八十岡と言えばバーン。
そう”対抗呪文の権化”として、また”ヤソコン”の織り手として認知されている八十岡の、もう一つの姿がバーン使いである。
若き日の八十岡が、盟友浅原、北山と共に戦ったのがグランプリ浜松’06。
この8年前にヤソが使いこなして見せたのがボロスバーンだった。
そう、攻防一体として活躍する《戦導者のらせん》、その起源となるのがこの時代の《稲妻のらせん》である。
だがその手に取ったボロスバーン、このデッキの起源はこの男の手にあった。
それが三ツ井 英郎(東京)だ。
既に先だってBMOスタンダードで紹介されているため詳細は省くが、八十岡のデッキを用意するために動いたのが友情に厚い井川 良彦(東京)、そして門戸を叩いたのが三ツ井のところであった。
こうして用意された舞台は73枚ミラーマッチ。
ただの二枚しか違わず、バーン対バーン、刃を違えた一戦がここに始まる。
Game 1
お互いに《凱旋の神殿》《ボロスのギルド門》《聖なる鋳造所》を置き合いゲームは静かな立ち上がりを。
双方ともがタッチ白のバーンを使っている、それゆえにパーマネントの展開はゆったりしたものになる。
このゲーム、最初に展開されたのは八十岡の《チャンドラのフェニックス》からだった。
遅れて三ツ井が《変わり谷》で殴り返し、八十岡本体へ《稲妻の一撃》を。
八十岡が続けた《若き紅蓮術士》には《ミジウムの迫撃砲》対応するのだが、動きづらい《変わり谷》に比べ《チャンドラのフェニックス》がクロックを刻み続ける。
《戦導者のらせん》には《頭蓋割り》で対応するものの、続けて《頭蓋割り》を二連打されると瞬く間に一本目は終わりを告げた。
八十岡 1-0 三ツ井
《ショック》《頭蓋割り》《ミジウムの迫撃砲》等軽量火力、《若き紅蓮術士》をサイドボードと総取り換え。
《予言の炎語り》《ボロスの反攻者》《払拭の光》を使ったミッドレンジ的戦略にシフトチェンジする。
Game 2
躊躇無く《聖なる鋳造所》をアンタップインさせると《マグマの噴流》から三ツ井がゲームを始める。
さすがに悩みながらも続くターンもショックインで三ツ井はライフ16、送り込んだ《チャンドラのフェニックス》は八十岡の《マグマの噴流》がしっかりキャッチ。
八十岡は選択肢を吟味しつつ《チャンドラのフェニックス》を。
三ツ井は《予言の炎語り》で応戦するものの、ここには《戦導者のらせん》が飛んでくる。
残る《チャンドラのフェニックス》は何とか《岩への繋ぎ止め》する三ツ井、だが4枚目の土地に辿り付けない。
八十岡が《若き紅蓮術士》をプレイしたことで三ツ井に選択肢が委ねられる。
ここで三ツ井の手札が以下。
《紅蓮の達人チャンドラ》
《ボロスの魔除け》
《戦導者のらせん》
《マグマの噴流》
《マグマの噴流》を《若き紅蓮術士》に撃つという選択肢もあったのだが、ライフ面で既に不利に追い込まれている三ツ井、八十岡本体へと《マグマの噴流》を撃ち、《紅蓮の達人チャンドラ》を最大限に活かそうとする。
だがライブラリーは三ツ井の思惑を裏切った。
《払拭の光》《戦導者のらせん》を見つけ、《払拭の光》を残す誘惑にも耐えた三ツ井に送られたドローは・・・・二枚目の《紅蓮の達人チャンドラ》。
八十岡の《若き紅蓮術士》を前にして三ツ井、全く動くことが出来ない。
こうなるともはやゲームは決まったも同然だ。
《マグマの噴流》《ショック》を叩き付け元気溌剌な八十岡。
さらには《予言の炎語り》が追加され、三ツ井の《ボロスの反攻者》を無視して突撃してくる。
三ツ井はようやく四枚目の土地を引いたと思ったら《ボロスのギルド門》。
苦笑しながら盤面を片付けるしかなかった。
八十岡 2-0 三ツ井
バーン同士のサイドボードは難しいと語る八十岡。
お互いコントロールを目指すとぐだぐだし過ぎるし、手札がもっさりしすぎても負けてしまうからだそうだ。
デッキの作り手である三ツ井とサイドプランを検討し合う。
やはり勝ってきたプレイヤーの何が違うと言えば、勝つための探求心。
目の前のマッチに勝つことだけでなく、次に繋がる何か。
それを見つけようとする貪欲さ、それは我々も学ぶべき姿勢かもしれない。