今回USA Legacy Expressの50回記念によるスペシャル企画として、増刊記事を書く機会をいただきました。50回、約2年にわたってこの連載を続けてこられたのも、ひとえに読者の皆様のおかげです。改めて感謝いたしますとともに、これからもUSA Standard Expressともどもよろしくお願いします。
というわけで今回は50回記念スペシャルということで、特別にStarcity Organized Playコーディネーターのインタビューをお届けします。
またUSA Legacy Express総集編も兼ねて、史上最高のマナクリーチャーとされている《死儀礼のシャーマン》と色拘束は強いもののカウンターされない軽量除去の《突然の衰微》が加入した、RTR解禁後から現在までのレガシーメタゲームのおさらいと解析もおこなっていきたいと思います。
Interview With Steven Zwanger
■Starcity Open Seriesについて
Steven: Starcity Open Seriesを開催するようになったのは2010年からで、それ以前からもスタンダードの5K(賞金総額$5000)大会が不定期に行われていました。そういった大会を定期的に開催することで、もっと多くのプレイヤーにGP並の賞金が懸かった競技レベルの大会をもっと身近なものとして体験し楽しんでもらう、というのが私たちの目標です。例えばWizards主催の大規模で参加権不要なプレミアイベントであるGPよりも開催地区が幅広く設定されていて、プレイヤーも次の大会を長い期間待つ必要がないように努めています。
-確かにより身近な印象がありますね。高額な賞金も会場付近に住むプロプレイヤーや地元の強豪プレイヤーを惹きつける魅力がありますし、カメラフィーチャーマッチはローカルの無名強豪プレイヤーにもスポットが当たります。Starcityセレブリティー(SCGOのフィーチャーマッチやデッキテクインタビューを通して有名になったプレイヤー)とされる若手のプレイヤーを多く輩出していますし、SCGOセレブリティーからGPやPTにステップアップしていったプレイヤーも多く見てきています。
Steven: そういったプレイヤーをこれからももっと増やしていくのも、私たちの目標の一つです。
-レガシーのオープンで大変なことはありますか?
Steven: 大変なことはいくつかありますが、まずジャッジとしての立場として大変なことは、レガシーは広大なカードプールに加えてカードのテキストにエラッタが加えられていることが多く、そのことについてプレイヤーに分かりやすく説明をするのは毎回大変です。運営側として大変なことは、レガシーで使われているデッキの中には《High Tide》などその性質上どうしても時間がかかってしまうものもあり、大会が思ったようにスムーズに進行しないことがあることです。しかし、ジャッジもプレイヤーに対しなるべく遅いプレイをしないように注意を呼びかけており、最近はプレイヤーもなるべく早いプレイをするように協力してくれているので、イベントの進行は以前よりもスムーズになってきた印象です。
-日本でも来月にbigmagic openが行われますがそのことについてはどう思われますか?
Steven: そのことについては私たちもとても楽しみにしています。これをきっかけに日本でもオープンやStarcity Invitational Qulifierが開催されるようになれば、近い将来SCG Invitationalにも北米のプレイヤー以外に日本や他の国のプレイヤーの参加者も出て盛り上がります。
-Starcity主催のプロツアーのようになりますね。
Steven: プロツアーは海外で開催されることもありますがSCG Invitationalはアメリカ国内なので、遠征に慣れていないプレイヤーにとっても参加する敷居が低くなります。私たちはStarcityの大会がなるべくプレイヤーの身近な存在となるように努めると同時に、プロツアーやPlayer’s Championship等、Wizards主催の大規模なイベントをシミュレートしていきます。
-なるほど。今回はお忙しい中ありがとうございました。今後もよろしくお願いします。
メタゲームの推移
レガシーはカードの資産や個々の得意なデッキ戦略の関係で他のフォーマットと比べると地域によってメタが異なる傾向があります。しかし、SCGOや特に招待制のSCG Invitationalでは、トップメタと呼ばれているデッキが一定の成績を収めています。
RTRのリリース直後は《死儀礼のシャーマン》と《突然の衰微》のカードパワーの高さが注目こそされていたものの、プレイヤーもどのようにデッキを構築するのか試行錯誤の段階で、しばらくは以前から結果を残していたRUG DelverやEsper Stonebladeが結果を残していました。RTRからのカードは墓地対策カードの《安らかなる眠り》がMiraclesやStonebladeのサイドボードに採用されていたぐらいでした。
それから《死儀礼のシャーマン》と《突然の衰微》を使ったデッキが結果を出し始めたのは、リリースから2か月以上経過した2012年12月に開催されたSCGO Baltimoreでした。
