皆さんこんにちは。
来月にはいよいよ新セットJourney Into Nyxがリリースされます。スポイラーも続々公開されていますが、皆さんが試してみたいカードはありましたか?
さて、今回の記事ではSCGO Milwaukee, GP Phoenix, SCGO Dallasの解説をしていきたいと思います。
SCGO Milwaukee トップ8 デッキアーキタイプ
2014年4月5日
1位 Mono Black Devotion/黒単
2位 UW Control/白青コントロール
3位 Mono Blue Devotion/信心青単
4位 Esper Control/白青黒コントロール
5位 RW Burn/バーン
6位 Mono Green Aggro/緑単
7位 Jund Monsters/黒赤緑ビートダウン
8位 Naya Aggro/白赤緑ビートダウン
優勝はMono Black Devotionでした。1位から5位までは青白や青単といった、現環境のトップメタデッキで占められていますが、Mono Green AggroやNaya Aggroなど、目新しいビートダウンデッキも入賞しています。
SCGO Milwaukee デッキ解説
「UW Control」「Mono Green Aggro」
6 《平地》 5 《島》 4 《神聖なる泉》 4 《欺瞞の神殿》 4 《啓蒙の神殿》 3 《変わり谷》 -土地(26)- 1 《霊異種》 -クリーチャー(1)- |
1 《中略》 1 《天界のほとばしり》 1 《今わの際》 1 《本質の散乱》 1 《サイクロンの裂け目》 1 《分散》 2 《アゾリウスの魔除け》 4 《スフィンクスの啓示》 3 《解消》 2 《予言》 4 《至高の評決》 1 《宿命的報復》 4 《拘留の宝球》 1 《不死の霊薬》 1 《アゾリウスの魔鍵》 4 《思考を築く者、ジェイス》 1 《太陽の勇者、エルズペス》 -呪文(33)- |
3 《反論》 2 《今わの際》 1 《叫び回る亡霊》 1 《天界のほとばしり》 1 《否認》 1 《異端の輝き》 1 《静寂宣告》 1 《盲従》 1 《家畜化》 1 《債務者の演壇》 1 《漸増爆弾》 1 《記憶の熟達者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
SCGOのコメンテーターとしても活動しているAdrian Sullivan。今回はプレイヤーとしての参加で惜しくも決勝戦で敗れましたが、600人以上の参加者を出した大会での準優勝と、堂々たる結果を残しました。彼のリストは他の青白と比較しても個性的で、特にサイドは1枚刺しのカードが多く、珍しいカードも何枚か採られています。
1枚刺しのカードが多い理由の1つとして、このデッキのメインの戦略が《不死の霊薬》+《スフィンクスの啓示》による長期戦を想定をしている、ということが挙げられます。《スフィンクスの啓示》や《予言》等のドロースペルや各種占術ランドがあるので、ゲームが長引けばその分それらの1枚差しのカードに巡り合うチャンスも増えます。そのため、サイドに1枚のみ採用されている多くのカードは《記憶の熟達者、ジェイス》や《盲従》など、フィニッシャーや活躍できる状況が限定されているカードが中心となっています。
《債務者の演壇》は見慣れない1枚ですが、青白同系対決での《霊異種》対策としてRTRブロック構築における青白系デッキのサイドボードに採用されていたこともあるカードです。
19 《森》 4 《変わり谷》 -土地(23)- 4 《エルフの神秘家》 4 《実験体》 4 《刷毛履き》 4 《炎樹族の使者》 4 《カロニアの大牙獣》 2 《漁る軟泥》 4 《恭しき狩人》 4 《加護のサテュロス》 3 《殺戮角》 1 《狩猟の神、ナイレア》 -クリーチャー(34)- |
2 《繕いの接触》 1 《レインジャーの悪知恵》 -呪文(3)- |
4 《霧裂きのハイドラ》 4 《ナイレアの信奉者》 3 《ドライアドの闘士》 2 《繕いの接触》 1 《漁る軟泥》 1 《茨潰し》 -サイドボード(15)- |
