罠の橋》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(32)- |
2 《紅蓮破》 2 《赤霊破》 2 《摩耗+損耗》 2 《安らかなる眠り》 1 《白鳥の歌》 1 《狼狽の嵐》 1 《天界の粛清》 1 《至高の評決》 1 《血染めの月》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《真髄の針》 -サイドボード(15)- |
では上記のデッキレシピにおける、メタ上の主要なアーキタイプごとの大体のサイドインアウトと考え方を挙げていきます。
同じアーキタイプでも、入っているカードの枚数によってはサイドインアウトが変わったりすることもあります。
●対RUGデルバー
in 2 《安らかなる眠り》 1 《赤霊破》 1 《紅蓮破》 1 《至高の評決》 1 《血染めの月》 1 《仕組まれた爆薬》 (1 《摩耗+損耗》) |
out 2 《呪文貫き》 2 《Force of Will》 1 《造物の学者、ヴェンセール》 1 《対抗呪文》 1 《精神を刻む者、ジェイス》 (1 《相殺》) |
RUGデルバーとのゲームでは、出てきたクリーチャーを片っ端から除去してゲームを遅くさせます。ただし、除去呪文は最低限《目くらまし》と《呪文貫き》をケアしてプレイしましょう。
メインボードでの《罠の橋》は、ライフがある程度残っている状況で設置してしまえばその場で勝利できます。サイド後も、多くの場合1枚しか入っていない《古えの遺恨》を引くまでは何もできなくなるので、簡単に勝つことのできるカードです。
《ヴェンディリオン三人衆》は、《秘密を掘り下げる者》や《敏捷なマングース》と相打ちをとりながらハンドを奪うクリーチャーとして運用します。
サイドボーディングは、RUGデルバー相手には重たく感じる《対抗呪文》や《精神を刻む者、ジェイス》を少し抜き、全体除去やRUGデルバーが苦手としているパーマネントを入れます。
《相殺》はとても強力ですが、盤面に触れることのできないカードが多くなることを考慮し、《血染めの月》と入れかえる形でサイドアウトすることもあります。
《赤霊破》《紅蓮破》は《秘密を掘り下げる者》を除去することもできる確定カウンターで、《呪文貫き》の上位互換のような感覚で使用します。ですが《山》が入っていないため、《不毛の大地》を考慮して全てはサイドインしません。
《硫黄の渦》を対処するカードとしては《摩耗+損耗》がありますが、最近のRUGデルバーはそのスロットが《真の名の宿敵》に入れ替わっていることが多いので、《摩耗+損耗》をサイドインしなくてもよいことが多くなりました。
●対スニークショー
まずは除去を全部抜きます。
《終末》は《引き裂かれし永劫、エムラクール》を流せる可能性がありますが、ほとんどの場合は出されたら負けてしまいますので、そこは割り切って出させないように妨害していくことにしています。
メインでの相手のプレイングによっては、《島》はサイドアウトせずにサイドボードを14枚にすることもあります。
相手が早めにコンボを決めにくるようなプレイヤーだと感じたならサイドアウトしますが、じっくりケアしながら土地を並べて攻めてくる相手には入れたままにしておきます。
メイン戦においては、《罠の橋》を通すか、《師範の占い独楽》+《相殺》を決めてトップに3マナと4マナのカードを揃えれば勝利です。サイド後は《拭い捨て》などのバウンスが2枚ほど入ってくるので、1枚のバウンスだけで負けてしまわないよう、《罠の橋》+《真髄の針》など、対策カードを2種類揃えることが目標になります。
スニークショーのような手札破壊を持たないコンボデッキに対しては、《師範の占い独楽》をすぐに出す必要はあまりありません。
できる限りカウンターを構えましょう。マナに余裕がでてきたタイミングで《師範の占い独楽》を設置し、さらにカウンターをかき集めます。そのために大量のカウンターをサイドインします。