4 《Underground Sea》 2 《Bayou》 1 《Tropical Island》 3 《汚染された三角州》 4 《新緑の地下墓地》 2 《霧深い雨林》 4 《不毛の大地》 -土地(20)- 4 《秘密を掘り下げる者》 3 《死儀礼のシャーマン》 4 《タルモゴイフ》 3 《墓忍び》 -クリーチャー(14)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 1 《殺し》 4 《Hymn to Tourach》 1 《森の知恵》 4 《突然の衰微》 -呪文(26)- |
1 《漁る軟泥》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 2 《呪文貫き》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 2 《暗黒破》 2 《悪魔の布告》 1 《殺し》 1 《大渦の脈動》 1 《虚無の呪文爆弾》 1 《梅澤の十手》 -サイドボード(15)- |
現環境でも活躍しているBUG Delverの初期の型です。《死儀礼のシャーマン》が3枚だったりと、今見ると疑問に思う箇所がいくつか見られますが、基本的に現在のバージョンとほとんど変りない内容です。SCGO BaltimoreはSCG Invitational Los Angeles直前に行われたオープンで、これをきっかけに緑黒青のカラーコンビネーションの人気が加速していきます。そして2012年を締めくくるSCG Invitational Los Angelesでは、BUG Delverよりも中速寄りに構築された《断片無き工作員》のCascadeからアドバンテージを取っていくShardless BUGが結果を残しました。
4 《Underground Sea》 1 《Bayou》 2 《Tropical Island》 4 《汚染された三角州》 3 《新緑の地下墓地》 4 《霧深い雨林》 2 《忍び寄るタール坑》 2 《不毛の大地》 -土地(22)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《タルモゴイフ》 4 《断片無き工作員》 -クリーチャー(12)- |
4 《渦まく知識》 4 《祖先の幻視》 1 《思案》 3 《Force of Will》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 3 《思考囲い》 2 《Hymn to Tourach》 1 《四肢切断》 4 《突然の衰微》 1 《梅澤の十手》 -呪文(26)- |
2 《青霊破》 1 《Force of Will》 1 《コジレックの審問》 1 《Hymn to Tourach》 1 《四肢切断》 1 《恐ろしい死》 3 《仕組まれた疫病》 1 《クローサの掌握》 3 《虚無の呪文爆弾》 1 《梅澤の十手》 -サイドボード(15)- |
Shardless BUGはその後も進化を続け、同デッキを構築したGerry Thompson自身の手によって2013年に開催されたSCG Invitational Atlantaで優勝を果たしました。
2 《Bayou》 2 《忍び寄るタール坑》 4 《霧深い雨林》 2 《汚染された三角州》 2 《Tropical Island》 4 《Underground Sea》 4 《新緑の地下墓地》 2 《不毛の大地》 -土地(22)- 2 《悪意の大梟》 4 《断片無き工作員》 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《タルモゴイフ》 -クリーチャー(14)- |
4 《突然の衰微》 4 《渦まく知識》 3 《Force of Will》 4 《祖先の幻視》 3 《Hymn to Tourach》 1 《大渦の脈動》 2 《思考囲い》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(24)- |
3 《虚無の呪文爆弾》 2 《悪意の大梟》 2 《誘惑蒔き》 2 《寒け》 2 《ヴェールのリリアナ》 1 《Hymn to Tourach》 1 《大渦の脈動》 2 《思考囲い》 -サイドボード(15)- |
《精神を刻む者、ジェイス》に次ぐ歴代最高のPWである《ヴェールのリリアナ》を採用したバージョンでありつつ、この時点で既に完成されたリストで、現在のShardless BUGのスタンダードなリストです。
また《死儀礼のシャーマン》と《突然の衰微》の加入による恩恵を受けたのはBUGだけでなく、高い入賞率を誇るStonebladeやコンボデッキの中でも最も高い入賞率を出しているANTのサイドボードの選択の幅を広げました。また、モダンでもトップメタデッキとして活躍していたJundもコンスタントに入賞をしていました。
1 《沼》 1 《森》 3 《Badlands》 2 《Bayou》 3 《血染めのぬかるみ》 2 《樹木茂る山麓》 4 《新緑の地下墓地》 4 《燃え柳の木立ち》 3 《不毛の大地》 -土地(23)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《闇の腹心》 4 《タルモゴイフ》 3 《血編み髪のエルフ》 -クリーチャー(15)- |