緑単色の信心デッキ。今大会のデッキテクとしても紹介されています。
インタビューによると黒系のデッキに相性が良く、逆に青単はあまり当たりたくない相手のようで、青単が少ないメタになると想定しての選択だったそうです。
《炎樹族の使者》から一度に多数のクリーチャーが速い段階で展開されるので、単体除去が中心の黒系のデッキに対しては特に強そうです。《炎樹族の使者》や《カロニアの大牙獣》は《恭しき狩人》や《狩猟の神、ナイレア》のための緑への「信心」を集めます。
《至高の評決》などのスイーパーを搭載したEsper Controlに対して相性が悪い印象がありますが、メインとサイドと合わせて合計4枚採用されている《繕いの接触》があるので、見た目よりも悪くないマッチアップのようです。このデッキは立ち上がりが速く、コントロール側も《繕いの接触》をケアする余裕がないまま4ターン目に 《至高の評決》をキャストすることを余儀なくされるので、そこに《繕いの接触》が刺さります。
GP Phoenix トップ8 デッキアーキタイプ
2014年4月5日
1位 Mono Black Devotion/黒単
2位 Mono Blue Devotion/信心青単
3位 Jund Midrange/黒赤緑ビートダウン
4位 UW Devotion/信心青単
5位 Bant Superfriends/白青緑コントロール
6位 Mono Black Devotion/黒単
7位 BR Devotion/黒単
8位 Jund Midrange/黒赤緑ビートダウン
GP Beijingに引き続いて優勝はMono Black Devotionでした。青単や青単タッチ白信心や黒単タッチ赤などの「信心」デッキが多く、コントロールの少ないトップ8でした。
GP Phoenix デッキ解説
「Mono Black Devotion」「Mono Blue Devotion」「Bant Superfriends」
17 《沼》 4 《静寂の神殿》 4 《変わり谷》 -土地(25)- 4 《群れネズミ》 4 《夜帷の死霊》 4 《冒涜の悪魔》 4 《アスフォデルの灰色商人》 -クリーチャー(16)- |
4 《思考囲い》 3 《胆汁病》 2 《肉貪り》 1 《破滅の刃》 4 《英雄の破滅》 4 《地下世界の人脈》 1 《エレボスの鞭》 -呪文(19)- |
4 《強迫》 3 《生命散らしのゾンビ》 3 《闇の裏切り》 2 《死者の神、エレボス》 2 《ファリカの療法》 1 《肉貪り》 -サイドボード(15)- |
今回優勝したRobert BerniのリストにはRW Burnに対するサイドの切り札である《死の大魔術師の杖》は不採用です。GP Beijingで人気があったRW Burnは今大会では対策が厳しかったようで、2日目に進出できたのは少数でした。
SCG Invitational Charlotteでも多くの入賞者を出したクリーチャーを多く搭載した赤単アグロや、それらに有利なことで復権してきている青単に対しても有効な《ファリカの療法》が優先されています。
20 《島》 1 《ニクスの祭殿、ニクソス》 4 《変わり谷》 -土地(25)- 4 《雲ヒレの猛禽》 4 《審判官の使い魔》 4 《潮縛りの魔道士》 4 《凍結燃焼の奇魔》 4 《海の神、タッサ》 4 《夜帷の死霊》 4 《波使い》 -クリーチャー(28)- |
3 《急速混成》 1 《サイクロンの裂け目》 2 《タッサの二叉槍》 1 《家畜化》 -呪文()- |
3 《反論》 2 《払拭》 2 《否認》 2 《解消》 2 《記憶の熟達者、ジェイス》 1 《急速混成》 1 《サイクロンの裂け目》 1 《家畜化》 1 《思考を築く者、ジェイス》 -サイドボード(15)- |
最近は《拘留の宝球》にアクセスできるタッチ白の活躍が目立っていましたが、青単を長いこと愛用しているSam BlackやSam Pardeeは安定感のある単色を使い続けているようです。そのSam Pardeeと調整をしていたNathanは、青単色の信心で準優勝を果たしました。
