皆さんこんにちは。
今週末にはいよいよ待ちに待った新セット『ニクスへの旅』のプレリリースが開催されますが、皆さんは参加されますか?
さて、今回の記事ではStarCityGames.com Open Series(SCGO) DallasとSCGO Detroitの入賞デッキの解説をしていきたいと思います。
SCGO Dallas トップ8 デッキアーキタイプ
2014年4月13日
1位 UWR Delver/白青石鍛冶
2位 UWR Miracles/白青奇跡
3位 High tide/ハイタイド
4位 UWR Delver/白青石鍛冶
5位 Death and Taxes/デス&タックス
6位 Burn/赤単
7位 BUG Delver/青黒緑アグロ
8位 Jund/ジャンド
優勝はUWR Delverでした。今大会のトップ8は決勝戦こそ青いフェアデッキ同士の対決でしたが、他はHigh TideやBurnなどあまり見かけないデッキも見られます。
SCGO Dallas デッキ解説
「UWR Delver」「UWR Miracles」「Burn」
4 《Volcanic Island》 3 《Tundra》 1 《Plateau》 4 《乾燥台地》 4 《沸騰する小湖》 4 《不毛の大地》 -土地(20)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《石鍛冶の神秘家》 2 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(10)- |
4 《剣を鍬に》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《呪文貫き》 4 《稲妻》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 1 《梅澤の十手》 1 《殴打頭蓋》 -呪文(30)- |
4 《翻弄する魔道士》 2 《渋面の溶岩使い》 2 《安らかなる眠り》 2 《紅蓮破》 1 《真の名の宿敵》 1 《赤霊破》 1 《摩耗+損耗》 1 《墓掘りの檻》 1 《火と氷の剣》 -サイドボード(15)- |
マナ基盤以外はメイン、サイドともにリストは至って普通です。UWR Delverのマナ基盤は《Tundra》4枚+《Volcanic Island》3枚が一般的ですが、Eddieのリストは《Tundra》3枚+《Volcanic Island》4枚となっており、さらに《Plateau》も1枚採られています。サイド後は赤マナが必要になる場面が増えるので、全体的に赤マナにアクセスしやすくなるように調整されているようです。
決勝戦では相性があまり良くないとされるUWR Miraclesとのマッチでしたが、1ターン目《秘密を掘り下げる者》という最高のスタートを《目くらまし》+《呪文貫き》でバックアップし、さらに《石鍛冶の神秘家》、《翻弄する魔道士》(《至高の評決》を指定)と好調な回りと入念なプレイングにより勝利を手にしています。
4 《島》 2 《平地》 1 《山》 3 《Tundra》 1 《Volcanic Island》 1 《秘教の門》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《沸騰する小湖》 1 《乾燥台地》 2 《Karakas》 -土地(23)- 1 《瞬唱の魔道士》 3 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《造物の学者、ヴェンセール》 -クリーチャー(5)- |
4 《渦まく知識》 2 《呪文貫き》 2 《剣を鍬に》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《対抗呪文》 2 《天使への願い》 4 《Force of Will》 4 《終末》 4 《相殺》 4 《師範の占い独楽》 3 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(32)- |
2 《狼狽の嵐》 2 《Wear》 2 《安らかなる眠り》 2 《至高の評決》 1 《造物の学者、ヴェンセール》 1 《硫黄の精霊》 1 《赤霊破》 1 《紅蓮破》 1 《呪文嵌め》 1 《真髄の針》 1 《大祖始の遺産》 -サイドボード(15)- |
Joe Lossettは今大会の準優勝という好成績を残したことにより、年末に行われるStarcityの開催するPlayer’s Championshipの参加権がかかったPlayer’s Championship Leader Boardの順位が8位→4位に昇格しました(4/24現在ではさらに1つ上がって3位)。
UW Miraclesで何度も入賞を経験しているだけあって、彼独自の調整の跡が見られます。《Karakas》はCIP能力持ちの伝説のクリーチャーである《造物の学者、ヴェンセール》《ヴェンディリオン三人衆》と相性が良く、その上Sneak and ShowやReanimator対策、《ガドック・ティーグ》や《スレイベンの守護者、サリア》といった厄介なクリーチャー対策にもなる用途の広い土地であるため、メインに2枚採用されています。またメインから《赤霊破》と《紅蓮破》を採用しており、各種DelverデッキやSneak and Showなど青いスペルを多用するデッキをメタっているようです。
サイドには《石鍛冶の神秘家》+装備品のパッケージは不採用で、追加のスイーパーとして《至高の評決》が採られているなど《真の名の宿敵》デッキ対策に多くのスペースを割っています。《硫黄の精霊》の採用からも分かるように、Death and Taxesの存在もある程度意識していたようです。