コンボが決まらずゲームが長引くと、スニーク側のハンドに不要牌が溜まっていくことが予想されます。なので遅いゲームになり、かつ自分のカウンター量に余裕がある時は、相手の《渦まく知識》を積極的にカウンターするようにしています。
《師範の占い独楽》+《相殺》のコンボが揃ったものの、ライブラリトップに3マナや4マナのカードを準備できない場合もあります。そんな時はライブラリトップを5マナの《Force of Will》にしておくと、相手の《Force of Will》対策になるため、カウンター合戦になったときに有利に立ち回れます。
●対BG系
BG系と戦う指針としては、《闇の腹心》と《ヴェールのリリアナ》をしっかり対処することが目標になります。
青を含まないBG系デッキは《闇の腹心》にアドバンテージ源を頼りやすいため、これをしっかり除去することにより息切れを狙えます。
また、《ヴェールのリリアナ》をしっかり捌くことができれば、普通のビートダウン相手と同様に対処するカードは豊富にありますので、その2点に意識を置いてゲームをするようにしています。
《ヴェールのリリアナ》が着地してしまった場合でも、うまく《ヴェールのリリアナ》と付き合うことによってゲームに勝つことはできます。
例えば、相手はハンドを空にしてから+1(お互いにディスカード)の能力を使うので、それにスタックして《造物の学者、ヴェンセール》で《ヴェールのリリアナ》をバウンスすることによって、《ヴェールのリリアナ》をディスカードさせることができます。
《造物の学者、ヴェンセール》に限らず、瞬速クリーチャーをライブラリトップに置き、相手のターンエンドに《師範の占い独楽》でドローしてプレイすることも有効です。
《ヴェールのリリアナ》はこちらのハンドを空にしますが、それは相手も同じなので、《ヴェールのリリアナ》が定着してしまったときには、盤面と自分のトップをよく見比べながらゲームプランを立てましょう。
サイドボーディングについては、まず《相殺》をサイドアウトしています。盤面に触れず、自分と相手のデッキのマナ域が違うため、カウンターできない可能性が高いからです。メインは《罰する火》対策として使いますが、サイドからは《安らかなる眠り》で相手の《タルモゴイフ》、《死儀礼のシャーマン》、《聖遺の騎士》などをまとめて封じましょう。
《天界の粛清》は少し後ろ向きなカードですが、ゲーム上の焦点となる《闇の腹心》と《ヴェールのリリアナ》をどちらも対処できるとても優れたカードです。
《血染めの月》はアンチカードで、相手側はスタックでマナを出して《突然の衰微》で割ることができなければほぼゲームセットとなります。
《仕組まれた爆薬》は、複数並んだ軽量クリーチャーや《真髄の針》、《ヴェールのリリアナ》などの痒いところに手が届くカードになっています。
早い段階の《ヴェールのリリアナ》さえケアすれば、普通のビートダウンとゲームの制し方は同じです。
《精神を刻む者、ジェイス》でマウントをとり、《天使への願い》をプレイすることがゴールになります。
●対石鍛冶系
《石鍛冶の神秘家》デッキのタイプによって微調整しますが、大まかにはこのようなサイドチェンジにしています。
相手の攻め手は《石鍛冶の神秘家》《真の名の宿敵》といったクリーチャーと、《精神を刻む者、ジェイス》です。
ミラクル側の目標は《相殺》を貼ること、もしくは《精神を刻む者、ジェイス》を定着させることが最重要となります。
《石鍛冶の神秘家》から《殴打頭蓋》を出されてしまってもあまり気にせず、何回か殴らせてから除去するのがコツとなります。
それよりもむしろ相手の《精神を刻む者、ジェイス》をカウンターし、一方的に《精神を刻む者、ジェイス》を着地させ、細菌トークンを除去してしまえば、《精神を刻む者、ジェイス》はなかなか落ちません。
《摩耗+損耗》や《終末》を使って《精神を刻む者、ジェイス》を維持できれば勝利は目前です。
コントロール型の石鍛冶デッキには除去を少し抜きますが、デスブレードのようなクリーチャーが多い形には減らさないようにしましょう。