4 《思考囲い》 3 《Hymn to Tourach》 4 《ヴェールのリリアナ》 2 《稲妻》 3 《罰する火》 1 《壌土からの生命》 1 《森の知恵》 3 《突然の衰微》 1 《大渦の脈動》 -呪文(22)- |
1 《血編み髪のエルフ》 3 《強迫》 1 《Chains of Mephistopheles》 3 《仕組まれた疫病》 3 《紅蓮破》 1 《古えの遺恨》 2 《トーモッドの墓所》 1 《梅澤の十手》 -サイドボード(15)- |
当時のモダンのJundをベースに、デュアルランドとパワーカードの《Hymn to Tourach》や《森の知恵》を加えたレガシー版のJund。モダンでは禁止カードに指定されている 《罰する火》はレガシーでは使用可能なので《燃え柳の木立ち》とのコンボも健在です。《血編み髪のエルフ》と《死儀礼のシャーマン》はそのカードパワーの高さのために現在のモダンでは禁止カードに指定されているので、この型のJundを使えるのはレガシーのみです。
3 《Underground Sea》 2 《Tundra》 1 《Bayou》 1 《Scrubland》 1 《Tropical Island》 4 《汚染された三角州》 4 《溢れかえる岸辺》 2 《湿地の干潟》 1 《霧深い雨林》 1 《忍び寄るタール坑》 1 《Karakas》 3 《不毛の大地》 -土地(24)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《闇の腹心》 4 《石鍛冶の神秘家》 1 《瞬唱の魔道士》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(14)- |
4 《渦まく知識》 1 《思案》 3 《Force of Will》 4 《剣を鍬に》 2 《思考囲い》 2 《突然の衰微》 1 《拘留の宝球》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 -呪文(22)- |
3 《聖トラフトの霊》 2 《思考囲い》 2 《至高の評決》 2 《大祖始の遺産》 2 《翻弄する魔道士》 1 《解呪》 1 《Force of Will》 1 《拘留の宝球》 1 《概念泥棒》 -サイドボード(15)- |
《死儀礼のシャーマン》というマナ加速カードを得たEsper Stonebladeは《聖トラフトの霊》を採用する等、テンポ寄りにシフトしていきます。
2 《島》 1 《沼》 2 《Underground Sea》 1 《Volcanic Island》 4 《汚染された三角州》 3 《沸騰する小湖》 2 《宝石鉱山》 -土地(15)- -クリーチャー(0)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《定業》 4 《強迫》 2 《陰謀団式療法》 4 《暗黒の儀式》 4 《陰謀団の儀式》 4 《冥府の教示者》 1 《苦悶の触手》 1 《炎の中の過去》 1 《むかつき》 4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 4 《水蓮の花びら》 -呪文(45) |
3 《蒸気の連鎖》 3 《花の絨毯》 3 《突然の衰微》 2 《無知の喜び》 1 《陰謀団式療法》 1 《虐殺》 1 《Tropical Island》 1 《Karakas》 -サイドボード(15)- |
《突然の衰微》の加入により、ANTにとって厄介な《相殺》やクロックパーミッションデッキの展開する脅威をカウンターされること無く除去できるようになり、コンボ発動までの時間を稼ぎやすくなりました。
Esper Deathbladeやそれらのデッキに強いデッキとして中速のカードアドバンテージ重視のShardless BUGがトップメタの一角として活躍が続きましたが、これらのデッキは多色故に特殊地形に大きく依存している傾向があり、その弱点を突いたデッキが結果を出し始めます。
10 《山》 4 《古えの墳墓》 4 《裏切り者の都》 3 《沸騰する小湖》 -土地(21)- 1 《ゴブリンの溶接工》 4 《絵描きの召使い》 2 《ファイレクシアの破棄者》 1 《呪文滑り》 4 《帝国の徴募兵》 4 《猿人の指導霊》 2 《月の大魔術師》 1 《特務魔道士ヤヤ・バラード》 -クリーチャー(19)- |
3 《稲妻》 3 《紅蓮破》 3 《赤霊破》 4 《血染めの月》 3 《師範の占い独楽》 4 《丸砥石》 -呪文(20)- |
4 《アメジストのとげ》 4 《罠の橋》 2 《漸増爆弾》 1 《紅蓮破》 1 《ゴブリンの溶接工》 1 《難問の鎮め屋》 1 《躁の蛮人》 1 《月の大魔術師》 -サイドボード(15)- |
《丸砥石》+《絵描きの召使い》が主な勝ち手段のコンボデッキですが、相手のデッキによってはメインにフル搭載されている《血染めの月》を通せばほぼ勝ちです。Deathblade, Shardless BUG, Jund等の《死儀礼のシャーマン》デッキは基本地形を採用していないことが多く、それらのデッキにとっては《血染めの月》は非常に厄介なカードです。アンチ青カードの《赤霊破》と《紅蓮破》をメインから採っているので、環境に多く存在する青いデッキに対しても強いのが特徴です。