17 《山》 2 《蛮族のリング》 -土地(19)- 4 《ゴブリンの先達》 1 《サテュロスの火踊り》 4 《地獄火花の精霊》 2 《若き紅蓮術士》 -クリーチャー(11)- |
4 《稲妻》 4 《Chain Lightning》 4 《溶岩の撃ち込み》 4 《発展の代価》 4 《火炎の裂け目》 4 《裂け目の稲妻》 4 《火炎破》 2 《硫黄の渦》 -呪文(30)- |
3 《灰燼の乗り手》 3 《外科的摘出》 2 《紅蓮光電の柱》 2 《精神壊しの罠》 2 《粉々》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《ゲリラ戦術》 -サイドボード(15)- |
赤単色の軽量クリーチャーと火力で勝利するBurn。Joeyは今回が初のレガシーの大会参加だったようで、シンプルなこのデッキを選択したそうです。
デュアルランドやフェッチランドを使用しないため安価で組むことが可能で、レガシー初心者が良く使っている印象がありますが、DelverデッキやDeathbladeなど現環境には特殊地形を多用するデッキで溢れかえっているので、《発展の代価》をメインにフル搭載しているBurnはメタ的に強いデッキと言えます。今回入賞したJoeyはStonebladeを強く意識しているようで、《梅澤の十手》や《殴打頭蓋》によるライフゲインを阻止する《硫黄の渦》をメインに採用しています。UW Miraclesに対しても3マナスペルである《硫黄の渦》は《相殺》で打消されにくく、かつエンチャントなのでメインでは除去されにくい有効なカードです。
コンボデッキやUW Miraclesに対しては相性が良くないので、サイドには特にコンボ対策が多く積まれています。新セットの『ニクスへの旅』からも《大歓楽の幻霊》という新戦力になりそうなカードが収録されるようです。クリーチャーなのでメインでも無駄になりにくく、コンボを初めとした軽いスペルを多用するデッキ対策として活躍が期待できそうです。
SCGO Detroit トップ8 デッキアーキタイプ
2014年4月20日
1位 RUG Delver/カナディアン・スレッショルド
2位 Shardless BUG/続唱青黒緑
3位 BUG Delver/青黒緑アグロ
4位 Maverick/マーベリック
5位 RUG Delver/カナディアン・スレッショルド
6位 BUG Control/青黒緑コントロール
7位 4C Delver/秘密を掘り下げる者
8位 ANT/むかつきストーム
SCGO DetroitはDelverデッキがトップ8の半分を占め、優勝もRUG Delverでした。Delverデッキを初めとして全体的に青いデッキが多く、逆にコンボはトップ8にANTのみと、コンボデッキにとってはあまり良い週末ではありませんでした。
SCGO Detroit デッキ解説
「RUG Delver」「Shardless BUG」「BUG Delver」
3 《Tropical Island》 3 《Volcanic Island》 4 《霧深い雨林》 4 《沸騰する小湖》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《敏捷なマングース》 4 《タルモゴイフ》 1 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(13)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《稲妻》 3 《呪文貫き》 2 《呪文嵌め》 2 《Chain Lightning》 2 《ギタクシア派の調査》 4 《目くらまし》 4 《Force of Will》 -呪文(29)- |
3 《紅蓮破》 3 《水没》 2 《真の名の宿敵》 2 《狼狽の嵐》 2 《古えの遺恨》 2 《乱暴+転落》 1 《森の知恵》 -サイドボード(15)- |
今大会を制したMorgan McLaughlinのRUG Delverのリストは、最近の多くのリストと異なり《もみ消し》が不採用です。《もみ消し》の枠には《真の名の宿敵》と《呪文貫き》、《呪文嵌め》が採られています。また、除去の《四肢切断》の部分が《Chain Lightning》になっています。サイドに追加の《真の名の宿敵》が2枚採用されているなど、中盤以降も安定してクロックを刻めるようになっています。
決勝戦は本来ならあまり当たりたくないShardless BUGでしたが、第3ゲームで序盤から《秘密を掘り下げる者》と除去耐性の高い《真の名の宿敵》でプレッシャーをかけ、一度は《毒の濁流》で流されながらも後続の《タルモゴイフ》がゲームを終わらせました。
4 《Underground Sea》 3 《Bayou》 2 《Tropical Island》 2 《忍び寄るタール坑》 4 《霧深い雨林》 4 《汚染された三角州》 2 《新緑の地下墓地》 2 《不毛の大地》 -土地(23)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《タルモゴイフ》 4 《悪意の大梟》 4 《断片無き工作員》 -クリーチャー(16)- |
4 《祖先の幻視》 4 《渦まく知識》 2 《思考囲い》 4 《突然の衰微》 3 《Hymn to Tourach》 2 《ヴェールのリリアナ》 2 《精神を刻む者、ジェイス》 -呪文(21)- |
3 《虚無の呪文爆弾》 2 《強迫》 2 《思考囲い》 2 《狼狽の嵐》 2 《ゴルガリの魔除け》 2 《毒の濁流》 1 《概念泥棒》 1 《見栄え損ない》 -サイドボード(15)- |