エスパーカラーの石鍛冶の場合は《師範の占い独楽》がハンデスに強く、《血染めの月》が簡単にゲームを終わらせます。
青白2色の石鍛冶には赤ブラスト系が有効なのでサイドイン候補になります。
ゲームの考え方としては、《相殺》と《精神を刻む者、ジェイス》が本当に大事になるため、ターンエンドに《ヴェンディリオン三人衆》で相手の手札を確認し、安全にどちらかを通せると、かなり楽になります。
《罠の橋》は《石鍛冶の神秘家》による攻めのプランを潰すことができます。これに触れるカードは概ね1~2枚程度なので、かなり時間を稼げます。
お互いの《精神を刻む者、ジェイス》をめぐる攻防に集中し、《赤霊破》《紅蓮破》を有効に使って制しましょう。
なお、比較的長いゲームになることが多いので、僕は《Force of Will》を全ては抜かないことにしています。
●対ANT
メイン戦は《師範の占い独楽》+《相殺》を狙うか、《ヴェンディリオン三人衆》+《Karakas》で毎ターン手札を検閲することで勝つことができます。
対ANT戦で特に意識していることは、我慢をするということです。上手なANT使いは、こちらのスペルを誘ってストームを稼ごうとするため、相手のゲームプランに付き合わないことが重要になることもあります。
サイドチェンジの特徴としては、対スニークショーと違い、《剣を鍬に》を抜きません。《闇の腹心》や《ザンティッドの大群》は負けに直結するカードだからです。逆に、そこをしっかり潰しながらゲームを進行することで勝ちに向かっていくことができます。
《仕組まれた爆薬》は《花の絨毯》や《巣穴からの総出》のゴブリントークンなど、対処できる幅が広いため採用します。
《安らかなる眠り》は相手のコンボルートの片翼である《炎の中の過去》を対策するためサイドインします。特にサイド後は《陰謀団式療法》をフラッシュバックすることが多く、また、《炎の中の過去》を上手く使われると簡単に複数の確定カウンターを乗り越えられてしまうため、墓地対策が必要になります。
普段からANTを使う方はご存知かもしれませんが、《師範の占い独楽》がある状況でライブラリトップにカウンターが積まれていると、手札破壊ではコンボを通すことができません。ですが、《炎の中の過去》を手札からプレイすることでケアができます。
具体的には、《突然の衰微》で《相殺》を割ってから手札破壊でハンドのカウンターを抜き、マナ加速呪文を唱えて《炎の中の過去》をプレイします。
ミラクル側が《師範の占い独楽》からカウンターを手に入れ、《炎の中の過去》をカウンターしたとしても、《炎の中の過去》をフラッシュバックすることでもう一度ストームを貯めることができます。
もしカウンターせずに解決してしまうと、フラッシュバックした《突然の衰微》を《師範の占い独楽》に撃ってから手札破壊をフラッシュバックすることで、手札を丸裸にされてしまいます。
ゲームに勝利するまでが遅いデッキなので、《師範の占い独楽》+《相殺》が揃っても、貯まった手札で乗り越えられてしまう可能性があります。油断しないよう気を付けましょう。
よくANT側のパーマネント対策として《蒸気の連鎖》が使われますが、土地を生贄に捧げることによって、《蒸気の連鎖》コピーで《瞬唱の魔道士》や《ヴェンディリオン三人衆》を戻せることを覚えておくとよいでしょう
自分のターンエンドに《相殺》をバウンスされたとしても、これらのカードが手札にある場合、相手は仕掛けることが困難になります。
●対エルフ
全体除去や妨害カードを追加します。
しっかりと生物を除去した上で、《師範の占い独楽》+《相殺》でロック、もしくはフィニッシャーで勝ちにいくことを目標にします。
相手の浮きマナが2マナ以下であれば《垣間見る自然》に対する《呪文貫き》も有効になるので、全部はサイドアウトしません。
ゲームが進めば自然と相手のリソースは減り、少ない土地からマナを捻出せざるを得なくなるため、終盤でも《自然の秩序》や《緑の太陽の頂点》を打ち消すことができます。
