コミュニティインタビュー: チーム豚小屋のすべて

晴れる屋

By Atsushi Ito


 2014年の日本マジックシーンにおけるトピックの1つとして、「豚小屋勢の躍進」がある。

 PWCC2014制覇に引き続いてのBMOスタンダード制覇という快挙のほか、PTQ突破者を3名輩出するという無双ぶり。

 もはや関東最強の集団といっても過言ではない「チーム豚小屋」。

 しかし我々はそんな「豚小屋」のことを知らなさすぎる。

 彼らは普段何をしているのか。その中には誰が含まれるのか。どこへ行こうとしているのか。

 そして。

 彼らは何故、勝てるのか。

 どこまでも、興味は尽きない。そこで。

 「チーム豚小屋」のリーダーである河浜 貴和(東京)さんに、インタビューを試みた。




「チーム豚小屋」のリーダー、河浜 貴和(東京)



--「まず根本的な質問ですが、豚小屋とは何なんでしょうか?基本的な背景はPWCCのカバレージで金子さんから伺ったのですが、まだまだ謎の多い集団ですよね。例えば『調整チーム』といったような言葉で表しきれるものなんでしょうか?」

河浜 「いきなり難しい質問ですね(苦笑) ただ、少なくとも『調整チーム』とは全然違いますね。『仲の良いコミュニティ』くらいが適切だと思います。最近の好調のおかげで今は少し高い目標を持ててますけど、そこまで統率のとれた集団ではないです」

--「勝手なイメージで、例えば『豚小屋掲示板』みたいな秘密の交流場所があって、そこで日夜マジックについて語り合ってるものだと思っていましたが」

河浜 「そこは現代っ子なので、LINEで連絡を取り合ってます(笑) あとは最近ようやくMOを始めだしたので、Skypeの画面共有を駆使してプレイングのダメ出しをしたりしてます。変なプライドがないので、お互いに結構ズカズカ指摘し合って、全体的に底上げされていくんですよ」

--「ああ、わかります。楽しいですよね、身内で画面共有すると際限なくディスりあっていく(笑)」




PWCC2014優勝、金子 佑(神奈川)



--「そもそも豚小屋のルーツというか、結成の経緯は何だったんでしょうか?」

河浜 「元々は瀧村さんなど4~5人ほどが幼馴染で、彼らが2012年のモダンのグランプリ横浜の際にマジックに復帰したのが始まりです」

--「その中には河浜さんもいたんですか?」

河浜 「いえ、そのときはまだ。僕はあとから加入しました。PWCで優勝したときに彼らが遅くまで残ってくれて、その時に仲良くなったんですよね。そこから『チーム豚小屋』としての活動がスタートしました」

--「まだチームが発足してから2年ほどしか経っていないんですね」




プロツアー『ニクスへの旅』出場、瀧村 和幸(東京)



--「2014年になってから各所で『豚小屋』の名前を耳にするほどに有名になってきましたが、この急激な躍進の要因は何なんでしょうか?」

河浜 「内部で特にやり方を変えたとかではないので、メンバーの中で元々実力のある人たちがきちんと勝ちきる力をつけた、ということだと思います。『豚小屋』の年始の目標は『PTQを突破すること』だったんですが、年明けて2週間で松原くんがPTQを突破しちゃいましたし」

--「『豚小屋ブレイク』の1発目でしたね」

河浜 「きっかけということで考えると、去年のWMCQ東京で瀧村さんがトップ8に残ったことが大きいかもしれません。あれでみんなプレミアイベントというものを意識し始めたので」

--「瀧村さんの活躍が、他のメンバーに良い刺激を与えたんでしょうね」




プロツアー『ニクスへの旅』出場、松原 一郎(東京)



河浜 「あとは1年ほど前に田中(陽)くんが加入したのも大きいですね。彼はかなり競技志向が強いので、新しいデッキの情報を仕入れてきたりしてくれます」

--「彼は2012年のワールドマジックカップのときに、渡辺 雄也(神奈川)にかなり厳しく仕込まれてますからね。それはそれとして、ちなみに河浜さんはチームの隆盛に合わせて最近ご活躍されたりしたんでしょうか?」

河浜 「いえ、全然(笑) まあ僕がリーダーなのは強さっていうよりチームメンバーの誰とも間を取り持てるっていう部分が大きいですからね。でも、やはり悔しいので今年の残りのどこかの大会で結果を残したいです。ひとまずチームの次なる目標は『グランプリトップ8』なので、神戸は頑張りたいですね」

--「今や押しも押されぬ強豪揃いのコミュニティですから、是非とも頑張っていただきたいですね」




プロツアー『マジック2015』出場予定、2012年日本代表の田中 陽(東京)



--「それにしても全員が社会人なのにこれほどの規模で、しかもみんなが仲が良いまま機能しているコミュニティは本当に珍しいと思いますね」

河浜 「今では15人もの人数が所属していますからね」

--「こういうコミュニティがうまくいくコツって何かあるんでしょうか?」

河浜 女人禁制ですかね(笑)」

--「(笑)」

河浜 「まあ真面目な話、メンバー選びには多少気をつかってますね。コンセプトが『人様に迷惑をかけない』なので」

--「自分たちで定期的にイベントを開催されているとも伺いました」

河浜 「はい、『グランプリ豚小屋』っていうんですけど、各自が自由にお土産など賞品を持ち寄って、きちんと場所を借りて何人かのゲストと一緒に身内で大会を開いてるんです」

--「いいですね、楽しそうです。話を聞いてると『調整チーム』というよりは『大人のサークル』っていうイメージなんですね」

河浜 「そうですね、土日のサークル活動を全力で楽しむために平日頑張って仕事してるってこと以外は的確な表現だと思います(笑)」

--「うーん、何となく豚小屋の強さの秘密がわかったような気がしますね」

河浜 「結局サークル活動と一緒で、参加しているメンバー全員がマジックを楽しむためのコミュニティであることが大切なんだと思いますよ」

--「ありがとうございました」




BMO Standard参加者460人の頂点に立った山本 康平(埼玉)



 たぶん彼らは、遠くないうちにプロツアーでも結果を残すだろう。

 アメリカ勢のStarcitygamesやChannelFireballとは対照的に日本のトッププロシーンがチームを持たず調整に苦心する中で。

 「チーム豚小屋」という奇跡のようなコミュニティの存在は、そう感じさせるに足る。

 新たな可能性を、感じさせた。