《断片無き工作員》や《祖先の幻視》など、カードアドバンテージの物量で圧倒するShardless BUG。メインは往年のリストと変化はありませんが、サイドには《毒の濁流》《ゴルガリの魔除け》といった《真の名の宿敵》対策を多く採用しています。
《断片無き工作員》の「続唱」との関係から、コンボに対しては打消しよりもハンデスに重点を置いています。環境トップクラスのフェアデッキとされるJundと同様、「続唱」から容易にアドバンテージが取れるため各種DelverやStonebladeに対して強いデッキです。対しANTやSneak and Showのような最速コンボに対しては、カウンターをあまり採用していないので先手を取られるとキツイゲームになります。
サイドにはコンボ対策として《狼狽の嵐》が採られています。「続唱」と相性の良くないカウンターですが、コンボ相手には3マナで遅い《断片無き工作員》はサイドアウトされる傾向にあるので大きな問題にはなりません。
3 《Tropical Island》 3 《Underground Sea》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 4 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《タルモゴイフ》 3 《闇の腹心》 2 《真の名の宿敵》 -クリーチャー(17)- |
4 《渦まく知識》 4 《呪文貫き》 3 《もみ消し》 3 《思案》 4 《突然の衰微》 4 《目くらまし》 3 《Force of Will》 -呪文(25)- |
2 《見栄え損ない》 2 《湿地での被災》 2 《墓掘りの檻》 1 《ヴェンディリオン三人衆》 1 《狼狽の嵐》 1 《大渦の脈動》 1 《クローサの掌握》 1 《Force of Will》 1 《秘儀の研究室》 1 《真髄の針》 1 《梅澤の十手》 -サイドボード(14)- |
John Wileyは今年1月に開催されたSCGO Columbusでも同様のリストで入賞しています。他のBUG Delverのリストと異なり《Hymn to Tourach》といったハンデスが不採用で、代わりに《もみ消し》が採用されています。
BUG Delverの主力の《死儀礼のシャーマン》《秘密を掘り下げる者》《タルモゴイフ》《闇の腹心》に加えて《真の名の宿敵》がメインに採用されているなど、クリーチャーが多めです。
サイドの《真の名の宿敵》対策としては、このカラーコンビネーションの多くのデッキに採用されている《ゴルガリの魔除け》ではなく《湿地での被災》が採用されています。《ゴルガリの魔除け》は《真の名の宿敵》《闇の腹心》を採用しているこのリストでは使いにくいため、《真の名の宿敵》対策なら相手のクリーチャーのみに被害を与える《湿地での被災》の方が良さそうです。
2 《森》 1 《平地》 2 《Savannah》 1 《Bayou》 1 《Scrubland》 1 《地平線の梢》 4 《新緑の地下墓地》 4 《吹きさらしの荒野》 1 《ドライアドの東屋》 1 《ガイアの揺籃の地》 1 《Karakas》 4 《不毛の大地》 -土地(23)- 4 《ルーンの母》 4 《死儀礼のシャーマン》 1 《貴族の教主》 4 《スレイベンの守護者、サリア》 3 《クァーサルの群れ魔道士》 2 《石鍛冶の神秘家》 1 《漁る軟泥》 1 《ガドック・ティーグ》 4 《聖遺の騎士》 -クリーチャー(24)- |
4 《剣を鍬に》 4 《緑の太陽の頂点》 2 《森の知恵》 1 《梅澤の十手》 1 《火と氷の剣》 1 《光と影の剣》 -呪文(13)- |
4 《思考囲い》 2 《エーテル宣誓会の法学者》 2 《流刑への道》 2 《忘却の輪》 1 《漁る軟泥》 1 《クァーサルの群れ魔道士》 1 《ガドック・ティーグ》 1 《窒息》 1 《盲信的迫害》 -サイドボード(15)- |
コンボ対策の《思考囲い》、《真の名の宿敵》対策の 《盲信的迫害》のために黒を足したMaverick。カードパワーの高さは勿論のこと、黒をタッチしていることからマナクリーチャーも《死儀礼のシャーマン》が《貴族の教主》よりも優先して4枚採用されています。
今大会は苦手な高速コンボが少数でDelver系のデッキが多かったので、《死儀礼のシャーマン》《貴族の教主》《緑の太陽の頂点》でマナクリーチャーに容易にアクセスできることからマナ否定戦略に強く、《聖遺の騎士》や《石鍛冶の神秘家》などクリーチャーの質の高いこのデッキは良チョイスだったと言えます。
メインがフェアデッキに強い構造になっているため、サイドボードは半分以上がハンデスとヘイトベアーなど苦手なコンボ対策で埋まっています。
総括
SCGO DallasとSCGO Detroitの両大会は色の組み合わせこそ異なりますが、2つのDelverデッキが相性のあまり良くないとされるデッキに勝利して優勝トロフィーを手にしています。Delverデッキ自体のポテンシャルの高さもありますが、マナ否定戦略や不確定カウンタースペルなど対戦相手側はケアしなければならないポイントが多く、対戦難易度の高さも勝因の一つです。
現環境最後の大会であるSCGO Detroitが終了し、次回のSCGO Cincinattiからは新セット『ニクスへの旅』が解禁されます。『ニクスへの旅』からは《大歓楽の幻霊》や《マナの合流点》等、少数ながらレガシーでも通用しそうなカードが何種類か見られるので今から楽しみです。
以上SCGO DallasとSCGO Detroitの解説でした。
それでは次回の記事でまた会いましょう。楽しいレガシーを!