Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2023/03/31)
はじめに
やぁ、みんな!ハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguezだ。
3月6日、レガシーで2枚のカードが禁止されることが発表された。
いきなりの禁止でびっくりしたね!
イゼットデルバーと白単イニシアチブは使用者数でもデッキパワーでもトップだったけど、ウィザーズはどちらかに制裁を加えるのではなく、その対象を両方にすることにしたようだ。これまでと同様、ウィザーズは特定のデッキの息の根を止めることはせず、弱体化するにとどめる方針を貫いている。
どちらのカードもそれぞれのデッキで重要だったし、ゲームプランをつくる存在だったけど、デルバーやイニシアチブが競技的に完全に使い物にならなくなったわけではない。
ただ、今回の禁止で明確なベストデッキがわからない状態になってしまった。デッキ構築の点でいえば、腕の見せ所だね!
レガシーの行く末
まず、そのほか大多数のデッキは禁止の対象になっていない。別にドゥームズデイが何らかのカードを失ったわけでもないから、Tier2やTier3のデッキが急激に立ち位置を良くすることはないはずだ。リアニメイトや8-Castがメタゲームで幅を利かせるだろう。とはいえ、頂点に立つデッキはまだわからない。
幸い、禁止後にLegacy Showcase Challengeが開催されている。フォーマットの行く末を垣間見るヒントになるだろう。
そして大会で優勝したのは……2013年を彷彿とさせるティムールデルバーだった!
優勝したデッキリストはこれだ。
ティムールデルバー
何年も前に見たようなデッキだね!当時から脅威の選択こそ変わっているけど、本質的な部分は同じだ。《表現の反復》が使えなくなったことで、直接的にカードアドバンテージを獲得する手段はなくなっている。
相手よりも軽いアクションをとり、土地の枚数を切り詰めることで、実質的なカードアドバンテージを得る。呪文の量で優位に立たなくてはならないデルバーは、昔からこの手法を使ってきた。このリストも土地の枚数が少ないデルバーデッキであり、同じカードの枚数であっても、たいていは相手より呪文の比率が高くなる。ただ、《意志の力》で青のカードを追放した場合を筆頭に、今後は長期戦での弱さを露呈する機会が増えることだろう。
デルバーの行く末は不透明だけど、取れる選択肢は多くある。
同じくShowcase Challengeでトップ4に入賞したリストであり、今度レガシーイベントに出るなら自分もこのデッキを使うかもしれない。《森の知恵》や《壌土からの生命》はカードアドバンテージを得る有効な手段であり、緑をタッチする価値がある。
マッチアップによっては《タルモゴイフ》と散らしたほうが良い場合もあるから、《タルモゴイフ》と枠を必ずしも争わない。《森の知恵》はメインデッキに入れるに値するかまだわからないけど、これまでと同じくコントロール相手にもコンボ相手にも頼りになるだろう。
イニシアチブ
Showcase Challengeのトップ4には「イニシアチブ」の姿もあった。
イニシアチブはまだまだ現役であり、今後もメタゲームで重要な役割を果たすだろう。
この4枚はこれまで一定の結果を残してきた。採用されるデッキは同じでなくても、今後も使われるはずだ。
白・赤・緑は互いに組み合わせやすいが、《レイヴンロフトの冒険者》はTier3で鳴りを潜めていた黒単で真価を発揮できそうだ。黒単はもともと悪くないデッキで、トップ8に何度か入賞している。そこに《暗黒の儀式》と相性の良い《レイヴンロフトの冒険者》を並べてみるのはどうだろうか。
試しにリストを見てみよう。
見ての通り、黒単イニシアチブは墓地コンボ戦略への対策が万全に用意されている。従来、黒単はフェアな消耗戦にとても弱かったが、《レイヴンロフトの冒険者》を手に入れた今なら、それはもう昔の話かもしれない。
そのほかのデッキ
さっきも言ったように、ほとんどのデッキは禁止の影響を受けていない。例外は《表現の反復》を搭載していた4色コントロールだ。とはいえ、禁止によってコントロールが機能不全になるとは言い難い。《表現の反復》はコントロールよりもデルバーで使ったほうが強く、コントロールとデルバーの直接対決なら《表現の反復》の禁止を喜ぶのは明らかにコントロール側だ。
現環境で最強のコンボデッキはセファリッド・ブレックファーストだと思う。長い年月を経て、自分のお気に入りのデッキがこんなにも人気になるなんてちょっと信じられないね。今読んでも有益なデッキガイドがあるからぜひチェックしてほしい!
- 2020/05/11
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- Javier Dominguez
セファリッド・ブレックファーストとリアニメイトは個人的にデッキパワーはかなり拮抗していると思っているけど、同じ弱点を抱えている。どちらも墓地デッキであり、黒系デッキがメインデッキから投入している《虚空の力線》を代表とする墓地対策に弱い。
だからこそ、ドゥームズデイは今後も良いポジションにつけるはずだ。ドゥームズデイを使うかどうか迷っているとすれば、自分なら使ってみるね。
ドゥームズデイ
Showcase Challengeでトップ8に入ったドゥームズデイは、最近出てきているテンポ型のドゥームズデイだ。
このテンポ型ドゥームズデイはかなり良い立ち位置にいると思う。というのも、《表現の反復》がなくなったことで、デルバーのリソースを枯渇させやすくなり、フェアなゲームプランがより有効になったからだ。
8-Cast
最後の紹介になってしまったけど、アーティファクト系デッキについても少し言及しておこう。そのなかでも強力なアーキタイプである8-Castを取り上げる。
トップ8入賞者のなかに8-Castを使ったプレイヤーはいなかった。だけど、トップ16までいくと3名も入賞している。 新環境でもトップアーキタイプのひとつになるだろう。
8-Castは《意志の力》を駆使しながら非常に能動的に戦うが、今回の禁止はさまざまな点で朗報となっている。
まず、イニシアチブデッキが減ったことで環境は《虚空の杯》への警戒心が薄れていている。つまり、8-Castの《虚空の杯》が強くなった。
つぎに、ドゥームズデイと同じく、デルバーに対して消耗戦を挑みやすくなった。以前は《物読み》は《表現の反復》に負かされてしまいがちだったけど、デルバーはそのリソース獲得手段を失ったため、テンポプランしか取れなくなった。たしかに、もともとアーティファクトデッキに対してデルバーは攻め手に回るのが最善のプランだったけど、消耗戦への耐性がなくなったことはこのマッチアップに影響を与える。そして、8-Castにとって禁止による重要な影響がもうひとつある。《神秘の聖域》だ。
《神秘の聖域》は《表現の反復》を再利用することができる強さがあり、デルバーデッキの定番カードだった。いまでは不採用となり、コントロールデッキだけが使っている。
この変化が8-Castにとって重要なのは《溶融》の存在があるからだ。禁止前、デルバー側が《溶融》を引き当ててしまうと、8-Castの盤面が更地にされるのは一度では済まされなかった。強力な手札ならば一度の全体除去に耐えられるが、二度耐えるとなるとまったく話が変わってくる。《溶融》は依然として8-Castへの有効なサイドボードだけど、禁止前ほどの恐ろしさはない。デルバーとの相性は改善されているだろう。
おわりに
今日はここまで!
今回のような禁止が行われると、新しいデッキを構築したり、以前は通用しなかった既存のアーキタイプを再構築するきっかけになる。それって楽しいことじゃないかな?僕はこういう変化が好きだね!
ここまで読んでくれてありがとう!