ジャッジと一緒にルールを学ぼう! ~バトル編~

晴れる屋メディアチーム

はじめに

みなさんこんにちは、晴れる屋メディアチーム所属・認定レベル1ジャッジの島田と申します。

ジャッジと一緒にルールを学ぼう!』では、ゲームでよく使われているカードやジャッジをしていてよく聞かれるルール”のみ”に焦点を絞り、回ごとのテーマに合わせて例を挙げ・極力わかりやすく説明していきたいと思います。

この記事が少しでもみなさんのルール理解に繋がり、ひいてはマジックの楽しさを増すことに繋がれば幸いです。

※2023/4/5時点のマジック総合ルールに基づいています。特に新カードに関するルールのため、今後のルール改定などで内容に齟齬が発生する可能性があることをご了承ください。
※文章の都合上、表現を簡略化・省略している場合があります。
※本記事は複数のジャッジが監修していますが、誤りや疑問点を見つけましたら遠慮なくお問い合わせページまでご指摘ください。

新たなカード・タイプ「バトル」

今回のテーマは『機械兵団の進軍』で登場した新たなカード・タイプ…そう「バトル」です。

通常セットのカードで新しいタイプが登場するのは「プレインズウォーカー」と「部族」(『ローウィン』で初登場)以来、実に16年ぶり。さらに『プレインチェイス』の次元カードを彷彿とさせる横向きのデザインで、最初にパックから出てきたときはびっくりすること請け合いです。

イメージとしては、何かの力が隠されている次元や場所を見つけ出して相手とそれを奪い合い、勝ったらその力を手に入れて使うことができる…という感じでしょうか。そんな「バトル」、カードテキストを読んでも「包囲戦って何?」「それを守る対戦相手ってだれ?」「右下の謎のアイコンは何?」と新要素ばかりで全然どういうカードかわからないよ!という方もいるかもしれません。

そこでこの記事では「バトル」がどんなカードタイプなのか1から説明していきます。これでプレリリースで「バトル」をたくさん引いても安心!

それでは始めましょう。

バトルの持つ性質

基本的な性質

まずは基本的な性質から。

パーマネント呪文です。なので、クリーチャーやエンチャントと同じくあなたのメインフェイズ中でスタックが空なら唱えられ、戦場に出ます。また「瞬速」を持っていればインスタントタイミングで出すこともできます。

バトルの状態では召喚酔いはしません。

・アンタップ状態で出て、ほかの効果でタップもできます(※横向きが正位置だとタップするときはどうするんでしょうね)。

・『機械兵団の進軍』で出てくるバトルはすべて変身する両面カードで、「包囲戦/Siege」のサブタイプを持ちます(※どうやらサブタイプによってどのように攻撃するかが決まるようです。今後に期待)。

・マナコストを支払って普通に唱えるときは、常に第1面(横向きの、バトルのほう)で唱えます。

・変身する両面カードなので、第2面(バトルでないほう)のマナ総量は第1面と同じ値です。たとえば《ギルドパクトの模範》ならマナ総量は5です。

新要素

ここまでは今のルールから導けます。次からは新要素です。

・唱えて解決されると、右下の数字(これを「守備値」と呼びます)と同じ数の「守備カウンター」が置かれた状態で戦場に出ます。プレインズウォーカーの忠誠度と似た感じですね。

・「包囲戦」は、出たときにそれを「守る」対戦相手を1人選びます。2人対戦なら自動で決まります。

守る側以外のプレイヤーは、攻撃するときにそのバトルに向かって攻撃できます。これもプレインズウォーカーと似た感じで、攻撃クリーチャーを選ぶときに「これは相手プレイヤー、これは《放浪皇》、これは《ドミナリアへの侵攻》」のように攻撃する先を決めます。

・守る側のプレイヤーは、自分が守っているバトルへ攻撃してきたクリーチャーを自分のクリーチャーでブロックできます。

・バトルへの攻撃が通ると、戦闘ダメージ分の守備カウンターが減ります。絆魂やトランプルなどもほかへの攻撃と同じように機能します。これによって守備カウンターが0個以下になると、そのバトルは「倒され」ます。バトルが倒されると、そのコントローラーはバトルに勝利した報酬としてマナコストを払わずに第2面でそれを唱えることができます。

(4月11日追記: 分かりづらい表現を修正しました。)

稲妻かき立てる炎

・また、戦闘ダメージだけでなく呪文や効果でダメージを与えて「倒す」こともできます。バトルにダメージを与えられると明記されているカードも登場しますし、《稲妻》のように今「クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。稲妻はそれに3点のダメージを与える。」と書いてあるカード(英語版だと「any target」となっているもの)は、今後「1つを対象とする。稲妻はそれに3点のダメージを与える。」にテキストが変更され、バトルにもダメージを与えられるようになります。

唱えた後はこれまでのカードと同様です。クリーチャーになったり、ソーサリーになったり、機体になったり、はたまたプレインズウォーカーになったりするようです。唱えているのでカウンターできますし、クリーチャーであれば戦場に出たターンは召喚酔いします。

バトルについて現在判明しているのはこのくらいでしょうか。

新要素が多く最初はとっつきづらいですが、そこまで特殊なことはないので(4面サイコロを振ったりカードを投げたり机の下に潜ったり観客とハイタッチしたり…)1つずつ覚えていけばすぐに次元を巡る対戦相手との「バトル」を楽しめることでしょう。

よくありそうな質問

ここからは説明しきれなかった部分や、実際にネット上で見かけた質問に先読みで回答していくコーナーです。

Q:相手が守る側のときって相手の場に出る/相手がコントロールしてるの?

