プレイヤーインタビュー: 市川ユウキ ~神への挑戦~

晴れる屋

By Atsushi Ito


 今、一番ホットなプレイヤーは誰か。

 それは言わずもがな、プロツアー「ニクスへの旅」でトップ4入賞という快挙を達成した、市川 ユウキ(Magic Online)だろう。

 昨年「The Last Sun2013」のトップ8で山本 賢太郎(埼玉)との死闘を演じたあたりからめきめきと頭角を現し、今や日本のトッププロに名を連ねるほどとなった市川。

 そんな市川が、プロツアーサンデーに引き続いて『神』すらもその手中に収めんと、今回『スタンダード神決定戦』に乗り込んできた。

 だが、ニコニコ生放送の人気生主としても知られているとはいえ、まだまだそのパーソナリティは謎に包まれている部分も多い。

 そこでせっかくの機会なので、会場にいた市川にフリートーク的な突撃インタビューを試みた。





--「突然なんですけど、市川さんは神を信じますか?

市川 「いきなりどういう質問ですか(笑) まあでもどちらかといえば信じてる側ですかね。シャッフルのやり方とか、自分で決めたルールを守るようにしたりして、よく験を担いでます。割とオカルトなんですよね、僕

--「いえ、BIGWEBの記事なんかだと、カフカサリンジャー芥川龍之介のパロディから冒頭文が始まったりして、市川さんは文学畑あるいは哲学畑の人なのかなーと思って」

市川 「全然そんなことないです(苦笑) ただ、本は好きなんでよく読みますね」

--「なるほど。さて、市川さんといえば先のプロツアーでの活躍が記憶に新しいですが、ご自身で勝因と呼べるものがあるとしたら、それは一体何だったとお考えでしょうか?」

市川 「一言で言うなら、『すごく勝ちたがった』ということですかね。もちろん他の日本勢もそうだったんでしょうが、その中でも一番『勝ちたい』と思っていたというのはあると思います。特に、僕には『プロポイントを大量に得てシルバーレベルになりたい』という明確な目標があって、そのために猛烈に練習したというのが大きかったなと」

--「市川さんは努力型なんですね」

市川 「そうですね、かなり練習するタイプだと思います。今回は晴れる屋に集まっていた日本勢のブロック構築の調整に混ぜてもらったりして、それで『ああ、他のプレイヤーはこういう風に考えているんだなぁ』っていう環境把握がよくできました。プロツアーで使用したナヤは三原(槙仁)さんの製作したデッキをベースにしてちょっとアレンジを加えたものなんですが、やっぱりプロプレイヤーの考えることなのですごく参考になって、とてもありがたかったです。あとはPT直前にMOで『ニクスへの旅』が入ったので、2人構築を50マッチ以上はやったと思います」

--「そんな勝ちたがりの市川さんですが、トップ8プロフィールで、『あなたにとって、プロツアー優勝は何を意味しますか?』という質問に対して、他の方がとても尊いモノの象徴のような美辞麗句を答えられている中で、一人だけ『趣味の延長線上』みたいな、一見すごくドライな返答をされてますよね。これはどういった趣旨だったんでしょうか?」

市川 「趣味の延長線上というか、『趣味の範囲内』って感じですかね。『趣味』と『仕事』の対比が前提にあるんですけど、プロツアートップ8に入ったからといってこれで食べてこう!みたいな気持ちはなくて、あくまで『仕事』は生活を支えるものとして必要で、でもそれとは別に『趣味』は『趣味』として全力かつ自由にやりたいっていう思いを込めてああいう返答になりました。『仕事』だと時間やお客様のニーズに縛られたりして妥協することもままあるけれど、『趣味』はやっぱり自分が満足するまで徹底的にやる!って姿勢でやりたいじゃないですか。その意味で、マジックは『趣味』として全力でやってます」

--「では、『プロツアーなんて大したことない』みたいなビッグマウス的ニュアンスでは全然なかったんですね」

市川 「そうですね(笑) あとはまあ、僕がPTQに出始めて2年、プロツアーもせいぜい1年といった比較的早い段階で運良くプロツアートップ8に入れてしまったので、実感としてそこまで大仰に言いようがないですね。ただ地位とか名誉とかお金とか全部抜きにしても、プロツアーに参加すること自体とても楽しいですし、今後もどんどん参加していきたいです。なので今の目標はプロツアーに安定して継続参戦できるように、プロポイントを上乗せ1点してプロプレイヤークラブのゴールドレベルになることですね」

--「ハイレベルなトーナメントで自分がどこまでやれるかをとことん突き詰めたい……みたいなモチベーションなんですかね。そうだとすると、今回の『神シリーズ』も、当然『神』を目指していく、と」

市川 「参加するからには、『趣味』としてとことん最後まで勝ち抜きたいですね」

--「ちなみに、市川さんが考える『神になるために必要な要素』とは何でしょうか?」

市川 「やはり圧倒的に練習と……あとは『飽くなき反省』ですかね(笑)」

--「『勝負師の顔』は重要じゃないんですか?」

市川 「ちょっと完全に風評被害なんで『顔が怖い』みたいなイメージ定着させるのやめてくださいよ!(笑) 僕ゲーム中はにこやかな表情を心がけてるんですから!」


 プロツアーでの快勝の勢いそのままに『神』の座へと挑戦する『勝負師』市川。

 彼の活躍に期待しよう。