Nathanのリストには《家畜化》がメインに採用されています。コントロール以外には無駄碑になりにくく、同系や黒系のデッキに対して強いカードです。
また、《急速混成》がメイン、サイドと合わせて4枚採用されています。クリーチャーをテンポを失うことなく処理することが可能な上に、こちらのクリーチャーを対象にした除去に対応して自分のクリーチャーに打てば3/3クリーチャーを残すことも可能です。特に黒信心やRW Burnに対しては、こちらのクリーチャーを対象にした《胆汁病》や《灼熱の血》、《戦導者のらせん》の効果を打ち消すことができるので重要なテクニックです。
2 《平地》 1 《島》 1 《森》 4 《啓蒙の神殿》 4 《神秘の神殿》 4 《繁殖池》 3 《神聖なる泉》 2 《寺院の庭》 2 《豊潤の神殿》 3 《変わり谷》 -土地(26)- 3 《森の女人像》 2 《霊異種》 -クリーチャー(5)- |
2 《中略》 2 《アゾリウスの魔除け》 1 《存在の破棄》 1 《天界のほとばしり》 4 《スフィンクスの啓示》 3 《解消》 4 《至高の評決》 4 《拘留の宝球》 4 《思考を築く者、ジェイス》 2 《荒ぶる波濤、キオーラ》 2 《太陽の勇者、エルズペス》 -呪文(29)- |
3 《復活の声》 3 《反論》 2 《ナイレアの弓》 2 《否認》 1 《漁る軟泥》 1 《天界のほとばしり》 1 《今わの際》 1 《存在の破棄》 1 《宿命的報復》 -サイドボード(15)- |
青白コントロールに緑を足してPWを多めに搭載したデッキで、《森の女人像》によるマナ加速によって3ターン目に《思考を築く者、ジェイス》や《荒ぶる波濤、キオーラ》を展開することが可能です。
サイドには《復活の声》や《漁る軟泥》など、クリーチャーを多めに採っています。2ゲーム目以降除去を減らしてくる相手の意表を突くと同時に、アクティブに展開していくことでマッチを時間以内に終了させやすくなり、引き分けを量産させることを防ぎます。
追加のクリーチャーをサイドインするのはコントロール戦略の定番として定着してきているので、コントロールを相手にした際も2ゲーム以降除去をあまりサイドアウトしすぎないように気をつける必要があります。また、RW Burn対策として毎ターンライフゲインできる《ナイレアの弓》がサイドに採用されています。
SCGO Dallas トップ8 デッキアーキタイプ
2014年4月12日
1位 Mono Black Devotion/黒単
2位 GW Aggro/緑白ビートダウン
3位 Naya Aggro/呪禁オーラ
4位 Esper Control/白青黒コントロール
5位 BW Midrange/白黒コントロール
6位 RW Burn/バーン
7位 Mono Black Devotion/黒単
8位 RW Burn/バーン
前回のSCGO Milwaukeeに続いてMono Black Devotionの優勝です。GP Beijing, SCGO Milwaukee, GP Phoenixと合わせて4つの異なる地域の大会を制する等、凄まじいパフォーマンスです。
SCGO Dallas デッキ解説
「Naya Aggro」「GW Aggro」
2 《森》 1 《平地》 4 《聖なる鋳造所》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《寺院の庭》 4 《豊潤の神殿》 3 《奔放の神殿》 1 《凱旋の神殿》 -土地(23)- 4 《実験体》 4 《羊毛鬣のライオン》 4 《復活の声》 4 《魔女跡追い》 3 《加護のサテュロス》 4 《ゴーア族の暴行者》 -クリーチャー(23)- |
4 《ボロスの魔除け》 4 《セレズニアの魔除け》 3 《ワームの到来》 1 《向こう見ずな技術》 2 《群れの統率者アジャニ》 -呪文(14)- |
4 《空殴り》 4 《天上の鎧》 4 《ひるまぬ勇気》 3 《向こう見ずな技術》 -サイドボード(15)- |
今大会のデッキテクとしても紹介されています。
メインはNaya HexproofとNaya Aggroの中間といったところで、サイドに《ひるまぬ勇気》など3種類のオーラが採用されており、サイド後は《加護のサテュロス》や《ワームの到来》といった緑白ビートダウンの部分と入れ替わりNaya Hexproofに変形するように構築されています。
黒系のデッキに対しては《魔女跡追い》のように《肉貪り》以外で除去され難いクリーチャーや除去を撃たれてもアドバンテージの取れる《復活の声》が採用されているので、《生命散らしのゾンビ》がメインに搭載されたバージョン以外には相性が良さそうです。スイーパーを搭載したコントロールに対しても、《ボロスの魔除け》でクリーチャーに破壊されない能力を与えたり《加護のサテュロス》や《ワームの到来》等インスタントスピードで展開していける脅威を巧く使って立ち回れば、有利にゲームを進めることが可能です。
相手のエンド時に《ワームの到来》で5/5トランプルを出した直後のターンに《ゴーア族の暴行者》+《ボロスの魔除け》の組み合わせを仕込んだアタックが通ればゲームが終わります。こういった突然死を防ぐためにも、このタイプのデッキと対戦する際は不用意にタップアウトをしないように心掛ける必要があります。
Mono Blue Devotionに対してはクリーチャー除去を採用していないので《潮縛りの魔道士》や《波使い》に触れず苦戦を強いられそうです。サイド後は《空殴り》にオーラを付けてダメージレースに持ち込むプランのようです。
8 《平地》 7 《森》 4 《寺院の庭》 4 《豊潤の神殿》 -土地(23)- 4 《実験体》 4 《万神殿の兵士》 4 《復活の声》 4 《羊毛鬣のライオン》 3 《加護のサテュロス》 3 《オレスコスの王、ブリマーズ》 -クリーチャー(22)- |
3 《神々の思し召し》 4 《セレズニアの魔除け》 4 《ワームの到来》 2 《ヘリオッドの槍》 2 《群れの統率者アジャニ》 -呪文(15)- |
3 《ひるまぬ勇気》 2 《霧裂きのハイドラ》 2 《空殴り》 2 《今わの際》 2 《霊気のほころび》 2 《垂直落下》 1 《異端の輝き》 1 《根生まれの防衛》 -サイドボード(15)- |
Aaron Barichのリストと異なり純正緑白ビートダウンで、単体除去対策に《神々の思し召し》を採用しています。コントロールの全体除去に強い「瞬速」持ちのクリーチャーの《加護のサテュロス》とインスタントスピードで5/5トランプルのクリーチャーを出せる《ワームの到来》もしっかり採用しています。
メインでのMono Blue Devotionとのマッチアップがきついので、サイドに《霧裂きのハイドラ》と《空殴り》が採用されています。単体除去の《今わの際》も採用されているので、サイド後は《潮縛りの魔道士》と《波使い》も対処可能です。
《垂直落下》は緑白にとって対処の困難な《テューンの大天使》や《嵐の息吹のドラゴン》をわずか2マナで除去が可能です。Journey Into Nyxのスポイラーによると緑白のPWである《英雄の導師、アジャニ》など、緑白が強化されそうなので、新環境で人気が出そうなアーキタイプです。
総括
今回の記事で紹介した全ての大会(SCGO Milwaukee, GP Phoenix, SCGO Dallas) をMono Black Devotionが制しました。環境も終盤を迎え、再来週には新セットJourney Into Nyxのプレリリースがあります。まだフルスポイラーは公開されていませんが、待ちに待った赤青、緑黒の「占術」ランドや《英雄の導師、アジャニ》《マナの合流点》など、環境に影響を与えそうなカードも何枚か見られます。果たしてプロツアー「テーロス」以来環境を支配し続けている黒単信心を超えるデッキが出て来るのか。とても楽しみです。
以上SCGO Milwaukee、GP Phoenix、SCGO Dallasの解説でした。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!