A:バトルは誰が守る側のときでも唱えた人がコントロールしています。つまり、あなたは自分がコントロールしている自分のバトルに対して攻撃できます。不思議ですね。

タミヨウの保管

同様に、あなたが守る側になったバトルはあくまで対戦相手がコントロールしています。《タミヨウの保管》のように「あなたがコントロールしているパーマネント1つを対象とする」ものでは対象に取れません。

Q:自分が守る側になっている相手のバトルを《裏切りの工作員》で奪った。自分が守っているバトルに自分で攻撃できる?

裏切りの工作員

A:守る側のプレイヤーとコントローラーは別人である必要があります。なので、守る側のプレイヤーがコントロールを得たらその人が改めて守る側のプレイヤーを指定し、攻守が入れ替わります。

Q:「倒す」って破壊でもいいの?カウンターを取り除く効果、たとえば《吸血鬼の呪詛術士》は?

吸血鬼の呪詛術士

A:「倒す」ためには「守備カウンターを0個にする」ことが必要です。なので、《吸血鬼の呪詛術士》なら「倒した」ことになります。破壊や生け贄に捧げる効果では「倒した」ことになりません。

Q:倒したときに唱えた呪文はカウンターできる?《もみ消し》は?

否認もみ消し

A:《対抗呪文》のような普通のカウンターで打ち消すことができます。《否認》のようにカードタイプの制限があるものは唱えたときのタイプを、《軽蔑的な一撃》のようにマナ総量の制限があるものは第1面のマナ総量を参照します。また、倒したときに唱える能力は誘発型能力なので《もみ消し》できます。このとき、誘発型能力が打ち消された守備カウンター0のバトルは何も起こさずに墓地に置かれます。

Q:自分がコントロールしてる複数のバトルを同時に倒したらどうなる?

A:倒したときの唱える能力が同時に誘発すると、コントローラーが先に解決する側を決められます。たとえば《カーサスへの侵攻》《ケイレムへの侵攻》が同時に倒された場合、先に《屈折エレメンタル》を唱えた後に《武勇の場の二人組》を唱えて《屈折エレメンタル》の2点ダメージを誘発させられます。

Q:相手のターンに自分のバトルを倒した。第2面がクリーチャーだけど、唱えられる?

A:唱えられます。効果の解決中に呪文を唱える場合、効果が制限を破ってくれるので本来のタイミングは気にせずに唱えられます。

Q:《カルドハイムへの侵攻》を倒して《世界樹の送り火》を唱えようとしたら、相手が《イーオスのレインジャー長》の能力を起動した。《世界樹の送り火》はどうなる?

イーオスのレインジャー長

A:バトルを倒して唱える際は一度追放されます。それが何かの効果で唱えられなかった場合、それは追放されたままになります。さよなら世界樹…

Q:相手が《エルドレインへの侵攻》を出してきた。《夏の帳》で黒からの呪禁を得たら「守る側」にならないで済む?

夏の帳

A:守る側を選ぶ能力は対象を取りません。なので、呪禁でも関係なく守る側にさせられます。

Q:《吹き荒れる潜在能力》が出ている状態で《タルキールへの侵攻》を唱えたらライブラリーから《アラーラへの侵攻》が追放された。《大渦の目覚め》で唱えられる?

吹き荒れる潜在能力

A:「変身した状態で唱える」と書かれた効果でない限り、第2面で唱えることはできません。なので《アラーラへの侵攻》の面で唱えるしかありません。頑張って倒しましょう。

(4月11日追記: 例に挙げたカードが誤っていましたので修正しました。申し訳ありません。)

Q:バトルを倒して唱えようとしたら、相手が《乱動する渦》をコントロールしていることに気付いた。5点ダメージ受けたくない!唱えないことってできる?

乱動する渦

A:できます。バトルの注釈文(カッコ書きの文章)では「~その後、それを変身させた状態で唱える。」と書かれていますが、ルール上は選択可能な能力です。なので、倒したけど唱えないことも可能です。

Q:倒したバトルってプレインズウォーカーのように墓地に行く?一度墓地に行くなら《未認可霊柩車》で追放して唱えることを防げない?

未認可霊柩車

A:倒されたバトルは能力の解決時に戦場から直接追放され、そこから唱えられます。墓地は経由しません。

Q:多人数戦で、他の人がコントロールしてるバトルを倒した。自分のものにできる?

A:残念ながら、倒したときに唱える効果は常にコントローラーが行います。なので、ほかの人のバトルを倒してもあなたのものにはなりません。

おわりに

今回の記事で紹介できるのはここまでです。ほかにもたくさん気になることがあると思いますので、そのときはプレリリースの会場でジャッジに質問するか、晴れる屋Discordのルール質問チャンネルでご質問ください。

また冒頭にも書きましたが、新カードに関するルールは今後の発表やルール変更で内容が替わる場合があります。最新のルールをチェックして、気になることはその都度ジャッジにご質問ください。

それではみなさま、次のイベントでお会いしましょう。また次回!

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