また、遅いゲームになればなるほど有利になるマッチアップだということを忘れないようにしましょう。
コツとしては、1ターン目に出されたマナクリーチャーは除去するべきです。
エルフが2ターン目に3マナ以上のマナを使えるという状況には大きな意味があり、実質的には1ターン目を飛ばさせるようなものだと考えてください。
こちらは、1対多数の交換ができる全体除去を持っているので、《垣間見る自然》のような、アドバンテージになるカードを潰すように除去していくことで、かなり余裕を持って動けます。
エルフ側の視点から見ると、ミラクルに勝つ時の多くは、アドバンテージを稼いで、全体除去を食らってもすぐに復旧できるようにハンドを整えてから《孔蹄のビヒモス》に繋げるパターンがほとんどです。
そのためミラクル側は基本的には、《ワイアウッドの共生虫》と《エルフの幻想家》のコンボを成立させないために除去を使い、《垣間見る自然》を打ち消すためにカウンターを使うことを心がけましょう。
アドバンテージを取られないことが重要になるので、《真髄の針》を引いたときは、多くの場合《ワイアウッドの共生虫》を指定することになります。
エルフ側の対策としてメジャーなカードを挙げると、サイドボードからは《白鳥の歌》や《突然の衰微》などでキラーカードである《相殺》や《終末》を妨害してきます。
《緑の太陽の頂点》X=2は《ガドック・ティーグ》が出てくるマナ域であり、こちらの全体除去の邪魔をしてこようとする意味があるので、迂闊に通さないようにしましょう。
《緑の太陽の頂点》の特徴として、X=3や4であっても、それ以下のマナコストのクリーチャーをサーチし、《相殺》をくぐり抜けられることがあります。また《ガドック・ティーグ》に対しては、《Karakas》が除去に相当する働きを持つことを忘れないでください。
最後に《摩耗+損耗》について言えば、マナコスト1と2を消せるため《相殺》と相性が良く、《森の知恵》《窒息死》《真髄の針》といったエルフ側の対策パーマネントを破壊することができるので、それらのカードを入れてくるようであれば投入しましょう。
■細かいテクニックや初歩テクニック
<師範の占い独楽>と<精神を刻む者、ジェイス>、<相殺>の使い方で勝率は大きく変わります。
《師範の占い独楽》をどう使っていいかわからない人はまず、《師範の占い独楽》で見た3枚の中に《終末》《天使への願い》といった奇跡呪文があった場合、それをいつでも引けるよう、ライブラリトップに置くということから始めてみてください。自分のデッキトップになにが積まれているかを常に頭にいれておく必要があるからです。奇跡呪文がない場合は《Force of Will》などをトップに積むことにより、いつでもカウンターができるように準備をしておくこともあります。
また、《師範の占い独楽》は相手の妨害から自分の大切なスペルを守ってくれます。
相手のデッキにハンデスが入っているなら、《精神を刻む者、ジェイス》をライブラリトップに置いておくことでハンデスの脅威から回避できます。相手が青いデッキの場合も同様に《ヴェンディリオン三人衆》から守ってくれます。
レガシーにおいては、ライブラリートップというのはハンドよりも安全な場所なのです。
逆に《師範の占い独楽》を相手にしている時は、ミラクル側のフェッチスタックで《師範の占い独楽》を割ろうとすることによってデッキに戻してしまうことや、エンド時の《師範の占い独楽》タップ起動(きっと奇跡呪文をプレイするのでしょう)スタックで《不毛の大地》をフェッチに対して起動することによって、デッキをシャッフルさせるということもするべきです。
《精神を刻む者、ジェイス》に関して言えば、<精神を刻む者、ジェイス>を出してターンが返ってきてしまえば勝利は近いということです。このデッキは妨害手段がとても多く、《精神を刻む者、ジェイス》を落とそうとする生物を排除する力にとても秀でているからです。