Painted Stoneが現れたことによって《死儀礼のシャーマン》を使ったデッキの数が減少し、《死儀礼のシャーマン》デッキに居場所を追われていたReanimatorが復権します。
2 《島》 2 《沼》 4 《Underground Sea》 4 《汚染された三角州》 2 《霧深い雨林》 2 《新緑の地下墓地》 -土地(16)- 1 《大修道士、エリシュ・ノーン》 4 《グリセルブランド》 1 《潮吹きの暴君》 1 《エメリアの盾、イオナ》 -クリーチャー(7)- |
4 《渦まく知識》 4 《入念な研究》 4 《納墓》 4 《再活性》 3 《思案》 3 《思考囲い》 3 《死体発掘》 2 《目くらまし》 2 《実物提示教育》 4 《Force of Will》 1 《動く死体》 3 《水蓮の花びら》 -呪文(37)- |
3 《真髄の針》 2 《呪文貫き》 2 《残響する真実》 2 《実物提示教育》 2 《裏切り者の都》 1 《灰燼の乗り手》 1 《墨溜まりのリバイアサン》 1 《棺の追放》 1 《ひどい憔悴》 -サイドボード(15)- |
メインから搭載されている墓地対策カードの《死儀礼のシャーマン》に対抗するためにサイドに積まれていることが多い《実物提示教育》がメインから採られています。環境に存在する多くのコンボデッキよりも1ターン速く、青いデッキに対してもハンデスとカウンターで無理やりコンボを発動させる(墓地からファッティを釣り上げる)ことが可能です。同じく《グリセルブランド》を使ったSneak and Showよりも発動ターンが速いのが強みですが、環境に左右されやすいのがこのデッキの弱点です。
《グリセルブランド》の強さは本物で《実物提示教育》が環境トップクラスのカードパワーを持っている事は明らかです。昨年の10月27日に開催されたSCG Invitational Indianapolisではトップ8の半分がその 《グリセルブランド》と《実物提示教育》を使ったコンボデッキのSneak and Showでした。
3 《島》 1 《山》 3 《霧深い雨林》 4 《沸騰する小湖》 3 《Volcanic Island》 3 《古えの墳墓》 2 《裏切り者の都》 -土地(19)- 4 《グリセルブランド》 4 《引き裂かれし永劫、エムラクール》 -クリーチャー(8)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《呪文貫き》 4 《実物提示教育》 1 《直観》 4 《Force of Will》 4 《騙し討ち》 4 《水蓮の花びら》 -呪文(33)- |
4 《神聖の力線》 3 《墓掘りの檻》 2 《紅蓮地獄》 2 《白鳥の歌》 2 《裂け目の突破》 1 《赤霊破》 1 《拭い捨て》 -サイドボード(15)- |
Reanimatorよりも対策が困難で、引きが噛み合えばどんなデッキが相手でも勝てるデッキパワーを持っていることから、多くの強豪プレイヤーがこのデッキを選択しました。この活躍により《実物提示教育》が禁止カードに指定されるのではないかという噂が流れるほどになりましたが、昨年に開催されたGP Washington DC直前にリリースされたコマンダーセットから加入した高い除去耐性と回避能力を持つ《真の名の宿敵》の存在が環境に大きな変化をもたらします。
4 《Tundra》 3 《Volcanic Island》 4 《乾燥台地》 4 《汚染された三角州》 1 《溢れかえる岸辺》 4 《不毛の大地》 -土地(20)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《石鍛冶の神秘家》 2 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(10)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《呪文貫き》 4 《稲妻》 4 《剣を鍬に》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 -呪文(30)- |
4 《翻弄する魔道士》 2 《渋面の溶岩使い》 2 《紅蓮破》 2 《安らかなる眠り》 1 《真の名の宿敵》 1 《赤霊破》 1 《Wear》 1 《墓掘りの檻》 1 《饗宴と飢餓の剣》 -サイドボード(15)- |
《真の名の宿敵》は青い低コストクリーチャーで高い除去耐性と回避能力を持つ青いデッキにとって最も欲しかった戦力でした。高い除去耐性は装備品とも相性が良く安定したダメージを刻んでいけるため、UWR Delverというアーキタイプを一気にトップメタにまで押し上げました。UWR Delverは低コストの優秀なクロックと低コストの不確定カウンターでコンボデッキにプレッシャーを与えると同時に、フェアデッキに対しても《真の名の宿敵》と装備品があるので互角以上に渡りあえます。《真の名の宿敵》はUWR Delver以外にも、RUG DelverやBUG Delverにも採用されています。
