準々決勝: 渡辺 雄也(神奈川) vs. 齋藤 慎也(東京)

晴れる屋

By Shin Tomizawa


主な戦績は「色々」だという超がつく有名プレイヤー、渡辺 雄也。今年もプロプレイヤークラブの最高ランクであるプラチナレベルを既に確定させている。
もはや説明不要という言葉が相応しいだろう。現代の日本マジック界を代表するプロプレイヤーである。

対する齋藤はMTGを本格的に始めてからはまだ半年程度だという。これには筆者も驚いた。
聞くと、以前は別のカードゲームをやっていたが、先輩に教わってMTGに流れたという。なるほど、カードゲームの素養は十分持ち合わせた選手のようだ。

試合前に尋ねてみたところ、渡辺のことは勿論以前から知っているとのことだ。
緊張した様子だが、「いい試合がしたい」と意気込みは十分。見事トッププロを打ち破り、「神」の座を獲得する物語の主人公になっていただきたい。

一方渡辺はというと、「9回戦は長いよ。疲れた。もう帰って寝たい。」とネガティブな発言ばかりが飛び出すが、その顔には「いつも通りのベストなパフォーマンスを発揮したい」と書いてある。
さすがは日本を代表する超がつく有名プレイヤーだ。言葉を使わずともこのようなインタビューには答え慣れている様子だ。 



Game 1
ダイスロールに勝利した齋藤だが、7枚の初手をキープした渡辺に対して、なんと痛恨のクアドラプルマリガン。

それでも、《神無き祭殿》ショックインから《思考囲い》で渡辺の《群れネズミ》をディスカード、と一見マリガンを感じさせない動きを見せるが、残った手札の枚数を見て少し寂しげな表情を浮かべる。

渡辺は淡々と《疾病の神殿》をセットしてライブラリを掘り進め、《地下世界の人脈》でリソース差の拡大を図る。

齋藤は《変わり谷》で渡辺のライフを削ることを選択。アドバンテージの差が盤面に影響し切る前に勝負を決めたい齋藤だが、土地が2枚で止まり、少ない手札を使い切ることもできない。

渡辺の《思考囲い》で明らかになった齋藤の手札は《生命散らしのゾンビ》《群れネズミ》《冒涜の悪魔》。渡辺は《冒涜の悪魔》を捨てさせることを選択した。

続くターンでついに3枚目の土地を引き当てた齋藤。《生命散らしのゾンビ》を呼び出し、渡辺の手札を確認。
《肉貪り》を持っていることが公開されたが、渡辺は戦場に《冒涜の悪魔》を。
これには《肉貪り》で応じる齋藤。

《生命散らしのゾンビ》の一太刀を浴びるも意に介さず、続いては《群れネズミ》を召喚する渡辺。

渡辺の繰り出す脅威に対処しながら殴り切りたい齋藤だが、除去は引けず。《群れネズミ》を追加して盤面を固めようと試みる。

お互いに《群れネズミ》をコントロールしているが、手札、マナ量共に大きく差がついているのは明らかだ。
ここを勝機と見たか渡辺。躊躇なく全てのネズミ達をレッドゾーンに送り込み攻撃に転じる。

齋藤は、デッキトップを確認すると、ちらりと天を仰ぎ、次のゲームに向けてサイドボーディングを検討し始めるのだった。





渡辺 1-0 齋藤



Game 2
再び先攻を取る齋藤。
今度のゲームはお互いに7枚のハンドをキープ。いい試合を期待しよう。

ゲーム1と同じく、開幕は齋藤の《思考囲い》から。

《ゴルガリの魔除け》《アスフォデルの灰色商人》《死者の神、エレボス》《地下世界の人脈》《思考囲い》、そして2枚の《沼》の中から《地下世界の人脈》を選択する齋藤。

渡辺も《思考囲い》の鏡打ち。
齋藤の《罪の収集者》《アスフォデルの灰色商人》2枚、《闇の裏切り》《思考囲い》《沼》から《罪の収集者》を捨てさせる。

初動はゆっくりと。お互いにじっくりと土地を並べあい、時折《思考囲い》で牽制しあって機を伺う両者。

渡辺が《死者の神、エレボス》を唱え、ゲームは動き出す。
順調にドローを進めて土地を伸ばし、《生命散らしのゾンビ》を召喚。即座に《肉貪り》されるも、続いて《地下世界の人脈》を貼ってさらなるアドバンテージを。そして《アスフォデルの灰色商人》を送り込み、ドローの源たるライフを得る。

軽快に手札を消費していく渡辺に対し、齋藤は土地が4枚で止まってしまい、動きのぎこちなさを隠せない。
渡辺優勢のゲームに見えたが、ここで齋藤も《死者の神、エレボス》をキャスト。

お互いにライフを得られなくなったこの状況。ここからの展開は早かった。




渡辺は《群れネズミ》を2体召喚し、顕現した《死者の神、エレボス》を攻撃に回す。

齋藤は《闇の裏切り》《群れネズミ》に撃ち込むが、渡辺は当然《群れネズミ》の能力を起動し、「神」の顕現を邪魔させない。これで齋藤の残りライフは10となった。

《死者の神、エレボス》《群れネズミ》の両面で対処を迫る渡辺。

《胆汁病》《群れネズミ》たちを殺処分するも、渡辺の手札には《アスフォデルの灰色商人》が。

《アスフォデルの灰色商人》のドレイン能力(齋藤のエレボスによりライフは得られないが)と、再度顕現した《死者の神、エレボス》の一撃により、安全圏と思われた齋藤のライフは、一瞬にして刈り取られたのだった。

死者の神、エレボス



渡辺 2-0 齋藤


最後に、熱心なアニメファンとしても知られる渡辺に今期の神アニメは何かと尋ねてみたところ、「一週間フレンズ、ピンポン、ノーゲームノーライフの3柱ですね。」とのこと。

「某アニメを何度も見たおかげでGP優勝できた」というコメントを残したこともある渡辺選手。これを読んだMTGプレイヤーの皆様も、参考にしてみるのも良いかもしれない。