ターンが返ってきてから通常ドロー+《精神を刻む者、ジェイス》の能力で《渦まく知識》ができ、《師範の占い独楽》があればさらにデッキを掘り進めることができます。相手の生物が1体だけであれば-1の《送還》能力を使うことによって「更地に《精神を刻む者、ジェイス》のみ」という場を作れます。小さな生物が2体いる場合には+2能力を使うことによって忠誠値を引き上げ、《精神を刻む者、ジェイス》を維持したまま次のターンを迎えることができます。
他にも初歩的なところでは、相手が赤いデッキのときはジェイスの±0の《渦まく知識》能力をすぐには使わず、まず+2の能力から入ることで、《稲妻》で《精神を刻む者、ジェイス》を失わないようにケアすることを心がけましょう。
《相殺》については、《師範の占い独楽》とのコンボ以外にも《渦まく知識》とのシナジーを活かすプレイをします。
例えば、早いコンボに対してよく行うプレイですが、1ターン目の相手のエンド時に《渦まく知識》でライブラリを操作し、自分のターンで《相殺》を出すことで相手の次の行動を制限できます。ケアしたいカードと同じコストのカードを積み込みましょう。(普段は早い段階での《渦まく知識》はNG行為です)
また、同型戦や対スニークショーなど、《Force of Will》以外の確定カウンターが少ない対戦でよくあることですが、自分の場に《相殺》があるときはライブラリトップに《Force of Will》を置くことで簡単にカウンター合戦に勝つことができます。
自分の唱えた《精神を刻む者、ジェイス》を相手の《Force of Will》から守り、着地した《精神を刻む者、ジェイス》の±0能力でその《Force of Will》を手札に加えて相手の次の行動を打ち消すという動きは、同型対決での大きな勝ちパターンとなるので覚えておきましょう。
■まとめ、奇跡コントロールに興味がある人へ
僕はいろいろなアーキタイプを試してきてこのデッキが今のレガシーではとても有利に立ちまわれると感じたので選択しました。
環境の中心にいる<実物提示教育>・<秘密を掘り下げる者>・<真の名の宿敵>・<精神を刻む者、ジェイス>という4つの視点に対して有利に立ちまわれるからです。
ミラクルを使っている時、だいたいのアーキタイプに有利だなーと感じながらゲーム進行ができるのが好きです。席に座ってゲームを始めて「相手はこのアーキタイプだから大丈夫だ」と安心しながらゲームできるのはとても大きいと思います。
しかし、このデッキを使う方に伝えたいことが2点あります。それは『ドローソースのプレイタイミング・<師範の占い独楽>の起動タイミングをよく考えること』と、『時間管理を重要視すること』です。
前者については、本当に《師範の占い独楽》を回すべきなのか?エンド時に《渦まく知識》を打つ意味があるのか?なにを目的にプレイするかを常に考えるべきです。
《師範の占い独楽》デッキであるミラクルは基本的に長期に渡ってアドバンテージを稼ぐデッキです。《師範の占い独楽》はフェッチランドがあるだけで6枚もデッキを掘ることができます。
《渦まく知識》はただ打てるときに打てばいいというものではありません。《渦まく知識》はフェッチランドとセット、もしくは奇跡呪文を積むように使うべきです。当たり前に感じるかもしれませんが、基本が大事になります。
後者については、選択肢が多いため悩みやすく、そういう意味でもゲームを長引かせるデッキなので、制限時間には本当に気をつけてください。
逆転できるカードが多いので粘りたくなることはありますが、時には早期の投了が好手となることもあるということは頭に入れておくようにしましょう。
従来のカウンターマジックが大好きだったけれど、現代のレガシーに溢れる攻撃的なデッキの数々にコントロールという戦略の限界を感じている方、僕のように遅いゲームに強いデッキが好きな方は、ミラクルというデッキを手にとってみて下さい。
絶対に気に入ってもらえると思いますよ!
次回は、マーフォークを使っているあの人を招待して、一緒に解説していきたいと思います。
それでは、また第6回でお会いしましょう!