4 《汚染された三角州》 3 《霧深い雨林》 2 《新緑の地下墓地》 4 《Underground Sea》 2 《Bayou》 1 《Tropical Island》 4 《不毛の大地》 -土地(20)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《死儀礼のシャーマン》 3 《タルモゴイフ》 1 《闇の腹心》 1 《真の名の宿敵》 1 《墓忍び》 -クリーチャー(14)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 2 《見栄え損ない》 2 《思考囲い》 1 《呪文貫き》 3 《目くらまし》 3 《Hymn to Tourach》 3 《突然の衰微》 1 《ヴェールのリリアナ》 3 《Force of Will》 -呪文(26)- |
2 《外科的摘出》 2 《ゴルガリの魔除け》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《被覆》 1 《狼狽の嵐》 1 《呪文貫き》 1 《見栄え損ない》 1 《突然の衰微》 1 《クローサの掌握》 1 《大渦の脈動》 1 《Force of Will》 1 《森の知恵》 1 《ヴェールのリリアナ》 -サイドボード(15)- |
UWR Delver以上にアンチコンボ要素を高めたBUG Delver。ハンデスによりSneak and Show等のコンボデッキに対して強く、また《ヴェールのリリアナ》や《ゴルガリの魔除け》にアクセスが可能なので相手の《真の名の宿敵》にも強いのが特徴です。
その《真の名の宿敵》デッキを対策するデッキとして、全体除去にアクセスが可能なUW Miraclesが今年2月に開催されたGP Parisで活躍しました。
4 《島》 2 《平地》 2 《Tundra》 2 《Volcanic Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 2 《乾燥台地》 1 《秘教の門》 1 《Karakas》 -土地(22)- 2 《瞬唱の魔道士》 2 《ヴェンディリオン三人衆》 -クリーチャー(4)- |
4 《剣を鍬に》 4 《渦まく知識》 2 《思案》 1 《呪文貫き》 1 《呪文嵌め》 2 《対抗呪文》 2 《天使への願い》 4 《Force of Will》 4 《終末》 2 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 4 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(34)- |
3 《紅蓮破》 2 《エーテル宣誓会の法学者》 2 《石鍛冶の神秘家》 2 《安らかなる眠り》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《悟りの教示者》 1 《Wear》 1 《サーボの網》 1 《殴打頭蓋》 1 《山》 -サイドボード(15)- |
基本地形が多めに採られているので《不毛の大地》の効果が薄いのも強みです。Delver系のデッキは低コストのカードが中心なのでそれらに対しては《相殺》+ 《師範の占い独楽》によるロックのあるUW Miraclesは有利なデッキです。全体除去の《終末》の前では《真の名の宿敵》のプロテクション(プレイヤー)の能力も意味を成しません。
総括
《真の名の宿敵》リリース以降のレガシーのメタゲームとしては、やはりリリース以前と比べると圧倒的に強化されたStoneblade系のデッキが最も高い入賞者を出しています。特にUWR Delverの入賞率はそれまでわずか3.5%だったのに対し、《真の名の宿敵》リリース以後今年4月に開催されたSCGO Milwaukeeまでの半年足らずの間に入賞率は12.5%にまで上昇し、入賞率13.3%のMystic系(Stoneblade+Deathblade)に次いでトップクラスです。
《真の名の宿敵》リリース以前はRUG Delverが僅差でリードしている状況でしたが、《真の名の宿敵》に対して打消し以外に明確な対策手段を持たないということで苦戦を強いられたようで、UWR DelverやBUG Delverよりも低い入賞率です。
《死儀礼のシャーマン》と《突然の衰微》加入後から現在までのレガシーを見てきましたが、昨年に加入した《真の名の宿敵》の存在は大きくメタを大きく変化させ、現在のメタは「《真の名の宿敵》デッキ vs それを無視できるコンボデッキ」と形容されることもあります。
6月にはConspiracyがリリースされます。セット内のカードはレガシーで使用可能なので、《断片無き工作員》や《真の名の宿敵》のような強力なカードが印刷されるのか楽しみです。
以上Starcity Organized Playコーディネーターのインタビューと、レガシーのメタを大きく変化させたRTRのリリースから現在までのレガシーメタゲームのおさらいと解析でした。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーを!